人質姫と忘れんぼ王子

雪野 結莉

文字の大きさ
108 / 187
15章 ボナールの王女

1

しおりを挟む
ボナールのセリーヌ王女は、無事にランバラルドに着いてしまったらしく、何度かお茶会のお誘いがあったが、全て無視させていただいた。

彼女とだけは、何があっても婚姻を結ぶ気はない。

そして、運命の夜会が開かれた。



今回、夜会に招待したのは年頃の他国王女やご令嬢が主だ。
だが、若い令嬢が一人旅をできるわけもなく、付き添いで親や兄弟もきていたりする。
もちろん、侍従や専属執事を連れている場合もある。
我が国からは、オレ達4人の他、高位貴族の息子や娘が招かれている。

国王として、父上が挨拶を述べ、夜会が始まった。
父上と母上は、2人で一曲だけダンスを踊り、あとは王太子に任せると言って、今夜は退出した。

令嬢達は色鮮やかに着飾り、会場をくるくると踊り、ダンスフロアに花を咲かせている。
オレとディリオン、コンラッドは何人かの令嬢とダンスを踊った。
視界のはしに、いとこのギルバートも見えたが、ギルバートもあまり乗り気ではないようで、ちょこっと付き合いで令嬢とダンスを踊ったきり、飲食スペースに行ってしまった。
そして、何故か、こういう時はいつも張り切っているフレッドは、今日はうまく躱してまだ誰とも踊っていない。

……あいつ、いつも女の子と見たらヘラヘラとしているのに、最近どうしたんだろう……。

オレの結婚相手として、ディリオンから勧められているのは、やはりエルシアの王女だ。
まだ15歳にして、教養もあり、社交界でも評判がいい。
堂々とした姿勢で社交界を渡り歩く様は、さすがに王女の貫禄と言ったところか。

この中から、生涯の伴侶を探す。
もう、これ以上の機会はないだろう。
ここまで大規模に我が国で他国からも招待をして、夜会を開くのは簡単なことではないからだ。

夜会の開始からこれまでの間、結構な人数のご令嬢と踊って話をしたが、この人、と思えるご令嬢には会えなかった。
そろそろ足が限界に来ているので、一度休憩を取ることにした。

会場から出ようとすると、聴き覚えのある声で呼び止められる。

「ライリー王太子殿下。ご機嫌麗しく。何度もお茶会にお誘い致しましたのに、お忙しいようでお会いできませんでしたわね」
振り返ると、ボナールのセリーヌ王女がオレの後ろに立っていた。

今日は、自分は婚約者を見つける気がないから王太子の側にいると言っていたフレッドは、言葉通りオレの近くに居たようで、さっとオレの隣に並んだ。
「セリーヌ王女。お忙しい中、我が国へのご訪問ありがとうございます」
一応、社交辞令を述べる。

「ふふっ、王太子様とわたくしの仲ではありませんか。堅苦しい挨拶は抜きにいたしましょう。ほら、やっぱりあなたが王太子様でしたのね。わたくしの思った通りですわ」
さすがは、近隣諸国に美しいと噂が出回るような王女だ。
長く美しい金髪を上品にまとめ、生花をちりばめた髪飾りをつけ、オフショルダーのドレスは、胸が結構開いていて、腰がこれでもかと絞められている。
紅く塗られた口紅も、艶やかに輝いて。

これで誘惑されたら、男は一溜まりもないだろうな。

ただ、オレの好みではない。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

侯爵家の婚約者

やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。 7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。 その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。 カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。 家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。 だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。 17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。 そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。 全86話+番外編の予定

【完結】見返りは、当然求めますわ

楽歩
恋愛
王太子クリストファーが突然告げた言葉に、緊張が走る王太子の私室。 この国では、王太子が10歳の時に婚約者が二人選ばれ、そのうちの一人が正妃に、もう一人が側妃に決められるという時代錯誤の古いしきたりがある。その伝統に従い、10歳の頃から正妃候補として選ばれたエルミーヌとシャルロットは、互いに成長を支え合いながらも、その座を争ってきた。しかしーー 「私の正妃は、アンナに決めたんだ。だから、これからは君たちに側妃の座を争ってほしい」 微笑ながら見つめ合う王太子と子爵令嬢。 正妃が正式に決定される半年を前に、二人の努力が無視されるかのようなその言葉に、驚きと戸惑いが広がる。 ※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))

死を望まれた王女は敵国で白い結婚を望む。「ご安心ください、私もあなたを愛するつもりはありません」

千紫万紅
恋愛
次期女王として王位継承が内定していたフランツェスカ。 だが戦況の悪化を理由に父王に争いの最前線に送られた。 それから一年、命からがら王都へ戻った彼女を待っていたのは労いの言葉ではなく、敵国・シュヴァルツヴァルトの王太子への輿入れ命令。 しかも父王は病弱な異母妹アリーシアを王妃に据え、フランツェスカの婚約者レナードを王にするという。 怒りと絶望の中フランツェスカはかつて敵将であったシュヴァルツヴァルト王太子・フリードのもとへお飾りの妻として嫁ぐことを決意する。 戦地での過去を封じ、王族としての最後の務めを果たすために。

結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。

恋愛系
恋愛
屋敷が大っ嫌いだったミア。 そして、屋敷から出ると決め 計画を実行したら 皮肉にも失敗しそうになっていた。 そんな時彼に出会い。 王国の陛下を捨てて、村で元気に暮らす! と、そんな時に聖騎士が来た

【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜

ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。 しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。 生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。 それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。 幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。 「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」 初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。 そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。 これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。 これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。 ☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~

紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。 ※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。 ※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。 ※なろうにも掲載しています。

嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな
恋愛
 伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。  そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。  その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。  そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。  ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。  堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・

処理中です...