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最終章 人質でなくなった女王と忘れない王太子
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翌日の昼食は、久しぶりにランバラルドのみんなと取ることになった。
席に着く前に、ライリー殿下が私の側にやってきた。
「ごめん、シャーロット。昨日のことは忘れて」
小声でそう言うと、いつもの笑顔を私に向けてくれる。
「ええ。私こそ、うまく言えなくてごめんなさい」
私も小声でそっと返して微笑んだ。
良かった。
ライリー殿下と気まずいまま、別れることになると思って、とても悲しかったから。
久しぶりのみんなそろっての昼食は、和やかに進んでいった。
食事が終わり、コーヒーを飲んでいる時、ライリー殿下が口を開いた。
「ディリオンとも相談したんだが、ボナールも落ち着きを取り戻してきたことだし、そろそろランバラルドへ帰国する」
話を知らないフレッド様とコンラッド様が驚いたように目を丸くした。
「おいおい。まだ復興計画の途中じゃないか。どうしたんだ? 王子、おまえらしくもない」
コンラッド様がライリー殿下に言う。
「まだ、万全ではないが、方針も決まって、議会も機能し始めただろう? これ以上は他国のオレたちの支援でやるよりは、ボナールの議会の者の手でやった方がいいと思って」
ライリー殿下はコーヒーに口をつける。
「だって、他国っておまえ……」
コンラッド様は私をチラッと見るけれど、私は知らない顔でコーヒーを飲む。
次に、コンラッド様はディリオン様の顔を見て、何かを察したようだった。
「わかった。今、オレはアーサー殿と一緒に、近衛の方を見ている。2日くらいくれれば、そちらは終わる」
そう。
コンラッド様は、機能していなかった近衛兵をまとめてくださっているのだ。
「オレは~、このままボナールに残ろっかな~」
フレッド様がのんびりと言った。
「は? フレッド、何言ってるんだ? オレが帰るんだから、おまえも帰るんだよ」
「ん~、オレさぁ、モーリス宰相と最近いろいろと仕事やってるんだけど、なかなか宰相の仕事も面白いなって思ってさ。もう少し、ここで勉強したいと思ってたんだ」
ディリオン様がメガネをくいっと上げる。
「ならば、ランバラルドへ帰って、おまえの父に教えを請えばいいだろう。オレに遠慮することはない。オレは別に宰相職に就きたいわけではないからな」
「いや、ランバラルドの整備された国でやりたいわけじゃないんだ。ボナールのデコボコの道を、オレの力でなだらかにできたらいいなって思って」
ライリー殿下は寂しそうな表情になった。
「おまえも、オレの側からいなくなるのか?」
「やだなー、王子。隣の国なんだから、何かの時には駆けつけるし、力になれることもあるよ。いなくなるわけじゃない」
ランバラルド組で話は進んでいるけれど、私は口を挟んだ。
「あのー、フレッド様。申し訳ありませんがご存知の通り、我が国の台所事情は火の車です。充分なお給金をお支払いできないので、フレッド様もお帰りください」
「えーっっ、まさかの帰れコール? シャーロットちゃん、酷くない? オレ、別にお金の為にやるわけじゃないし、給金なら自分でなんとかするよ。豊かな国になったらたんまりもらうし」
「それだけではありません。私は、ライリー殿下を支えるみなさまを見るのがとても好きでした。フレッド様、ボナールは大丈夫です。どうかランバラルドへお戻りになってください」
フレッド様はにっこり笑う。
「うん、わかった。じゃ、気が済んだら帰るから」
……わかってない。
思わず頭を抱える。
「シャーロット、フレッドがこう言ってるんだ。ボナールに残してやってくれよ」
ライリー殿下が力なく笑って言う。
とても寂しそうな殿下がそう言うのに、それでもランバラルドに帰って欲しいとは言えなかった。
私がどうしようかと思っていると、侍従がトレーに封筒を乗せて、やってきた。
「シャーロット陛下。帝国ジルベール陛下から封書が届いております」
しんっと、その場の空気が凍りつく。
「あ、後で開封しますので、部屋に持って行って」
「しかし、帝国からですが、後回しでよろしいのですか?」
「ええ、結構よ。部屋にお願い」
侍従が戻ろうとすると、ライリー殿下が声をかける。
「いいじゃないか。急ぎかもしれないし、ここで開封したらどうだ?」
「いえ、私の方は急ぎの用などありませんので」
「……ふーん」
そんな変な空気のまま、昼食は終わった。
それぞれが、それぞれの場所に散っていく。
私も部屋に戻って、ジルベール陛下からの手紙を開封した。
『わたしはまだ帝国には帰らず、ボナールにいる。帝国には火山がないので温泉はないが、いいものだな。帝国に持って帰りたいが、湯を持って帰ってバスタブに入れたところで、ただの風呂だ。仕方ないからまた湯治にくる。招待せよ』
パンっ。
私は床に手紙を叩きつけた。
「もぉっ! 変なタイミングでしょうもない手紙を送って来ないでくださいまし! バカ帝王!!」
席に着く前に、ライリー殿下が私の側にやってきた。
「ごめん、シャーロット。昨日のことは忘れて」
小声でそう言うと、いつもの笑顔を私に向けてくれる。
「ええ。私こそ、うまく言えなくてごめんなさい」
私も小声でそっと返して微笑んだ。
良かった。
ライリー殿下と気まずいまま、別れることになると思って、とても悲しかったから。
久しぶりのみんなそろっての昼食は、和やかに進んでいった。
食事が終わり、コーヒーを飲んでいる時、ライリー殿下が口を開いた。
「ディリオンとも相談したんだが、ボナールも落ち着きを取り戻してきたことだし、そろそろランバラルドへ帰国する」
話を知らないフレッド様とコンラッド様が驚いたように目を丸くした。
「おいおい。まだ復興計画の途中じゃないか。どうしたんだ? 王子、おまえらしくもない」
コンラッド様がライリー殿下に言う。
「まだ、万全ではないが、方針も決まって、議会も機能し始めただろう? これ以上は他国のオレたちの支援でやるよりは、ボナールの議会の者の手でやった方がいいと思って」
ライリー殿下はコーヒーに口をつける。
「だって、他国っておまえ……」
コンラッド様は私をチラッと見るけれど、私は知らない顔でコーヒーを飲む。
次に、コンラッド様はディリオン様の顔を見て、何かを察したようだった。
「わかった。今、オレはアーサー殿と一緒に、近衛の方を見ている。2日くらいくれれば、そちらは終わる」
そう。
コンラッド様は、機能していなかった近衛兵をまとめてくださっているのだ。
「オレは~、このままボナールに残ろっかな~」
フレッド様がのんびりと言った。
「は? フレッド、何言ってるんだ? オレが帰るんだから、おまえも帰るんだよ」
「ん~、オレさぁ、モーリス宰相と最近いろいろと仕事やってるんだけど、なかなか宰相の仕事も面白いなって思ってさ。もう少し、ここで勉強したいと思ってたんだ」
ディリオン様がメガネをくいっと上げる。
「ならば、ランバラルドへ帰って、おまえの父に教えを請えばいいだろう。オレに遠慮することはない。オレは別に宰相職に就きたいわけではないからな」
「いや、ランバラルドの整備された国でやりたいわけじゃないんだ。ボナールのデコボコの道を、オレの力でなだらかにできたらいいなって思って」
ライリー殿下は寂しそうな表情になった。
「おまえも、オレの側からいなくなるのか?」
「やだなー、王子。隣の国なんだから、何かの時には駆けつけるし、力になれることもあるよ。いなくなるわけじゃない」
ランバラルド組で話は進んでいるけれど、私は口を挟んだ。
「あのー、フレッド様。申し訳ありませんがご存知の通り、我が国の台所事情は火の車です。充分なお給金をお支払いできないので、フレッド様もお帰りください」
「えーっっ、まさかの帰れコール? シャーロットちゃん、酷くない? オレ、別にお金の為にやるわけじゃないし、給金なら自分でなんとかするよ。豊かな国になったらたんまりもらうし」
「それだけではありません。私は、ライリー殿下を支えるみなさまを見るのがとても好きでした。フレッド様、ボナールは大丈夫です。どうかランバラルドへお戻りになってください」
フレッド様はにっこり笑う。
「うん、わかった。じゃ、気が済んだら帰るから」
……わかってない。
思わず頭を抱える。
「シャーロット、フレッドがこう言ってるんだ。ボナールに残してやってくれよ」
ライリー殿下が力なく笑って言う。
とても寂しそうな殿下がそう言うのに、それでもランバラルドに帰って欲しいとは言えなかった。
私がどうしようかと思っていると、侍従がトレーに封筒を乗せて、やってきた。
「シャーロット陛下。帝国ジルベール陛下から封書が届いております」
しんっと、その場の空気が凍りつく。
「あ、後で開封しますので、部屋に持って行って」
「しかし、帝国からですが、後回しでよろしいのですか?」
「ええ、結構よ。部屋にお願い」
侍従が戻ろうとすると、ライリー殿下が声をかける。
「いいじゃないか。急ぎかもしれないし、ここで開封したらどうだ?」
「いえ、私の方は急ぎの用などありませんので」
「……ふーん」
そんな変な空気のまま、昼食は終わった。
それぞれが、それぞれの場所に散っていく。
私も部屋に戻って、ジルベール陛下からの手紙を開封した。
『わたしはまだ帝国には帰らず、ボナールにいる。帝国には火山がないので温泉はないが、いいものだな。帝国に持って帰りたいが、湯を持って帰ってバスタブに入れたところで、ただの風呂だ。仕方ないからまた湯治にくる。招待せよ』
パンっ。
私は床に手紙を叩きつけた。
「もぉっ! 変なタイミングでしょうもない手紙を送って来ないでくださいまし! バカ帝王!!」
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