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最終章 人質でなくなった王女と忘れない王太子
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ランバラルドから封書……?
宛先は、私ではなくボナール王室となっていた。
フレッド様と叔父様が私の机にきて、手紙を覗き込む。
そこには、ボナール王室を、ランバラルドとして正式訪問するとの文言がならんでいた。
正式訪問?
「フレッド様、正式訪問って、どういう意味だと思いますか?」
フレッド様は困ったように笑った。
「そりゃ……正式に訪問するってことだろ?」
いや、それはわかってますって。
叔父様が机を勢いよく叩き、顔を上げる。
「こうしちゃいられん。今手掛けている仕事を終わらせなければ! わしがここにいたらマズいからな」
「あ、コーディさん。ハートランド伯爵の件は慎重にやってくださいよ~」
フレッド様が叔父様の背中に声を掛ける。
「わかっとるわかっとる」
叔父様は振り向きもせずに、執務室を出て行った。
「えーっと、フレッド様。私は何をしたらいいですかね」
私が困って首を傾げると、フレッド様は微笑んで私の頭を撫でた。
「ライリー陛下が来るんだから、侍女に言ってエステでもしてもらえば?」
「そういうことではなくてですね、仕事の話しです。だいたい、ライリー陛下が来るからって、エステは不要ですわよ」
「じゃ、来賓を迎え入れる準備を。あと、国債の買取についても話があるかもしれない。今の状況なら1/3は買い戻せそうだから、買い戻しの準備かな」
「はいっ!」
書状によると、ボナールへの到着は1週間後だ。
その日から、私は忙しく走り回った。
フレッド様が財政面での書面を作成してくださっているので、私は来賓をお迎えする準備だ。
ある日、ふと気になって、お忍びで町に出てみた。
町の歩道の舗装もしてあるはずだけれど、ちゃんと町が綺麗になっているのかが気になったのだ。
もちろん、みんなに怒られるので、アーサーの護衛はちゃんと付いてきてもらっているけど、私はロッテの姿で、アーサーも下級騎士の休日のような姿でのお忍びだ。
城下町へは、たまに馬車で通りかかっていたけれど、ゆっくりと見る時間がなかった。
ただ、過ぎ去る町並みを見ると、開いているお店が少なかった町が、だんだんと開いているお店が増えていき、今では商店街の全てのお店が開いている。
町は活気に満ち溢れ、歩く人々もふっくらとしている人、背の高い人、様々だ。
初めて見た時は、痩せてボロボロの服を着ている人が多かったけれど、今は若いお嬢さんが色とりどりの服を着て、笑いながら歩く姿が眩しい。
「姫様、オレたちはゆっくり町を見る余裕もなく今日まで走ってきましたけど、こんなに豊かになったんですね」
今日は兄妹を装って並んで歩くアーサーが呟く。
「ほんとにそうね。ランバラルドにも負けないくらい、みんな元気になったわ」
髪をきっちりと編み込み、濃いブルーのワンピースで歩く私。
いつか、ライと歩いた町を今日は兄役のアーサーと歩く。
「姫様のその服も、そろそろ買い替えたらいかがですか? もう何年も着ているでしょう。今日、買って帰りますか?」
アーサーに言われて、自分の姿を見直す。
濃いブルーのワンピース。襟にレースが施されて、ウエストにはフワフワのリボンが付いている。
でも、もう生地もいたんできていて、フワフワだったリボンは少し元気がない。
でも、これでいいの。
これがいいの。
「これは、ライがプレゼントしてくれた服だから。これはこのままでいいの」
私がそう言った時、背中から子どもの声が聞こえた。
「とーちゃん。キャベツもう店頭に並ばないよ~。仕入れすぎなんじゃない?」
振り返ると、10歳より少し小さいくらいの男の子が店先に野菜を並べていた。
あの子は、ライと町に来た時に見た子だ。
あの時も、まだ小さい手で野菜を並べていた。
町は復興し、民は成長している。
大丈夫。
私はちゃんとライにボナールの成長を報告できるわ。
ライリー陛下がボナールをご訪問してくださるのが、待ち遠しい。
そうして、時間は瞬く間に過ぎて行った。
ランバラルド国王、訪問の日。
執務室でソワソワしながら外の様子を伺っていると、侍従長がドアをノックして中に入ってきた。
「シャーロット陛下。ランバラルド陛下がお見えです。今はフレッド宰相が応接室へご案内し、ご対応されております」
私は広げていた書類から顔を上げる。
もちろん、ソワソワし過ぎて読んでなどいなかったけれど。
「わかりました。すぐに応接室に向かいます」
廊下を歩くのももどかしく、女王にあるまじきスピードで急いで応接室に向かう。
応接室のドアの前で一呼吸置いてから、ノックをすると、中からフレッド様の返事が聞こえて、ゆっくりと応接室のドアを開けると、そこには焦がれていたライリー陛下がソファに座り、こちらを見ている。
「やぁ、シャーロット。久しぶり」
数年ぶりに見る、ライリー陛下の晴れやかな笑顔が私を迎えてくれた。
*****************
長い長いお話にお付き合いいただき、ありがとうございます。
最終回までもう少しだけ、お付き合いくださいませ。。。
宛先は、私ではなくボナール王室となっていた。
フレッド様と叔父様が私の机にきて、手紙を覗き込む。
そこには、ボナール王室を、ランバラルドとして正式訪問するとの文言がならんでいた。
正式訪問?
「フレッド様、正式訪問って、どういう意味だと思いますか?」
フレッド様は困ったように笑った。
「そりゃ……正式に訪問するってことだろ?」
いや、それはわかってますって。
叔父様が机を勢いよく叩き、顔を上げる。
「こうしちゃいられん。今手掛けている仕事を終わらせなければ! わしがここにいたらマズいからな」
「あ、コーディさん。ハートランド伯爵の件は慎重にやってくださいよ~」
フレッド様が叔父様の背中に声を掛ける。
「わかっとるわかっとる」
叔父様は振り向きもせずに、執務室を出て行った。
「えーっと、フレッド様。私は何をしたらいいですかね」
私が困って首を傾げると、フレッド様は微笑んで私の頭を撫でた。
「ライリー陛下が来るんだから、侍女に言ってエステでもしてもらえば?」
「そういうことではなくてですね、仕事の話しです。だいたい、ライリー陛下が来るからって、エステは不要ですわよ」
「じゃ、来賓を迎え入れる準備を。あと、国債の買取についても話があるかもしれない。今の状況なら1/3は買い戻せそうだから、買い戻しの準備かな」
「はいっ!」
書状によると、ボナールへの到着は1週間後だ。
その日から、私は忙しく走り回った。
フレッド様が財政面での書面を作成してくださっているので、私は来賓をお迎えする準備だ。
ある日、ふと気になって、お忍びで町に出てみた。
町の歩道の舗装もしてあるはずだけれど、ちゃんと町が綺麗になっているのかが気になったのだ。
もちろん、みんなに怒られるので、アーサーの護衛はちゃんと付いてきてもらっているけど、私はロッテの姿で、アーサーも下級騎士の休日のような姿でのお忍びだ。
城下町へは、たまに馬車で通りかかっていたけれど、ゆっくりと見る時間がなかった。
ただ、過ぎ去る町並みを見ると、開いているお店が少なかった町が、だんだんと開いているお店が増えていき、今では商店街の全てのお店が開いている。
町は活気に満ち溢れ、歩く人々もふっくらとしている人、背の高い人、様々だ。
初めて見た時は、痩せてボロボロの服を着ている人が多かったけれど、今は若いお嬢さんが色とりどりの服を着て、笑いながら歩く姿が眩しい。
「姫様、オレたちはゆっくり町を見る余裕もなく今日まで走ってきましたけど、こんなに豊かになったんですね」
今日は兄妹を装って並んで歩くアーサーが呟く。
「ほんとにそうね。ランバラルドにも負けないくらい、みんな元気になったわ」
髪をきっちりと編み込み、濃いブルーのワンピースで歩く私。
いつか、ライと歩いた町を今日は兄役のアーサーと歩く。
「姫様のその服も、そろそろ買い替えたらいかがですか? もう何年も着ているでしょう。今日、買って帰りますか?」
アーサーに言われて、自分の姿を見直す。
濃いブルーのワンピース。襟にレースが施されて、ウエストにはフワフワのリボンが付いている。
でも、もう生地もいたんできていて、フワフワだったリボンは少し元気がない。
でも、これでいいの。
これがいいの。
「これは、ライがプレゼントしてくれた服だから。これはこのままでいいの」
私がそう言った時、背中から子どもの声が聞こえた。
「とーちゃん。キャベツもう店頭に並ばないよ~。仕入れすぎなんじゃない?」
振り返ると、10歳より少し小さいくらいの男の子が店先に野菜を並べていた。
あの子は、ライと町に来た時に見た子だ。
あの時も、まだ小さい手で野菜を並べていた。
町は復興し、民は成長している。
大丈夫。
私はちゃんとライにボナールの成長を報告できるわ。
ライリー陛下がボナールをご訪問してくださるのが、待ち遠しい。
そうして、時間は瞬く間に過ぎて行った。
ランバラルド国王、訪問の日。
執務室でソワソワしながら外の様子を伺っていると、侍従長がドアをノックして中に入ってきた。
「シャーロット陛下。ランバラルド陛下がお見えです。今はフレッド宰相が応接室へご案内し、ご対応されております」
私は広げていた書類から顔を上げる。
もちろん、ソワソワし過ぎて読んでなどいなかったけれど。
「わかりました。すぐに応接室に向かいます」
廊下を歩くのももどかしく、女王にあるまじきスピードで急いで応接室に向かう。
応接室のドアの前で一呼吸置いてから、ノックをすると、中からフレッド様の返事が聞こえて、ゆっくりと応接室のドアを開けると、そこには焦がれていたライリー陛下がソファに座り、こちらを見ている。
「やぁ、シャーロット。久しぶり」
数年ぶりに見る、ライリー陛下の晴れやかな笑顔が私を迎えてくれた。
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長い長いお話にお付き合いいただき、ありがとうございます。
最終回までもう少しだけ、お付き合いくださいませ。。。
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