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9章 一筋の光は
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「えーっと、お茶、飲みますか?」
ルーク様はわたしにチラリと視線を移したが、すぐにまた食事に戻る。
「バカか。まだ食事の最中だ」
「ははは。そうですよねぇ」
えーん。
サリーさん、手持ち無沙汰だよー。
どうしてわたしを置いて行ったんですかぁ?
することもなくて、わたしはルーク様が食事をするのをじっと見ていた。
「……なんだ? 見られると気が散る」
ルーク様が不機嫌そうに、わたしを見る。
「いえ、あの、えーと、足りますか? お夕飯」
「これだけあれば、充分だろう?」
テーブルに乗っているのは、サラダ、スープ、お肉、バターロールだ。
確かに、普通の人なら充分だけど……。
「もっと食べるかと思っていました。幼馴染みのパン屋の男の子は、そのバターロールにお肉やハムを挟んで17.8個は食べますし、あと、誰だったかな? 覚えていないんですけど、ステーキとスープとパスタとサンドイッチを一度にテーブルに置いて、全部食べた男の子もいるんですよ~。どこにそんなにたくさんの食べ物が入るのかと、感心しました」
ルーク様はわたしが大袈裟に言っていると思ったのか、ぷっと、吹き出した。
「それは成長期の男はそれくらい食べるもんだからな。成長期が終われば自然と減る。そのまま食べ続けたら、剣など振るえないくらい太ってしまうよ」
ああ、そうか。
育ち盛りだから、男の子はたくさん食べるのか。
「ルーク様も食べましたか?」
「ああ、ジーナが呆れるくらい……」
何故かルーク様は途中で言葉を切って、じっと、何かを考えているようだった。
「ルーク様?」
「あ、いや。なんでもない。もう食べ終わるから、紅茶を入れてくれないか」
「はい。かしこまりました」
わたしはルーク様に新しくお茶を入れ直した。
茶葉をちゃんと蒸すくらい時間を置いて、ルーク様に紅茶を出すと、ちょうど食事を全部食べ終わったところだった。
「全部食べてくださったんですね。嬉しいです。ありがとうございます」
わたしがにこにこと笑ってそう言うと、ルーク様は紅茶を飲みながらくすりと笑った。
「なんでおまえがお礼を言うんだよ」
「だって、ルーク様がちゃんと食べてくれるのが嬉しいんですもの。専属侍女といたしましては、ご主人様の健康が一番嬉しいです」
「何言ってんだ、いつもちゃんと食べて……。いや、そういえば、食べてなかったな。ローゼリアと会った日は……」
ルーク様は空になったお皿を見て、それからわたしの顔を見た。
?
「なんですか? ルーク様」
わたしが首を傾げると、ルーク様がピクリとした。
「いや、オレは……そんなバカな。同じに見えるなんて、そんなバカなことが……」
突然狼狽え出したルーク様に、わたしもどうしたらいいかわからない。
「ルーク様?」
ルーク様に手を伸ばしたら、伸ばしたら手を振り払われた。
「っ!」
今までそんなことをされたことがないので、わたしはびっくりして手を引っ込めた。
「あ……。すまん。ニーナ、オレが悪かった。もう、下がってくれ。早く休みたい」
「あ、はい。気が利かなくて申し訳ありませんでした」
わたしは急いで食器を片付けて、それらを持ってきたワゴンを乗せて、部屋を出ようとした。
「ニーナ」
ルーク様に呼び止められて、振り向くと、ルーク様がわたしのすぐ後ろに立っていた。
「オレは、おまえの明るさに救われているのかもしれない。能天気なおまえの顔を見ると、ローゼリアのことも、くだらない、どうでもいいことのように思えてくる」
それは……、褒められてるのかな……?
「ありがとうございます?」
ルーク様はまたくすりと笑う。
「なんで笑うんですか」
「いや、おまえこそ、なんで疑問形」
「なんとなく……褒められてるのかなって」
ルーク様はくしゃりとわたしの頭を撫でた。
「もう戻って早く寝ろ」
「あ、そうですよね。ルーク様、早くお休みになりたいんでしたもんね。失礼しました。おやすみなさいませ」
「……ああ、おやすみ」
ワゴンを押してルーク様の部屋を出たわたしに、ルーク様の独り言は聞こえなかった。
「それでも、オレの光はただ一人なんだ」
ルーク様はわたしにチラリと視線を移したが、すぐにまた食事に戻る。
「バカか。まだ食事の最中だ」
「ははは。そうですよねぇ」
えーん。
サリーさん、手持ち無沙汰だよー。
どうしてわたしを置いて行ったんですかぁ?
することもなくて、わたしはルーク様が食事をするのをじっと見ていた。
「……なんだ? 見られると気が散る」
ルーク様が不機嫌そうに、わたしを見る。
「いえ、あの、えーと、足りますか? お夕飯」
「これだけあれば、充分だろう?」
テーブルに乗っているのは、サラダ、スープ、お肉、バターロールだ。
確かに、普通の人なら充分だけど……。
「もっと食べるかと思っていました。幼馴染みのパン屋の男の子は、そのバターロールにお肉やハムを挟んで17.8個は食べますし、あと、誰だったかな? 覚えていないんですけど、ステーキとスープとパスタとサンドイッチを一度にテーブルに置いて、全部食べた男の子もいるんですよ~。どこにそんなにたくさんの食べ物が入るのかと、感心しました」
ルーク様はわたしが大袈裟に言っていると思ったのか、ぷっと、吹き出した。
「それは成長期の男はそれくらい食べるもんだからな。成長期が終われば自然と減る。そのまま食べ続けたら、剣など振るえないくらい太ってしまうよ」
ああ、そうか。
育ち盛りだから、男の子はたくさん食べるのか。
「ルーク様も食べましたか?」
「ああ、ジーナが呆れるくらい……」
何故かルーク様は途中で言葉を切って、じっと、何かを考えているようだった。
「ルーク様?」
「あ、いや。なんでもない。もう食べ終わるから、紅茶を入れてくれないか」
「はい。かしこまりました」
わたしはルーク様に新しくお茶を入れ直した。
茶葉をちゃんと蒸すくらい時間を置いて、ルーク様に紅茶を出すと、ちょうど食事を全部食べ終わったところだった。
「全部食べてくださったんですね。嬉しいです。ありがとうございます」
わたしがにこにこと笑ってそう言うと、ルーク様は紅茶を飲みながらくすりと笑った。
「なんでおまえがお礼を言うんだよ」
「だって、ルーク様がちゃんと食べてくれるのが嬉しいんですもの。専属侍女といたしましては、ご主人様の健康が一番嬉しいです」
「何言ってんだ、いつもちゃんと食べて……。いや、そういえば、食べてなかったな。ローゼリアと会った日は……」
ルーク様は空になったお皿を見て、それからわたしの顔を見た。
?
「なんですか? ルーク様」
わたしが首を傾げると、ルーク様がピクリとした。
「いや、オレは……そんなバカな。同じに見えるなんて、そんなバカなことが……」
突然狼狽え出したルーク様に、わたしもどうしたらいいかわからない。
「ルーク様?」
ルーク様に手を伸ばしたら、伸ばしたら手を振り払われた。
「っ!」
今までそんなことをされたことがないので、わたしはびっくりして手を引っ込めた。
「あ……。すまん。ニーナ、オレが悪かった。もう、下がってくれ。早く休みたい」
「あ、はい。気が利かなくて申し訳ありませんでした」
わたしは急いで食器を片付けて、それらを持ってきたワゴンを乗せて、部屋を出ようとした。
「ニーナ」
ルーク様に呼び止められて、振り向くと、ルーク様がわたしのすぐ後ろに立っていた。
「オレは、おまえの明るさに救われているのかもしれない。能天気なおまえの顔を見ると、ローゼリアのことも、くだらない、どうでもいいことのように思えてくる」
それは……、褒められてるのかな……?
「ありがとうございます?」
ルーク様はまたくすりと笑う。
「なんで笑うんですか」
「いや、おまえこそ、なんで疑問形」
「なんとなく……褒められてるのかなって」
ルーク様はくしゃりとわたしの頭を撫でた。
「もう戻って早く寝ろ」
「あ、そうですよね。ルーク様、早くお休みになりたいんでしたもんね。失礼しました。おやすみなさいませ」
「……ああ、おやすみ」
ワゴンを押してルーク様の部屋を出たわたしに、ルーク様の独り言は聞こえなかった。
「それでも、オレの光はただ一人なんだ」
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