M.A.T 対魔法筋肉特殊奇襲部隊

海王星型惑星

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1章 特殊筋肉奇襲部隊

対魔法訓練 (来訪者達 3)

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 俺たちはジム(役所の地下)から出て隣接する広場に来ていた。

 町の野球場よりややデカい…くらいの大きさで、キャッチボールをするときみたいに一定の間隔をあけて二人組のペアが点在している。なんかパッと見市民の運動場みたいだ。

「通常、対魔法の訓練をするときはこういった所で行う。志波(しば)、ゴーシュ、来てくれ」

 説明しながらサカキさんは一番近くにいた二人組に声をかける。十代くらいの少年たちで、片方はかなり短めのツーブロック、で俺と同じ(170cm真ん中)くらいの好青年といった感じで、「部活でハードな練習してます」というような締まった健康的な肉体だ。明らかに見慣れた日本人の見た目なのでこちらがか「志波」だろう。

 もう片方は身長は低め、というか全体的に「小さい」。身長だけでなく、骨格、筋肉の付き方…と見てもとても強そうには見えない。明るめの茶髪の髪が癖ッ毛でとっ散らかっていて、金縁の丸眼鏡が相まって、
 なんというかこう……「もわっ…」としている。
 武闘派でないのは明らかだ。白のシャツに少し古びた茶と黒のローブを羽織っていてまさにハリーポッターの世界の住人みたいだ。こちらが「ゴーシュ」か。


 サカキさん全体を見回して言う。
「実際に見たほうが速いだろうからな、とりあえず適当に見せてやれ」


「はいッ」「はいっ」と二人が返事した。かたや体育会系の吠えるような返事、かたや授業中に急に指されてドギマギしているかのようなものだった。


 二人が少し距離を取る。

 俺と内田は少し離れてサカキさんの横となりに並んだ。


 志波がゆっくりと両手の拳を顔の前に上げた。スポーツの試合前のような緊張感のある表情だ。

 ゴーシュが、スッと両手を正面にかざす。真剣な眼差しで両手の先を見つめている。

 何やらブツブツと喋りだした…これはいわゆる「呪文」だろうか?ここからではなんと言ってるのかは聞き取れないが…

 すると次の瞬間、俺たちの中に衝撃が走った。
 ゴーシュのかざした手のひらに空気のゆらぎが生まれ、すぐに野球の硬式ボール程度の、オレンジ色の火の玉が、風船が膨らむように現れ…
 そしてその火球が、まさに剛速球というようなスピードで志波に発射された!

 当たる____!!

 俺は思わず目を閉じそうになったが、志波は構えたポーズのまま火球を待ち構え___
 瞬間、志波が左拳で目にも止まらぬパンチを放った!
 ビュッという空を切る音とともに、パンチが火球を。次の瞬間、火球は水風船が破裂するかのようにて無くなった。

 あの打ち方…ジャブだ。それにしてもなんという速さだろうか。プロの試合で繰り出されるような直線的でコンパクト、とにかく無駄がない一打だった。


 ……ていうか。

 火…消えたんですけど……


 は?


 衝撃が強すぎて内田の反応を見もしなかった。多分今俺は目が点に…それこそギャグ漫画のような目をしているだろう。


 まるでケーキに乗ったロウソクの火を吹き消すときのように、一瞬揺らいでたちまち消えた。

 しかし撃ち出された火球はロウソクの灯火などとは段違いの大きさとエネルギーを持っているはずだ。こんなものが風圧で消えるはずがない…


 世にも不思議なものを見たもんだという思いで、志波の左手をただ呆然と見つめる……と、彼の拳になにか輝くものがあった。

 彼は指ぬきグローブをしていた。
 黒い生地の上に金属製のアクセサリーが拳の第3関節(最も骨が大きい)を中心にして覆うようにちりばめられている。


 リタローさんの話なんてほぼ理解出来ていなかったが、もしかするとあれが___



「察しが速いな、あれが反魔法物質の力だ」


 サカキさんは俺の考えていることを把握しているようだ。ちょっとむず痒さを感じる…


「…こんなものがあったとして、そう簡単に突っ込んで行けるものでもないがな」


足元に影が生まれた。雲の流れのせいだろうか。


「これを使って何と戦うってんですか」

そう言おうと口を開く前に、

……ん?

雲で


後ろに誰か……いないよな。

ただ、なにか気配が…する、 !

突然、誰かにガッっと肩を掴まれた。

うぉっ! と思わず声が出る。力が強い。何だ?


すると突然、フワッ、と体の重心が動かされている奇妙な感覚に陥った。


つま先が___離れていく。

反射的にパッと隣を見遣る。異変に気付いたサカキさんの瞳がスローモーション見開かれていく。

なんと言えばいいのか、まさに世界がスロー再生になったようだ。俺の体も一瞬硬直している…


瞬間、周りの景色が残像を引いて落ちていった!!


浮いて___

違う!飛んでる???!?!


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