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日常の変化

13.

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「あたたたた」
一昨日散々犯された後遺症でまだ腰と股関節が痛い。
部長が全然離してくれないから…
文句を言おうにも本人は今日から出張だ。京都に3週間、大型案件だと言っていたが部長なら難なく交渉成立してくるだろう。俺は俺に出来る事をするだけ。

「小倉さん腰痛いんですか?」
恭子ちゃんが心配して声を掛けてくれた。

「んーちょっと痛めたみたい」
「えー小倉さん体力なさそうだし気をつけて下さいね?」
「おい、それ貶してるだろ」
ジトっと見つめるとアハっと笑われた。まだ幼さの残る彼女だがその笑顔は可愛らしかった。
心配してんだか揶揄ってるんだか…

「そう言えば今日から部長出張ですね」
「そうみたいだね」
「知ってます?羽柴部長と一緒らしいですよ、うちの部長」
「え?羽柴部長?」
羽柴部長と言えばモデル並みにスタイルが良く顔も綺麗系で仕事もでき、社内からの人望も厚い女性の部長だ。

「あの2人怪しいですよね~。大学も一緒だったらしいですし」
「大学も一緒…」
長谷川部長と羽柴部長の仲が良くお似合いだと言う噂は社内では承知の事実なわけで、俺も知っていた。でも大学も一緒というのは初耳だ。

「噂では元恋人だったとか」
「恋人!?」
「っ!?びっくりした~。小倉さん急にどうしたんですか?」
俺の大声に大きく体を揺らした恭子ちゃんが驚いた様子で声を掛けてくれる。
「いや…なんでもない…」
その後の仕事は何故か集中できなかった。





その週の週末。いつもなら誰かと飲みに行く所だが全然そんな気になれず大人しく家へと帰って撮り溜めしていた番組をぼぉっと流し見する。頭には全然入って来なかったが時間は過ぎていた様で時計が22時過ぎを指していた。

「っ」
俺の携帯に着信が入った。表示を見て息を呑む。震える手でゆっくりと電話を耳に当てた。

「はい。小倉です」
『湊、夜遅くに悪い。今大丈夫か?』
数日ぶりに聞いた部長の声に懐かしさを感じる。

「大丈夫です…」
『どうした?元気ないな?何かあったのか?』
少し会話しただけで俺の変化に気づかれてしまった。

「ーーーー何もありませんよ。それより、部長はどうなんですか?」
『湊…今はプライベートだ』
「あ、すいません」
また部長と言ってしまった。遂呼び慣れてしまった呼び方で呼んでしまう。

『大丈夫か?仕事で疲れたのか?』
どこまでも俺の心配をしてくる部長に何故か泣きそうになってしまった。

「っ…少し仕事で疲れてしまった様です。気にしないで下さい」
『気にしない訳ないだろ?何かあったら…嫌何かなくても連絡しろよ?』
「ぷっ…それ命令ですか?」
『ん?あぁ、命令だ』
何て横暴なんだろう。でも、それが嫌じゃない自分がいる。

その後はたわいも無い話をし電話を切った。家に帰って来た当初の憂鬱な気分はどこかにいき今はどこか晴れやかな気分になっていた。

そのまま布団に入るとあっという間に瞼が落ちすぐに意識を失った。
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