甘い夢を見ていたい

春子

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東海岸 〜束の間の安息2〜

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昼休憩の為に、町の小さなレストランに入る。勿論、ガッツリ、変装中。
地域性なのが、ちょっと濃い目の味のバーガー。
アボガド入りのボリュームがある。
コーラを飲む。
「ちょっと味濃くね?」
「え?美味しいよ。この肉汁堪らない。A 国来たら、バーガーって位、本場じゃん。」
「俺も好きだわ。うまっ。」 
「脂っこい。」
しかめ面のエディは、コーラをゴクゴク。
「おねえさん。追加いい?エビのサラダ。」
口をさっぱりしたい。ウェーターは、追加注文をオーダーしに行く。
「ナオは気持ちいいほど、よく食べるね。見てて気持ちいいわ。」
ケチャップについたフライドポテトを咀嚼しながら、言う。
若者だけど、こんなに食べれるかって言うほどに感じない。しかもエディの残したバーガーを平らげてる。
「コイツ、よく食うんだよ。前に飯行った時に、CROPSのステーキ300食べてるし、付け合せのマッシュは大盛り。しかもパンまでおかわり。」
「へー。」
反対にエディは、エビのサラダをうさぎかと言うほど、食べてる。草食動物。
「まあ、食べれないよりはいいんじゃない?」
携帯が鳴る。ジェイの携帯だ。
画面を確認した彼は、一瞬、顔が強ばる。
「最悪なタイミングで掛けてきたね。あのヒステリー坊っちゃん。」
ジェイの表情で何となく、わかった。
「ヒステリー坊っちゃん?」 
ジェイが立ち上がり、会話しに外に向かう。
「T系マフィアのフー一族の六男。しきみ。男なんだけど、清楚系美人で、女性のように見えるけど、れっきとした男。物言わないおとなしい性格だと思ったら、痛い目にあうよ。ヒステリー持ちの癇癪が酷くて、アル中で、構ってちゃん。絶賛、ジェイに片思い中の拗れバカ。」
「そうなの?」
「ノーコメント。」
未だに忘れてない。あいつ、人に毒を盛りやがった。しかも遅効性で猛毒。
素直になれないくせに、ジェイに好意を表せない。だから、ジェイに近づく異性を片っ端から、攻撃してる。ヤンデレかよ。
「まあ、樒にバレてるなら、フー一族に今回の内情は、知れ渡ってるね。リチャード、動くと思う?」
「あいつは慎重で保守派だろ。警戒してる。静観してる方が得策だろうな。リッチが、いつ、自分のシマに侵入してくるか、わからねーからな。」
「まあ…。」
会話を終わらせてきたらしい彼は、ガッツリ、お疲れ。そっとレモンソーダを差し出す。
労るように。


まだまだ、距離はある。
夫婦が営んでいる小さなアパートメントタイプの宿に泊まる。
「部屋割は、エディとナオ。ジェイと如月さん。一人部屋貰うね。基本的に夜は外出禁止。当たり前だけど、ここ、セキュリティー、ガバガバだからね。まあ、油断はしないけどね。」
さてとと、そう言い、ぐるりと建物を回る。
こんな小さな田舎町に、邪魔になるような大きな建物はない。言い換えるなら、見渡しがいい。
穏やかな田舎町だ。





「エディは、マリカとどれくらい、一緒にいるの?」
タブレットを弄るエディは、目線をあげる。
「どれくらい経ったかな。3、4年?位。あいつを見た時、ダダ者じゃないってわかった。うまく擬態してたけど。何てゆーか、相手に警戒心を抱かせないように細心の注意を払ってたんだろうな。俺がウォルス・ミードの一員だってわかったら、無謀な話をしてきた。本気で抜けたいかってね。俺は、勿論と答えると、笑ったんだ。手を貸してやると。あの時のあいつは、すげえ、楽しそうだった。」
いまいち、信用できなかったが、一緒に行動する内に、そういった訓練を受けた訓練者であり、本気なのだとわかった。
「協力関係を結んでた。あいつは、薬とベラトナ・ゴールドスタインの抹消を第一に考えている。おぞましい研究結果たぜ。BD・DRが投与された奴がある日、逃走した。そして、俺の街に逃げ出してきた。まあ、何とか、倒せたんだが、最初はドラッグ類の中毒者かと思ったんだ。でもあいつが、似てるって言ったんだ。DK・DRの症状に。でも、DK・DRの薬や研究成果は、全部なくなったはずだと言って、調査に乗り出した。」
「そしたら、こうなったの?」
「ベラトナ・ゴールドスタインがウォルス・ミードに隠れてると確信したみたいだ。ベラトナ・ゴールドスタインは、若干、十五歳で、組織のラボで働いていた優秀な研究員。…だったらしい。そこでは、人に影響するウィルスやらギリギリの人体実験が数多く、行われていたらしい。悪魔の研究だとあいつは吐き捨てた。」
組織にいた半数以上は、頭が狂った科学者と破壊的意識が強い殺人鬼ばかりだったと言っていた。
「頭がいいヤツってのは、おかしい方向に行くの?って真顔で聞かれたわ。他に興味示せよと言ってた。お前も知的好奇心を募らせて、世界征服とか宣うことしないでよってさ。言うかつーの。」
エディのIQは少なくとも200。先天的な要素が強く、突出した才能まである。
「組織連中の大半が、知的好奇心を募らせて、倫理を壊した化け物だったって、言ってた。ベラトナ・ゴールドスタインなんて、その代表格だったって殺気を漏らしてた。」
「良い事に使えばいいのに。」
「まあ、それが出来たら、こうなってない。」
世界征服を宣う連中ほど、ロクな連中じゃないと、唾棄したようなあの態度に、確かにと頷く。
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