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第一章
説教
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魔法省、地下の執務室。
壁際には魔導書がぎっしり並び、無機質な机の上には整然と書類の束。
その中央、リュウは正座していた。
---
「……で? なぜ、あの箱を、私の机に置いたのですか?」
クロエの声は、静かだった。
静かだからこそ、余計に怖い。
「……いや、こう……キラキラしてたし? 豪華だったし? クロエさん、いつも無表情だし……あ、いやその、ご褒美? 的な……」
「そうですか。では、次に爆発物を拾ったら、私の部屋に直接投げ込んでください」
「ごめんなさいホントすみません!!」
---
クロエは手元のペンを“ピタッ”と置き、リュウを真っ直ぐに見た。
「……正直、あなたのせいでここ数日、三人の職員が失神しました」
「俺も失神したい……」
---
「しかしまあ……」
彼女はため息をつき、少しだけ表情を崩した。
冷たさの裏に、わずかな呆れと、困ったような微笑。
「本当に、あなたは予測不能ですね。魔力も、行動も、存在そのものも」
「……そ、それ褒めてます? 貶してます?」
「叱っています」
---
そのあと、1時間にわたる“リスク管理に関する座学講義”が始まった。
戦闘訓練より精神削られるという地獄パート。
---
その日の午後。
リュウはようやく解放され、王都の広場でパンを齧っていた。
「うわ~……講義怖かった……怒られるのって一番効くわ……」
近くのベンチには、ガルドとライガもいる。
二人とも、完全に笑いを堪えている。
「マジで魔法省、半壊だったからな」
「お前もう一回爆心地に送り返されるんじゃないかと思ったわ」
---
リュウはパンを齧りながら空を見上げる。
「でも、クロエさん……一応、俺のことはちゃんと“見てくれてる”んだよな。
冷たいけど……怒ってくれるって、悪い気しないというか……」
「ん?」
「いや、なんでもない」
---
王都の空は今日も高く、
リュウの異世界生活は、まだまだ波乱に満ちていた。
---
ある朝、リュウは真顔で宣言した。
「俺……武器持つわ」
「ん?」
「拳とか魔法とか、色々やってきたけど……もう……もうあんなグールの爆散、耐えられない」
「そりゃあの汁まみれ事件はトラウマになるよな……」
「だから俺、剣を持つ!!華麗に斬って、離れた場所から優雅に殺る!!」
「すでに“優雅”の字が似合わねぇ気がするけど……まぁ付き合ってやるよ」
---
というわけで。
王都の武器屋街。
鋼と火花の匂いが漂う、冒険者と職人の混ざる熱い通り。
---
「《ドラゴンスレイヤー工房》……名前からして厨二!」
「だが、品質は折り紙付きだ」
ガルドが通い慣れた様子で店に入ると、
中には筋骨隆々な店主と、ずらりと並ぶ剣・槍・斧・槌・ナイフたち。
---
「うわっ、全部かっけぇ……」
「初心者には軽いショートソードからがオススメだぞ」
ガルドが無難な一本を手に取って渡してくる。
リュウが構えてみる。
「……うーん、なんか……物足りねぇ……」
---
そして――
彼の視線が、**奥の壁にかけられた“とんでもない代物”**に吸い寄せられた。
全長はリュウの身長より長く、幅はほぼ盾。
刃は分厚く、光を反射して鈍く赤黒く輝く。
どう見ても「剣」というより「鉄塊」。
---
「なにあれ」
「あー……あれか。未完成品の試作型。素材はドラゴン鋼と魔石結晶合金、重さはおそらく150キロ以上ある。普通の人間じゃ持ち上げることもできねぇ」
「俺、それがいい」
「早いなッ!!」
---
「無理だ坊主。飾りだ飾り。普通の人間じゃ持ち上げ――」
ギィ……
リュウがそれを片手で持ち上げた瞬間、
店内が静止した。
---
店主、無言。
ガルド、絶句。
周囲の客、口が開いたまま閉じない。
「……すげぇ……」「持ったぞ、あれ」「150って……マジか……」
---
リュウは剣を肩に担ぎ、ニッと笑う。
「これなら爆散せずに倒せる。たぶん。きっと。……願望」
「いやそれ、相手が真っ二つ通り越して四散するやつだろ」
---
こうして、リュウは爆散回避のために、別の破壊神みたいな剣を手に入れた。
---
朝の王都、商業通り。
そこに、ひときわ異質な存在がいた。
――背丈以上のバカみたいにでかい剣を背負った青年。
全長2メートル近く、幅も厚みも非常識。
それを軽々と担いで歩く男。
---
「ねえママー、あれ何持ってるの……?」
「見ちゃいけません」
「やだ、目が合った!こっち見た!!」
「逃げるわよ、逃げるわよユリアちゃん!!」
---
近づく人間は誰もいない。
兵士に呼び止められること3回。
店主に「それ、通行証あります?」と問われること2回。
---
「……ちょっとぉ、オヤジ。普通に買い物してるだけなのに、俺だけモンスター扱いされてるんだけど」
「いや、原因は明確にその背中だろ」
---
そんな時だった。
通りの先から、悲鳴が上がった。
「きゃあああああ!!」「助けて!!誰か!!」
---
リュウとガルドが駆け寄ると、
馬車が横転し、複数の盗賊風の男たちが商人たちを囲んでいた。
「おい、金置いてけ! 女もだ! 生きて帰れると思うなよォ!」
典型的なクズ発言が響く。
---
「わかりやすい悪役来たー……」
「お前、今のうちに斬り味試してこい」
「え、俺? 剣デビュー戦これ?」
---
盗賊の一人が、こちらに気づいた。
「おい、なんだてめぇ……その剣……!?」
リュウは剣を背中からゆっくり引き抜いた。
ゴウン……ギリギリ……ガッ……!!
剣が引きずる金属音だけで、場が静まる。
---
「おいおい、バカか? そんなの振り回せるわけ――」
ヒュッ
リュウが軽く踏み込む。
そして、ゆっくり横薙ぎに振っただけ。
---
結果。
盗賊3人、吹き飛ぶ。
「ぎゃああああ!?」「骨!骨砕けた!!」「なにあれ!?なにが通ったの!?」
「……ちょっと軽く振っただけなのに……?」
---
リュウは手元の剣を見下ろす。
「うわ……なんかこれ、拳のほうがマシだったんじゃ……?」
---
周囲の兵士たちが駆けつけ、盗賊たちはその場で確保。
しかしリュウに向かって、兵士の一人が震えながら言った。
「そ、その武器……王都での使用は……あの……登録が……」
「ごめんなさい!すぐしまいます!!」
---
こうして、リュウの剣デビュー戦は一瞬で決着。
街中にまた新たな噂が生まれる。
「でかすぎる剣を担いで現れ、悪党を一薙ぎする謎の青年」
---
リュウが街中で盗賊を吹き飛ばして数日。
背中に巨大剣“リュウブレード”を担いだまま、鍛冶屋《ドラゴンスレイヤー工房》へ向かっていた。
---
「……うん。ちょっと切れ味が……良すぎる気がする」
「普通は“悪い”で悩むんだがな……」
店主は苦笑しながらも、リュウブレードを魔力炉にかけ、素材の状態を確認し始める。
---
「これ、ちゃんと魔剣として仕上げたら……国ひとつ壊せるぞ?」
「そ、そんなの仕上げないでください!!!」
---
剣のメンテを終えたリュウは、次に**魔道具店《ルミアの魔道具店》**へ。
目的はひとつ。
「服だ。服が欲しい……というか、もう限界」
---
最近の戦闘で、リュウの服はボロボロだった。
腹のあたりは焦げて破け、肩は裂け、袖口には乾いた血。
街中で子供が泣くレベルの見た目だった。
「マジで爆散より服が限界」
---
だが、魔道具店で彼を迎えたのは――
金髪で透き通るような青い目の女性店主。
年は二十代後半くらい。細身で端正な顔立ち。
静かに、本当に静かに、彼を見つめていた。
---
「……それ、あなたが着て来た服?」
「は、はい……ちょっと色々あって……」
「異世界から飛ばされてきて、グール爆散して、剣で人真っ二つにしてたらこうなりました」
「……ごめんなさい、何ひとつわかりませんでした」
---
女性の名は、エルヴィナ・ロスティア。
元王室直属の魔道具技師で、現在は一線を退いて個人店を営んでいるという。
---
「あなたみたいな規格外には……普通の布じゃ持たないわね」
「ちょっと待ってて」
そう言うと、彼女は奥の工房へ入り、数分後――
出てきたのは、黒地に金のラインが走る、光を吸い込むようなコートだった。
---
「これ、“反魔力繊維”と“竜皮”を複合した試作品。軽くて丈夫、耐熱・耐刃・耐呪い。あと、動いても破れにくい。爆発にも耐えられるかも」
「それ、俺のためにあったような服なんですけど!?」
「……ある意味、運命ね」
---
そして、リュウがそれを試着して鏡の前に立った瞬間。
完全に主人公っぽいオーラが出た。
「おおおお……!俺、主人公っぽいぞ……!?」
「……あなた、ずっと主人公みたいな行動してるわよ」
---
かくして、リュウは念願の“まともな服”を手に入れた。
が、次の瞬間――
「代金は金貨25枚よ」
「たっっか!!!」
---
「支払い、明日とかじゃダメですよね……?」
「利子がつくけど?」
「無理ですごめんなさい!!何か働きます!!」
---
そうして決まったのが、
エルヴィナが以前から目をつけていた**“黒焦げトカゲの魔石”採取依頼**。
特殊な性質を持つその魔石は、魔道具の中核に使えるが――
とにかく凶暴。しかも群れる。しかもすばしっこい。
---
「君の剣があれば、少しは楽になると思って」
「……俺、素材集めってほのぼの系かと思ってた……」
「この世界はだいたい命がけよ」
---
ガルドは今回はお留守番。
ライガは別任務中。
リュウとエルヴィナ、初の二人旅が始まる。
---
郊外・火山地帯の洞穴付近
地面は乾いた火山灰で覆われ、空気に焦げた鉄の匂い。
そして、岩の隙間から、黒くぬめるトカゲの群れがうごめいていた。
---
「見た目はアレだけど、魔石は一級品」
「やだ……グールよりちょっとマシくらいだこれ……」
---
トカゲたちが気づいた瞬間、群れで突っ込んでくる!
リュウ、咄嗟に剣を振る!
ドガアァアアン!!
地面がえぐれ、半数が煙と化す。
---
エルヴィナが唖然。
「……あれ、素材残らないでしょ」
「加減してるつもりなんですけど!?」
---
後衛で魔道具を操るエルヴィナは、
浮遊式の魔法トラップを展開、残ったトカゲを誘導しながら、魔石だけをピンポイントで回収する。
冷静で効率的。だが危険を恐れず、前に出る。
---
リュウは気づく。
「この人……戦えないわけじゃないんだ。むしろ、冷静すぎる……」
---
その時、不意に天井を突き破って落ちてきたのは、
黒焦げトカゲ・変異種。サイズは倍以上、目が赤黒く光る。
---
「下がってください!!」
「私の魔具じゃ、止めきれない……ッ!」
間に合わない――
その瞬間。
リュウは一歩踏み出し、剣を逆手に振り下ろす!
---
ゴシャアアッ!!
変異種の上半身が粉々になり、洞窟の壁が揺れる。
---
静寂。
エルヴィナの頬に、赤黒い飛沫がついた。
---
「……あ」
「す、すみませんっ!また飛び散っ……」
「……ふふっ」
---
エルヴィナが、初めて笑った。
---
「今度は、上手に加減したわね」
「マジですか!? よっしゃあ!!」
---
こうして、素材採取は無事完了。
帰り道、夕暮れの王都へ向かいながら、二人は少しだけ並んで歩いた。
---
「……あなた、本当に規格外。でも、不思議と安心感がある」
「え……あ、あの、もしかして惚れ──」
「でも次、魔石吹き飛ばしたら代金上乗せするから」
「ですよねぇぇぇぇ!!!」
---
壁際には魔導書がぎっしり並び、無機質な机の上には整然と書類の束。
その中央、リュウは正座していた。
---
「……で? なぜ、あの箱を、私の机に置いたのですか?」
クロエの声は、静かだった。
静かだからこそ、余計に怖い。
「……いや、こう……キラキラしてたし? 豪華だったし? クロエさん、いつも無表情だし……あ、いやその、ご褒美? 的な……」
「そうですか。では、次に爆発物を拾ったら、私の部屋に直接投げ込んでください」
「ごめんなさいホントすみません!!」
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クロエは手元のペンを“ピタッ”と置き、リュウを真っ直ぐに見た。
「……正直、あなたのせいでここ数日、三人の職員が失神しました」
「俺も失神したい……」
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「しかしまあ……」
彼女はため息をつき、少しだけ表情を崩した。
冷たさの裏に、わずかな呆れと、困ったような微笑。
「本当に、あなたは予測不能ですね。魔力も、行動も、存在そのものも」
「……そ、それ褒めてます? 貶してます?」
「叱っています」
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そのあと、1時間にわたる“リスク管理に関する座学講義”が始まった。
戦闘訓練より精神削られるという地獄パート。
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その日の午後。
リュウはようやく解放され、王都の広場でパンを齧っていた。
「うわ~……講義怖かった……怒られるのって一番効くわ……」
近くのベンチには、ガルドとライガもいる。
二人とも、完全に笑いを堪えている。
「マジで魔法省、半壊だったからな」
「お前もう一回爆心地に送り返されるんじゃないかと思ったわ」
---
リュウはパンを齧りながら空を見上げる。
「でも、クロエさん……一応、俺のことはちゃんと“見てくれてる”んだよな。
冷たいけど……怒ってくれるって、悪い気しないというか……」
「ん?」
「いや、なんでもない」
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王都の空は今日も高く、
リュウの異世界生活は、まだまだ波乱に満ちていた。
---
ある朝、リュウは真顔で宣言した。
「俺……武器持つわ」
「ん?」
「拳とか魔法とか、色々やってきたけど……もう……もうあんなグールの爆散、耐えられない」
「そりゃあの汁まみれ事件はトラウマになるよな……」
「だから俺、剣を持つ!!華麗に斬って、離れた場所から優雅に殺る!!」
「すでに“優雅”の字が似合わねぇ気がするけど……まぁ付き合ってやるよ」
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というわけで。
王都の武器屋街。
鋼と火花の匂いが漂う、冒険者と職人の混ざる熱い通り。
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「《ドラゴンスレイヤー工房》……名前からして厨二!」
「だが、品質は折り紙付きだ」
ガルドが通い慣れた様子で店に入ると、
中には筋骨隆々な店主と、ずらりと並ぶ剣・槍・斧・槌・ナイフたち。
---
「うわっ、全部かっけぇ……」
「初心者には軽いショートソードからがオススメだぞ」
ガルドが無難な一本を手に取って渡してくる。
リュウが構えてみる。
「……うーん、なんか……物足りねぇ……」
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そして――
彼の視線が、**奥の壁にかけられた“とんでもない代物”**に吸い寄せられた。
全長はリュウの身長より長く、幅はほぼ盾。
刃は分厚く、光を反射して鈍く赤黒く輝く。
どう見ても「剣」というより「鉄塊」。
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「なにあれ」
「あー……あれか。未完成品の試作型。素材はドラゴン鋼と魔石結晶合金、重さはおそらく150キロ以上ある。普通の人間じゃ持ち上げることもできねぇ」
「俺、それがいい」
「早いなッ!!」
---
「無理だ坊主。飾りだ飾り。普通の人間じゃ持ち上げ――」
ギィ……
リュウがそれを片手で持ち上げた瞬間、
店内が静止した。
---
店主、無言。
ガルド、絶句。
周囲の客、口が開いたまま閉じない。
「……すげぇ……」「持ったぞ、あれ」「150って……マジか……」
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リュウは剣を肩に担ぎ、ニッと笑う。
「これなら爆散せずに倒せる。たぶん。きっと。……願望」
「いやそれ、相手が真っ二つ通り越して四散するやつだろ」
---
こうして、リュウは爆散回避のために、別の破壊神みたいな剣を手に入れた。
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朝の王都、商業通り。
そこに、ひときわ異質な存在がいた。
――背丈以上のバカみたいにでかい剣を背負った青年。
全長2メートル近く、幅も厚みも非常識。
それを軽々と担いで歩く男。
---
「ねえママー、あれ何持ってるの……?」
「見ちゃいけません」
「やだ、目が合った!こっち見た!!」
「逃げるわよ、逃げるわよユリアちゃん!!」
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近づく人間は誰もいない。
兵士に呼び止められること3回。
店主に「それ、通行証あります?」と問われること2回。
---
「……ちょっとぉ、オヤジ。普通に買い物してるだけなのに、俺だけモンスター扱いされてるんだけど」
「いや、原因は明確にその背中だろ」
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そんな時だった。
通りの先から、悲鳴が上がった。
「きゃあああああ!!」「助けて!!誰か!!」
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リュウとガルドが駆け寄ると、
馬車が横転し、複数の盗賊風の男たちが商人たちを囲んでいた。
「おい、金置いてけ! 女もだ! 生きて帰れると思うなよォ!」
典型的なクズ発言が響く。
---
「わかりやすい悪役来たー……」
「お前、今のうちに斬り味試してこい」
「え、俺? 剣デビュー戦これ?」
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盗賊の一人が、こちらに気づいた。
「おい、なんだてめぇ……その剣……!?」
リュウは剣を背中からゆっくり引き抜いた。
ゴウン……ギリギリ……ガッ……!!
剣が引きずる金属音だけで、場が静まる。
---
「おいおい、バカか? そんなの振り回せるわけ――」
ヒュッ
リュウが軽く踏み込む。
そして、ゆっくり横薙ぎに振っただけ。
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結果。
盗賊3人、吹き飛ぶ。
「ぎゃああああ!?」「骨!骨砕けた!!」「なにあれ!?なにが通ったの!?」
「……ちょっと軽く振っただけなのに……?」
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リュウは手元の剣を見下ろす。
「うわ……なんかこれ、拳のほうがマシだったんじゃ……?」
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周囲の兵士たちが駆けつけ、盗賊たちはその場で確保。
しかしリュウに向かって、兵士の一人が震えながら言った。
「そ、その武器……王都での使用は……あの……登録が……」
「ごめんなさい!すぐしまいます!!」
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こうして、リュウの剣デビュー戦は一瞬で決着。
街中にまた新たな噂が生まれる。
「でかすぎる剣を担いで現れ、悪党を一薙ぎする謎の青年」
---
リュウが街中で盗賊を吹き飛ばして数日。
背中に巨大剣“リュウブレード”を担いだまま、鍛冶屋《ドラゴンスレイヤー工房》へ向かっていた。
---
「……うん。ちょっと切れ味が……良すぎる気がする」
「普通は“悪い”で悩むんだがな……」
店主は苦笑しながらも、リュウブレードを魔力炉にかけ、素材の状態を確認し始める。
---
「これ、ちゃんと魔剣として仕上げたら……国ひとつ壊せるぞ?」
「そ、そんなの仕上げないでください!!!」
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剣のメンテを終えたリュウは、次に**魔道具店《ルミアの魔道具店》**へ。
目的はひとつ。
「服だ。服が欲しい……というか、もう限界」
---
最近の戦闘で、リュウの服はボロボロだった。
腹のあたりは焦げて破け、肩は裂け、袖口には乾いた血。
街中で子供が泣くレベルの見た目だった。
「マジで爆散より服が限界」
---
だが、魔道具店で彼を迎えたのは――
金髪で透き通るような青い目の女性店主。
年は二十代後半くらい。細身で端正な顔立ち。
静かに、本当に静かに、彼を見つめていた。
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「……それ、あなたが着て来た服?」
「は、はい……ちょっと色々あって……」
「異世界から飛ばされてきて、グール爆散して、剣で人真っ二つにしてたらこうなりました」
「……ごめんなさい、何ひとつわかりませんでした」
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女性の名は、エルヴィナ・ロスティア。
元王室直属の魔道具技師で、現在は一線を退いて個人店を営んでいるという。
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「あなたみたいな規格外には……普通の布じゃ持たないわね」
「ちょっと待ってて」
そう言うと、彼女は奥の工房へ入り、数分後――
出てきたのは、黒地に金のラインが走る、光を吸い込むようなコートだった。
---
「これ、“反魔力繊維”と“竜皮”を複合した試作品。軽くて丈夫、耐熱・耐刃・耐呪い。あと、動いても破れにくい。爆発にも耐えられるかも」
「それ、俺のためにあったような服なんですけど!?」
「……ある意味、運命ね」
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そして、リュウがそれを試着して鏡の前に立った瞬間。
完全に主人公っぽいオーラが出た。
「おおおお……!俺、主人公っぽいぞ……!?」
「……あなた、ずっと主人公みたいな行動してるわよ」
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かくして、リュウは念願の“まともな服”を手に入れた。
が、次の瞬間――
「代金は金貨25枚よ」
「たっっか!!!」
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「支払い、明日とかじゃダメですよね……?」
「利子がつくけど?」
「無理ですごめんなさい!!何か働きます!!」
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そうして決まったのが、
エルヴィナが以前から目をつけていた**“黒焦げトカゲの魔石”採取依頼**。
特殊な性質を持つその魔石は、魔道具の中核に使えるが――
とにかく凶暴。しかも群れる。しかもすばしっこい。
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ガルドは今回はお留守番。
ライガは別任務中。
リュウとエルヴィナ、初の二人旅が始まる。
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郊外・火山地帯の洞穴付近
地面は乾いた火山灰で覆われ、空気に焦げた鉄の匂い。
そして、岩の隙間から、黒くぬめるトカゲの群れがうごめいていた。
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「やだ……グールよりちょっとマシくらいだこれ……」
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トカゲたちが気づいた瞬間、群れで突っ込んでくる!
リュウ、咄嗟に剣を振る!
ドガアァアアン!!
地面がえぐれ、半数が煙と化す。
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エルヴィナが唖然。
「……あれ、素材残らないでしょ」
「加減してるつもりなんですけど!?」
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後衛で魔道具を操るエルヴィナは、
浮遊式の魔法トラップを展開、残ったトカゲを誘導しながら、魔石だけをピンポイントで回収する。
冷静で効率的。だが危険を恐れず、前に出る。
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リュウは気づく。
「この人……戦えないわけじゃないんだ。むしろ、冷静すぎる……」
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その時、不意に天井を突き破って落ちてきたのは、
黒焦げトカゲ・変異種。サイズは倍以上、目が赤黒く光る。
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「下がってください!!」
「私の魔具じゃ、止めきれない……ッ!」
間に合わない――
その瞬間。
リュウは一歩踏み出し、剣を逆手に振り下ろす!
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ゴシャアアッ!!
変異種の上半身が粉々になり、洞窟の壁が揺れる。
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静寂。
エルヴィナの頬に、赤黒い飛沫がついた。
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「……あ」
「す、すみませんっ!また飛び散っ……」
「……ふふっ」
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エルヴィナが、初めて笑った。
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「今度は、上手に加減したわね」
「マジですか!? よっしゃあ!!」
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こうして、素材採取は無事完了。
帰り道、夕暮れの王都へ向かいながら、二人は少しだけ並んで歩いた。
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「……あなた、本当に規格外。でも、不思議と安心感がある」
「え……あ、あの、もしかして惚れ──」
「でも次、魔石吹き飛ばしたら代金上乗せするから」
「ですよねぇぇぇぇ!!!」
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朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
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セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
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