異世界転移して最強のおっさん……の隣に住んでいる。

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第1章

適正とは…

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「よし、水魔法はひとまず合格だな」

 水魔法の訓練を終えた俺に、藤堂さんは新たな課題を与えてきた。

「次は土魔法だ。防御と攻撃、両方の基本を覚えろ」

「土魔法か……水魔法とはまた違った感じですね」

「その通り。水魔法は流れを意識して魔力をコントロールするが、土魔法は"地に根ざす力"を操る魔法だ。力強く、安定した制御が必要になる」

「なるほど……」

 俺は気を引き締め、藤堂さんの言葉に集中した。


---



「ところで、お前は知ってるか?」

「何をです?」

「魔法には"適正"があるってことだ」

「適正?」

「そうだ。人によって向き不向きがあって、魔法が得意な属性もあれば、逆にまったく扱えない属性もある」

 藤堂さんは指を立て、説明を続けた。

「例えば、炎魔法が得意なやつは、燃え上がるイメージを自然に思い描けるから上達が早い。逆に、水魔法は感覚が合わないと苦労する」

「なるほど……。じゃあ、俺はどの適正があるんです?」

「それは試してみるしかねぇな。土魔法が向いてるかどうか、お前の"感覚"で判断しろ」

「わかりました!」


「まずは、防御魔法の基本『アースシールド』だ」

 藤堂さんは地面に手をかざし、軽く魔力を込めた。

「アースシールド」

 ゴゴゴゴ……ッ!

 次の瞬間、地面がせり上がり、分厚い土の壁が俺の目の前に現れた。

「おおっ、すげぇ!」

「土魔法は、地面の魔力を引き出して"形を作る"のが基本だ。お前もやってみろ」

「よし……!」

 俺は手を地面に向け、魔力を込める。

(地面の力を引き出し、壁を作る……!)

「アースシールド!!」

 ゴゴゴゴ……ッ!!

 ……次の瞬間――

 ドゴォォォン!!

 俺の足元が爆発し、周囲の土が"巨大な岩壁"となってせり上がった。

「うおっ!? でかっ!!」

 俺の目の前には、藤堂さんの倍以上の高さの"土の壁"がそびえ立っていた。

「おいおい……お前、土魔法の適正高すぎだろ」

「えっ?」

「普通は、初回でこんなデカい壁は出せねぇ。土の魔力とめちゃくちゃ相性がいいみたいだな」

「……まじか」

 俺は驚いた。

(そんなに土魔法に向いてるのか……?)

 でも、すぐに違和感に気づく。

「藤堂さん、俺のアースシールド……ちょっと"デカすぎ"ません?」

「いや、"ちょっと"どころじゃねぇ。完全にオーバーパワーしてる」

 藤堂さんが苦笑いしながら、俺の作った巨大な土壁を見上げる。

「つまり、お前の問題は"威力"だな。魔力が強すぎて、普通のシールドを作るつもりが"要塞レベル"になってる」

「えぇ……」

 たしかに、このままじゃ実戦で使いづらい。

「制御を学べ。無駄に魔力を放出せず、"ちょうどいいサイズ"のシールドを作るんだ」

「……やってみます!」


---


「次は攻撃魔法だ。『ストーンバレット』を覚えろ」

「ストーンバレット?」

「小さな石を魔力で飛ばす魔法だ。シンプルだけど、スピードと硬度を調整すれば、弓矢以上の威力を出せる」

 藤堂さんは地面を指さし、軽く魔力を込める。

「ストーンバレット」

 ピシュンッ!!

 地面から数個の小石が舞い上がり、高速で飛び出し――木の幹に突き刺さった。

「おおっ……!」

「土魔法の強みは"弾数"だ。お前もやってみろ」

「よし……!」

 俺は地面に手をかざし、魔力を集中する。

(地面の石を持ち上げ、飛ばす……!)

「ストーンバレット!!」

 ゴゴゴゴッ!!

 次の瞬間――

 ドカァァン!!

 俺の手元から飛び出したのは……

 岩塊だった。

 しかも、めちゃくちゃデカい。

「おいおい!? それ"バレット"じゃなくて"ロックキャノン"じゃねぇか!!」

 藤堂さんが慌てる。

 俺が放ったのは、小石どころか"人の頭ほどの岩"で、それが木に激突して粉砕していた。

「ちょっ……こんなつもりじゃ……!」

 俺は思わず顔を覆う。

(また"威力が強すぎる"問題かよ……)

「……どうやら、お前は土魔法が得意すぎて、"普通の威力"に抑えるのが難しいみたいだな」

「ですよね……」

 水魔法は苦戦したのに、土魔法は妙に出力が強すぎる。
 これはもう、向いているとしか言いようがない。

「いいか、"土の魔力"は"安定"が命だ。お前は今、必要以上に魔力を流しすぎてる」

「じゃあ、どうすれば……?」

「力加減を学べ。ストーンバレットは、"小さな石"を意識して発動しろ」

「わかりました……もう一度!」


---


 それから、俺はひたすら"威力を抑える"訓練をした。

 ストーンバレットがデカすぎたり、アースシールドが要塞になったりしながらも、藤堂さんの指導を受けて"ちょうどいい威力"に調整していく。

「よし……今度こそ……」

「ストーンバレット!!」

 ピシュンッ!!

 今度は、小さな石が高速で飛び、木の幹に綺麗な穴を開けた。

「やった……!」

 ついに、俺は土魔法の"適切な制御"を手に入れたのだった。


---

【スキル獲得:土魔法Lv2】

「よし、次は風魔法だな。土とはまるで違う感覚だから、気を引き締めろよ」

「はい!」

 こうして、俺のさらなる魔法修行が続いていく――。

「さて、次は風魔法だ」

 土魔法の訓練を終え、俺は息を整える。
 土魔法は適性があったせいか、威力が出すぎる問題に苦しんだが、何とか制御を学ぶことができた。

 しかし、風魔法はまた違った難しさがあるらしい。

「風魔法は"形のない力"を操る魔法だ。お前が今まで使ってきた魔法とは、まったく別の感覚になるぞ」

「形のない力……?」

「風は自由自在に流れる。土みたいに"固める"力じゃなく、"動きを読む"力が必要だ」

「なるほど……」

 俺は目を閉じ、風を感じてみる。
 頬を撫でるそよ風、草を揺らす空気の流れ――確かに、これは水や土とは全く違う感覚だ。

「よし、まずは見本を見せてやる」

 藤堂さんは手を軽く振り、魔力を込める。

「ウィンドカッター」

 シュンッ!!

 見えない刃が空を切り裂き、遠くの木の幹に細い線が走る。
 次の瞬間――

 スパッ……!!

 木の枝が音もなく切り落とされた。

「……!」

「風魔法の基本は、この"ウィンドカッター"だ。風を圧縮し、高速で飛ばして斬る魔法。やってみろ」

「はい……!」



(風を圧縮し、高速で飛ばす……)

 俺は手を前にかざし、魔力を込める。

「ウィンドカッター!!」

 ボフッ!!

 ……何も起こらなかった。

「……あれ?」

 俺は自分の手のひらを見つめるが、何も出ていない。

「まぁ、そう簡単にはいかねぇわな」

「水も土も、多少は手応えがあったのに……」

「だから言っただろ。"形のない力"を扱うのは難しいって」

 藤堂さんは腕を組んで俺を見下ろした。

「お前、水魔法は"流れ"、土魔法は"安定"を意識したよな?」

「はい」

「風魔法はな……"流れを読む"ことが大事なんだ」

「流れを……読む?」

「そうだ。水みたいに流すんじゃなく、"風がどこに向かっているか"を感じ、その流れを増幅させる。力技で押し出そうとしても、風はうまく動いてくれねぇ」

「なるほど……」

 俺は再び目を閉じ、風を感じようとする。

 頬を撫でるそよ風、木々の間を通り抜ける空気の流れ――

(……風は"押し出す"ものじゃない。"乗る"ものだ)

 そう考えた瞬間、俺の中で何かが繋がった。

「……もう一度!」


 俺は手のひらに魔力を込める。

(風の流れに乗せて、形を作る……そして、"切る"イメージを強く持つ!)

「ウィンドカッター!!」

 シュンッ!!

 今度は、かすかに空気が震えた。
 そして、俺の視界の端で――

 パサッ……

 遠くの草が一本だけ切れて、静かに地面へ落ちた。

「……!!」

「ははっ、やっと出たな!」

「おおっ……! できた……!」

 最初は小さな一歩だが、確かに"風を切る力"を感じた。

「まだ威力は足りねぇが、いい感じだな。今度は、もっと鋭く圧縮しろ」

「やってみます!」


---


 そこから俺は、ひたすら風を切る練習を続けた。

 最初は弱々しかった風の刃も、次第に力を増し、遠くの枝を切れるようになった。
 そして――

「ウィンドカッター!!」

 シュンッ!!

 見えない刃が空を裂き、木の幹に深い傷を刻んだ。

「よし、やっと実戦レベルになったな」

「やった……!」

 俺は拳を握りしめる。


---



「お前、もう土魔法と水魔法も使えるよな?」

「はい」

「だったら、"魔法の連携"を考えてみろ」

「連携……?」

「例えば、土魔法のストーンバレットに風を乗せれば、弾速が上がる。風で水を操れば、ウォーターボルトの軌道を変えることもできる」

「なるほど……!」

 俺は興奮しながら、さっそく試してみた。

「ストーンバレット!!」

 地面から小石を浮かせ、風魔法を合わせる。

「ウィンドブースト!!」

 シュンッ!!

 石が風をまとい、まるで銃弾のような速度で飛び出した!

 バシュッ!!

 木の幹に深く突き刺さる。

「おおっ!? これは……!」

「ははっ、やっと魔法を"活かす"段階に入ったな」

 藤堂さんが満足そうに頷く。

「今後は、魔法単体じゃなく、"どう組み合わせるか"も考えろ。そうすれば、さらに戦いの幅が広がる」

「わかりました!」

 俺は新たな可能性にワクワクしながら、風魔法の感触を確かめた。


---


【スキル獲得:風魔法Lv2】

「よし、魔法の基礎はひと通り終わったな」

「次は何をするんです?」

「……"実戦"だ」

 藤堂さんの目が鋭く光る。


 俺はごくりと唾を飲み込んだ。
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