異世界転移して最強のおっさん……の隣に住んでいる。

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第1章

いよいよダンジョン攻略へ――未知の戦場へ突入!

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「よし、準備は整ったな」

 藤堂さんが腕を回しながら言う。

「ユート、お前もとうとう"実戦"の場に出る時が来たぞ」

「ついに……!」

 俺は拳を握りしめる。
 これまでの3ヶ月間の訓練は、すべてこの日のためにあった。
 そして、俺はようやく戦場へ立つ準備ができたのだ。


---


「ところで、おじさん。この世界のダンジョンって、どんな感じなんですか?」

「ダンジョンってのはな、基本的には"魔力の溜まり場"だ。強い魔物がうごめく、天然の"魔物養成所"みたいなもんだな」

「魔物養成所……」

「ダンジョンには階層があって、深く進むほど強力な魔物が現れる。上の階層は初心者向けだが、下の方は"生きて帰れる保証はねぇ"」

「……怖いですね」

「だからこそ、お前には"実戦経験"が必要なんだよ」

「なるほど……確かに、今の俺がどこまで通用するか知りたいです」

「ふん、今のお前なら問題ねぇさ。実力はしっかりついてる。が、油断はするなよ?」

「はい!」


---

「まずは、近くの"中級ダンジョン"へ向かうぞ」

 藤堂さんは転移魔法を使い、俺たちは一瞬でダンジョンの入口へと到着した。

ゴゴゴゴ……

 目の前には、巨大な岩の裂け目のような入り口がぽっかりと開いている。
 そこからは、ひんやりとした冷気と、不気味な魔力が流れ出していた。

「……これが、ダンジョン……」

「ビビってる暇はねぇぞ。いくぞ!」

「はい!」

 俺は深呼吸し、意を決してダンジョンの中へと足を踏み入れた――。


---


「さて、ここから先は魔物がうじゃうじゃいるぞ」

 藤堂さんが周囲を見渡しながら言う。

「ユート、まずはお前一人で戦え」

「……いきなりですか?」

「当然だ。今まで修行で学んだことを、実戦で試すんだ」

「……わかりました!」

 俺は魔力を集中し、いつでも魔法を撃てる状態にする。


---

ガサッ……!

 物音がした。

「来るぞ」

 俺が身構えると、茂みの中から現れたのは――

ゴブリン×3体!

 背丈は小さく、緑色の肌をしたクリーチャーたち。
 だが、その目には明確な敵意と殺意が宿っていた。

が…………

……パシュッ

あらま……


「さて、ユート。今の戦闘、どうだった?」

「……楽勝すぎて、正直、拍子抜けしました」

 俺は倒れたゴブリンの死体を見ながら、苦笑する。
 まるでゲームの"レベル1の雑魚狩り"をしている気分だった。

「だろうな。お前のレベルは563だ。ゴブリンなんざ、息を吹きかけるだけで死ぬレベル差だ」

「いや、そんなレベル差を実感するとは思いませんでしたよ……」

「まぁな。でも、お前は"ちゃんと戦いたい"んだろ?」

「……はい。実戦経験がほしくてダンジョンに来たのに、これじゃ何も得られません」

 俺は拳を握りしめる。

「だったら、いいモンをやる」

 藤堂さんはポケットから、黒く鈍く輝く指輪を取り出した。

「……指輪?」

「**魔力制限の指輪(呪)**だ」

「魔力出力制限……?」

「これをつけると、お前の魔力出力が強制的に1/10になる」

「おお、いいですね!」

「ただし……こいつは呪いの指輪だからな。一度つけたら、外せねぇ」

「え?」

「普通のやつなら、一生外せないぞ」

「えぇぇぇ……」

 いきなり、めちゃくちゃ厄介なアイテムが出てきた。


---

魔力出力制限の指輪(呪)

装着すると魔力出力が強制的に1/10になる

呪いがかかっているため、通常の方法では外せない

ただし、"レベル563の力技"なら引きちぎれる(指輪が壊れる)



---

「まぁ、もしどうしても外したくなったら、お前のレベルなら引きちぎれば壊せる」

「物理的に破壊できるんですか……」

「そりゃあな。レベル563のパワーを舐めるなよ?」

 確かに、普通の冒険者なら一生外せない呪いの指輪でも、俺のステータスなら物理で壊せるという理不尽さがある。

「それなら安心ですね」

「じゃあ、つけてみろ」

 俺は藤堂さんから指輪を受け取り、そっと指にはめた。

ゾワッ……

 指輪をはめた瞬間、全身に冷たい魔力が広がる。

「……っ! すげぇ……魔力の流れが一気に鈍くなった!」

 まるで体が重くなったような感覚。
 魔力を練ろうとすると、普段の10分の1しか扱えない。

「これなら、ちゃんとした"実戦経験"が積めそうです!」

「よし、じゃあ、もう少し奥へ進むぞ」

「はい!」


---

 俺は魔力を制限された状態で、慎重に戦うことを求められることになった。

「さぁ、本当の"実戦"の時間だ――!」

 俺は意識を切り替え、本当の戦闘経験を積むために、次の敵との戦いへと向かうのだった。

ゴゴゴ……

 ダンジョンの奥へと進むにつれ、空気がさらに冷たく、重たくなっていく。
 先ほどのゴブリン戦は、まるでゲームのチュートリアルのように終わった。
 だが、今の俺は違う。

 魔力出力制限の指輪(呪)を装着し、魔力出力が1/10に抑えられた状態で、ようやく"本当の戦闘"が始まる。


---

「よし、来るぞ」

 藤堂さんが静かに呟く。

 俺も気配を感じ、すぐに構えを取る。

ギャアアア!!

 前方の暗闇から、鋭い爪を持った魔物が飛び出してきた。


---

ファングウルフ × 3 体 出現!

 ――灰色の体毛に、鋭い牙と爪。
 大きさは大型犬ほどだが、目つきが明らかに"狩る者"のそれだった。

「おお、こいつはちょうどいいな。スピードも攻撃力も、さっきのゴブリンとは桁違いだぞ」

「……ですね」

 俺はごくりと唾を飲み込む。

 先ほどなら、一撃で片付けていたはず。
 しかし、今は魔力出力制限の指輪のせいで全力の10分の1の力しか使えない。

(つまり、雑に魔法を撃っても倒せない……か)

「さぁ、やってみな」

「……いきます!」


---


「まずは……"ストーンバレット!!"」

 土の弾丸を発射する。

 しかし、いつもの威力とは違い、出てきたのは拳大の小石。
 しかも、弾速が遅い。

「えっ……」

「ほら、考えろよ」

 藤堂さんが横で腕を組んでいる。

 目の前では、ファングウルフがすでに回避し、素早く距離を詰めてくる。

「っ……くそっ、"ウィンドカッター!!"」

 風の刃を発生させるが、威力が落ちすぎている。

(やべぇ……今までの感覚で魔法を撃つと、全然ダメだ!)

「攻撃を当てる以前に、"威力の調整"を考えろ!」

「わかってます!」

 俺はギリギリで後方に跳びのきながら、魔力を溜め直す。

(今の俺の魔力出力量は1/10……なら、"出力を上げる"にはどうするか?)

「……圧縮すればいいのか!」

 俺は魔力を可能な限り凝縮しながら、改めて魔法を放つ。

「"ストーンバレット!!"」

 さっきよりも明らかに小さい、しかし密度の高い石弾が発射される。

 ファングウルフが咆哮を上げながら前に飛び出した瞬間――

ゴシャッ!!

「ギャウッ!!?」

 高密度のストーンバレットが狼の額を打ち抜いた。
 一瞬、動きを止めたファングウルフが、そのまま地面に倒れ込む。

「……やった!」

「おお、いいじゃねぇか」

 藤堂さんが軽く頷く。

「単純な火力じゃなく、"魔力をどう使うか"を考えられるようになったな」

「……ですね!」

 俺は、制限された中での戦い方を理解し始めていた。


---

敵はまだいる!次は近接戦闘

「だが、残り2体が来るぞ!」

「……っ!」

 気づけば、他の2体のファングウルフが、すでに俺の両サイドに回り込んでいた。
 このスピード、今の俺の魔力では追いつけない。

(魔法だけじゃ対処しきれない!)

「なら……!」

 俺は腰に差していた剣を抜く。

シャキン!!

「接近戦だ!!」


---



 右側のファングウルフが爪を振るってきた。
 俺は反射的に剣を構え――

ガキィン!!

 爪と刃がぶつかる!

「くっ……強い!」

 さすがに、スピードと体重差で押される。
 しかし――

「"ウィンドブースト!!"」

 風魔法を足に込め、無理やり距離を取る!

「ほう、風魔法で"動きをサポート"か」

「ええ、遠距離じゃなく、接近戦の補助として使います!」

 俺は風魔法で足を強化しながら、素早く斬撃を繰り出す。

ザシュッ!!

 ファングウルフの喉元を切り裂いた。

「ギャインッ!!」

 致命傷にはならなかったが、動きが鈍る。
 その隙に、残る1体が飛びかかってくる。

「"ウォーターボルト!!"」

 低威力だが、顔面に直撃するように水弾を撃つ。

バシャッ!!

 水が目に入った狼が怯んだ瞬間――

「"ストーンバレット!!"」

 至近距離で放った土弾が、狼のこめかみに直撃。

 ゴシャッ!!

 そのまま崩れ落ちる。


---


「……倒した」

 俺は息を整えながら、剣を収める。

 さっきのゴブリン戦とは違う。
 圧倒的な力でねじ伏せたのではなく、"実際に頭を使って戦った"感覚がある。

「よし、じゃあ次だ。まだまだ先は長ぇぞ」

「……了解です!」

 俺は魔力出力制限下の戦闘に慣れるため、さらにダンジョンの奥へと進むのだった――。



「お疲れさん」

 藤堂さんが満足げに頷く。
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