異世界転移して最強のおっさん……の隣に住んでいる。

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第1章

ダンジョンの奥へ――ボス部屋の気配

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カツン、カツン……

 ダンジョンの奥へ進むにつれ、空気が変わった。
 湿った石壁、かすかに漂う魔力の流れ。

「……おじさん、なんか雰囲気変わりましたね」

「ああ、そろそろだな」

 藤堂さんが足を止め、前方を見据える。

「そろそろ……?」

「この奥にボス部屋がある」

「……ついに来たか」

 俺は唾を飲み込む。

 ボス部屋――ダンジョンの"最深部"に位置し、通常の魔物とは比べ物にならない強敵が待ち構えている場所。

「お前の実力なら問題ないと思うが、慎重にな」

「はい……!」


---

ボス部屋の前に到着

 奥へ進むと、目の前に巨大な石の扉が現れた。

 扉の表面には、古びた魔法陣の彫刻が施されている。
 かすかに光を放ち、俺たちの接近に反応するように振動している。

「おお、まさにボス部屋って感じですね」

「この手の扉は"開けた瞬間"から戦闘開始だ。準備はいいか?」

「……問題なしです!」

 俺は"風の短剣"を手にし、魔法の準備を整える。

 藤堂さんがニヤリと笑い、扉に手をかけた。

「じゃあ、行くぞ」


---

ボス部屋、突入!!

ゴゴゴゴゴ……!!

 重い石扉が開かれると同時に、目の前に広がるのは巨大な闘技場のような空間。

 天井は高く、壁にはいくつもの古びた鎖が垂れ下がっている。
 そして――

ドン……ドン……ドン……

 奥から、何かが"歩いてくる音"が響いた。

「来るぞ……!」

 俺は短剣を握りしめ、目を凝らす。



「……なにあれ」

 暗闇から姿を現したのは、全身を重厚な鎧で覆った巨体のオーガだった。

 身長は3メートル超、筋骨隆々の体躯。
 両手には巨大な鉄槌を握り、鋭い赤い目が俺たちを睨みつけている。

「"アーマードオーガ"か。厄介な相手だな」

「アーマードオーガ……?」

「オーガの上位種だ。通常のオーガよりも防御力が圧倒的に高い」

「つまり、"普通に攻撃してもダメージが通らない"ってことですね……?」

「そういうことだ」

ガァァァァァァッ!!

 オーガが雄叫びを上げた。

 その瞬間――

ドォォォン!!

 オーガが地面を踏み鳴らし、圧倒的な衝撃波が周囲に広がる!!

「うおっ……!」

 俺は咄嗟に跳躍して衝撃を避ける。

「よし、戦闘開始だ!!」



「まずは、魔法で牽制する!」

 俺は即座に魔力を練り上げ、魔法を放つ。

「"フレイムバースト!!"」

 圧縮した炎の弾丸を発射!!

ドォォン!!

 しかし――

ゴォンッ!!

「なっ……!?」

 炎がオーガの鎧に弾かれる!!

「やっぱり防御力が異常に高い……!」

「風魔法で"装甲の隙間"を狙え!」

「了解!」

 俺はすぐに魔法を切り替える。

「"エアブレード!!"」

 風の刃を発生させ、オーガの関節部分へと放つ!

シュパァァッ!!

「グゥゥゥ……!!」

 オーガが一瞬だけひるんだ。

「効いてる……!?」

「おう! だが、まだまだだ!」

ズシン……ズシン……!!

 オーガが体勢を立て直し、今度は俺に向かって突進してきた!!



「くそっ、速い……!!」

 3メートルの巨体からは想像もつかない速さで、オーガが鉄槌を振りかざす!!

「"ウィンドブースト!!"」

 俺は風魔法を発動し、咄嗟に横へ跳ぶ!!

ドォォォン!!

 鉄槌が地面にめり込み、石の床が粉々に砕け散る。

(あんなのまともに食らったら即死だろ……!!)

「避けるだけじゃダメだ。反撃しろ!」

「わかってます!」

 俺は"風の短剣"を抜き、魔力を込める。

「"エアブレード!!"」

 剣を振ると同時に、風の刃がオーガの膝を狙う!!

スパァァン!!

「ガァァァッ!!」

 オーガが片膝をついた!!

「今だ! "ハイドロスピア!!"」

 高圧縮した水の弾を、オーガの顔面に撃ち込む!!

ブシュウウウッ!!

「グギャァァァ!!」

 オーガが叫び、バランスを崩す。


「おじさん、決めます!」

「おう、やれ!!」

 俺は魔力を限界まで練り上げる。

「"ウィンドカッター" "ハイドロスピア" "ストーンバレット"!!」

 三種の魔法を同時に放つ!!

シュパァッ! ブシュウウ! ドシュッ!!

 オーガの関節部分に魔法が命中!!

「ガアアアアアッ!!!」

 オーガが断末魔の叫びを上げ、ついに――

ドシャァァァァン!!

 その巨体が崩れ落ちた。



「……倒した……!」

 俺は肩で息をしながら、倒れたオーガを見下ろす。

「よくやったな」

「はい……!」

 オーガの体から、巨大な魔石が取り出せた。

「でけぇ……!!」

「こいつはかなりの値打ちもんだぞ」

「やった……!!」

 俺は魔石を手にし、充実感を噛み締めるのだった――。

「……ふぅ」

 俺は大きく息を吐き、倒れたオーガの巨体を見下ろす。

「よくやったな」

 藤堂さんが満足げに頷く。

「いやー……マジで強かったです。でも、なんとか勝てましたね」

「お前の魔法の組み合わせも良くなってきた。特に"関節を狙う"って発想は悪くねぇ」

「ありがとうございます!」

 俺は充実感を噛みしめながら、倒したアーマードオーガの身体に目を向ける。

(さて、報酬の回収だ)


「まずは……コレですね」

 俺は短剣を手に取り、オーガの胸元を慎重に切り裂く。

ズルッ……

「……あった!」

 俺が手にしたのは、通常の魔石とは比べ物にならないほど巨大な濃紺の魔石だった。

「うおおお……デカい……!!」

 拳ほどのサイズがあり、まるで宝石のような輝きを放っている。

「このサイズなら、かなりの値がつくな」

「やった……!!」

 俺は魔石を大切に収納する。

---

 ボスのアーマードオーガを倒し、宝箱の中身も回収した俺は、達成感に浸りながら息を整えていた。

「……ふぅ。なんとかやりきった……」

 藤堂さんは腕を組み、俺をじっと見つめる。

「お前、これがどれほどすごいことかわかってるか?」

「え?」

「このダンジョン、"中級"とは言われてるが、実際に踏破できる冒険者は限られてるんだよ」

「え、そうなんですか?」

「当たり前だろ。魔物の出現数こそ少ないが、一体一体の強さが尋常じゃねぇ」

「確かに……ボスもめちゃくちゃ強かったです。俺、レベル563あるのになんとか勝てたくらいでしたし」

「だろ?」

 藤堂さんはニヤリと笑う。

「このダンジョン、30階層と"浅い"ほうだが、下層に行くほど強敵揃い。特にこの国では"中級ダンジョン"の中でも難易度が高い方だ」

「そうだったんですね……」

「普通の冒険者なら、10階層すら突破できねぇ。20階層に到達するのは"一流"の冒険者。ましてや30階層のボスを討伐できるなんて、国でもトップクラスの実力がなきゃ無理な話だ」

「……マジですか?」

「マジだ」

 藤堂さんの言葉を聞いて、ようやく実感が湧いてくる。

(つまり……俺はもう、この国のトップクラスの戦力ってことなのか?)

「まぁ、レベル563あるお前がここまで苦戦した時点で、察しろよ」

「確かに……」

 魔法を駆使し、全力で戦った。
 それでも、アーマードオーガはそう簡単には倒れなかった。

「そんな場所を踏破し、魔石もこれだけの量を手に入れた。……お前はもう、この国でも"超一流"だよ」


 ダンジョン攻略の過程で、俺は相当数の魔石を手に入れていた。
 ゴブリンやファングウルフ、リザードウォリアーにアーマードオーガ――。

(換金したら、どれくらいになるんだ……?)

「とりあえず、さっきのボスの魔石も含めて、金貨で3000枚くらいになるな」

「3000……!?」

「この国でまともな屋敷が買える額だぞ」

「……すごい」

 ダンジョンに潜るだけで、こんなに稼げるとは思ってもみなかった。

「それも踏まえて、お前はどうする?」

 藤堂さんが俺をじっと見る。

「どうするって……?」

「異世界で本格的に"生きる"って決めるのか、それともただの冒険者ごっこで終わらせるのか、そろそろ決める時だろ」

 俺は唾を飲み込んだ。

(……本気で、この世界で生きるかどうか、決断する時が来たんだな)


「で、問題は……」

 俺は部屋の奥へと視線を向ける。

 そこには――

豪華な装飾が施された大きな宝箱

「おおおおおっ!!!」

「まぁ、ボス部屋には大抵"ご褒美"があるもんだ」

「これはもう開けるしかないですね!!」

 俺は興奮しながら宝箱の前に立つ。

「……でも、罠の可能性もありますよね?」

「おう、念のため確認しろ」

「了解!」

 俺は慎重に宝箱の周囲を調べる。

(……魔法陣もない、鍵もかかってない、罠の仕掛けもない……)

「おそらく、大丈夫です!」

「よし、開けろ」

「いきます!」



 俺は宝箱の蓋をゆっくりと開ける。

ギィ……

(頼む……すごいお宝であってくれ!!)

 中を覗き込むと――


宝箱の中身

黒曜石のような輝きを持つ指輪

魔力を帯びたローブ

金貨100枚


「うおおおおっ!!!」

 思わず叫ぶ。

「これは……当たりだな」

 藤堂さんが満足げに腕を組む。

「まず、この指輪……ただの装飾品じゃなさそうですね」

「試しに魔力を流してみろ」

「はい!」

 俺は指輪を手に取り、魔力を込める。

スゥ……ッ

 すると、指輪がわずかに光を放ち、周囲の空気が変化した。

「……なんだこれ? なんか、魔力の流れが変わったような……」

「ふむ、これは"魔力増幅の指輪"だな」

「魔力増幅……!?」

「簡単に言えば、装備者の"魔力を増強する効果"を持つアイテムだ」

「マジですか……!?」

「強力な魔法を使うにはもってこいだが、魔力消費も増えるから気をつけろ」

「なるほど……」

 これは今後の戦闘で大きな力になりそうだ。


「こっちはローブか……?」

 俺は黒と青の布地が織り交ざった、美しいローブを手に取る。

「魔力を感じるな」

「ですね。試しに着てみます」

 俺はローブを羽織り、軽く動いてみる。

(……お? 軽い?)

「動きやすいですね」

「おそらく"魔力軽減効果"でもついてるんだろうな」

「なるほど……つまり、魔法の消費を抑えられると?」

「たぶんな」

「……これは強い!!」

 魔法戦主体の俺にとって、かなり役立つ装備だ。


---

金貨100枚――普通に嬉しい

「そして金貨100枚……これは素直にありがたいですね」

「これで当分の生活には困らねぇな」

「はい!」

 俺は宝箱の中身をしっかりと収納した。



「さて、これでこのダンジョンの攻略は完了だな」

「ですね!」

「そろそろ地上に戻るぞ」

「了解!」

 俺は満足感に浸りながら、ダンジョンの出口へと向かう。

 初めての本格的なダンジョン攻略――

 手に入れた戦利品を胸に、俺の異世界生活はさらに広がっていく!!

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