異世界転移して最強のおっさん……の隣に住んでいる。

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第3章

おじさん

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【古き森・ドラゴンとの邂逅】

 焦げた大地に降り立った、赤黒い鱗の巨体。
 息を呑むような気配と重圧――フィルデンを騒がせた“飛竜”が、再びユートたちの前に姿を現した。

 バルトが剣に手を添え、ティナが弓を構えるが、ユートは手を挙げて制した。

「……待て。敵意はない。来たのは……話があるからだろ?」

 その言葉に応えるように、ドラゴンの金色の瞳がユートをまっすぐに見据える。

 次の瞬間――重く、静かな思念が直接、ユートの意識に流れ込んできた。

> (……再び、この世界に“異常なる者”の気配を感じた)



> (我が記憶に残る、その者の名は――シュン・トードー)



 ユートは、一瞬にして体の芯が冷えるのを感じた。

「しゅ、シュン……!? しゅう……ちょっと待って、それ――」

 脳裏に浮かぶ、アパートの隣に住んでいた奇妙なおじさんの姿。

 見た目は40代後半、無職のようでいて、何故か高級スポーツカーを乗り回し、
 昼間から庭で読書、夜中にこっそり出かけ、火まで魔法で出せる男――

「……藤堂さん!? えっ、あの隣のおじさんが“シュン・トードー”!?」


---

 自転車事故で川に落ちたとき、助けてくれたのは藤堂修一だった。
 そして、そのままの勢いで“異世界”に転移させられた。

「お前、ラノベ好きだろ? じゃ、行こうぜ異世界。――転移」

 その一言で、本当に異世界へ。魔法も、冒険も、本物の“異世界ライフ”の始まりだった。



「いやいやいや、そんな……確かに魔大陸では異常な強さだったが……」

> (あの者は、“我と互角に渡り合った”ただ一人の人間)



「……うっそだろ……?」

> (我の牙を見切り、我が咆哮を割り、我が炎を越えた。
 あの者は、理を踏み越えた“異なる力”を持っていた)




 ユートはごくりと唾を飲み込んだ。

「勝てる気が……しない。マジで……」

 ただの隣のおじさん。ちょっと変で、強くて、変人で。
 だけど――まさか、ドラゴンと戦って生き延びたなんて。



> (貴様からも、同じ“気配”を感じた。だが、力は未完成)



> (あの者のように、また別の“何か”になるのか――我は見届けよう)



 ドラゴンは静かに翼を広げ、風と共に飛び立った。


---


「……なんだよ、藤堂さん……あんた一体、この世界で何をしたんだよ」

 そしてユートは、拳を握りしめた。

「……でも、俺は俺のやり方でやる。
 “最強”になりたいんじゃない。――“守れる強さ”が、欲しいだけだ」


---
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