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春の国
上と後ろ
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階段の足場のような場所に着く。
その足場で波瑠を降ろすと、柵も何も無い高所に震え始めた。
「なんだ、高いところが怖いか?」
「い、いや別に…スプリングタワーとか全然行けるタイプだしガラスの床で跳ねるくらいはするんですけど…こ、これは流石に怖いっていうか余裕ぶっこいてらんないっていうか…!!」
「スプリングタワー。……ああ、あのやたらと高い電波塔の事か?」
「そ、そうそう。何メートルかは忘れましたけど、春の国の観光地としては1番人気でした。…まさかとは思うけど、ここ登る…かんじ…?」
「ああ、そうなるな。こう見ると、階層を跨ぐには上へ行くのがルールらしい。こんなもの、飛べるものでなければ来られないだろうが」
「っすね~…」
登ることはわかっていながらも、中々波瑠は天使から離れようとしなかった。
それもお構い無しに、天使は階段に足を乗せていく。
「ちょ!ちょ!怖いですって!ねえ!」
「落ちたら拾ってやる。心配するな」
「いや落ちないようにしてくださいよ!?」
「そこまでは知らん。自分の体幹に賭けてくれ」
階段を次々登っていく天使と、それに何とかついて行く波瑠。
階段は短いように見えていたが、それは空に隠れ透けて見えており、実際はそれよりも長く続いているようだった。
終わりが暫く見えず、波瑠もそろそろ腰が抜けそうになっていた。
「ね、ねぇ天使さん…まだ…?」
「下を向くな。上だけ見ていろ。…視界の半分は私かもしれないが」
「は、はは…天使さん髪キレイだねぇ…はは…」
「ああ見えてきたぞ、あの扉だろう」
ゴールが分かったと聞こえた途端、波瑠のスピードが上がった。
扉は階段や足場と同じく、ひとつのくすみも無い真っ白な扉で、ドアノブまでもが白かった。
「ここを開ければ次の階だろう。そしてまた、どちらかの過去が出てくると考えるのが妥当だろう。それがいいものが悪いものかは想像にかたくないが…」
「別にいいよ、幸せな記憶ばかりなら、もう宝玉なんてないさ」
「それもそうか。行くぞ」
扉を開け、足を踏み入れる。すると、扉の中から光が差し2人を包み込んだ。
目が眩み、瞑った後数秒。瞼を開くと、目の前はくすんだクリーム色の、なにか施設めいた天井が拡がっていた。
「…あ。ここ、昔の家だ」
「波瑠の記憶か。…本人はどこだ」
「あーいましたいました、ベビーベッドの上っすね。わー、赤ちゃんの自分とか変な感じ。え!?めっちゃ可愛いかも!!!」
「うるさいヤツだな。…この記憶はどう言ったものなんだろうか…」
「…こんなちっさい頃の記憶なんか、俺人間なんで無いですよ」
キョロキョロと辺りを見渡す。部屋にはベビーベッドと、そこに機嫌よく横たわっている幼い波瑠。
そして、それを覗き込む両親らしき男女の姿。
「……あれ。…誰なんだろ、この人たち」
「ん?両親ではないのか。お前にそっくりだが」
「…………そう?なのかな。……知らない人達だよ」
「目や唇の形は、女性の方に似ているな。鼻のスッキリとした印象は男性の方だ」
「…………わかんない、俺、……親に、似てるって言われたことない」
「そうか」
しばらく、幼い波瑠が可愛がられている光景を見ていた。
男女は、「波瑠、生まれてきてくれてありがとう」と波瑠を撫でていた。
その光景の幸せそうな空気に、2人はただ呆然としていた。
すると。
その部屋の扉が突然開いた。
見知らぬ男女がナイフを持ち佇んでいた。
「な、なんですか!?」
母親らしき女性が、波瑠のベビーベッドを背にし守る体勢を取った。
しかし、数秒後には
悲鳴を上げ、服に血が滲み出し、そしてその場に倒れ込んだ。
父親らしき男性も同様に、通報が間に合わないまま息絶えた。
「……は……?な、なに……どゆことこれ……」
「落ち着け。これは昔の出来事だ。…………おい、あの男女に見覚えは無いのか」
「あ、あるから混乱してるんですよ!!だ、だってあれ、母さんと、父さんで……なんで……?どういうこと?」
混乱しながらも何も出来ずにいると、男女はベビーベッドに近付いた。
そして、波瑠を抱き上げてこう言った。
「今日から私たちがあなたの両親だよ~ぉ!今日のご飯は、ハンバーグにしようかな!」
転がった男女の死体を見ながら、女は楽しそうに言った。
そして、男が死体ふたつを部屋の外へ運び出す。
「な、なんなんだよこれ、なんで、なんで」
「……恐らくは、猟奇的事件と言われるものの類いだろう。お前を横取りしたかったようだ」
「見りゃ分かるよ!!!じゃあなんで!!!俺の父さんと母さんは捕まらないんだ!?おかしいじゃんこんな派手にしたらさぁ!!」
「落ち着け。まだ動きがある。見られないのならここに残れ。見るのなら着いてこい」
「っっ……」
波瑠は、無言のまま天使に着いていく。
犯人2人は、台所へと向かう。
波瑠を連れて。
本当の両親の死体を床に転がすと、平然と、慣れたようにソレを解体し始めた。
「なんと惨い……」
「うっ……!」
波瑠は口を抑えると、その場で嘔吐してしまった。
「無理をするな波瑠。お前は人間だ、耐えられるはずもない。何となく分かるだろう、この後どうするのか」
「え……?すてる、とか……」
「いいや」
「えっ……?」
解体を終えると、2人は肉を削ぎ、骨を庭に埋めた。
そして、削いだ肉を切れ味の良い包丁で叩き、ミンチ状にし始めた。
「まさか、まさか……」
「あぁ。……あの女、ハンバーグと言っていたな。そういうことなんだろう」
「うっ………」
「もういい、もういいんだ波瑠。顛末は後で説明してやる。だから、何も起こっていない部屋に行っておけ。いいな?」
「わ、わかりました……」
波瑠は、言われた通りフラフラと別の部屋に向かう。
そこからの顛末はこうだ。予想通り、その肉でハンバーグを作り、残りは冷凍。
血が飛び散っている寝室や台所は専用の洗剤でキレイに。
その間、2人は楽しげにその作業を行っていた。天使が人間にあまり興味がないにしても、あまりに狂気的と言わざるを得なかった。
そして犯人2人は、平然とした顔で家の住人に成り代わり生活を始めた。
「ねぇさんと義兄さん、この子は私たちの所に来る予定だったのよ。そう、あなたが奪ったの。だからこれは正しいんだよ」
女のわけが分からない理論、それを平然と受け入れる男。
冷凍庫に眠る本当の父と母。
こんな場面、波瑠が耐えられるはずもない。
眺めることしか出来ないまま、記憶が終わる。
すると、目の前にまたあの階段が出現した。
景色は一面白と青の空に変わり、その上に立っているような光景だった。
まるで、夏の国の観光名所にある塩湖の様だった。
「て、天使さん……おわ、ったの?」
「ああ。終わったよ」
「……どうだったの?」
「……あの犯人ふたりは、本当の両親の弟夫婦だったみたいだ。そして、大方弟夫婦は子が流れたのだろう。それを、同時期に子供が出来た兄夫婦に盗られたからだという妄想からこうなったようだ。お前のことは大層大切にしたようだな。綺麗に、跡も肉片1つ残さずだった」
「…………。本当に、親じゃ、なかったんだね」
「そうだな。……だがもう気にするな。もう居ないのだろう、誰も」
「……」
無言で波瑠はうなづいた。
そして、何も言わないまま階段を登っていく。
ひたすら無言のまま、階段をのぼり切り扉の前に立つ。
その背中を、天使は眺めることしか出来なかった。
「開けるよ、天使さん」
「ああ」
扉が開かれる。
また強く光り輝き、次に目の前に現れたのは穏やかで晴れやかな景色だった。
「ああ次は……私の記憶なんだな」
花壇に座り込む幼い天使に、そう語り掛けた。
その足場で波瑠を降ろすと、柵も何も無い高所に震え始めた。
「なんだ、高いところが怖いか?」
「い、いや別に…スプリングタワーとか全然行けるタイプだしガラスの床で跳ねるくらいはするんですけど…こ、これは流石に怖いっていうか余裕ぶっこいてらんないっていうか…!!」
「スプリングタワー。……ああ、あのやたらと高い電波塔の事か?」
「そ、そうそう。何メートルかは忘れましたけど、春の国の観光地としては1番人気でした。…まさかとは思うけど、ここ登る…かんじ…?」
「ああ、そうなるな。こう見ると、階層を跨ぐには上へ行くのがルールらしい。こんなもの、飛べるものでなければ来られないだろうが」
「っすね~…」
登ることはわかっていながらも、中々波瑠は天使から離れようとしなかった。
それもお構い無しに、天使は階段に足を乗せていく。
「ちょ!ちょ!怖いですって!ねえ!」
「落ちたら拾ってやる。心配するな」
「いや落ちないようにしてくださいよ!?」
「そこまでは知らん。自分の体幹に賭けてくれ」
階段を次々登っていく天使と、それに何とかついて行く波瑠。
階段は短いように見えていたが、それは空に隠れ透けて見えており、実際はそれよりも長く続いているようだった。
終わりが暫く見えず、波瑠もそろそろ腰が抜けそうになっていた。
「ね、ねぇ天使さん…まだ…?」
「下を向くな。上だけ見ていろ。…視界の半分は私かもしれないが」
「は、はは…天使さん髪キレイだねぇ…はは…」
「ああ見えてきたぞ、あの扉だろう」
ゴールが分かったと聞こえた途端、波瑠のスピードが上がった。
扉は階段や足場と同じく、ひとつのくすみも無い真っ白な扉で、ドアノブまでもが白かった。
「ここを開ければ次の階だろう。そしてまた、どちらかの過去が出てくると考えるのが妥当だろう。それがいいものが悪いものかは想像にかたくないが…」
「別にいいよ、幸せな記憶ばかりなら、もう宝玉なんてないさ」
「それもそうか。行くぞ」
扉を開け、足を踏み入れる。すると、扉の中から光が差し2人を包み込んだ。
目が眩み、瞑った後数秒。瞼を開くと、目の前はくすんだクリーム色の、なにか施設めいた天井が拡がっていた。
「…あ。ここ、昔の家だ」
「波瑠の記憶か。…本人はどこだ」
「あーいましたいました、ベビーベッドの上っすね。わー、赤ちゃんの自分とか変な感じ。え!?めっちゃ可愛いかも!!!」
「うるさいヤツだな。…この記憶はどう言ったものなんだろうか…」
「…こんなちっさい頃の記憶なんか、俺人間なんで無いですよ」
キョロキョロと辺りを見渡す。部屋にはベビーベッドと、そこに機嫌よく横たわっている幼い波瑠。
そして、それを覗き込む両親らしき男女の姿。
「……あれ。…誰なんだろ、この人たち」
「ん?両親ではないのか。お前にそっくりだが」
「…………そう?なのかな。……知らない人達だよ」
「目や唇の形は、女性の方に似ているな。鼻のスッキリとした印象は男性の方だ」
「…………わかんない、俺、……親に、似てるって言われたことない」
「そうか」
しばらく、幼い波瑠が可愛がられている光景を見ていた。
男女は、「波瑠、生まれてきてくれてありがとう」と波瑠を撫でていた。
その光景の幸せそうな空気に、2人はただ呆然としていた。
すると。
その部屋の扉が突然開いた。
見知らぬ男女がナイフを持ち佇んでいた。
「な、なんですか!?」
母親らしき女性が、波瑠のベビーベッドを背にし守る体勢を取った。
しかし、数秒後には
悲鳴を上げ、服に血が滲み出し、そしてその場に倒れ込んだ。
父親らしき男性も同様に、通報が間に合わないまま息絶えた。
「……は……?な、なに……どゆことこれ……」
「落ち着け。これは昔の出来事だ。…………おい、あの男女に見覚えは無いのか」
「あ、あるから混乱してるんですよ!!だ、だってあれ、母さんと、父さんで……なんで……?どういうこと?」
混乱しながらも何も出来ずにいると、男女はベビーベッドに近付いた。
そして、波瑠を抱き上げてこう言った。
「今日から私たちがあなたの両親だよ~ぉ!今日のご飯は、ハンバーグにしようかな!」
転がった男女の死体を見ながら、女は楽しそうに言った。
そして、男が死体ふたつを部屋の外へ運び出す。
「な、なんなんだよこれ、なんで、なんで」
「……恐らくは、猟奇的事件と言われるものの類いだろう。お前を横取りしたかったようだ」
「見りゃ分かるよ!!!じゃあなんで!!!俺の父さんと母さんは捕まらないんだ!?おかしいじゃんこんな派手にしたらさぁ!!」
「落ち着け。まだ動きがある。見られないのならここに残れ。見るのなら着いてこい」
「っっ……」
波瑠は、無言のまま天使に着いていく。
犯人2人は、台所へと向かう。
波瑠を連れて。
本当の両親の死体を床に転がすと、平然と、慣れたようにソレを解体し始めた。
「なんと惨い……」
「うっ……!」
波瑠は口を抑えると、その場で嘔吐してしまった。
「無理をするな波瑠。お前は人間だ、耐えられるはずもない。何となく分かるだろう、この後どうするのか」
「え……?すてる、とか……」
「いいや」
「えっ……?」
解体を終えると、2人は肉を削ぎ、骨を庭に埋めた。
そして、削いだ肉を切れ味の良い包丁で叩き、ミンチ状にし始めた。
「まさか、まさか……」
「あぁ。……あの女、ハンバーグと言っていたな。そういうことなんだろう」
「うっ………」
「もういい、もういいんだ波瑠。顛末は後で説明してやる。だから、何も起こっていない部屋に行っておけ。いいな?」
「わ、わかりました……」
波瑠は、言われた通りフラフラと別の部屋に向かう。
そこからの顛末はこうだ。予想通り、その肉でハンバーグを作り、残りは冷凍。
血が飛び散っている寝室や台所は専用の洗剤でキレイに。
その間、2人は楽しげにその作業を行っていた。天使が人間にあまり興味がないにしても、あまりに狂気的と言わざるを得なかった。
そして犯人2人は、平然とした顔で家の住人に成り代わり生活を始めた。
「ねぇさんと義兄さん、この子は私たちの所に来る予定だったのよ。そう、あなたが奪ったの。だからこれは正しいんだよ」
女のわけが分からない理論、それを平然と受け入れる男。
冷凍庫に眠る本当の父と母。
こんな場面、波瑠が耐えられるはずもない。
眺めることしか出来ないまま、記憶が終わる。
すると、目の前にまたあの階段が出現した。
景色は一面白と青の空に変わり、その上に立っているような光景だった。
まるで、夏の国の観光名所にある塩湖の様だった。
「て、天使さん……おわ、ったの?」
「ああ。終わったよ」
「……どうだったの?」
「……あの犯人ふたりは、本当の両親の弟夫婦だったみたいだ。そして、大方弟夫婦は子が流れたのだろう。それを、同時期に子供が出来た兄夫婦に盗られたからだという妄想からこうなったようだ。お前のことは大層大切にしたようだな。綺麗に、跡も肉片1つ残さずだった」
「…………。本当に、親じゃ、なかったんだね」
「そうだな。……だがもう気にするな。もう居ないのだろう、誰も」
「……」
無言で波瑠はうなづいた。
そして、何も言わないまま階段を登っていく。
ひたすら無言のまま、階段をのぼり切り扉の前に立つ。
その背中を、天使は眺めることしか出来なかった。
「開けるよ、天使さん」
「ああ」
扉が開かれる。
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