5 / 102
#004 『消滅友人』
しおりを挟む
前話の三井寺さんと同じ専門学校に、同じ時期 通っていた、サトミさんという女性の話。
ある休日の昼下がり、街の雑踏の中をサトミさんがぶらぶら歩いていると、いきなり自分のデコりまくりな携帯電話が鳴った。
相手は、友人のトモカさんだ。何だろうと思って、出てみる。
「もしもしぃ?トモカ?」
『あ!もしもしサトミ!聞いて聞いて、うっそみたい。あたし今、何見てると思う?UFOだよ、UFO!!』
は?と訝しく思って聞き返すと、『だからUFO!UFO!!』とトモカさんは繰り返す。
『今、公園近くのコンビニの前で・・・うわぁ、何あれ!すっげぇ光ってる。うそみたい。うそうそうそ。これ絶対、ニュースに出るって』
突然の電話でハイテンションに取り乱す友人の声に、サトミさんは正直、しどろもどろになってしまった。
どうすりゃいいの。対処法がわからん。 甲高くトモカさんの声を発し続ける携帯から耳を離し、液晶を眺めながら途方に暮れていると、
「やほー。どうしたのサトミ。誰か電話しゃべってね?」
またいきなり、後ろから声をかけられた。
振り返ると、友人のトモカさんだ。 え、トモカ?!
「トモカ!あ、あんたコンビニの前でUFO見てるんじゃ・・・」
「はぁ?何言ってんの。まじ意味不明」
これがトモカなら、いま電話の向こうでテンパってるトモカは誰??
サトミさんは取りあえず、今 目の前にいるトモカさんに事情を話し、「どうする?もう一人のあんた、UFO見たって騒ぎまくってんだけど・・・」と携帯を手渡した。
トモカさんは、「はぁ?!何それ!」と不機嫌な顔になり、やおらサトミさんの携帯をひったくるようにして耳に当てると、
「おいアンタ誰。ふざけんなよこら」と凄んだ声を出した。
瞬間、トモカさんはフッと消えた。
カチャン、と音を立てて、携帯は落ちた。
(・・・・・・・・・え?)
――どれくらい固まっていたか、自分でもわからないという。
とにかく我に返ったサトミさんは、慌てて携帯を拾い上げた。
液晶が割れていた。電源が入らない。完全に、壊れている。
反射的に、周囲を見回してみた。
道行く人が何人か、怪訝そうな表情でこちらをちらりと顧みているだけだった。
一時間後。
近所を散々探し回って公衆電話を見つけ、トモカさんに電話してみると
『いま、寝てた』
『あたしの携帯?いま使ってるじゃん』
『コンビニ?街中?行ってね、行ってね』
とのことだった。
頭痛をおぼえた。
――なに、これ、きもちわるい。 意味、わかんない――
※ ※ ※ ※
その後 結局、彼女らの住んでいる街付近で〝すっげぇ光るUFO〟が目撃された、という報道は一切なされることは無かった。
ちょうどスマートフォンが流行りはじめていた時期だったので、この時の携帯の破損を機にしてスマホデビューを果たしたサトミさん。
そのせいか、今でもガラケーを目にする度に、「一瞬にして消滅してしまったトモカさん」の姿が思い起こされて不気味な気分に陥るというが、一方トモカさんはいまだ健在で、サトミさん以上にスマホを使いこなしてブイブイ言わせているという。
ある休日の昼下がり、街の雑踏の中をサトミさんがぶらぶら歩いていると、いきなり自分のデコりまくりな携帯電話が鳴った。
相手は、友人のトモカさんだ。何だろうと思って、出てみる。
「もしもしぃ?トモカ?」
『あ!もしもしサトミ!聞いて聞いて、うっそみたい。あたし今、何見てると思う?UFOだよ、UFO!!』
は?と訝しく思って聞き返すと、『だからUFO!UFO!!』とトモカさんは繰り返す。
『今、公園近くのコンビニの前で・・・うわぁ、何あれ!すっげぇ光ってる。うそみたい。うそうそうそ。これ絶対、ニュースに出るって』
突然の電話でハイテンションに取り乱す友人の声に、サトミさんは正直、しどろもどろになってしまった。
どうすりゃいいの。対処法がわからん。 甲高くトモカさんの声を発し続ける携帯から耳を離し、液晶を眺めながら途方に暮れていると、
「やほー。どうしたのサトミ。誰か電話しゃべってね?」
またいきなり、後ろから声をかけられた。
振り返ると、友人のトモカさんだ。 え、トモカ?!
「トモカ!あ、あんたコンビニの前でUFO見てるんじゃ・・・」
「はぁ?何言ってんの。まじ意味不明」
これがトモカなら、いま電話の向こうでテンパってるトモカは誰??
サトミさんは取りあえず、今 目の前にいるトモカさんに事情を話し、「どうする?もう一人のあんた、UFO見たって騒ぎまくってんだけど・・・」と携帯を手渡した。
トモカさんは、「はぁ?!何それ!」と不機嫌な顔になり、やおらサトミさんの携帯をひったくるようにして耳に当てると、
「おいアンタ誰。ふざけんなよこら」と凄んだ声を出した。
瞬間、トモカさんはフッと消えた。
カチャン、と音を立てて、携帯は落ちた。
(・・・・・・・・・え?)
――どれくらい固まっていたか、自分でもわからないという。
とにかく我に返ったサトミさんは、慌てて携帯を拾い上げた。
液晶が割れていた。電源が入らない。完全に、壊れている。
反射的に、周囲を見回してみた。
道行く人が何人か、怪訝そうな表情でこちらをちらりと顧みているだけだった。
一時間後。
近所を散々探し回って公衆電話を見つけ、トモカさんに電話してみると
『いま、寝てた』
『あたしの携帯?いま使ってるじゃん』
『コンビニ?街中?行ってね、行ってね』
とのことだった。
頭痛をおぼえた。
――なに、これ、きもちわるい。 意味、わかんない――
※ ※ ※ ※
その後 結局、彼女らの住んでいる街付近で〝すっげぇ光るUFO〟が目撃された、という報道は一切なされることは無かった。
ちょうどスマートフォンが流行りはじめていた時期だったので、この時の携帯の破損を機にしてスマホデビューを果たしたサトミさん。
そのせいか、今でもガラケーを目にする度に、「一瞬にして消滅してしまったトモカさん」の姿が思い起こされて不気味な気分に陥るというが、一方トモカさんはいまだ健在で、サトミさん以上にスマホを使いこなしてブイブイ言わせているという。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?
無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。
どっちが稼げるのだろう?
いろんな方の想いがあるのかと・・・。
2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。
あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる