対人恐怖症ですが異世界で精神を安定させます

1章

23話：悪夢③

「どうした？そんなに堅くなって」

「あ、お.......う.......え.......」

「？」


どうしよう.......言葉が出ない.....何か言わなきゃ......


「ふむ？.......あぁ！不敬罪等を気にしてるのか」


びくっ

「お、おおおおお王子様とは知らずに今までのご無礼を.......」

「気にしなくて良い......と言うより気にしないでくれ。その.....怖がせるつもりは無かったんだが......そうだな.......私は王子と言っても第6王子だ継承とは無縁だしなんならそこら辺にいる没落貴族と思ってくれて構わない。土地を収めたり、領民の管理をしている訳ではないからな」


僕がベットの上で土下座をしていた頭をフェールズさんに上を向かせられ淡々と説明している。


そして.......

「.......その.....なんだ.......君にその様な態度を取られると少し.......寂しい気がするんだ.....」










.......かっか.......

「.......母さん....」

「は？」



話しになるにつれて、フェールズさんは声のトーンを少しずつ下げて行き、最後の方は少し照れていた。
フェールズさんは元々髪の毛が長く普段は後ろでまとめているものの下を向いて話しているとその長い髪の毛が横から垂れてまるで女性の様な物言いになっていて.......それはまるであの、優しかった母さんの面影と重なった



母さんって言ってしまった後悔は後から来るもので.......





「す、すすすすみません.......！！気にしなくて良いと言って貰っていたと言うのに調子に乗りました！！」 

「.......ふふっ.....気にしなくて良い。セナが居た所はどうかわからないが.......母さんか.......悪くない」


えぇ？

僕がフェールズさんの言葉に固まってしまっていると、フェールズさんはとんでもないことを言い出した。


「うむ。セナ、少し抱っこを.......しても良いだろうか？」


ぅえ？？？？


「あぁ、無理はしなくて良い。クリスが言っていた事が少し気になったのでな.....」

「クリスさんが.......ですか？」

「あぁ、あの広間で君の異変に気づいたクリスは君を抱っこしてここまで連れて来たのだがな.....その.......羽の様に軽いと」




「は、ね.......？」


そんな馬鹿な.......僕は確かにチビで細々としているが.....40kgはあった.......はず.......一時期

前後はするもののそれでも30後半はある.......それをはね？？？.......あ、お世辞か.....いや、男性にそんなお世辞はいかがなものか.....


「無理にとは言わないぞ？」

「あ、いえ.......その.....大丈夫ですよ！はい！ちょっと心の準備するので待ってて貰って良いですか？」

「あぁ！勿論だ」



僕は、しばらく立ってだけどそっ....と！フェールズさんの首に腕を回した。

するとフェールズさんは分かったのか足を片腕で持ち上げ、安定するように背中に片手を回した。


なんだろ.......この子供を持ち上げるみたいな.......いやいや.......普通はこれなのか.......？なのかな？









数分は経っただろうがその間、フェールズは無言で僕を持ち上げていた。流石に恥ずかしい。
ってか大の大人が宿屋で2人何しているんだ。


「.......あの、？フェールズさん？」

「あ、あぁ.....そうだな冒険者ギルドへ行こう」


はへ？？？