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妹と
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「きたよ!ねえねえ、あのね!あのね!」
私に嬉しかった事や楽しかった事を話すのが好きなようで、ティアは嬉しそうに声をかけてくる。
「でもね、さいきんミーシャちゃんがあんまり遊んでくれないの。おねーちゃんに遊んでもらうって言ってた…」
しょんぼりとそう言って下を向いた。
その様子をじっと見つめた後、ティアの膝の上に手を乗せた。
「ん?なーに?」
「あ、ね」
かすれかすれだが、ティアに伝えることが出来た。
「え!しゃべれるようになったの!すごーい!」
気づいて欲しいのはそこではないというふうに首を振る。
「あ、ね」
先程より少し大きな声で1文字ずつ発音する。
「あ、ね…?」
ティアは分からないらしく、頭をひねっている。
「おね、ちゃん」
ティアが先程話していた単語に置き換えて再度伝えてみる。
「おね、ちゃん…おねーちゃん?おねーちゃん!え、ほんとにほんと!うれしー!!」
言いたい言葉は伝わったらしく、嬉しそうに声を上げる。
「しー、こえ、おおき」
「あ、そっか…」
家に誰かいるかもしれないので静かにするよう伝えると、ティアもはっとしたように口に手を当てる。
その様子を見るに、やはり誰かいるのかもしれない。
「…そっか、そっか。…ふふっ」
嬉しそうにこぼされるそのつぶやきに、少し後悔を覚えながらティアと話を続けた。
それから数ヶ月経ったある日、ティアが本を抱えて来た。
「ねぇねぇ、これよめる?」
そう言って手渡してきた本の文字を見れば、ひらがなで『どらごんとゆうしゃ』と書かれていた。
「お父さん達、に、読んで、もらえば?」
「やっぱりよめない?お父さんたちもよめないから、きょうかいに行かないとよめないかぁ」
しょんぼりとしたティアの頭を撫でる。
大人が読めないということは、ここでは識字率が低いという事だろう。両親やティアの髪や瞳の色、名前で何となく感じていたが、ここが異世界である可能性が高まった。
ティアは『日本』の事を知らないようだったし、今ティアが来ている服を私は本でしか見たことがない。
だとしても、それがわかったところでこの状況が変わる訳でもないので気にしないことにした。
「ちょっと貸して」
流石にひらがなだけの文章を1発で読める自信はないので読んでみる。
内容はよくある、お姫様を攫ったドラゴンを勇者が倒すというものだった。
「…うん、じゃあ、読むよ」
そう言って表紙をティアに向けた。
ティアはぱちくりと目を瞬かせた後、目をキラキラさせて表紙を見つめた。
「ドラゴンと勇者。…どのくらい昔の話だったか忘れたが、とても昔の事…」
「…勇者は王様に認められ、お姫様と幸せに暮らしました」
パタリと本を閉じた後、ふぅ、と息をついた。話せるようになって1年も経っていないので、流石に疲れてしまった。少し喉が痛い。
「おひめさま助かったね!ミーシャちゃんにも教えなくちゃ!!」
嬉しそうに本を抱えてくるくると回っている。
「ティア」
そんなティアを諌めるように名前を呼んだ。
「?…あ。……はぁい」
眉を下げ、悲しげに返事をしたティアの近くに行き、頭を撫でる。
「なんで、かくすのかな」
不貞腐れたように、私の肩に頭を乗せたティアがつぶやく。
「誰かの心を、知るのは難しい、からね」
だから分からない。そう言ってティアを落ち着かせた。
色が違うから気味悪がって隠しているという、親、いや…人間の醜い所なんて、知らなくてもいい事だ。
私に嬉しかった事や楽しかった事を話すのが好きなようで、ティアは嬉しそうに声をかけてくる。
「でもね、さいきんミーシャちゃんがあんまり遊んでくれないの。おねーちゃんに遊んでもらうって言ってた…」
しょんぼりとそう言って下を向いた。
その様子をじっと見つめた後、ティアの膝の上に手を乗せた。
「ん?なーに?」
「あ、ね」
かすれかすれだが、ティアに伝えることが出来た。
「え!しゃべれるようになったの!すごーい!」
気づいて欲しいのはそこではないというふうに首を振る。
「あ、ね」
先程より少し大きな声で1文字ずつ発音する。
「あ、ね…?」
ティアは分からないらしく、頭をひねっている。
「おね、ちゃん」
ティアが先程話していた単語に置き換えて再度伝えてみる。
「おね、ちゃん…おねーちゃん?おねーちゃん!え、ほんとにほんと!うれしー!!」
言いたい言葉は伝わったらしく、嬉しそうに声を上げる。
「しー、こえ、おおき」
「あ、そっか…」
家に誰かいるかもしれないので静かにするよう伝えると、ティアもはっとしたように口に手を当てる。
その様子を見るに、やはり誰かいるのかもしれない。
「…そっか、そっか。…ふふっ」
嬉しそうにこぼされるそのつぶやきに、少し後悔を覚えながらティアと話を続けた。
それから数ヶ月経ったある日、ティアが本を抱えて来た。
「ねぇねぇ、これよめる?」
そう言って手渡してきた本の文字を見れば、ひらがなで『どらごんとゆうしゃ』と書かれていた。
「お父さん達、に、読んで、もらえば?」
「やっぱりよめない?お父さんたちもよめないから、きょうかいに行かないとよめないかぁ」
しょんぼりとしたティアの頭を撫でる。
大人が読めないということは、ここでは識字率が低いという事だろう。両親やティアの髪や瞳の色、名前で何となく感じていたが、ここが異世界である可能性が高まった。
ティアは『日本』の事を知らないようだったし、今ティアが来ている服を私は本でしか見たことがない。
だとしても、それがわかったところでこの状況が変わる訳でもないので気にしないことにした。
「ちょっと貸して」
流石にひらがなだけの文章を1発で読める自信はないので読んでみる。
内容はよくある、お姫様を攫ったドラゴンを勇者が倒すというものだった。
「…うん、じゃあ、読むよ」
そう言って表紙をティアに向けた。
ティアはぱちくりと目を瞬かせた後、目をキラキラさせて表紙を見つめた。
「ドラゴンと勇者。…どのくらい昔の話だったか忘れたが、とても昔の事…」
「…勇者は王様に認められ、お姫様と幸せに暮らしました」
パタリと本を閉じた後、ふぅ、と息をついた。話せるようになって1年も経っていないので、流石に疲れてしまった。少し喉が痛い。
「おひめさま助かったね!ミーシャちゃんにも教えなくちゃ!!」
嬉しそうに本を抱えてくるくると回っている。
「ティア」
そんなティアを諌めるように名前を呼んだ。
「?…あ。……はぁい」
眉を下げ、悲しげに返事をしたティアの近くに行き、頭を撫でる。
「なんで、かくすのかな」
不貞腐れたように、私の肩に頭を乗せたティアがつぶやく。
「誰かの心を、知るのは難しい、からね」
だから分からない。そう言ってティアを落ち着かせた。
色が違うから気味悪がって隠しているという、親、いや…人間の醜い所なんて、知らなくてもいい事だ。
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