異世界に奏でる狂騒曲(ロックンロール)~ランク0だけどロックの力で最強パーティに~

伊太利 千重治

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1章

2サビ-ラッパー

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 一体なんなんだこいつは。
 異世界という環境に余りにも不似合いなその見た目とキャラに、奏太達は唖然とする。

「おお丁度良いところに来たな、隆司(たかし)。
 紹介する。こいつがさっき話してた蓄音魔法を使える、楽器商人の隆司だ。」


「Yo! 俺は畠中 隆司はたなか たかし
 よろしく頼むぜメーン。」

 随分ぶっ飛んだ見た目だが、本当にこんな奴に任せて良いんだろうか……。

「ところで永きっちゃん、こいつら誰なのか気になるじゃん?
 そこんところ説明よろしくカモン!」

「こいつらはさっき召喚されてここに来た、俺達の同郷だ。
 ロックバンドをやるらしいから、こいつらの演奏を録音してやって欲しい。」

「石巻 奏太だ。」
「岩片 金重でござる。」
「氷室 響子と申します。」

 紹介されたし一応名乗っておく。金重と響子もそれに続いた。

「ああ、お客様でしたか。
 どうも私(わたくし)こういったものでして、永吉君の作った楽器を売り歩く行商人をやっております。
 これからもご贔屓にどうぞ宜しくお願いします。」

 隆司は突然腰を低くすると、名刺のような物を一人一人に渡しながら、丁寧に自己紹介し直した。

「こいつ、こう見えて日本ではK大学で経済の勉強してたんだぜ。」

「ええーっ!?」

 い、意外すぎる……。

「そんな大したものではありませんが、大学卒業後は趣味でDJやラップをやりながら、仕事は商社マンをやっておりました。
 永吉君と同じ時にこの世界に召喚されてからは、こうしてラッパーをやりながら収納魔法を活用して、永吉君の作った楽器を売り歩いております。」

 なるほど。確かに収納魔法を使えば行商人の仕事も楽に出来そうだ。
 どうやら高学歴というのは本当のようだ。
 そういえば、日本人のラッパーには高学歴も多いって話を聞いたことがある。

「っつーことで、よろしく頼むぜイェア!」

 自己紹介が終わると、隆司はまたラッパーキャラに戻った。
 仕事の時だけ真面目なキャラになるのだろうか。まさか永吉もキャラが凶変するんじゃないだろうな……。

 そう思いながら永吉の顔をジーッと見ているとーー

「俺は四六時中こんな感じだから安心しろ!」

 永吉が胸を張って、奏太の疑惑の念に応えた。

 いや、そんな自信満々に言われても……。
 この感じが四六時中っていうのも、見た目が見た目だけに、中々怖いものがある。
 悪い人では無いだろうし、慣れれば大丈夫、だろうか……。

 奏太が永吉と隆司を変な目で見ていると、響子が2人に質問を投げ掛けた。

「お2人は日本人という事でしたが、私達も召喚された4人共に日本人でした。
 召喚される方は皆さん日本人の方ばかりなのですか?」

 確かに言われて見れば、出会った召喚者は奏太を含めてまだ6人だが、それにしてもやけに日本人ばかりだ。

「そういえば、俺達が来てから見る召喚者は、日本人ばかりだな。
 昔はそうでも無かったみたいだが……。」

 永吉は今まで深く考えた事が無かったのか、曖昧な返答が返ってくる。

「確かにYo! 最近、行商で見かける異世界人、殆ど同郷、日本人! イェア!」

 何か理由でもあるのだろうか。まさか音楽に秀でた人物が日本人ばかりってことは無いだろう。
 ラップやDJを音楽の才能として認められて召喚されるなら、本場のアメリカ人が召喚されないのには違和感を覚える。

「ミューサ神が日本びいきなんじゃねえかな?」

 永吉は短絡的に結論付けるが、恐らくそれは無いだろう。
 まあともかく日本人が多いのはありがたいことなので、奏太達もそれ以上の深掘りはしなかった。

「ーーそんで、お前らはこれからどうするつもりなんだ?」

 永吉が俺達に今後の計画について尋ねる。

「とりあえず、拠点となる宿屋を見付けて、それから冒険者ギルドに行く予定なんだが、なにぶん文字が読めなくて何処に何があるのかサッパリだ。」

「それじゃあ餞別代わりにこれをやるよ。」

 永吉が1枚の紙を渡してくる。

「これは……?」

「そいつはこの街の地図だ。文字は俺が全部日本語に書き直してある。
 俺達がこっちに来たばかりの時に、俺が一件一件回って何処に何があるか調べたんだ。」

 見るとそこにはお世辞にも綺麗とは呼べないが、一応読める文字で店の名前等が書かれている。
 確かにこれは助かる。

「色々ありがとう。それじゃあ早速宿屋に行ってみるよ。」

「おう。頑張れよ、若者達!」

「おっさんも店の経営頑張れよ!」

「だからおっさんじゃねえよ!」

 奏太達が挨拶を交わして店を出ると、外は日が沈みかけていた。


「今日は色々あって疲れたし、真っ直ぐ宿に行きますか。」

「賛成です。」

「同意でござる。」

 日が沈みゆく中、奏太達はこれから自分達のホームとなる場所へと向かったーー

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