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1章
4A-録音
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「あれ!? なんで律動がこんなところでドラムを叩いてるんだ!?」
「へ? 律動さん?」
「ふお? 律動殿?」
奏太の声に、金重と響子も窓の方に目を向ける。
「確かに律動さんですね……。どうしてここにいるのでしょうか?」
「居残り練習でござるか?」
音楽隊の居残り練習だとしても、こんなところで練習しているのは腑に落ちない。
奏太は事情を確かめるため、防音室の扉を開いた。
「おい律動! こんなところで何してるんだよ!」
激しくドラムを叩く律動の背に向かって奏太が呼びかけると、それに気付いた律動がこちらに振り向いた。
「うわわわ! な、なんで君達がここに!?」
突然現れた奏太達に、律動が慌てふためく。
相変わらず汗の量が凄い。
こんなに汗をかいて脱水症状にならないのだろうか。
と、そんな事はどうでもいい。
「それはこっちの台詞だ! まさか律動もこの宿に泊まっているのか?」
もし律動がこの宿を利用しているのであれば、この防音室を使っているのにも納得がいく。
「僕がこんな所に宿泊している訳がないだろ! 僕の部屋はちゃんと城に用意されている!」
自分達が宿泊している宿をこんな所呼ばわりされた事に、奏太が少しムッとする。
「ならなんでここの防音室にいるんだよ。
しかもお前の担当のオーケストラシンバルじゃなくてドラムセットなんか叩いて。」
「それは……ぼ、僕の勝手だろう。ここにはちゃんとお金を払っているんだから。」
確かに個人練習の為に、城外で練習できる場所を借りている可能性は否定出来ないが、音楽隊の練習ならばドラムセットを叩く必要はない。
ここで奏太に一つの予測が立った。
「ーーお前、ひょっとしてオーケストラのパーカッションじゃなくて、ドラムセットを叩きたいんじゃないのか?」
もしそうだとしたら、律動が城内の音楽堂ではなく、わざわざここの防音室を借りてドラムセットを叩いているのにも合点がいく。
「も……もしそうだとしても君達には関係のない話だ!」
律動はドラムセットを空間魔法で片付けると、手から魔法で水を生み出し、ゴクゴクと飲みながら部屋を出ていった。
あ、そうやって水分補給しているのか。便利だなー。
魔法の使い方として間違っているような気もするが、金重の雷魔法で電子楽器を使っている自分達も似たようなものだ。
「何かあったのでしょうか……。」
「ふーむ、人の事はよく分からんでござるが……何かあるでござるな。」
宿を早足で出ていく律動の姿を、響子と金重が心配そうに見つめる。
もしドラムセットを叩きたいのであれば、バンドに誘うチャンスかもしれないが、なにせプライドの高い律動が、こちらの誘いに乗る可能性は低いだろう。
「あいつの事を気にしていても仕方がないし、今日のところはもう寝よう。」
「はい……。」
「そうでござるな。」
夜も遅いので、奏太達は各々の部屋に戻り、寝床についたーー
ーー次の日、奏太達は永吉の店に行き、隆司と共に録音作業を行った。
「ヘイ Yo! 録音完成! これ大歓声! は間違いねえぜ! 今すぐにチェケラ!」
蓄音魔法により曲が保存された出来立てホヤホヤの蓄音箱を、隆司から受け取る。
曲はQue◯nのカバーだが、奏太達の記念すべきファーストシングルだ。
「Que◯nか~、懐かしいぜ~。俺も昔よく聴いたもんだ。
しかも本人の歌声で聴けるってのは中々贅沢だな!
これは楽器の修理だけじゃ申し訳ねえから、お礼に俺が作ったギターをお前らにやるよ!」
永吉も喜んでくれて何よりだ。しかもアコギまで貰えるとは。これから曲の幅も広がりそうだ。
「サンキュー。ちなみに蓄音箱って大体幾らくらいで売られているんだ?」
販売に当たり、この国での蓄音箱が大体どれくらいで売られているのか、それを元に価格を決めなければならない。
「そうですね。まず蓄音箱は小型、中型、大型と3種類ありまして、大きくなる程大きな魔力が必要になりますので、値段が高くなります。
王国音楽隊による蓄音箱ですと、中型で1つ金貨10枚から50枚程で取引されます。」
隆司がビジネスモードに入って答える。
予想していたよりも高い値段で取引されている事に、奏太が「おおっ!」と声を上げる。
「ですが、その他一般の音楽団や個人によるものですと、それより値段が下がります。おおそよ銀貨10枚から金貨5枚程です。」
要するにメジャーかインディーズかで販売価格が違うということか。どの世界も世知辛い。
「皆さんの場合ですと、音源を熱望している方がいらっしゃるということで、金貨1枚程で売れるかと思います。」
「まぁ、それくらいで売れるなら結構稼げそうだな。
ちなみにマージンの割合はどれくらいだ?」
ここら辺はいやらしい話になるが、一応確認しておかないと、後から揉める原因になる。
「まず売値の半分は王国に税金として取られます。
そして2割を、録音の報酬と今後の増産の費用として私が頂き、あとの3割を奏太さん達が受け取る事になります。」
「げっ。半分も国に持っていかれるのかよ。
金貨1枚の半分で、更にその3割となると、銀貨3枚か……。」
更にそれを3人で分けるとなると、たったの銀貨1枚。1食分の食費にはなるが、メンバーが増えれば更に取り分は減る。
CDの印税と比較すると非常に高く感じるが、生産は隆司一人が担い、販売ルートも限られるこの世界では、これだけで食っていくにはかなり厳しそうだ。
「でも私達の曲が色んな人に聴いて貰えると思うと、なんだか嬉しいですね!
私はまだ足踏みと手拍子だけですが……。」
「小生のギターが音源になるとは、感無量でござる!
響子殿もすぐ録音できるレベルになるでござるよ。」
響子と金重は前向きみたいだし、ここで落ち込んでいても仕方がないな。
地道にクエスト同行でライブ活動して、ファンを増やし、音源を売る、それもバンド活動の醍醐味ってやつだな!
「また次の曲が出来ましたら、いつでも呼んでください。
私も行商先で販促しますので、楽しみにしています。」
「ありがとう!じゃあ早速これを持って今日の冒険に出掛けるか!」
いつか街中で自分達の歌が流れる日を夢見て、奏太達は軽快に冒険者ギルドへと向かったーー
「へ? 律動さん?」
「ふお? 律動殿?」
奏太の声に、金重と響子も窓の方に目を向ける。
「確かに律動さんですね……。どうしてここにいるのでしょうか?」
「居残り練習でござるか?」
音楽隊の居残り練習だとしても、こんなところで練習しているのは腑に落ちない。
奏太は事情を確かめるため、防音室の扉を開いた。
「おい律動! こんなところで何してるんだよ!」
激しくドラムを叩く律動の背に向かって奏太が呼びかけると、それに気付いた律動がこちらに振り向いた。
「うわわわ! な、なんで君達がここに!?」
突然現れた奏太達に、律動が慌てふためく。
相変わらず汗の量が凄い。
こんなに汗をかいて脱水症状にならないのだろうか。
と、そんな事はどうでもいい。
「それはこっちの台詞だ! まさか律動もこの宿に泊まっているのか?」
もし律動がこの宿を利用しているのであれば、この防音室を使っているのにも納得がいく。
「僕がこんな所に宿泊している訳がないだろ! 僕の部屋はちゃんと城に用意されている!」
自分達が宿泊している宿をこんな所呼ばわりされた事に、奏太が少しムッとする。
「ならなんでここの防音室にいるんだよ。
しかもお前の担当のオーケストラシンバルじゃなくてドラムセットなんか叩いて。」
「それは……ぼ、僕の勝手だろう。ここにはちゃんとお金を払っているんだから。」
確かに個人練習の為に、城外で練習できる場所を借りている可能性は否定出来ないが、音楽隊の練習ならばドラムセットを叩く必要はない。
ここで奏太に一つの予測が立った。
「ーーお前、ひょっとしてオーケストラのパーカッションじゃなくて、ドラムセットを叩きたいんじゃないのか?」
もしそうだとしたら、律動が城内の音楽堂ではなく、わざわざここの防音室を借りてドラムセットを叩いているのにも合点がいく。
「も……もしそうだとしても君達には関係のない話だ!」
律動はドラムセットを空間魔法で片付けると、手から魔法で水を生み出し、ゴクゴクと飲みながら部屋を出ていった。
あ、そうやって水分補給しているのか。便利だなー。
魔法の使い方として間違っているような気もするが、金重の雷魔法で電子楽器を使っている自分達も似たようなものだ。
「何かあったのでしょうか……。」
「ふーむ、人の事はよく分からんでござるが……何かあるでござるな。」
宿を早足で出ていく律動の姿を、響子と金重が心配そうに見つめる。
もしドラムセットを叩きたいのであれば、バンドに誘うチャンスかもしれないが、なにせプライドの高い律動が、こちらの誘いに乗る可能性は低いだろう。
「あいつの事を気にしていても仕方がないし、今日のところはもう寝よう。」
「はい……。」
「そうでござるな。」
夜も遅いので、奏太達は各々の部屋に戻り、寝床についたーー
ーー次の日、奏太達は永吉の店に行き、隆司と共に録音作業を行った。
「ヘイ Yo! 録音完成! これ大歓声! は間違いねえぜ! 今すぐにチェケラ!」
蓄音魔法により曲が保存された出来立てホヤホヤの蓄音箱を、隆司から受け取る。
曲はQue◯nのカバーだが、奏太達の記念すべきファーストシングルだ。
「Que◯nか~、懐かしいぜ~。俺も昔よく聴いたもんだ。
しかも本人の歌声で聴けるってのは中々贅沢だな!
これは楽器の修理だけじゃ申し訳ねえから、お礼に俺が作ったギターをお前らにやるよ!」
永吉も喜んでくれて何よりだ。しかもアコギまで貰えるとは。これから曲の幅も広がりそうだ。
「サンキュー。ちなみに蓄音箱って大体幾らくらいで売られているんだ?」
販売に当たり、この国での蓄音箱が大体どれくらいで売られているのか、それを元に価格を決めなければならない。
「そうですね。まず蓄音箱は小型、中型、大型と3種類ありまして、大きくなる程大きな魔力が必要になりますので、値段が高くなります。
王国音楽隊による蓄音箱ですと、中型で1つ金貨10枚から50枚程で取引されます。」
隆司がビジネスモードに入って答える。
予想していたよりも高い値段で取引されている事に、奏太が「おおっ!」と声を上げる。
「ですが、その他一般の音楽団や個人によるものですと、それより値段が下がります。おおそよ銀貨10枚から金貨5枚程です。」
要するにメジャーかインディーズかで販売価格が違うということか。どの世界も世知辛い。
「皆さんの場合ですと、音源を熱望している方がいらっしゃるということで、金貨1枚程で売れるかと思います。」
「まぁ、それくらいで売れるなら結構稼げそうだな。
ちなみにマージンの割合はどれくらいだ?」
ここら辺はいやらしい話になるが、一応確認しておかないと、後から揉める原因になる。
「まず売値の半分は王国に税金として取られます。
そして2割を、録音の報酬と今後の増産の費用として私が頂き、あとの3割を奏太さん達が受け取る事になります。」
「げっ。半分も国に持っていかれるのかよ。
金貨1枚の半分で、更にその3割となると、銀貨3枚か……。」
更にそれを3人で分けるとなると、たったの銀貨1枚。1食分の食費にはなるが、メンバーが増えれば更に取り分は減る。
CDの印税と比較すると非常に高く感じるが、生産は隆司一人が担い、販売ルートも限られるこの世界では、これだけで食っていくにはかなり厳しそうだ。
「でも私達の曲が色んな人に聴いて貰えると思うと、なんだか嬉しいですね!
私はまだ足踏みと手拍子だけですが……。」
「小生のギターが音源になるとは、感無量でござる!
響子殿もすぐ録音できるレベルになるでござるよ。」
響子と金重は前向きみたいだし、ここで落ち込んでいても仕方がないな。
地道にクエスト同行でライブ活動して、ファンを増やし、音源を売る、それもバンド活動の醍醐味ってやつだな!
「また次の曲が出来ましたら、いつでも呼んでください。
私も行商先で販促しますので、楽しみにしています。」
「ありがとう!じゃあ早速これを持って今日の冒険に出掛けるか!」
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