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1章
4サビ-鎮静
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馬車の列の前方では、兵士とクレッチ達が盗賊団と激しく戦闘を繰り広げている。
流石は王国兵士達、陣形を崩さず、盗賊を国王の馬車へ一歩も寄せ付けない。
突撃を繰り出す盗賊の馬を攻撃し、落馬を果敢に狙う。
クレッチのパーティも、盗賊の剣を華麗に受け流しつつ、敵を勢いづかせない。
冒険者とは言っても流石はランク8。
武器を持った相手との戦い方を心得ている。
だがーー
「くっ……!やはり数の面でやや不利か……!」
数で攻めてくる盗賊団に、味方が徐々に押され始めている。
このままではいずれ守りを崩される。
どうにか敵の勢いを弱めないと……!
敵の剣を抑えながら、クレッチが対策にあぐねているとーー
『ジャーンジャーン ジャーンジャーン ジャーンジャカジャーン♪』
ーー後ろから何やら楽器の音が聴こえる。
クレッチが音の方に目を向ける。
すると、奏太達が馬車を離れて演奏を始めている。
「まさか彼等、あれだけ言ったのに……!」
確かに奏太達の音楽を聴けば、兵士達や自分のパーティは力が湧くかもしれない。
だがそれは敵も同じ事。
奏太達が自分の忠告を無視して出てきた事に、クレッチが焦りの表情を浮かべる。
ところが演奏に耳を傾けていると、冒険者ギルドで聴いたときとは何やら違った印象を覚える。
ギルドで聴いた時は、初めて聴く音に心の奥から熱い感情が沸き上がった。
だが今は何も起こらない。
いや、それどころか気持ちがどんどん静まっていく。
曲がAメロに入り、奏太が歌い始めると、他のパーティメンバーや兵士達もそれに気付き、戦いを辞めて演奏に聴き入り始めた。
「この音楽はなんだ……? 戦う気持ちが薄れていく……。」
「凄く心地良い音色だ……。」
響子と金重の演奏が加わる頃には、全員が戦いの手を止めて、流れるメロディに身を預けている。
「おい、コイツら急に大人しくなりやがったぜ!
今のうち、に……。」
兵士達が大人しくなった隙に攻め込もうと、盗賊達が躍起になるが、何故か戦意が失われていく。
「なんだか知らねえけど、心が穏やかになって、いく……。」
「あれ……なんでだ……この音を聴いてると、かーちゃんの事を思い出す……。」
気付けば敵味方全員が、静かに奏太達の演奏に"Let it be"(身を委ねて)いた。
「お父様、一体何が起こったのでしょうか……。」
アイバニーゼが事態に気付き、国王に尋ねる。
国王はただ黙って奏太達の演奏に聴き入っている。
穏やかに、だがどこか遠い目で、奏太達の演奏を見つめる。
アイバニーゼも演奏に耳を傾ける。
聴いたことのない、だけどどこか懐かしい。そんな気持ちがアイバニーゼの胸に広がる。
間奏に入ると、金重のギターソロが鳴る。
城で演奏した時とは異なる、コーラスエフェクトの効いたクランチギターの音色が、しっとりと戦場に響き渡る。
そして今回は、響子が奏でる重低音が合わさり、ギターの音色に厚みが増している。
「同じ楽器で、ここまで違った音色を奏でられるなんて……。」
アイバニーゼが前回とは全く異なる、ギターの音色に感動する。
また、響子も城で演奏した楽器とは異なる、低音の楽器を演奏している事にも驚かされる。
人はこうも短期間で、別の楽器を弾けるようになるのだろうか。
そして何よりーー
「Let it be~ Let it be~ Let it be~♪」
(奏太様がこんなにも美しい歌声をお持ちだったなんて……。)
アコースティック・ギターを弾きながら歌う奏太の姿に、アイバニーゼは目が釘付けになったーー
「うう……、俺なんで盗賊なんてやってんだろう……。」
「かーちゃん……かーちゃあぁぁん……。」
仕舞いには、盗賊達が武器を捨て、地面に伏し始めた。
剣王軍の時もそうだったが、ひょっとしたら荒くれ者達の方がロックへの感受性が高いのかもしれない。
城ではウケが悪かったが、見た目の乱暴そうな奴等ほど奏太達の演奏に素直な反応を見せる。
奏太が周囲の反応を見ながら歌っていると、曲は終盤に差し掛かった。
奏太が裏声でラストを歌い上げ、3人は顔を見合わせながら、演奏を締めくくったーー
楽器の音が止むのを待たずに、兵士やクレッチ達が拍手で奏太達の演奏に賛辞を送った。
その後ろでは盗賊達が「ヒックヒック」と泣き崩れている。
とにもかくにも、今度の作戦も大成功に終わったようだーー
ーーそれから一行は、再び馬車に乗って隣国へと向かっていた。
「いや~あんなことまで出来るなんて、やっぱり君達に同行して貰って大正解だったよ!」
「そ、そりゃどうも。」
クレッチが大喜びで奏太の肩を叩く。
盗賊団は兵士達が捕縛し、連行している。
とは言っても、奴等に襲いかかるような意思はもうないようだがーー
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『あなた達のお蔭で目を覚ましました。ありがとうございます。』
『足を洗って、母のいる故郷へ帰ります。今後は親孝行出来るよう心を入れ替えます。』
連行される際、盗賊達はキラキラと晴れやかな表情で奏太達にお礼を述べていった。
兵士や冒険者達も、奏太達の元へ我先にと押し寄せ、賛辞や質問を投げ掛けた。
『君達は国王を救った英雄だ!』
『あれはなんて言う音楽なんだ!?』
『是非とも軍に入隊してくれ!』
『いや、こっちのパーティに加入してくれ!』
今度は奏太達を巡って暴動が起きそうになったので、まさかこれはもう一度演奏する羽目になるのか? と奏太が焦っているとーー
『ーーごほん。響子殿、金重殿、奏太殿。先程は危ないところを救って貰い、感謝する。
そなた等には国に戻ってから正式に礼をしよう。
ところで、そろそろ出発せねばならぬのだが……。』
国王の感謝の言葉に、奏太達が頭を下げて返礼する。
それを聞いて、兵士やクレッチ達は慌てて旅を再開する準備に取り掛かった。
やはり、相変わらず国王は常に冷静なようだ。奏太達の演奏を聴いても、特段変化はない。
少しくらい反応を見せてくれても良いのだが……。
その横で、アイバニーゼがポーッと顔を赤らめながら奏太に熱い視線を送っているのだが、奏太がそれに気付く様子は全くない。
国王から演奏への反応が見られない事に、若干悔しさを抱きつつも、お礼を貰えるという言葉に満足し、奏太達は旅を再開したーー
流石は王国兵士達、陣形を崩さず、盗賊を国王の馬車へ一歩も寄せ付けない。
突撃を繰り出す盗賊の馬を攻撃し、落馬を果敢に狙う。
クレッチのパーティも、盗賊の剣を華麗に受け流しつつ、敵を勢いづかせない。
冒険者とは言っても流石はランク8。
武器を持った相手との戦い方を心得ている。
だがーー
「くっ……!やはり数の面でやや不利か……!」
数で攻めてくる盗賊団に、味方が徐々に押され始めている。
このままではいずれ守りを崩される。
どうにか敵の勢いを弱めないと……!
敵の剣を抑えながら、クレッチが対策にあぐねているとーー
『ジャーンジャーン ジャーンジャーン ジャーンジャカジャーン♪』
ーー後ろから何やら楽器の音が聴こえる。
クレッチが音の方に目を向ける。
すると、奏太達が馬車を離れて演奏を始めている。
「まさか彼等、あれだけ言ったのに……!」
確かに奏太達の音楽を聴けば、兵士達や自分のパーティは力が湧くかもしれない。
だがそれは敵も同じ事。
奏太達が自分の忠告を無視して出てきた事に、クレッチが焦りの表情を浮かべる。
ところが演奏に耳を傾けていると、冒険者ギルドで聴いたときとは何やら違った印象を覚える。
ギルドで聴いた時は、初めて聴く音に心の奥から熱い感情が沸き上がった。
だが今は何も起こらない。
いや、それどころか気持ちがどんどん静まっていく。
曲がAメロに入り、奏太が歌い始めると、他のパーティメンバーや兵士達もそれに気付き、戦いを辞めて演奏に聴き入り始めた。
「この音楽はなんだ……? 戦う気持ちが薄れていく……。」
「凄く心地良い音色だ……。」
響子と金重の演奏が加わる頃には、全員が戦いの手を止めて、流れるメロディに身を預けている。
「おい、コイツら急に大人しくなりやがったぜ!
今のうち、に……。」
兵士達が大人しくなった隙に攻め込もうと、盗賊達が躍起になるが、何故か戦意が失われていく。
「なんだか知らねえけど、心が穏やかになって、いく……。」
「あれ……なんでだ……この音を聴いてると、かーちゃんの事を思い出す……。」
気付けば敵味方全員が、静かに奏太達の演奏に"Let it be"(身を委ねて)いた。
「お父様、一体何が起こったのでしょうか……。」
アイバニーゼが事態に気付き、国王に尋ねる。
国王はただ黙って奏太達の演奏に聴き入っている。
穏やかに、だがどこか遠い目で、奏太達の演奏を見つめる。
アイバニーゼも演奏に耳を傾ける。
聴いたことのない、だけどどこか懐かしい。そんな気持ちがアイバニーゼの胸に広がる。
間奏に入ると、金重のギターソロが鳴る。
城で演奏した時とは異なる、コーラスエフェクトの効いたクランチギターの音色が、しっとりと戦場に響き渡る。
そして今回は、響子が奏でる重低音が合わさり、ギターの音色に厚みが増している。
「同じ楽器で、ここまで違った音色を奏でられるなんて……。」
アイバニーゼが前回とは全く異なる、ギターの音色に感動する。
また、響子も城で演奏した楽器とは異なる、低音の楽器を演奏している事にも驚かされる。
人はこうも短期間で、別の楽器を弾けるようになるのだろうか。
そして何よりーー
「Let it be~ Let it be~ Let it be~♪」
(奏太様がこんなにも美しい歌声をお持ちだったなんて……。)
アコースティック・ギターを弾きながら歌う奏太の姿に、アイバニーゼは目が釘付けになったーー
「うう……、俺なんで盗賊なんてやってんだろう……。」
「かーちゃん……かーちゃあぁぁん……。」
仕舞いには、盗賊達が武器を捨て、地面に伏し始めた。
剣王軍の時もそうだったが、ひょっとしたら荒くれ者達の方がロックへの感受性が高いのかもしれない。
城ではウケが悪かったが、見た目の乱暴そうな奴等ほど奏太達の演奏に素直な反応を見せる。
奏太が周囲の反応を見ながら歌っていると、曲は終盤に差し掛かった。
奏太が裏声でラストを歌い上げ、3人は顔を見合わせながら、演奏を締めくくったーー
楽器の音が止むのを待たずに、兵士やクレッチ達が拍手で奏太達の演奏に賛辞を送った。
その後ろでは盗賊達が「ヒックヒック」と泣き崩れている。
とにもかくにも、今度の作戦も大成功に終わったようだーー
ーーそれから一行は、再び馬車に乗って隣国へと向かっていた。
「いや~あんなことまで出来るなんて、やっぱり君達に同行して貰って大正解だったよ!」
「そ、そりゃどうも。」
クレッチが大喜びで奏太の肩を叩く。
盗賊団は兵士達が捕縛し、連行している。
とは言っても、奴等に襲いかかるような意思はもうないようだがーー
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『あなた達のお蔭で目を覚ましました。ありがとうございます。』
『足を洗って、母のいる故郷へ帰ります。今後は親孝行出来るよう心を入れ替えます。』
連行される際、盗賊達はキラキラと晴れやかな表情で奏太達にお礼を述べていった。
兵士や冒険者達も、奏太達の元へ我先にと押し寄せ、賛辞や質問を投げ掛けた。
『君達は国王を救った英雄だ!』
『あれはなんて言う音楽なんだ!?』
『是非とも軍に入隊してくれ!』
『いや、こっちのパーティに加入してくれ!』
今度は奏太達を巡って暴動が起きそうになったので、まさかこれはもう一度演奏する羽目になるのか? と奏太が焦っているとーー
『ーーごほん。響子殿、金重殿、奏太殿。先程は危ないところを救って貰い、感謝する。
そなた等には国に戻ってから正式に礼をしよう。
ところで、そろそろ出発せねばならぬのだが……。』
国王の感謝の言葉に、奏太達が頭を下げて返礼する。
それを聞いて、兵士やクレッチ達は慌てて旅を再開する準備に取り掛かった。
やはり、相変わらず国王は常に冷静なようだ。奏太達の演奏を聴いても、特段変化はない。
少しくらい反応を見せてくれても良いのだが……。
その横で、アイバニーゼがポーッと顔を赤らめながら奏太に熱い視線を送っているのだが、奏太がそれに気付く様子は全くない。
国王から演奏への反応が見られない事に、若干悔しさを抱きつつも、お礼を貰えるという言葉に満足し、奏太達は旅を再開したーー
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