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1章
5A-卒業
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いやいやいや何言ってんだ急に俺!?
キザな台詞を吐こうと思ったのに、汚い言葉がボロボロ出てくる。
シド・ヴ◯シャスに変身した奏太が、予想していなかった精霊魔法の効果に慌てているとーー
「うわぁ~! 本当に、本物のシド様ですぅ~!どうしてこんな所にいるのですかぁ~?
はっ!ひょっとして、私のシド様への愛が届いて、私の目の前に現れてくださったんですね!
感激です~! うえ~ん!」
響子が喜びの余り、泣きながらシド・ヴ◯シャス、もとい奏太の体に抱きついた。
む、胸! 胸が押し付けられるぅ~!
と、とりあえず響子さんを落ち着かせないと……!
初めて女性の胸が体に触れた事に奏太は歓喜するが、このままだと息子が暴発してしまいそうなのと、周りの視線が痛いのとで、一旦冷静さを取り戻す事に努める。
「おい腐れ売女。ここで公開プレイも良いが、そんなに焦んじゃねーよ。」
またもや思いもしない下劣な言葉が奏太の口から出てくる。
このままでは響子さんに幻滅されて、折角のチャンスをふいにしてしまう。
奏太は言動をコントロール出来ずに焦る。
しかし、当の響子はシド・ヴ◯シャスの罵りに、寧ろ幸悦の表情を浮かべている。
「ーーはっ! し、失礼しました!私ったらシド様になんてはしたない事を……。」
響子が取り乱してしまったことに後悔し、オロオロと下を向く。
「気にしなくていいぜLittle Pussy。そんな事よりもっとそのデカくて柔らかいやつを俺に押し付けてくれよ。」
あああああーっ!何言ってんだ俺はあああああ!!
どんどん過激化していく言動を止められず、奏太が頭を抱える。
いや待て俺! 俺は今シド・ヴ◯シャスなんだ。過激な言動もこの姿なら響子にとっては寧ろ好感な筈!
自信を持て!俺はシド・ヴ◯シャスだ!
奏太が思い直し、チラリと響子を見ると、響子は顔を赤らめつつも、潤んだ目でこちらを見ている。
いよし! 成功だ! これでいい!
奏太が心の中でガッツポーズを決める。
「あ、あの、えっと……。シド様にこの身を捧げられるのは凄く嬉しいのですが、ここだとちょっと恥ずかしいので……、その、今から私の部屋に、来て頂けますか?」
『ドクン』
奏太の心臓が一段と強く鼓動を打った。
とうとうこの日が来た。まさかこんなにも上手く行くとは。
苦節20年、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、ようやく努力が報われ、卒業の日がやってきた。
今までの苦渋の日々を思い返しながら、奏太の脳内には『仰げば尊し』が奏太を祝福するように流れた。
2人は食事の会計を済ませると、2人の愛の園へと向かっていったーー
宿に戻ると、そのまま2人で響子の部屋に入り、奏太は今響子のベッドに座っている。
浴室からは、響子のシャワーを浴びる音が聞こえる。
『ドックン、ドックン』
あれから奏太の心臓はどんどん高速にビートが刻まれていく。
落ち着け、落ち着け、最初が肝心だ。
ここでつまずいて上手く出来なくなり終わってしまう奴が多いと聞く。
奏太は鞄から赤ポーションと青ポーションの両方を取り出し、勢いよく飲み干した。
よし。これで体力と魔力の面はOKだ。
あとはメンタルだがーー
奏太が精神を落ち着けるよう、「ふぅーっ」と深呼吸を繰り返していると、響子が浴室から戻ってきた。
見ると、濡れた髪が肌に吸い付き、体にはタオルを巻いているだけで、隙間から白く透き通った肌が見え隠れしている。
響子は恥ずかしそうにしながら、タオルがはだけないよう、両手で胸元を押さえている。
その豊満な胸が今にもほどきそうに、薄いタオルを押し上げている。
こ、これはヤバイ……。
幾ら童貞でも、これを目の当たりにして冷静でいるのは不可能だ。奏太の腹の奥底から、欲情が沸き立てられる。
「中々ホットな子猫じゃねーか。こっちに来いよ。俺様が隅々まで可愛がってやるよ。」
こんな台詞、変身してなきゃ絶対に出てこないな……。
奏太はシド・ヴ◯シャスに感謝しながら、響子と一夜を遂げる覚悟を決めた。
「は、はい……。ではその前にーー」
ガバリと襲い掛かろうとする奏太に、響子が待ったをかける。
おいおいこんなところでお預けかよ……。
「おいおいこんなところでお預けかよ……。」
今回は奏太の心の声と実際の声が一致する。乙女には色々準備するものがあるのだろうかと、待ちきれない思いを抑えながら見ていると、響子が何やら鞄をガサゴソと漁り始めた。
「これを一緒に飲みましょう!」
響子は笑顔で奏太の前に透明な袋に包まれた、謎の白い粉を差し出した。
んんっ!? なんだこれは?
見たこともない粉だけど……なんだかスゲー怪しそうな雰囲気をビシバシと感じる。
「実はさっき宿に向かう途中路地裏で、『飲めば最高にハイになれる』というお薬が売られていたので買ったんです!
シド様ならきっと気に入ってくださると思って!」
いやいやいやいやヤバイヤバイヤバイよー。絶対ヤバイやつだよこれー。
そういえば来る途中どこか寄ってたけど、何どこからどう見てもヤバそうなもの買ってんだよー。
何この子『セックス・ドラッグ・ロックンロール』を地でいこうとしてんだよー。
響子の手の中にあるものが何なのか悟り、奏太は後ろにたじろいだ。
「私は今年で21歳、つまりシド様がお亡くなりになった時と同い年なんです。ですから、今年中に少しでもシド様に近付きたいと思っていたんですよ。でもそのためにはシド様と同じ生き方をしなければいけないじゃないですか? シド様に近付いて、シド様と同じように死んだ時、初めてシド様と一つになれると思うんです。ですから今ここで、シド様と同じ事をして、シド様と同じ気持ちを味わって、シド様にこの身を捧げて、シド様と一つになって、シド様と死ねるなんて、私は最高に幸せです。シド様、これを飲んで私と一つになって、一緒にHELLへ行きましょう?」
突然響子が早口でシド・ヴ◯シャスへの思いを語りながら、奏太に迫ってきた。
ひいいいいいい! ヤバイ! 目がイってる!響子さんガチだ! ガチ過ぎる! 流石にこれは童貞にはハードルが高すぎる!
奏太は身の危険を感じ、慌ててベッドから転げ落ちる。
「待ってくださいシド様。どうして逃げるのですか。こんなに愛しているのに。まだ私の愛が足りませんか? でしたらどうぞ、この剣で私を好きなだけ甚振ってください。シド様が満足ゆくまで、私をこの剣で突き刺してください。」
響子が危険な笑顔を浮かべながら、奏太に向かって装備の剣を差し出す。
駄目だこいつ……早くなんとかしないと……。
初めは「計画通り」と言わんばかりに、事が上手く運んで大喜びしていた奏太も、響子の狂いっぷりに危機感を覚える。
なんとか響子を説得して、狂気を止めさせるしかない。
奏太は意を決して、迫り来る響子の肩を掴んだ。
「ああっ……! シド様とついに一つに……!」
響子はようやくシドに自分を受け入れて貰えたと思い、歓喜の声を上げる。
すると、奏太はゆっくり口を開いて、響子に語りかけたーー
「ーー君は俺様を真似しちゃいけねぇ。パンクってのは誰かの真似事じゃねえんだ。
己の心の内側から沸き上がる感情や不満を、何にも飾らずに世間にぶつけてやるのがパンクだ。
君のやりたいことは本当にそれなのか? 君が親に逆らってまでやりたかったことは何だ?
こんなクソッタレなジャンキーに身を捧げて滅ぶ事か?
今君の心から沸き上がる本物の感情は何だ!?」
奏太は今の言葉が、果たしてシド・ヴ◯シャスの言葉なのか、自分の言葉なのか分からなかった。
だが、どうやら奏太の口から発せられた言葉は、響子の心に響いたようだ。
響子は呆然と立ち尽くしながら目を見開き、何かに気付いたように自分の心を見つめた。
「私が……、本当にやりたいこと……。それは……!
ロックンロー……るぅ。」
そのまま響子はバタンとベッドに倒れ、すやすやと寝息を立てた。
「た、助かった……。」
窮地を脱した奏太は、ヘナヘナと床に座り込んだ。
少し惜しい気もしたが、やはり邪な事はするものではないと反省し、裸で眠る響子の体に優しく布団を被せると、そっと部屋を後にしたーー
キザな台詞を吐こうと思ったのに、汚い言葉がボロボロ出てくる。
シド・ヴ◯シャスに変身した奏太が、予想していなかった精霊魔法の効果に慌てているとーー
「うわぁ~! 本当に、本物のシド様ですぅ~!どうしてこんな所にいるのですかぁ~?
はっ!ひょっとして、私のシド様への愛が届いて、私の目の前に現れてくださったんですね!
感激です~! うえ~ん!」
響子が喜びの余り、泣きながらシド・ヴ◯シャス、もとい奏太の体に抱きついた。
む、胸! 胸が押し付けられるぅ~!
と、とりあえず響子さんを落ち着かせないと……!
初めて女性の胸が体に触れた事に奏太は歓喜するが、このままだと息子が暴発してしまいそうなのと、周りの視線が痛いのとで、一旦冷静さを取り戻す事に努める。
「おい腐れ売女。ここで公開プレイも良いが、そんなに焦んじゃねーよ。」
またもや思いもしない下劣な言葉が奏太の口から出てくる。
このままでは響子さんに幻滅されて、折角のチャンスをふいにしてしまう。
奏太は言動をコントロール出来ずに焦る。
しかし、当の響子はシド・ヴ◯シャスの罵りに、寧ろ幸悦の表情を浮かべている。
「ーーはっ! し、失礼しました!私ったらシド様になんてはしたない事を……。」
響子が取り乱してしまったことに後悔し、オロオロと下を向く。
「気にしなくていいぜLittle Pussy。そんな事よりもっとそのデカくて柔らかいやつを俺に押し付けてくれよ。」
あああああーっ!何言ってんだ俺はあああああ!!
どんどん過激化していく言動を止められず、奏太が頭を抱える。
いや待て俺! 俺は今シド・ヴ◯シャスなんだ。過激な言動もこの姿なら響子にとっては寧ろ好感な筈!
自信を持て!俺はシド・ヴ◯シャスだ!
奏太が思い直し、チラリと響子を見ると、響子は顔を赤らめつつも、潤んだ目でこちらを見ている。
いよし! 成功だ! これでいい!
奏太が心の中でガッツポーズを決める。
「あ、あの、えっと……。シド様にこの身を捧げられるのは凄く嬉しいのですが、ここだとちょっと恥ずかしいので……、その、今から私の部屋に、来て頂けますか?」
『ドクン』
奏太の心臓が一段と強く鼓動を打った。
とうとうこの日が来た。まさかこんなにも上手く行くとは。
苦節20年、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、ようやく努力が報われ、卒業の日がやってきた。
今までの苦渋の日々を思い返しながら、奏太の脳内には『仰げば尊し』が奏太を祝福するように流れた。
2人は食事の会計を済ませると、2人の愛の園へと向かっていったーー
宿に戻ると、そのまま2人で響子の部屋に入り、奏太は今響子のベッドに座っている。
浴室からは、響子のシャワーを浴びる音が聞こえる。
『ドックン、ドックン』
あれから奏太の心臓はどんどん高速にビートが刻まれていく。
落ち着け、落ち着け、最初が肝心だ。
ここでつまずいて上手く出来なくなり終わってしまう奴が多いと聞く。
奏太は鞄から赤ポーションと青ポーションの両方を取り出し、勢いよく飲み干した。
よし。これで体力と魔力の面はOKだ。
あとはメンタルだがーー
奏太が精神を落ち着けるよう、「ふぅーっ」と深呼吸を繰り返していると、響子が浴室から戻ってきた。
見ると、濡れた髪が肌に吸い付き、体にはタオルを巻いているだけで、隙間から白く透き通った肌が見え隠れしている。
響子は恥ずかしそうにしながら、タオルがはだけないよう、両手で胸元を押さえている。
その豊満な胸が今にもほどきそうに、薄いタオルを押し上げている。
こ、これはヤバイ……。
幾ら童貞でも、これを目の当たりにして冷静でいるのは不可能だ。奏太の腹の奥底から、欲情が沸き立てられる。
「中々ホットな子猫じゃねーか。こっちに来いよ。俺様が隅々まで可愛がってやるよ。」
こんな台詞、変身してなきゃ絶対に出てこないな……。
奏太はシド・ヴ◯シャスに感謝しながら、響子と一夜を遂げる覚悟を決めた。
「は、はい……。ではその前にーー」
ガバリと襲い掛かろうとする奏太に、響子が待ったをかける。
おいおいこんなところでお預けかよ……。
「おいおいこんなところでお預けかよ……。」
今回は奏太の心の声と実際の声が一致する。乙女には色々準備するものがあるのだろうかと、待ちきれない思いを抑えながら見ていると、響子が何やら鞄をガサゴソと漁り始めた。
「これを一緒に飲みましょう!」
響子は笑顔で奏太の前に透明な袋に包まれた、謎の白い粉を差し出した。
んんっ!? なんだこれは?
見たこともない粉だけど……なんだかスゲー怪しそうな雰囲気をビシバシと感じる。
「実はさっき宿に向かう途中路地裏で、『飲めば最高にハイになれる』というお薬が売られていたので買ったんです!
シド様ならきっと気に入ってくださると思って!」
いやいやいやいやヤバイヤバイヤバイよー。絶対ヤバイやつだよこれー。
そういえば来る途中どこか寄ってたけど、何どこからどう見てもヤバそうなもの買ってんだよー。
何この子『セックス・ドラッグ・ロックンロール』を地でいこうとしてんだよー。
響子の手の中にあるものが何なのか悟り、奏太は後ろにたじろいだ。
「私は今年で21歳、つまりシド様がお亡くなりになった時と同い年なんです。ですから、今年中に少しでもシド様に近付きたいと思っていたんですよ。でもそのためにはシド様と同じ生き方をしなければいけないじゃないですか? シド様に近付いて、シド様と同じように死んだ時、初めてシド様と一つになれると思うんです。ですから今ここで、シド様と同じ事をして、シド様と同じ気持ちを味わって、シド様にこの身を捧げて、シド様と一つになって、シド様と死ねるなんて、私は最高に幸せです。シド様、これを飲んで私と一つになって、一緒にHELLへ行きましょう?」
突然響子が早口でシド・ヴ◯シャスへの思いを語りながら、奏太に迫ってきた。
ひいいいいいい! ヤバイ! 目がイってる!響子さんガチだ! ガチ過ぎる! 流石にこれは童貞にはハードルが高すぎる!
奏太は身の危険を感じ、慌ててベッドから転げ落ちる。
「待ってくださいシド様。どうして逃げるのですか。こんなに愛しているのに。まだ私の愛が足りませんか? でしたらどうぞ、この剣で私を好きなだけ甚振ってください。シド様が満足ゆくまで、私をこの剣で突き刺してください。」
響子が危険な笑顔を浮かべながら、奏太に向かって装備の剣を差し出す。
駄目だこいつ……早くなんとかしないと……。
初めは「計画通り」と言わんばかりに、事が上手く運んで大喜びしていた奏太も、響子の狂いっぷりに危機感を覚える。
なんとか響子を説得して、狂気を止めさせるしかない。
奏太は意を決して、迫り来る響子の肩を掴んだ。
「ああっ……! シド様とついに一つに……!」
響子はようやくシドに自分を受け入れて貰えたと思い、歓喜の声を上げる。
すると、奏太はゆっくり口を開いて、響子に語りかけたーー
「ーー君は俺様を真似しちゃいけねぇ。パンクってのは誰かの真似事じゃねえんだ。
己の心の内側から沸き上がる感情や不満を、何にも飾らずに世間にぶつけてやるのがパンクだ。
君のやりたいことは本当にそれなのか? 君が親に逆らってまでやりたかったことは何だ?
こんなクソッタレなジャンキーに身を捧げて滅ぶ事か?
今君の心から沸き上がる本物の感情は何だ!?」
奏太は今の言葉が、果たしてシド・ヴ◯シャスの言葉なのか、自分の言葉なのか分からなかった。
だが、どうやら奏太の口から発せられた言葉は、響子の心に響いたようだ。
響子は呆然と立ち尽くしながら目を見開き、何かに気付いたように自分の心を見つめた。
「私が……、本当にやりたいこと……。それは……!
ロックンロー……るぅ。」
そのまま響子はバタンとベッドに倒れ、すやすやと寝息を立てた。
「た、助かった……。」
窮地を脱した奏太は、ヘナヘナと床に座り込んだ。
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