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1章
8B-エルフの村
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馬の滑走跳躍に身を預けながら、奏太達が森の中を進んでいると、目の前に開けた空間が見えてきた。
『着いたぞ。あれが私達の住む村だ。』
そこには煩雑に組まれた草木の門があり、その周囲を簡素な木の柵が囲っている。
馬が立ち止まると、エルフ達が地に降りる。
奏太達も後に続いて馬を降りようとするが、中々上手くいかない。
奏太と響子が馬にしがみつきながら、ようやく地面に足を付ける頃、金重は「わわわわっ!」と悲鳴を上げ、『ドシン』と尻から落馬した。
「ーー皆、戻ったぞ! 私達に協力してくれる冒険者を連れてきた!」
セイビアが門を潜り、広場に向かって声を上げると、小さな小屋のような建物から、ゾロゾロとエルフ達が集まってきた。
どうやら念話は不要のようだ。
大声を上げれば村中に聞こえそうなほどに、こじんまりとしている。
エルフの森っていうから、巨大な古代樹と崖に降り立つ山廊を想像したけど、随分質素な村だな……。
「昔は立派な樹と城があったのだが、度重なる襲撃に転々と棲み家を移って、今のような小さな村になったんだ。」
奏太の思考を読んだかのようにセイビアが答え、奏太はまだ念話の魔法が解けていないのかと、慌てて頭を振る。
「ははは。安心してくれ。念話の魔法は対象に語りかける意思がなければ思考は伝わらない。
今のは君の考えが表情に出ていたから答えただけだよ。」
常に思考が筒抜けになる訳ではないと知り安堵するが、それでも顔に出てしまっていた事に奏太が赤面する。
「セイビア帰ったか!」
「ああ……! 心配したわセイビア!」
奥からセイビアと同じ青い長髪の男が出てきた。その雰囲気から察するに、ここの長老なのだろう。
その隣には妻らしき金髪の女性が寄り添っている。
だが2人共セイビアの親というよりは、兄弟のように若い見た目をしている。
流石は長寿のエルフといったところか。他のエルフ達も皆若々しい。そして何より美男美女揃いだ。
「それでーーそこに居る人間達が、今回我々に助力して頂ける冒険者か?」
「父上、彼等は冒険者にしてヴィシュガルド王国の騎士でもあられる。きっとダークエルフ達を鎮めてくれるに違いない!」
周囲を囲うエルフ達が「おおっ」と感嘆の声を上げる。
「なんと! それは心強い! 私は族長のパウルだ。ご協力感謝致す、騎士殿!」
「妻のパイスと申します。どうかエルフをお救いください……騎士様!」
「ど、どうも……。」
エルフ達の期待の眼差しに、奏太はプレッシャーを覚える。
「とりあえず今日は疲れただろうし、ダークエルフへの交渉は明日行うから、今日のところは村で休んで、英気を養ってくれ!
皆! 客人をもてなすぞ!」
「「騎士様! 騎士様!騎士様!」」
セイビアが周囲を煽ると、不安な奏太を他所にエルフ達が歓迎ムードを高めたーー
ーー村の広場で、エルフ達による歓迎の宴が開かれる。
高く積まれた薪に火をつけ、その周りを囲うようにエルフ達が座り、盃を交わす。
「ーー騎士様、エルフのワインはお口に合いますか?」
パイスが奏太に果物を配膳しながら尋ねた。
「はい。とても美味しいです。」
口に広がる芳醇な香りに、奏太は素直に賛辞を送る。
「それは良かった。このワインは村で育てているブドウで作ったもだ。」
隣に座るパウルも、同じワインを飲みながら奏太に説明する。
「へぇ~、エルフはブドウの栽培を行っているのか。」
「はい。我々エルフは果物だけを食し、人間のように穀物や肉を食したりはしません。」
道理で出される食べ物が果物ばかりな訳だ。
正直果物だけというのは物足りないが、まあ上手く行けば明日には帰れるだろうし、少しの間の辛抱だ。
奏太は空腹を誤魔化すように、果物を口に放り込むと、ワインでグビグビと流し込んだ。
そういえば響子さんと金重は……?
先程から姿の見えない2人を探すと、酔っぱらいながらキャンプファイヤーの周りでセイビアと踊っている。
その横では、エルフがハープを奏でて場を盛り上げている。
明日は敵陣に乗り込むというのに、随分と暢気だな……。
楽しそうに盛り上がる皆の様子を、奏太が心配そうに見つめた。
「あの子は周りを不安にさせまいと、ああやって皆の心を和ませているのだ。」
「普段は気丈に振る舞っていますが、セイビアは誰よりも周りを気にかける、心優しい子なのです。ですが本当はあの子も不安を感じている筈です……。」
言われてみれば、冒険者ギルドで見たときも沈んでいたな……。
「元々か弱かったセイビアが、強気に振る舞うようになったのは、私達が不甲斐ないせいだ……。」
「騎士様、どうかあの子を、セイビアをお守りください。」
セイビアの両親が奏太に向かって深々と頭を下げた。
それまで及び腰だった奏太も、2人の言葉を受けて背筋が伸びる。
ここで弱腰な返答をするのは流石の奏太も気が引けた。
奏太は気を引き締めるように、腰に下げる騎士の剣をギュッと握ったーー
『着いたぞ。あれが私達の住む村だ。』
そこには煩雑に組まれた草木の門があり、その周囲を簡素な木の柵が囲っている。
馬が立ち止まると、エルフ達が地に降りる。
奏太達も後に続いて馬を降りようとするが、中々上手くいかない。
奏太と響子が馬にしがみつきながら、ようやく地面に足を付ける頃、金重は「わわわわっ!」と悲鳴を上げ、『ドシン』と尻から落馬した。
「ーー皆、戻ったぞ! 私達に協力してくれる冒険者を連れてきた!」
セイビアが門を潜り、広場に向かって声を上げると、小さな小屋のような建物から、ゾロゾロとエルフ達が集まってきた。
どうやら念話は不要のようだ。
大声を上げれば村中に聞こえそうなほどに、こじんまりとしている。
エルフの森っていうから、巨大な古代樹と崖に降り立つ山廊を想像したけど、随分質素な村だな……。
「昔は立派な樹と城があったのだが、度重なる襲撃に転々と棲み家を移って、今のような小さな村になったんだ。」
奏太の思考を読んだかのようにセイビアが答え、奏太はまだ念話の魔法が解けていないのかと、慌てて頭を振る。
「ははは。安心してくれ。念話の魔法は対象に語りかける意思がなければ思考は伝わらない。
今のは君の考えが表情に出ていたから答えただけだよ。」
常に思考が筒抜けになる訳ではないと知り安堵するが、それでも顔に出てしまっていた事に奏太が赤面する。
「セイビア帰ったか!」
「ああ……! 心配したわセイビア!」
奥からセイビアと同じ青い長髪の男が出てきた。その雰囲気から察するに、ここの長老なのだろう。
その隣には妻らしき金髪の女性が寄り添っている。
だが2人共セイビアの親というよりは、兄弟のように若い見た目をしている。
流石は長寿のエルフといったところか。他のエルフ達も皆若々しい。そして何より美男美女揃いだ。
「それでーーそこに居る人間達が、今回我々に助力して頂ける冒険者か?」
「父上、彼等は冒険者にしてヴィシュガルド王国の騎士でもあられる。きっとダークエルフ達を鎮めてくれるに違いない!」
周囲を囲うエルフ達が「おおっ」と感嘆の声を上げる。
「なんと! それは心強い! 私は族長のパウルだ。ご協力感謝致す、騎士殿!」
「妻のパイスと申します。どうかエルフをお救いください……騎士様!」
「ど、どうも……。」
エルフ達の期待の眼差しに、奏太はプレッシャーを覚える。
「とりあえず今日は疲れただろうし、ダークエルフへの交渉は明日行うから、今日のところは村で休んで、英気を養ってくれ!
皆! 客人をもてなすぞ!」
「「騎士様! 騎士様!騎士様!」」
セイビアが周囲を煽ると、不安な奏太を他所にエルフ達が歓迎ムードを高めたーー
ーー村の広場で、エルフ達による歓迎の宴が開かれる。
高く積まれた薪に火をつけ、その周りを囲うようにエルフ達が座り、盃を交わす。
「ーー騎士様、エルフのワインはお口に合いますか?」
パイスが奏太に果物を配膳しながら尋ねた。
「はい。とても美味しいです。」
口に広がる芳醇な香りに、奏太は素直に賛辞を送る。
「それは良かった。このワインは村で育てているブドウで作ったもだ。」
隣に座るパウルも、同じワインを飲みながら奏太に説明する。
「へぇ~、エルフはブドウの栽培を行っているのか。」
「はい。我々エルフは果物だけを食し、人間のように穀物や肉を食したりはしません。」
道理で出される食べ物が果物ばかりな訳だ。
正直果物だけというのは物足りないが、まあ上手く行けば明日には帰れるだろうし、少しの間の辛抱だ。
奏太は空腹を誤魔化すように、果物を口に放り込むと、ワインでグビグビと流し込んだ。
そういえば響子さんと金重は……?
先程から姿の見えない2人を探すと、酔っぱらいながらキャンプファイヤーの周りでセイビアと踊っている。
その横では、エルフがハープを奏でて場を盛り上げている。
明日は敵陣に乗り込むというのに、随分と暢気だな……。
楽しそうに盛り上がる皆の様子を、奏太が心配そうに見つめた。
「あの子は周りを不安にさせまいと、ああやって皆の心を和ませているのだ。」
「普段は気丈に振る舞っていますが、セイビアは誰よりも周りを気にかける、心優しい子なのです。ですが本当はあの子も不安を感じている筈です……。」
言われてみれば、冒険者ギルドで見たときも沈んでいたな……。
「元々か弱かったセイビアが、強気に振る舞うようになったのは、私達が不甲斐ないせいだ……。」
「騎士様、どうかあの子を、セイビアをお守りください。」
セイビアの両親が奏太に向かって深々と頭を下げた。
それまで及び腰だった奏太も、2人の言葉を受けて背筋が伸びる。
ここで弱腰な返答をするのは流石の奏太も気が引けた。
奏太は気を引き締めるように、腰に下げる騎士の剣をギュッと握ったーー
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