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2章
1サビ-総督
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奏太達がヴィシュガルド城に到着すると、アイバニーゼ、奏太、響子、金重の4人はそのまま使用人に城内の部屋へと案内されたーー
「失礼いたします」
使用人達によって扉が開かれ、アイバニーゼが挨拶すると、3人もその後に続いて入室する。
するとそこには会議室のように大きな机が置かれ、その奥には3名の人物が座っていた。
「おお、来たかアイバニーゼよ。それと響子殿、金重殿、奏太殿。」
まず正面に座っていた国王が4人を迎える。
その左隣にはローラントが座っており、アイバニーゼに向かってお辞儀をした。
「なんだか嫌な予感がする……」
ローラントが何やら不敵な笑みを浮かべており、奏太は瞬時に良くない空気を察知する。
まだどんな用事かは分からないが、あの男が関わっているとなるとろくなことじゃない気がしてならない。
そして国王の右隣に目をやると、そこには見慣れぬ人物が座っていたーー
「ご機嫌麗しゅうございます、アイバニーゼ殿下。
そしてそちらのお三方とは召喚の儀を執り行った日と、褒章および勲章授与の日以来になりますな。」
男はアイバニーゼに深くお辞儀すると、奏太達に向かって話しかけてきた。
どうやら奏太達が祭壇の間に訪れた時は毎回場に居たらしい。
「お久しぶりでございますお父様、スライン総督、そしてローラント隊長」
あの男はスラインという名なのか。そして総督という肩書きと、アイバニーゼが挨拶した順番から考えると、恐らくローラントよりも上の立場なのだろう。
「スライン・シークと申します。アイバニーゼ殿下以外の者達からはシーク総督と呼ばれておりますが、どうぞ私のことはスラインとお呼びください。」
スラインは胸に手を当てながら奏太達に向かって自己紹介をした。
気安く呼び捨てしろとは言うものの、とても気さくな関係にはなれなさそうな年齢と風貌をこの男からは感じる。
白髪混じりの髪と髭は境目なく繋がり、顔の皺からは年季を感じる。
だが低い声は太く部屋に響き、鋭い眼光は老いて隠居するのはまだまだ遠く思わせるほどの威厳がある。
「総督は、ヴィシュガルド王国において全ての音楽隊を束ね、音楽面で国を取り仕切る、お父様の次に偉いお方です。」
アイバニーゼからの紹介に、奏太達は納得の表情を浮かべた。
この世界に召喚された時に国王が言っていた、『国王に次ぐ地位』とはこの男と見て間違いないだろう。
「いえいえ。総督とは名ばかりで、音楽家としての現役を退いたにも関わらず、みっともなく音楽の世界にしがみつくだけの老骨にございます。」
スラインが謙虚な言葉でアイバニーゼの称讃に畏まる。
恐らく人間的にも優れた人物なのだろう。
これがローラントだったら胸を張って紹介にあずかっていたに違いない。
「ですが……名ばかりといえど、この度総督としての務めを果たさなければならない事態が、どうやら起きてしまったようですな」
そういうと、スラインが奏太達に向かって鋭い視線を送った。
「一体なにが起こったというのでしょうか」
スラインの厳しい口調に、急に空気が張りつめる中、アイバニーゼが淡々と質問する。
「最近、なにやらそちらの冒険者達の販売した蓄音箱が、世に出回っているようですな」
スラインの問いかけに、奏太達はビクッと体を強ばらせる。
「そ、それが何か……? 蓄音箱を売っちゃいけないなんて話を俺達は聞いていないが」
蓄音箱は一般人も販売していいって話だったし、収益の一部はちゃんと隆司を通して税金として国に納めている。
ゆえに自分達はなにも悪いことはしていないはずだ、という確信のもと奏太は強気に答えた。
「もちろん蓄音箱は税金さえ納めれば、誰でも販売することができる。
ただ近頃になって、君達の蓄音箱を買った冒険者達が街中でそれを大音量で流し、近隣の住人や道行く人達に迷惑をかけている、という報告が入っている。」
まさか、俺達が以前見たあいつらか……!?
奏太達は心当たりのある話に、焦りの表情を浮かべた。
「で、でも買った人達がどのように聴くかは私達の問題ではないのではないですか!?」
「そ、そうでござる! 小生達の蓄音箱に限らず、音量への配慮は個人の問題でござる!」
響子と金重もたまらず反論に出る。自分達が頑張って録音した音源に濡れ衣を着せられるのは、メンバーの誰にとっても許しがたいことだった。
「無論、通常であれば蓄音箱を使用した騒音に関わる揉め事は、その蓄音箱を所有するものの問題として処理される。
だが君達の蓄音箱を購入した者達は、皆周囲の苦情に対し素直に応じるでもなく、むしろ乱暴に振る舞うようになっているとの報告がある。」
スライブからのショッキングな言葉に、奏太達は騒然とする。
「そ、そんな話聞いたことないぞ!?」
「どうしてそれが私達のせいになるんですか!?」
「そんなの言いがかりでござる!」
3人が一斉に反論すると、横に座っていたローラントが立ち上がった。
「その件に関しましては、私の従者が確認を取っております。」
「ローラント隊長……」
アイバニーゼが不穏な表情でローラントを見つめるが、対するローラントはアイバニーゼに目を向けることなく、国王とスライブに向かって奏太達の嫌疑を語り始めたーー
「失礼いたします」
使用人達によって扉が開かれ、アイバニーゼが挨拶すると、3人もその後に続いて入室する。
するとそこには会議室のように大きな机が置かれ、その奥には3名の人物が座っていた。
「おお、来たかアイバニーゼよ。それと響子殿、金重殿、奏太殿。」
まず正面に座っていた国王が4人を迎える。
その左隣にはローラントが座っており、アイバニーゼに向かってお辞儀をした。
「なんだか嫌な予感がする……」
ローラントが何やら不敵な笑みを浮かべており、奏太は瞬時に良くない空気を察知する。
まだどんな用事かは分からないが、あの男が関わっているとなるとろくなことじゃない気がしてならない。
そして国王の右隣に目をやると、そこには見慣れぬ人物が座っていたーー
「ご機嫌麗しゅうございます、アイバニーゼ殿下。
そしてそちらのお三方とは召喚の儀を執り行った日と、褒章および勲章授与の日以来になりますな。」
男はアイバニーゼに深くお辞儀すると、奏太達に向かって話しかけてきた。
どうやら奏太達が祭壇の間に訪れた時は毎回場に居たらしい。
「お久しぶりでございますお父様、スライン総督、そしてローラント隊長」
あの男はスラインという名なのか。そして総督という肩書きと、アイバニーゼが挨拶した順番から考えると、恐らくローラントよりも上の立場なのだろう。
「スライン・シークと申します。アイバニーゼ殿下以外の者達からはシーク総督と呼ばれておりますが、どうぞ私のことはスラインとお呼びください。」
スラインは胸に手を当てながら奏太達に向かって自己紹介をした。
気安く呼び捨てしろとは言うものの、とても気さくな関係にはなれなさそうな年齢と風貌をこの男からは感じる。
白髪混じりの髪と髭は境目なく繋がり、顔の皺からは年季を感じる。
だが低い声は太く部屋に響き、鋭い眼光は老いて隠居するのはまだまだ遠く思わせるほどの威厳がある。
「総督は、ヴィシュガルド王国において全ての音楽隊を束ね、音楽面で国を取り仕切る、お父様の次に偉いお方です。」
アイバニーゼからの紹介に、奏太達は納得の表情を浮かべた。
この世界に召喚された時に国王が言っていた、『国王に次ぐ地位』とはこの男と見て間違いないだろう。
「いえいえ。総督とは名ばかりで、音楽家としての現役を退いたにも関わらず、みっともなく音楽の世界にしがみつくだけの老骨にございます。」
スラインが謙虚な言葉でアイバニーゼの称讃に畏まる。
恐らく人間的にも優れた人物なのだろう。
これがローラントだったら胸を張って紹介にあずかっていたに違いない。
「ですが……名ばかりといえど、この度総督としての務めを果たさなければならない事態が、どうやら起きてしまったようですな」
そういうと、スラインが奏太達に向かって鋭い視線を送った。
「一体なにが起こったというのでしょうか」
スラインの厳しい口調に、急に空気が張りつめる中、アイバニーゼが淡々と質問する。
「最近、なにやらそちらの冒険者達の販売した蓄音箱が、世に出回っているようですな」
スラインの問いかけに、奏太達はビクッと体を強ばらせる。
「そ、それが何か……? 蓄音箱を売っちゃいけないなんて話を俺達は聞いていないが」
蓄音箱は一般人も販売していいって話だったし、収益の一部はちゃんと隆司を通して税金として国に納めている。
ゆえに自分達はなにも悪いことはしていないはずだ、という確信のもと奏太は強気に答えた。
「もちろん蓄音箱は税金さえ納めれば、誰でも販売することができる。
ただ近頃になって、君達の蓄音箱を買った冒険者達が街中でそれを大音量で流し、近隣の住人や道行く人達に迷惑をかけている、という報告が入っている。」
まさか、俺達が以前見たあいつらか……!?
奏太達は心当たりのある話に、焦りの表情を浮かべた。
「で、でも買った人達がどのように聴くかは私達の問題ではないのではないですか!?」
「そ、そうでござる! 小生達の蓄音箱に限らず、音量への配慮は個人の問題でござる!」
響子と金重もたまらず反論に出る。自分達が頑張って録音した音源に濡れ衣を着せられるのは、メンバーの誰にとっても許しがたいことだった。
「無論、通常であれば蓄音箱を使用した騒音に関わる揉め事は、その蓄音箱を所有するものの問題として処理される。
だが君達の蓄音箱を購入した者達は、皆周囲の苦情に対し素直に応じるでもなく、むしろ乱暴に振る舞うようになっているとの報告がある。」
スライブからのショッキングな言葉に、奏太達は騒然とする。
「そ、そんな話聞いたことないぞ!?」
「どうしてそれが私達のせいになるんですか!?」
「そんなの言いがかりでござる!」
3人が一斉に反論すると、横に座っていたローラントが立ち上がった。
「その件に関しましては、私の従者が確認を取っております。」
「ローラント隊長……」
アイバニーゼが不穏な表情でローラントを見つめるが、対するローラントはアイバニーゼに目を向けることなく、国王とスライブに向かって奏太達の嫌疑を語り始めたーー
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