異世界に奏でる狂騒曲(ロックンロール)~ランク0だけどロックの力で最強パーティに~

伊太利 千重治

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2章

2A-ドワーフ

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 やるとなれば2人には1から曲を教えることになるか……。レッ○リの初代ギタリストのヒ○ル・スロヴァクは亡くなっているから精霊魔法で変身可能だが、本人の記憶を頼りに曲を覚えるにしても初期の楽曲に限られる。
 それにフリーのスラップベースはまだ初心者の響子さんにはハードルが高そうだ。

 対するリ○キン・パークはボーカルのチェ○ター・ベニントンが2017年に亡くなっている。
 ゆえにチェ○ターに変身すれば全ての楽曲を網羅できるし、ライブも本人の声で歌える。
 隆司のラップだけでなくDJも役に立つかもしれないし、ここはリ○キン・パークでいくか。

「よし。近々4人で選曲会議を開いて、やる楽曲の決定と曲を覚える作業に取り掛かろう」

「わかりました!」
「承知でござる!」
「Yeah!」

 音楽祭に向けての決意を共にすると、目の前にはヴィシュガルド城が現れ、4人は転送魔法を使用するための教会へと向かった――


 奏太達がズームー王国の教会に到着すると、そのままコラグ王国への転送を依頼した。
 ここの獣人達とはすでに何度も顔を合わせているため、気さくに奏太達の依頼に応じる。

「この前はエルフと一緒に来たと思ったら、今度はドワーフの国か。たまにはズームー王国にも寄っていってくれヒヒーン」

 馬の胴体に人の上半身が生えたケンタウロスのような獣人が、あちこち色んな種族と関わる奏太達を茶化す。

「悪い。また今度広場に演奏しに行くよ」

 奏太が軽く応えると目の前に転送魔法の扉が現れ、獣人達に挨拶をして扉の中へと進んだ――


 扉をくぐると、奏太達の目の前に巨大な水晶が現れた。

「はぁ~……こりゃまたすごいな」

 一体どのようにして作られたのか――神を模した像がまるで宙に浮かぶように、水晶の中に立っている。
 そして水晶の周りは2本の黄金に輝く太い柱が立っており、柱の間を2本の斧がクロスして、水晶の前に掲げられている。

 壁や床はズームー王国の祠とそう大差なく、岩壁をくり抜いて作られているようだ。
 だが祭壇のインパクトはズームー王国のそれとは比較にならず、まさにこの国の鍛冶や錬金の技術力の高さを誇示している。

「コラグ王国へようこそ、異邦の者達よ」

 祭壇に目を奪われる奏太達に対し、一人の男が声をかける。
 どうやらこの国の神に仕える者らしく、白装束を羽織っている。
 顔は長い髭を蓄えており、齢は相当上であることは明らかだが、身長は恐らく150センチにも満たない。
 だが腕や体は太く、おおよそ神に仕える者には不似合いな腕力を有していることは間違いない。
 周りにも似たような見た目の物達が数名控えている。

 まさに自分達がイメージするドワーフの姿そのものだった。

「隆司、俺達はまずコラグ王国の国王に会おうと思っているんだけど、城の場所はわかるか?」

「場所はここを出てすぐだが、ドワーフキングにどうやったら会えるかは流石にノーアイデアだぜ」

「そりゃそうだよな……」

 さてどうやって会ったものかと考えあぐねていると――

「汝らは王との面会を所望か?」

 先ほど奏太達を迎えたドワーフが、会話を聞いていたらしく声をかけてきた。

「どういった要件だ? 約束があるなら王まで取り次ぎいたすが」

「アポはないんだけど……エルフの件で――」

「何、エルフ?」

 奏太の口から発せられたエルフという言葉に。ドワーフ達は眉をひそめた。

「汝らはエルフと一体どういう関係だ?」

 ドワーフの声色が重くなる。
 どうやらドワーフがエルフ嫌いというのは本当らしい。まるで『巨人』と聞いた時の阪神ファンのような反応に、奏太は返答に困る。

「なんというか……ちょっと仲直りのお手伝いをしたというか……」

 奏太の遠回しな言葉に、ドワーフ達は益々顔をしかめてヒソヒソと相談し始める。

「――ひとまず汝らは大臣へと取り次ごう。その後については大臣の指示に従うように。ついて来られよ」

 そういうと奏太達は割と強めに背中を押され、コラグ城内へと連行、もとい案内された――
 奏太達が教会を出ると、目の前にはコラグ王国の街並みが広がっていた。

 国全体が2つの山の谷に挟まれ、城は坂の頂上に位置していた。
 そこから坂を下るように街が広がり、地平線には海が見える。
 どうやらこの国は山と海という、2つの自然によって守られているようだ。

 街には至る所に煙突が突き出しており、あちこちからモクモクと煙が立っている。
 それぞれの家や工房は足場で繋がり、高い建物同士でも下に降りることなく移動できる構造になっている。
 今までに見てきた国では、レンガや木、石で造られたような建物が多かった。
 だがコラグ王国のそれはまるで鉄骨製の建物ように、金属で構成されている建造物が多く、建物にもドワーフ達の技術がふんだんに盛り込まれている。

 そして左右を囲う山肌には、採掘跡が所々にみられる。


「ーーコラグ王国はこの鉱山と共に長く発展してきた、世界有数の大国なのだ!」

 奏太達は城に案内されるなり、大臣を名乗る男から長々と自国の成り立ちを聞かされていた。

「そして私がコラグ王の右腕を務める、大臣のベリンガである!
 して諸君らは我が王に何用であるか!?」

 勢いのある言葉で奏太達に捲し立ててくる。

「えっとーーベリンガさんはエルフの国が建国されたことについては知っているか?」

「ふむ! 勿論知っている! それがどうかしたか?」

「実は俺達はヴィシュガルド王国の冒険者なんだが、先日エルフ族から依頼を受けて、エルフとダークエルフの仲裁に協力したんだ。
 でもドワーフは、その……エルフをあまりよく思っていないって聞いて。
 それで俺達はヴィシュガルド王国やギルドを介した依頼ではなく、個人的に受けた仕事だったことを説明に来たんだ」

「なるほど! 諸君らの意図は分かった! 国を案じる、立派な心がけだ!
 諸君の言う通り、ドワーフ族とエルフ族の関係は、古来より芳しいとは言えん。
 だが諸君らの取った行動は、外交的には何ら問題はない!」

 ベリンガの言葉に、奏太達は安堵の表情を浮かべる。
 流石は一国の大臣、見た目と喋り方は勢い任せな所もあるが、感情論に流されず冷静に状況を判断してくれた。

「外交的には、だが……」

 安心するのも束の間、ベリンガがすぐに不穏な空気を漂わせてきた。

「それはつまりどういう意味ですか……?」

 響子が真意を尋ねる。

「中でも王は大のエルフ嫌い――」

『バァン!!』

 ベリンガが話し終える前に、突然部屋の扉が勢いよく開かれた。

「ベリンガァ! エルフに加担した奴らが城にのこのこ現れたというのは本当かぁ!?」

 奏太達のいる部屋に、怒号が鳴り響いたーー
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