補綴師(ほてつし)

電気羊の夢

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第一章 蛹化

女同士の裸の付き合い

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 正常な精神状態を取り戻した私は、性液まみれになった股間のエピテーゼを洗浄する為、大浴場に戻りました。

「それって、彼氏さんの趣味ですか?」

 洗い場に座って股間を洗っている私の横に、見ず知らずの若い女性が座り、話し掛けてきました。

 女装をした私は男性からナンパされるようになりましたが、それ以上に、女性から話し掛けられる事が増えていました。

「えっ…」

 私は状況が把握できずにいましたが、私の隣に座った女性は、笑顔で私の股間を覗き込んでいたので、彼女は私の陰毛の生えていない股間の話をしているのだと分かりました。

「やっぱり、変ですよねw」
「いえ! 私も脱毛しようかなって思っててw」

 どうやら、彼女は白人女性や全身脱毛をしている女性の股間を見て、影響を受けたようでした。

「そうなんですかw 私は彼に剃られちゃってw」
「やっぱりw」

 私には彼氏がいませんでしたが、私の陰毛は架空の彼氏に剃られた事にしました。

 私は間近で裸を見られても平気になっていて、その女性も私を本物の女性だと思い込んでいるようで、陰毛の話をやめるつもりはない様子でした。

「どうせ脱毛するなら、ブラジリアンワックスの方が良かったんですけどねw」
「あっ、それ、私も興味があってw でも、長過ぎると出来ないって聞いて…」

 彼女はそう言うと、視線を自分の股間に落としたので、私も彼女に釣られて彼女の股間を覗き込みました。

 確かに彼女の陰毛は濃く、密度だけではなく長さもありました。

「そんなことないですよw 逆に短いと出来ないそうですよw」
「そうなんですか!」

 彼女は脱毛について誤った知識を持っていました。

 これは、彼女に限った事ではなく、女性の多くは口コミを信じる傾向が強く、客観的に情報を精査する事が苦手なようでした。

 私は彼女との会話を切り上げて、大浴場から出ようと思っていましたが、一旦、お喋りのスイッチが入った女性から逃げることは至難の業でした。

 結局、私は彼女と一緒に腰まで浴槽に浸かり、会話を継続する事になりました。

「あっ!」

 私と脱毛の話題で盛り上がっていた彼女は、突然、私の股間を見て驚きの声を上げた。

 私が自分の股間を見ると、股間のエピテーゼの隙間から、お湯で固まった精液が白い煙のように立ち上り、お湯の中に漂っていました。

 私は咄嗟に精液の固まりをお湯と一緒にすくうと、洗い場の排水口に流しました。

 私の尿道には、まだ精液が残っていたようで、私は自分が男である決定的な証拠を見られてしまいました。

「あははw 中出しされた後って、次の日でも出てくるよねw」

 どうやら彼女は、私が男であるとは思っていないようで、股間のエピテーゼの隙間から出てきた精液を、私の膣の中に残っていた彼氏の精液だと勘違いしているようでした。

「本当w 実は、さっき車の中でされちゃってw」
「そうなのw」
「うんw 一日に何度もしてくるから困っててw」
「あははw」

 私は男であるとバレる危機から回避できました。

 私は10分以上浴槽に浸かっていると、肌とエピテーゼの色に差が出るので、外で彼氏が待っていると嘘を付き、大浴場を後にしました…。


 その後も、俺は頻繁に女湯に侵入していた。

 俺のエピテーゼは女湯に行く度にバージョンアップされ、より自然な女体へと進化していった。

 俺の女体は、痩せた男の肉体をベースにしていたので、どうしても筋肉質になってしまったが、俺はそれを逆手に取り、女性アスリートの肉体に寄せていた。

 高い身長と引き締まった肉体との相性はよく、俺の裸体はジムで鍛えている女性の印象になっていた。

 身長172、トップバスト95、アンダーバスト80、ウエスト68、ヒップ95、股下85…俺のプロポーションは、最初のバージョンよりも一回り細くなっていた。

 しかし、それは多くの女性が理想とする体型で、俺は今まで以上に女性たちから羨望の眼差しで見られるようになっていた。

 今の俺は、女湯に侵入しても全く緊張する事がなくなっていて、それと同時に、入浴中の女性から声を掛けられる事も多くなっていた。

 俺は見た目以上に内面が女性化していて、表情や視線の配り方も女性化しているようだった。

 女性たちは俺のプロポーションを褒めてくれて、それは、自己女性化愛好症としてだけではなく、エピテーゼのクリエーターとしても、とても嬉しい事だった。

 俺は女性たちと肩を並べて会話をする事が好きになっていた。

 女同士の裸の付き合いってヤツだ。

 周囲から本物の女として接してもらえるようになった俺は幸せの絶頂にいた…。
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