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怒涛の展開に頭がついていきません。
『治してもらったって言ったら、じゃあ恩返ししてきなさい、って魔界追い出された』
おい魔王……。
魔王としての威厳はどうした。
『だから私はゼンショーに憑いてくことにした』
憑くな。
頬を摺り寄せるな。
魔王は黒い襟巻き……キツネの姿になって、俺の首に巻きついている。
まあ、でかい男に乗っかられるよりはマシだろうか。可愛いし。
墨染めの作務衣には、違和感はないと思う。
テオはがっくりしながら、一歩後ろを歩いている。
回復役を取られたのがショックだったようだ。
◆◇◆
『おい勇者、貴様もゼンショーをしかと護れ。この世界を狙っているのは我が魔界だけではないし、野盗もおろう』
魔王はしっぽをぱたぱたさせた。
偉そうだ。
まあ、魔界の王なのだから、実際に偉いのだろうが。
しかし、何故俺には気安い口調なのだろう。
命の恩人だからか?
『魔王に命令される筋合いはない。言われなくても警戒してる』
テオは目を眇めた。
『私の接近に気付かなかったくせに?』
『……敵意を感じなかっただけだ』
にらみ合っている。
「おまえら、いがみあうな」
魔王の頭を撫でた。もふもふだ。
『えへへーゼンショー好きー』
目を細めるキツネ、可愛いな。
よしよし。
『あざとい! くっそ! でかい赤犬しかなれないのが悔しい!』
テオが本気で地団駄を踏んでいる。
「変化魔法とかあるのか?」
『ああ、初歩の魔術だ。レオは黄色い鳥になる。ワルターは魔力が少ないからできないけど』
『私は何にでも変化できるぞ。黒くなってしまうが』
毛の色は変えられないようだ。髪の毛と同じ色の動物になるのか。
変身魔法でも、自分の姿に似かよってしまうのだろうか?
騎士は、魔力が一定以上ないとなれないものらしい。
それでワルターはあんなに強いのに、戦士なのか。
異世界もなかなか世知辛いな。
◆◇◆
城に到着して。
エリノア国王フレデリックと、魔界の王アーリックによる和解会見が始まった。
魔王は黒衣の青年の姿に戻っている。
黙っていれば美形なのだが。
魔物除けの結界内だというのに平気な顔で侵入している魔王に、皆驚いていたが。
潔く謝罪する魔王に、国王はいたく感銘し。
和睦条約は、なごやかに締結した。
しかし。これで世界に平和が訪れ……は。
残念ながら、しなかったのだ。
「大魔王……?」
魔界の上には大魔界があり。
そのまた上には獄界、地獄界などがあるという。
どうなっているんだ。……頭が痛くなってきた。
魔王はさらに言う。
『そう。今までは女神達の加護で強大な結界があって、ここには入り込めなかったんだけど。一万年に一度、眠りにつくこの絶好の機会をみんな狙ってた、ってわけ』
女神たちは、一万年も眠らずにこの世界を護っていたのか。
慈悲の心を疑って悪かった。
眠いとイラつくこともあるだろう。
しかし、何故全員一度に寝るのだろうか。交替ではいけないのか。
お互いに励ましながら起きているのだろうか?
まだ眠りが浅いので、女神の力は弱いながらも効いている。
女神に気付かれぬよう、結界に小さな穴を開けて、魔界の者が侵入したという。
大魔界や、もっと上の者が来るには、もっと大きな穴が開かないと通れないらしい。
女神達が完全に眠りに落ちたその時には、本格的な侵攻が始まるだろう、と魔王は言った。
その、弱い魔物しか通れないような小さな穴で、エリノアは、国家滅亡の危機にまで陥ったというのか?
しかも、魔界は魔王であるウルが不在の状態で。
まだ全力攻撃ではなかったというのに。
この事態が人間に、どうにかできるものなのか?
テオもレオナルドもワルターも。
国王フレデリックも神官クラークも真っ青になっている。
◆◇◆
『たった15年しかないから、みんな焦って総力戦で来ると思う。みな、人間の魂を欲しがってるからな』
人間にとっての15年間は長いが。
魔族達から世界を守り続け、一万年に一度の眠りが、たった15年間しかないのか。そう考えると短いな。女神というのも大変だ。
待て。
……15年、だと?
ワルターも気付いたようで、こっちを見た。
そうか。
そういうことだったか。
女神の眠りが15年。だから、俺は15年先の未来まで戻ることはなかったのか。
まあ、そういった事情なら、15年間、元の世界に帰れなくても仕方ないか。
……いや、そんな弱気でどうする。
事情はわかったのだ。
速攻で叩き潰せば、15年も掛からないで終わるかもしれない。
『そう悲観的になることはないぞ。伝説の僧侶ゼンショーにこの私、魔王アーリックがサポートにつくのだから』
魔王が得意げに自分の胸板を叩いて、咳き込んだ。
大丈夫だろうか、この魔王。
背中を擦ってやる。
『ケホ、ありがとうゼンショー。……それと、そこの勇者。あれが完全に覚醒すれば勝利は確実だぞ』
指をさされて。
『俺?』
テオは困惑している。
『こやつは、人間ではない。地獄界の者の血を引いているからな』
「……え?」
『は?』
『地獄界の!?』
その場の皆、どよめいている。
テオが、地獄界の者の血を引いている? それは、どういうことだ?
おい魔王……。
魔王としての威厳はどうした。
『だから私はゼンショーに憑いてくことにした』
憑くな。
頬を摺り寄せるな。
魔王は黒い襟巻き……キツネの姿になって、俺の首に巻きついている。
まあ、でかい男に乗っかられるよりはマシだろうか。可愛いし。
墨染めの作務衣には、違和感はないと思う。
テオはがっくりしながら、一歩後ろを歩いている。
回復役を取られたのがショックだったようだ。
◆◇◆
『おい勇者、貴様もゼンショーをしかと護れ。この世界を狙っているのは我が魔界だけではないし、野盗もおろう』
魔王はしっぽをぱたぱたさせた。
偉そうだ。
まあ、魔界の王なのだから、実際に偉いのだろうが。
しかし、何故俺には気安い口調なのだろう。
命の恩人だからか?
『魔王に命令される筋合いはない。言われなくても警戒してる』
テオは目を眇めた。
『私の接近に気付かなかったくせに?』
『……敵意を感じなかっただけだ』
にらみ合っている。
「おまえら、いがみあうな」
魔王の頭を撫でた。もふもふだ。
『えへへーゼンショー好きー』
目を細めるキツネ、可愛いな。
よしよし。
『あざとい! くっそ! でかい赤犬しかなれないのが悔しい!』
テオが本気で地団駄を踏んでいる。
「変化魔法とかあるのか?」
『ああ、初歩の魔術だ。レオは黄色い鳥になる。ワルターは魔力が少ないからできないけど』
『私は何にでも変化できるぞ。黒くなってしまうが』
毛の色は変えられないようだ。髪の毛と同じ色の動物になるのか。
変身魔法でも、自分の姿に似かよってしまうのだろうか?
騎士は、魔力が一定以上ないとなれないものらしい。
それでワルターはあんなに強いのに、戦士なのか。
異世界もなかなか世知辛いな。
◆◇◆
城に到着して。
エリノア国王フレデリックと、魔界の王アーリックによる和解会見が始まった。
魔王は黒衣の青年の姿に戻っている。
黙っていれば美形なのだが。
魔物除けの結界内だというのに平気な顔で侵入している魔王に、皆驚いていたが。
潔く謝罪する魔王に、国王はいたく感銘し。
和睦条約は、なごやかに締結した。
しかし。これで世界に平和が訪れ……は。
残念ながら、しなかったのだ。
「大魔王……?」
魔界の上には大魔界があり。
そのまた上には獄界、地獄界などがあるという。
どうなっているんだ。……頭が痛くなってきた。
魔王はさらに言う。
『そう。今までは女神達の加護で強大な結界があって、ここには入り込めなかったんだけど。一万年に一度、眠りにつくこの絶好の機会をみんな狙ってた、ってわけ』
女神たちは、一万年も眠らずにこの世界を護っていたのか。
慈悲の心を疑って悪かった。
眠いとイラつくこともあるだろう。
しかし、何故全員一度に寝るのだろうか。交替ではいけないのか。
お互いに励ましながら起きているのだろうか?
まだ眠りが浅いので、女神の力は弱いながらも効いている。
女神に気付かれぬよう、結界に小さな穴を開けて、魔界の者が侵入したという。
大魔界や、もっと上の者が来るには、もっと大きな穴が開かないと通れないらしい。
女神達が完全に眠りに落ちたその時には、本格的な侵攻が始まるだろう、と魔王は言った。
その、弱い魔物しか通れないような小さな穴で、エリノアは、国家滅亡の危機にまで陥ったというのか?
しかも、魔界は魔王であるウルが不在の状態で。
まだ全力攻撃ではなかったというのに。
この事態が人間に、どうにかできるものなのか?
テオもレオナルドもワルターも。
国王フレデリックも神官クラークも真っ青になっている。
◆◇◆
『たった15年しかないから、みんな焦って総力戦で来ると思う。みな、人間の魂を欲しがってるからな』
人間にとっての15年間は長いが。
魔族達から世界を守り続け、一万年に一度の眠りが、たった15年間しかないのか。そう考えると短いな。女神というのも大変だ。
待て。
……15年、だと?
ワルターも気付いたようで、こっちを見た。
そうか。
そういうことだったか。
女神の眠りが15年。だから、俺は15年先の未来まで戻ることはなかったのか。
まあ、そういった事情なら、15年間、元の世界に帰れなくても仕方ないか。
……いや、そんな弱気でどうする。
事情はわかったのだ。
速攻で叩き潰せば、15年も掛からないで終わるかもしれない。
『そう悲観的になることはないぞ。伝説の僧侶ゼンショーにこの私、魔王アーリックがサポートにつくのだから』
魔王が得意げに自分の胸板を叩いて、咳き込んだ。
大丈夫だろうか、この魔王。
背中を擦ってやる。
『ケホ、ありがとうゼンショー。……それと、そこの勇者。あれが完全に覚醒すれば勝利は確実だぞ』
指をさされて。
『俺?』
テオは困惑している。
『こやつは、人間ではない。地獄界の者の血を引いているからな』
「……え?」
『は?』
『地獄界の!?』
その場の皆、どよめいている。
テオが、地獄界の者の血を引いている? それは、どういうことだ?
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