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Schicksalhafte Begegnung (運命的な出会い)

Ein riesiger Drachenangriff, sofort abfangen (巨大竜襲来、直ちに迎撃せよ)

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トールは、自分が就きたいと思った職を志す切っ掛けがあったのが、16歳の時だったようだ。
故に、その時の姿になったのではないだろうか、という推測であった。


それ以来、ずっと夢に向かって進んで。
女も知らずに、一心不乱に働いていたのか。

それゆえに、世間ずれもしないまま、心も身体も純粋であったのだ。


志半ばで亡くなったのは、さぞ無念であったと思うが。
トールは特に、悔やんではいないようだ。

好きな職に就けて、幸せな人生だった、と言った。


ならば。
私はそれ以上に、トールを幸せにしてやらなければな。

こちらに来たことを、後悔させたくはない。


*****


私は、ルイーザの減刑を求める嘆願書を審判会に提出することにした。

グレアは情けを掛ける相手は考えたほうがいい、と忠告してくれたが。
彼女が私を呪い、堕ちた魔女として捕らえられたのは、全面的に私が悪かったのだ。


思うようにならない世の中を恨み。
貌や権力しか見ていない女性を嫌悪していたのかもしれない。

八つ当たりのように女を抱いては捨てて、傷付けてきた。

そんな私の真の姿が醜い獣であるのは当然で。
今は、自らその魔法を掛けてもらっている状態である。

罰することはない。


瘤のせいで、一回の性交が長くなってしまうのは難であるが。
それだけ、長い間トールを繋ぎとめていられるのは幸せなことだった。

できることなら、一日中抱いていたい。
しかし、新婚を理由に仕事を休みすぎると、トールまで夫を堕落させる悪婦などと言われてしまうので、自重せねば。


「トール、すまない。きついか?」
といっても、まだ当分抜ける気配は無いのだが。

ベットに座り、後ろから貫いて。
抱き締めた状態で、中に精を放っている。

「ん、」
身動みじろぎする度に中を刺激されるようで。甘い声を漏らす。

こうして入れているだけでも、感じるようになってきたのだろうか。
たまに揺すると、可愛く喘ぐのがたまらない。


特に、奥に押し当てたまま精を放たれるのがお気に入りのようだ。
トールの花茎の先端からも、蜜が零れている。

「私はずっとこのままでいたいほど心地好いが、」
耳の後ろに舌を這わせると。

「ひゃ、」
きゅう、と締め付けられ、最高に気持ち良い。


*****


弄りすぎて赤くなっている胸の飾りもぴん、と立っていて。
トールも感じていることを私に伝える。

「……いつも不思議に思っているのだが。ここに出した精液は、どこに消えているのだろう」
トールの薄い腹を撫でながら問う。

精液というか。
食事をしているのに、手洗いに行った姿すら、見たことがないのである。


「……異次元にでも消えてるんだと思う」
しばし悩んだ末、そう言った。

トール本人にもわからないようだ。
色々、不思議な人間である。

実は花の精であっても驚かないだろう。


「そうか。美味しそうに飲み込んでいるから、吸収しているかと思ったが」
「それはない」

拗ねたように言うトールが可愛いので、奥を突くように、揺さぶってやる。


「や、あっ、出したまま動いちゃ、やあっ、」
私の腕にしがみついて。

縋るような視線を向けてくる。

それでは逆効果である。
ますます、感じさせたくなってしまうではないか。


こんな可愛くて色っぽい妃を得た私は世界一の幸せ者だな、とつくづく感じた。


*****


鏡に映る私の姿は少しずつ、狼のように見えてきて。

またしばらく経ち、段々と人肌の部分が増えてきた。
毛皮が減り、トールは少々残念そうだった。

そういえば、胸毛に埋もれている時、とても幸せそうだったな、と思い出す。


今も尾や耳に触れては、愛らしい笑顔を浮かべるので。
完全に人に戻るのを思い留まらせるのであった。

これはどうしても残すべきだ、と私は思った。
残すべきものは他にもあったが。


安寧の時間は、そう長くは続かなかった。

早朝。
竜の襲撃を知らせる警鐘アラームグロッケが響き渡る。


ベルトラント領に出現。
見たこともないような、大きな竜である、と。


「来たか」
鐘の音を聞き、使用人達が急ぎ装備を運んでくる。


幸せの後には、災いがやってくるのだろうか。
小型が連続で現れた末の、巨大竜出現か。子を討たれた親竜ならば、納得するが。


今度こそ、私も無事では済まないかもしれない。


*****


「ここは数年に一度、竜が現れて人を襲うのだ。私は領主として、竜を狩らねばならない」
トールに告げると、首を傾げ。

「ここじゃ二ヶ月に一回じゃなく、数年に一回なんだ?」
……二ヶ月に、一回?

「……トールのいた世界では、そんなに頻繁に……?」
なんという、過酷な世界だ。

「うん。俺、慣れてるからドラゴン退治、手伝うよ?」
トールは余裕の笑顔である。

「うむ……、」


私の帰りを待っていて欲しい、と言おうと思ったのだが。
私が死んだ後、トールはどうなるのだろう?

……いっそ、側に置いて。
生きる時も死ぬ時も、共にいたい。


「侯爵夫人が魔女だとまずいなら、元の姿で助太刀する?」
私の逡巡を、そう受け取ったか。

妃が魔女でも問題はないのだが。どうせなら、真の姿と共に居たい。


「すまない。……では小さなクライナー魔導士マーギアトール、助力を願おう」
手を差し出すと。

きゅっと私の手を握った。
小さく、か弱い手だ。

魔導士ならば、後衛である。
私が盾になり、護らなければならない。


*****


armoアルモー
トールは武装の呪文を唱え、全身プラッテンリュストゥングを装着した。

ツヴァイヘンダーボーゲンも持っている。

魔導士は通常、装備可能なのは布の服か、革の防具くらいで。金属は身に着けられないのでは? しかも、全身鎧とはどういうことだ。
しかし。


「可愛らしいな……」

桃色ローザの装甲に、マントや差し色は萌黄色マイグリューンである。
弓は真紅カルディナールロートか。

小さく愛らしい見た目もあって、少女にしか見えない。


元々”ラズール”用の装備だったようで、少々きつかったのか、何ヶ所かベルトを緩めて調整している。

薄く、軽そうな鎧だ。
まあ、前線で戦う訳ではないので、重装備である必要はないのだが。


準備が終わったらしく。
トールはヘルムを持ち、私を見上げた。

「おもちゃみたいに見えるだろうけど、これ、最強装備なんだぞ。……そんじゃ、行こっか」
気軽に、散歩にでも誘うように。


その明るい笑顔を見たら。
私も、普段よりずっと力を出せるような気がした。
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