自分が作ったゲームに似た異世界に行ったらお姫様の身代わりで野獣侯爵と偽装結婚させられました。

篠崎笙

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Schicksalhafte Begegnung (運命的な出会い)

Du Schatz, wo sollen wir unsere Flitterwochen verbringen?

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「改めて、ご結婚おめでとうございます」

城へ戻ると。
執事から侍従長となったヨーゼフが、使用人を代表して頭を下げた。

「皆のもの、今日はご苦労であった。今日はもう、下がってよい。明日までゆっくり身体を休めるが良い」

「では、今の内に蜂蜜酒を寝室にご用意しておきますね」
「濡れたハントトゥーフタオルも」

女中は気を利かせ、早足で用意をしに行った。
慣れたものである。


トールは恥ずかしそうに頬を染めていて。
相変わらず初々しく、愛らしい。


*****


「……グレア?」

気付けば、他の馬車で使用人たちと一緒に戻ってきたはずのグレアの姿が見当たらない。
疲れて部屋に戻ったのか?

「閣下、グレアから手紙を預かっておりますが」

「手紙だと?」
何故、わざわざ。

ヨーゼフから渡された手紙を開ける。


そこには。
ルイーザは、魔術の使い方が酷いために勘当したグレアの実の孫であった、と書かれていた。
魔女は自分と身内のことは精確には占えない。

しかし、放置していればルイーザが死ぬ、という結果が出てしまった。
いくら勘当したとはいえ、孫である。せめて命ばかりは助けてやりたいと思う情は残っていた。

その運命をどうにか変える為に、私がベルトラント領へ行くのに着いていき、トールを利用したのだという。

他の人は占えた。
どうすれば、孫娘にとって最善の道へ行くかを考え、実行したのだ。

結果。
姿こそ、ああなりはしたが。命は助かったのだと。


『ああは言ったが、処刑されるところを助けてくれてありがとう。今まで、利用してすまなかったね。侯爵もトールも、お幸せに。城を出て、ルイーザのことを陰ながら見守ろうと思う』

二人が幸せに暮らせるかどうかはわかっているが。
先のことを知ってしまってはつまらないだろうし、敢えて教えないよ、と締めくくられていた。


*****


手紙を、トールにも見せた。

「じゃあ、俺がフランチェスカ姫に見えるよう、目くらましの魔法をかけたのって、グレアだったのかな?」
今となっては、それ以外考えられないだろう。

「ああ、そうだろうな。何もかも、わかっていたのだ……」

考えてみれば、トールがルイーザの魔法で倒れても、やけに落ち着いていた。
グレアはあらかじめ、助かるのがわかっていたのだ。


これからは、私達にグレアの占いや助言が必要ではない。

そこまでの危険はない暮らしなのだろう。
だから、グレアは出て行ったのだ。

教えないと言ってる時点で。
この先、幸せに暮らすのだと教えているようなものだ。


利用した、とはいうが。

グレアは決して傍観せず、忠告をしてくれていた。
獣の姿になり、絶望した私に、いつかは呪いが解けるということも教えてくれた。

何より、こうしてかけがえのない伴侶、トールを得られたのは。グレアの手助けが無くてはならなかった。


どこまでも、誠実な魔女であった。

ありがとう、と言いたいのは私の方だ。

グレア。
魔術の師でもあり、長らく私を支えてくれた、祖母のような魔女よ。


「あ、俺宛に追伸があった」
余白の部分に、トールにしか見えない字で書かれているようだ。

「水晶、置いてったみたい。使い方書いてある。不公平になるからって。何の事だろ?」
不思議そうに首を傾げている。


鏡の魔術で、度々トールを覗き見をしていたのだった。
実際、誠実すぎる魔女である。


*****


「ひゃ、」
手紙を見ているトールを抱き上げ、寝室へ向かった。

魔術で着替えたわけではないので、この手で花嫁衣裳を脱がせることが出来る。
ベットに降ろし、唇を味わおうとしたら。

「ちょ、ちょっと待って、」

ベットの横に置かれた濡れたハントトゥーフに手を伸ばし。
貌を拭いている。

「さっき、キスした時に、ちょっと苦そうな顔したから……」

先ほど接吻をした時、慣れぬ口紅の味に私が違和感を覚えていたのに気付いていたのか。
本当に、愛しい花嫁である。


「ティディにも、ちょっとついてた」
恥ずかしそうに頬を染め、私の口元を拭ってくれる。

ああ。
もう、我慢できそうに無い。


奪うように接吻をして。
私だけの愛らしい花嫁を押し倒した。

私のために作られた花嫁衣裳。
その繊細なシュピッツェンレースで編まれた胸元を引き裂いてゆく。

「え、勿体無い、」
トールは慌てていたが。

「針子たちは、『鉤爪がなくても引き裂きやすいよう、いい感じにしておきます』と言っていたぞ?」
私はよい臣下や使用人に恵まれたものだ。

「なにそれ!?」


*****


露になった胸に舌を這わせ。
トールの甘い肌を味わう。

恥じらう花嫁衣裳のロクスカートを捲り上げ、シュトルンプェストッキングを留めているボタンクノップフを外してやる。

「……随分、扇情的な下着だな?」

布の部分がやたらと少ない。
尻の辺りなど、まるで紐のようだ。

これなら、着けたままでも挿入は可能か?


「出されたの、着ただけだし……」
トールは恥ずかしそうに、両手で貌を隠している。

そのような愛らしい仕草は、私を更に興奮させるだけだというのに。


「ひっ、や、ああっ、」
紐をずらし、舌先を捻じ込んで。

甘い体内を味わっていると。
下着の布地部分に染みが広がっていく。

そろそろ頃合いか。

花嫁衣裳を剥かれ、煽情的にもシュトルンプェと下着のみの姿になったトールの慎ましやかな蕾に、私のペニスをあてがう。
この小さな身体に、私のペニスの大きさは暴力的な光景にも見えるが。

挿入すれば、この上なく心地よく、私を包み込んでくれるのだ。


「ふふ、初夜だというのに、淫らな身体だ。貪欲に私を欲しがっているね?」

ひくひくと、快楽への期待に震えているトールの蕾を押し拡げ。
あたたかい体内に挿入し、ぐい、と腰を進ませる。


「は、……あ、……おっきぃ、もっと、奥ぅ、」

トールは、うっとりとした表情で私を受け入れている。
きゅうきゅうと、搾り取るように締め付けるトールの中に、早く放ちたいが。

私だけ快楽を貪るのではなく、互いに高め合い、感じ合いたい。


「ああっ!?」
腰を掴み、根元まで突き入れて。

愛らしい花嫁を、心行くまで味わった。


*****


「三日間、この部屋から出さない……と言いたいところだが。休暇を貰ったので、新婚旅行に行かないか?」
トールの体内の奥深くに精を放ちながら、耳元で囁く。


せっかくの長期休暇である。
この国だけでなく、帝国中の素晴らしい景色を見せてやりたい。

「新婚旅行?」

大きな目をぱちくりとさせている。
愛らしい。


「帝国は広いぞ。雪の振る山でシーラウフェンスキーを楽しんでもいい、陽光降り注ぐ海辺で海水浴、静かな山荘で森林浴もできる。……どうかな?」

「嬉しい! どこも楽しそう!」

トールは太陽のような明るい笑顔を浮かべている。


そうだな。
何処へ行こうと、二人で居られれば、それだけでも幸せだが。

行く先々で、沢山の思い出ミミールを作ろう。
それも、私達を結ぶ”縁”になろう。


今年だけでなく。
これから先、何度でも。色々な所へ行こう。

人生は長いのだから。沢山、楽しまなくてはね。
さて。


可愛い人Du Schatz,新婚wo sollen 旅行はwir unsere何処にFlitterwochen行きたい verbringen





おわり
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感想 4

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みんなの感想(4件)

tim
2022.07.05 tim

すごくすごく面白かったです!!
透くんの戦う場面をもっと読みたかったけど、最後まで幸せに読めました(о´∀`о)

解除
さくらこ
2022.07.03 さくらこ

とても面白かったです!
ファンタジーだけどちょっとリアルで主人公達が愛しかったです。出てくるドイツ語の単語、珍しいですね。音が癖になりそうです。素敵な世界観の物語有難うございました。

解除
セザンヌ108
2022.07.02 セザンヌ108

モフモフは良いですね!
とても楽しく読了いたしました。
言葉を大切に扱っている作者様の作品は読みやすいです。
他の作品も読んできます。
素敵な物語をありがとうございました!

解除

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