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Ⅲ
異世界で、家を建てる
欲だってあるさ。人間だもの。
てな訳で。
力の限り、劇的ドリームなハウスを作ってしまった……。
ログハウス風の、庭付き一戸建て。
東京でこんな家建てたら、軽く億を超えるだろう。
そう、ほぼ私欲で創った家である。
それが何か?
*****
家は四方を丈夫な黒塀に囲まれている。いいよね、粋な黒塀。
門扉は、許可した人しか入れないようにしてある。
畑は他に作るつもりなので、庭は観賞用だ。
家の周囲には白い小石や砂利を敷き詰める。砂利を敷いておくと防犯上にいい。ここ、許可した人しか入れないよう設定しといたけど。念のため。
日本庭園風に、赤松黒松石灯籠と、小さな池も作った。ボウフラ発生装置にならないよう、カダヤシやメダカも仕込んだ。錦鯉も泳がしておく。
ウッドデッキ風のテラスは、いつかはカフェもできるよう、簡易キッチンと充分なスペースをとってある。
木造に見えるが、そう見せかけた強化樹脂だ。木製にしなかったのは、木は雨などで腐りやすいからだ。鉄筋コンクリートを木材風の樹脂で覆っている。
大雨や湿気対策のため、土台は高くしてるが。バリアフリーでなだらかな坂。
同じくセキュリティ対策バッチリなドアは和モダンな引き戸。
御影石の三和土で靴を脱いで。
ブーツも収納できる、大きめな下駄箱と、上着をかけるウォークインクローゼット。
バリアフリーで上り框などの段差がない玄関ホールは樹脂でコーティングした白無垢材のフローリング。
洗面所とトイレは、玄関から近い方がいい。
もちろん、風呂とトイレは別だ。一緒だと、トイレットペーパーが湿気るからな……。
風呂はゆったり広めで。浴室乾燥機と、乾きやすく転んでも痛くない床。
洗面所兼脱衣室に置く洗濯機は、ずっと欲しかったドラム式だ。
浄化魔法で綺麗になる、とか言わない。
正面には、広めのアイランドキッチン。業務用冷蔵庫は食材でぎっしりだ。
IHはいまいち火力が物足りないので、3口あるコンロはプロパンガスだ。この細っこい腕で中華鍋が振れるか問題だが。身体強化の魔法を使えばいいか。
勝手口の前には水道。野菜の土や、野良仕事で汚れたら洗えるように。
キッチンとテラスは続きの間取りだ。
左手にあるリビングルームは仮眠もできるよう、大きめのソファー。
本来なら、リビングにはテレビやビデオデッキ、オーディオセットなどを置くんだろう。でもこの世界、そういうの無いからな……。絵でも飾るか?
ゆるやかな螺旋階段を上って。
二階には、男のロマン溢れる書斎、寝室。一応、客室も作っておいた。もちろん二階も洗面所とトイレ付。
つい、屋根裏部屋も作ってしまった。秘密の小部屋みたいでいいよな。
別棟には馬や牛、ニワトリなどの動物を飼う予定だ。
……って。
こんなの、10歳の子供が作る家じゃねえよ!! バリアフリーを考慮する10歳児がいるだろうか。おそらくいない。
俺だって足を痛める前まではそんなこと考えもしなかったしな……。
*****
「神の家は、みなこのような建物なのですか?」
いつの間にか来ていたプレストンが、出来上がった建物をぽかんと見上げて言った。
塀の外からなので、一部しか見えてないが。見える範囲だけでも、これまで見たことのない建築様式なようだ。そりゃそうか。瓦も無いみたいだし。
「お邪魔してもよろしいでしょうか?」
「あ、私も拝見したいです」
皆して、是非ともこの未知の建物を見学したい、というので。
家に入るのを許可した。
ウィリアムに、オズワルドとオーソン。ついでにプレストン。
はじめてのお客様、4名様ご案内、だ。
俺も、入るのははじめてなんだけど。
庭の時点で、ものすごく驚かれてしまった。
そもそも”庭”というものが無いというか、家と家との境目が曖昧みたいだ。
「砂利は防犯にもなるんだよ。踏むと音がするから」
などと説明するが。
「防犯……ですか?」
プレストンに不思議そうな顔をされる。……そうだな、他の人、入れないようになってるし。意味ないよな。でも美観の問題もあるから! 隙間から雑草生えてきたら腹が立つけど。
「何故、敷地内に坂があるのですか?」
「よく雨が降る土地だって言うから、湿気対策」
階段状にしなかったのは、年を取った時、段差がきつくなるからだ。
”バリアフリー”というものがあるのだと言ったら、プレストンだけでなく、オズワルドとオーソンも感心していた。その発想はなかった、と。
俺も、自分が足を怪我をするまでは、ちょっとした段差がつらいなんて知らなかったからな。
健康なうちは、わからないものだ。
ウィリアムは、普段冷静な彼にしては珍しく、とても驚いているようだ。
オーソンがそれを見て驚いていたくらいだ。
ぽかんとして、庭や家を見ていたが。
「いや、まだわからない。……に憧れる子もいるだろう」
ぶつぶつ何か呟いてる。
ん? 今、ニンジャとか聞こえたような気がしたが。
気のせいだろう。
*****
家の中へ招いたら。
やっぱり、靴を脱ぐのに驚いていた。
土足生活は、衛生的にも良くないんだぞ? 血反吐や糞の落ちたことがない道路などないからな。
浄化魔法を持たない人でも、手洗いや外から土を持ち込まない、など衛生に気を付けることで病気の感染リスクを下げることができるし。
「って訳で、洗面所で手洗いとうがいしてね」
タオルを渡す。
洗面所で水道の使い方を教えたら、ものすごく興奮された。
うん、レバー式の蛇口は画期的な発明だよね。蛇口自体、すごいと思う。
……その前に、この水をどこから持ってきたかって? ええと、そこの湖から、ろ過装置付の水道を通したんだよ。たぶん。
てな訳で。
力の限り、劇的ドリームなハウスを作ってしまった……。
ログハウス風の、庭付き一戸建て。
東京でこんな家建てたら、軽く億を超えるだろう。
そう、ほぼ私欲で創った家である。
それが何か?
*****
家は四方を丈夫な黒塀に囲まれている。いいよね、粋な黒塀。
門扉は、許可した人しか入れないようにしてある。
畑は他に作るつもりなので、庭は観賞用だ。
家の周囲には白い小石や砂利を敷き詰める。砂利を敷いておくと防犯上にいい。ここ、許可した人しか入れないよう設定しといたけど。念のため。
日本庭園風に、赤松黒松石灯籠と、小さな池も作った。ボウフラ発生装置にならないよう、カダヤシやメダカも仕込んだ。錦鯉も泳がしておく。
ウッドデッキ風のテラスは、いつかはカフェもできるよう、簡易キッチンと充分なスペースをとってある。
木造に見えるが、そう見せかけた強化樹脂だ。木製にしなかったのは、木は雨などで腐りやすいからだ。鉄筋コンクリートを木材風の樹脂で覆っている。
大雨や湿気対策のため、土台は高くしてるが。バリアフリーでなだらかな坂。
同じくセキュリティ対策バッチリなドアは和モダンな引き戸。
御影石の三和土で靴を脱いで。
ブーツも収納できる、大きめな下駄箱と、上着をかけるウォークインクローゼット。
バリアフリーで上り框などの段差がない玄関ホールは樹脂でコーティングした白無垢材のフローリング。
洗面所とトイレは、玄関から近い方がいい。
もちろん、風呂とトイレは別だ。一緒だと、トイレットペーパーが湿気るからな……。
風呂はゆったり広めで。浴室乾燥機と、乾きやすく転んでも痛くない床。
洗面所兼脱衣室に置く洗濯機は、ずっと欲しかったドラム式だ。
浄化魔法で綺麗になる、とか言わない。
正面には、広めのアイランドキッチン。業務用冷蔵庫は食材でぎっしりだ。
IHはいまいち火力が物足りないので、3口あるコンロはプロパンガスだ。この細っこい腕で中華鍋が振れるか問題だが。身体強化の魔法を使えばいいか。
勝手口の前には水道。野菜の土や、野良仕事で汚れたら洗えるように。
キッチンとテラスは続きの間取りだ。
左手にあるリビングルームは仮眠もできるよう、大きめのソファー。
本来なら、リビングにはテレビやビデオデッキ、オーディオセットなどを置くんだろう。でもこの世界、そういうの無いからな……。絵でも飾るか?
ゆるやかな螺旋階段を上って。
二階には、男のロマン溢れる書斎、寝室。一応、客室も作っておいた。もちろん二階も洗面所とトイレ付。
つい、屋根裏部屋も作ってしまった。秘密の小部屋みたいでいいよな。
別棟には馬や牛、ニワトリなどの動物を飼う予定だ。
……って。
こんなの、10歳の子供が作る家じゃねえよ!! バリアフリーを考慮する10歳児がいるだろうか。おそらくいない。
俺だって足を痛める前まではそんなこと考えもしなかったしな……。
*****
「神の家は、みなこのような建物なのですか?」
いつの間にか来ていたプレストンが、出来上がった建物をぽかんと見上げて言った。
塀の外からなので、一部しか見えてないが。見える範囲だけでも、これまで見たことのない建築様式なようだ。そりゃそうか。瓦も無いみたいだし。
「お邪魔してもよろしいでしょうか?」
「あ、私も拝見したいです」
皆して、是非ともこの未知の建物を見学したい、というので。
家に入るのを許可した。
ウィリアムに、オズワルドとオーソン。ついでにプレストン。
はじめてのお客様、4名様ご案内、だ。
俺も、入るのははじめてなんだけど。
庭の時点で、ものすごく驚かれてしまった。
そもそも”庭”というものが無いというか、家と家との境目が曖昧みたいだ。
「砂利は防犯にもなるんだよ。踏むと音がするから」
などと説明するが。
「防犯……ですか?」
プレストンに不思議そうな顔をされる。……そうだな、他の人、入れないようになってるし。意味ないよな。でも美観の問題もあるから! 隙間から雑草生えてきたら腹が立つけど。
「何故、敷地内に坂があるのですか?」
「よく雨が降る土地だって言うから、湿気対策」
階段状にしなかったのは、年を取った時、段差がきつくなるからだ。
”バリアフリー”というものがあるのだと言ったら、プレストンだけでなく、オズワルドとオーソンも感心していた。その発想はなかった、と。
俺も、自分が足を怪我をするまでは、ちょっとした段差がつらいなんて知らなかったからな。
健康なうちは、わからないものだ。
ウィリアムは、普段冷静な彼にしては珍しく、とても驚いているようだ。
オーソンがそれを見て驚いていたくらいだ。
ぽかんとして、庭や家を見ていたが。
「いや、まだわからない。……に憧れる子もいるだろう」
ぶつぶつ何か呟いてる。
ん? 今、ニンジャとか聞こえたような気がしたが。
気のせいだろう。
*****
家の中へ招いたら。
やっぱり、靴を脱ぐのに驚いていた。
土足生活は、衛生的にも良くないんだぞ? 血反吐や糞の落ちたことがない道路などないからな。
浄化魔法を持たない人でも、手洗いや外から土を持ち込まない、など衛生に気を付けることで病気の感染リスクを下げることができるし。
「って訳で、洗面所で手洗いとうがいしてね」
タオルを渡す。
洗面所で水道の使い方を教えたら、ものすごく興奮された。
うん、レバー式の蛇口は画期的な発明だよね。蛇口自体、すごいと思う。
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