巨人の国に勇者として召喚されたけどメチャクチャ弱いのでキノコ狩りからはじめました。

篠崎笙

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キノコマスター、再び異世界へ。

待ちに待った卒業式

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体育館に入って。
後ろを見たら、親父も有給を取って、カメラを手に来てくれてた。


イベントのスライドを流したり、校歌を歌ったり。
校長先生の手から、三年生全員の卒業証書を渡し終えて。

在校生の歌に送られながら、体育館を出た。
また会う日まで、と歌っている。


盛り上がって号泣してるのもいるけど、三年のほとんどはそのまま隣の大学に進学だ。
また始業式な、とか気楽に挨拶してるのもいるくらいだ。

あの中で、ぬるま湯生活も悪くなかったけど。

俺は、もう。
俺の運命に逢ったから。


この世界に、お別れを言うよ。
今まで、ありがとう。


*****


「小鳥遊パイセン、おつかれっした!」
部活の後輩たちが、寄せ書きを渡してくれた。

汚い字だな。
インクが滲んでるし。読めないよ。


親父が、みなさんで一枚どうかな、と言って。
後輩たちと、記念写真を撮った。

バレー部は背が高くてガタイのいいやつばっかの集団なので、やたら目立つからか、通りすがりにカメラを向けられたりした。

後輩が、じゃあご家族もご一緒に、と。
親父と母ちゃん、祖母ちゃんを引っ張って。みんなで写真を撮った。

後輩のチェキで撮ったのも、何枚か貰った。

これが最後の家族写真になるのか。
感慨深いな。


「そういや、例のあのイケメン外人さん、来てるみたいっすけど。今日は中には入らないんすかね? 外、大騒ぎっすよ」
「あ、俺見たっす。すごかったっす」
何故か興奮している。

凄かったって、何がだ?

「え、バル、もう来てるの!?」
親父たちを見ると。

祖母ちゃんは、黙って頷いている。


「……行ってきなさい。無理をせず、できることをしなさい」

うん。
俺なりに、できることをするよ、親父。


「バルタサールさんによろしく。でも、頑張ってね。生水飲むんじゃないわよ」

頑張るよ。
お城だし。生水は飲まないからな、母ちゃん。


別れの言葉は、さようならじゃなくて。
泣き顔じゃなく、笑顔で。


「うん。……行ってきます!」


*****


「あれ? 小鳥遊パイセン、どっか行っちゃうの? 外国とか?」

「ああ、遠いところにね……」
「そっかー、寂しくなるねえ」

後輩と親父が話しているのが聞こえた。


急いで校門へ向かうと、たくさんの人垣が見えた。
すごい人だ。

小学校、中学校でも同時に卒業式があるとはいえ。人、多すぎない?
芸能人でも来てるの? ってくらい。


「優輝!」

声を掛けられて。
そちらを見たら、ゴージャスな馬車が、校門前の車道に停まっていたのだった。


バルは、いつもの黒い騎士姿じゃなくて、王様の正装を身に着けていた。
こっちに笑顔全開で手を振っている。

相変わらずかっこいいな!

そして、御者はエリアスだった。
エリアス、すまし顔で写メを撮られまくっている……。

「バル、エリアスまで。何やってんの!?」


バルは俺に向かって、手を差し伸べた。
「待たせてすまなかった、優輝。迎えに来たよ。……私の花嫁」

輝くような笑顔で。


うわあ。
は、恥ずかしいこと言うなよ。


おー、と盛大な拍手をされて。
人垣が割れ、おめでとう、と言われながら馬車への道を開けられるという。

何だこれ。羞恥プレイ?


「あーそっかー。って。そーゆーことだったんだー、」
後ろから、後輩の納得したような声が聞こえた。

親父たちも、追いついたようだ。


ああ。だよ。
バルは、俺の家族になる人だ。もう、なってるけど。

……こうなったら、開き直ってやろうじゃないか。


俺も。
高校の制服から、結婚式の時の衣装に着替えた。

周囲から声が上がって。
なにこれマジック? 何かの撮影? とか言ってる。


そう。
これは魔法。だ。

ただし、タネも仕掛けもございません。


「……じゃあな!」


みんな、卒業おめでとう。

お祝いの気持ちを込めて。
辺り一面に、魔法の花を降らせた。

みんな、空を見上げている。


そして。
俺は、バルの手を取った。


*****


次の瞬間。
馬車は、k城への道を走っていた。

あのままどこまで走るんだろう、と思ってたけど。
花を降らせたのが、いい目くらましになったようだ。


魔法で馬車をエリアスごとサイズを小さくしていたようで、むくむくと、元の大きさに戻っていく。
俺以外。

こんなの、マジックでなければ夢だと思っちゃうよな。


「バル、迎えに来てくれてありがとう」

俺を膝の上に乗せてご満悦なバルを見上げる。
まさか、馬車に乗った王子様……じゃなかった王様が迎えに来るとは予想もしなかったけど。

「でも、何で馬車?」


花嫁を迎えに行くのに正装で、馬車に乗ってくるのは当然のことだ、とバルは笑った。
え、あっちで見た本にも書いてあった?

そうなんだ……。
何を読んだんだろう。


「エリアスも、ありがとう」

「いえいえ。みな小さくて、可愛らしかったです」
エリアスは可愛いもの大好きだよな。


しかし、馬車ごと異世界を往復させるとか、とんでもない魔法を使うなあ。
さすが、世界一の魔術師だ。

次元移動とか、ものすごい大変な魔術だっていうのに。それを、こんな軽々とやっちゃうとか。
そりゃ召喚魔法が得意なウィルフレドも拗ねるって。


昨日は、道路の使用許可とか聞きに行ったり、調べものがあったりで忙しかったようだ。

そうか。
馬車って軽車両扱いで、公道なら走ってもいいんだ……。
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