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45歳童貞、異世界へ行く

俺氏、生涯の愛を誓ったり。

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ガイウスの氏族は元々王族の家系で。
ルプスも貴族の家系らしい。二人の母親が同郷の出で、友人同士だったこともあり、知り合った。

ってことは、お母さんが狼だったのかな?

末っ子だったガイウスは、8歳の時から、すでに剣闘士になっていたルプスに剣術を教えてもらっていた。


しばらくして、世の中がきな臭くなってきて。
あちこちの国同士が戦争をし出した。

当時25歳、兄達を押しのけて王になっていたガイウスは、帝政を提唱した。

無駄に王が多すぎる。だから世が荒れる。
一人で充分だろう、と。


それは面白い、と。
騎士として戦争に出されていたルプスと、魔術師のクラッススも協力を申し出た。

平和な世でないと、闘技会が開催されないからだという。


ガイウスには、圧倒的なカリスマがあった。
ガイウスを頭とする帝政に賛同する人を集め、ガイウスの軍はどんどん勢力を強め、周辺諸国を制圧していった。

全ての国を統一し、整備するのに、120年掛かった。

さて建国だ、と慌しく走り回ってる時だった。
プロカスが力を求め、魔王になったのは。


ガイウス、ルプス、クラッスス、当時はいち騎士だったオクタウィウスらは、魔王の暴走を止めようと必死で戦った。
クラッススは、自分の命と引き換えに魔王を封じた。


そして100年前、アルバ帝国が建国した。

恋人だったクラッススを失ったルプスは、皇帝の右腕の座を蹴り、剣闘士に戻った。

かなり無茶をして。
片目を失ったのもその頃だという。


「あんな生き生きとしているルプスを見るのは、百何年ぶりだろうね……」
ガイウスは、懐かしそうに目を細めた。


*****


クラッススって魔術師、ルプスの恋人だったのか。
ルプスは友達だって言ってたけど。

建国したら、一番に結婚式を挙げる予定だったとか。
じゃあ、相当ショックだっただろうな。


ルプスが皇帝の右腕にならなかったのは、昔の仲間と居ると、どうしても思い出しちゃうから、とか?
それと、恋人の仇を取るために、ずっと鍛えてたんじゃないかなあ。

目を怪我してからも、剣術指南役になってずっと現場に残ったのは、魔王……プロカスが戻って来るのに備えて、剣闘士を育てるためかも。

俺がプロカスにも勝てそうな魔術師だって知って、すごい嬉しそうだったもんな。


考えてみれば、建国時に魔王を退けた勇者である皇帝が、百年経った現在もバリバリ現役って凄いな。

通常なら、ゴーレム四体なんて、国が滅んでもおかしくないほどの脅威だったそうで。
それを国民の前であっさり倒してみせたんだから。

ガイウスやルプスの武勇伝は、もはや伝説の勇者扱いだ。

でもって、そのゴーレムを出現させたプロカスを魔法一発で倒した俺も、伝説の魔術師の仲間入りだ。
信じらんない。


ゲームとかと違って、魔王を倒した後も、それぞれの生活があって、人生は続く。
皇帝はこれからもずっと、国を導かなくちゃいけないんだ。

ガイウスは今まで、一人でも立派にやってきたけど。
少しでも、その支えになれるだろうか?


*****


「ん? どうした、カナメ」

優しく微笑まれて。
やっぱりドキドキしてしまう。


まるでスポットライトを浴びているように、キラキラして見えるんだよな。
ツガイの欲目だろうか。

こんな美青年なのに、何で独身だったんだろう?
神祇官も清廉潔白な皇帝、とか言ってたし。

そう見えるくらい、遊んでなかったのか?


「ガイウスは、250年も生きてたのに、何で今まで結婚しなかったの?」

ガイウスは、難しい顔をした。
「む。若い頃は、縁談も持ち込まれたものだが。どうも、その気になれなかった……」

国を統一するのに戦っていた時は、結婚どころじゃない、とあちこちの国を走り回っていて。

「皇帝になってからは、忙しくてそれどころではなかったからな。最近、ようやく落ち着いたところだ」


そりゃ皇帝レベルMAXも納得だ。
剣闘士だけど、レベルMAXなルプスもそうだったんだろうな。

建国って、大変なんだ。
っていうか、一代でこれだけの帝国作るのも凄いけど。

勿論、発情期というものもあるし。
事を全くしなかった訳ではないだろうけど。

恋愛をする余裕がなかったという。


「そういう訳で。カナメが私の初恋、ということになるな」

初恋。
……俺が!?

こんな風に好きになったことがなかったので、色々と酷いことをしてしまった、と謝られた。


「もっと恋愛経験に長けた男なら、カナメを傷付けることなく、口説けていただろうか?」

いきなり大人の姿になった俺を押し倒しちゃったのも、皇帝という身分ゆえの傲慢さでなく、単に不器用だったせいなのか。

250歳にもなって恋愛初心者とか。
45歳コミュ障童貞な俺と、いい勝負かもしれない。


「……俺、遊び人は嫌いだから。今のままのガイウスがいい」

ナンパなガイウスとか。
間違いなく、嫌いになってるだろうな。

「カナメ……」
ぎゅっと抱き締められて。
「我々犬人は、一途な生き物だ。一度ツガイを決めれば、他に目移りはしない」


これからは一生、カナメだけだ、とキスをされて。

ああ、子供の姿に戻るの忘れてた、と思ったけど。
まあいいか。


*****


「ふ、……っく、あ、あっ、あ、」

後ろから、腰を叩き付けるように打ち付けられて。
勢いで、身体が浮き上がりそうになる。

「……ここを、私の子種でいっぱいに満たしたいと思ったのは、カナメが初めてだ」
お腹を撫でながら、囁かれる。

独占欲にまみれた囁きに、ぞくぞくする。
実際に、お腹いっぱいになるまで、出して欲しいと思ってしまう。

男同士で、孕む訳でもないのに。
そうしたがるのは、いわば、マーキングだ。

自分の匂いをつけて。
自分のものだと主張するための行為。


「ガイウス、……前から、して、……ん、ああっ、」

入れたまま、身体を引っくり返された。
その刺激で、イっちゃったけど。

「ガイウス、手、握って」

両手を出して。
互いの手を握り合う。

ガイウスの目を見て。
目と目が合う。


「……呪いなんてかけなくても。俺はもう、死ぬまでずっと、ガイウスのものだよ」

「カナメ……」
どくん、と。

中のガイウスが、大きく膨らむのを感じた。


「愛している、カナメ。私は永遠に、カナメだけのツガイだ」
「ん、俺も……、」

愛してる、とは。
恥ずかしいので、まだ言えないけど。


「好き……、ひぁ、ああっ!?」
告げた途端。

腰をがしっと掴まれて。
ぐちゅぐちゅと音が立つほど、めちゃくちゃに揺さぶられて。


一回では終わらないくらい。

ガイウスが、俺のことをどんなに好きか。
身体に教えられてしまった。
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