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19 おかずにされました※

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 あっという間に唇を奪われ、熱い唇が何度も触れた。久しぶりのキスに思考が停止していく。
 柔らかくてしっとりとしていて触れる感覚が気持ちいい。

 ちゅっちゅっと確かめるように、口づけを繰り返した。
 
「はぁ…シャロ…んん…っ」

「ん…」

 甘い空気に飲まれ、相手の唇を舌で軽く舐めると彼は目を見開いた。

「…っ」

「…?」

 そして元々赤い顔をもっと真っ赤に染めて視線をそらす。

照れてる…?

 散々自分からキスしておいてこちらから仕掛けるとたじたじになっている。俺は仕返ししてやるつもりで顔を近づけた。

「シャロン、口開けて」

「は」

 さっきよりも深く口づけをし、舌をねじ込むと明らかに動揺の色を見せた。

くちゅくちゅ…くちゅ。

 瞼が重たいのか、やがて瞳を閉じ二人キスの温度を感じる。

「舌…気持ちいな」

「…んぅ」

くちゅくちゅ…ちゅく。ちゅく…。

 シャロンの舌は熱くて溶けそうだった。

 いつの間にか背後から水音が聞こえてきて、振り返る。するとシャロンは自身の右手で大きく勃起したそれを扱っていた。

「…」

 ごくり。喉が上下した。

 先のほうが赤くなり、透明な液が垂れている。

「はぁ…はぁ…はぁ…クロ…」

「シャロン…」

「…でる」

 びゅっと白い液が散り、彼は苦しそうに呼吸を荒げた。

「キス…したい」

「ん…っ」

 噛みつくようなキスをしたあと、彼は首まで真っ赤にしベッドに倒れ込んだ。

「え、こ、これどうすれば…」

















 俺がおかずにされてから一週間が経過した。

 シャロンもメイドたちの風邪もすっかり治り、屋敷に平穏が訪れようとしていた。しかし問題が一つ。それは、シャロンとの関わり方がわからないということだった。

「どうすればいいんだよ…くそ」

 今日あいつは一日出掛けていていないからいいものの、普段は目を合わせることも気まずくなってしまった。それなのに当の本人は全く覚えていないというのだからモヤモヤする。

 あれは事故だったと割り切るしかないのか…。

 やるせない気持ちを窓拭きにぶつけて廊下のガラスをピカピカに磨いていたときだった。メイド長が俺のもとに走ってきた。
 普段俺にあれほど廊下は走るなと言っているくせに自分はいいのか。

「クロ!玄関まで来なさい」

「なんですか」

 つい不貞腐れたような声が出てしまった。メイド長は顔が真っ青で額には汗が滲んでいた。はあはあと肩で息をし、明らかに動揺していた。

「旦那様がお帰りになったのです」

「旦那様?」

 つまりはシャロンのお父さんのことだろう。でも旦那様はそうそう屋敷に帰らないと聞いている。それにメイド長のこの様子。なにか不穏な感じがした。





 玄関ホールにはメイドたちが一列になって頭を下げていた。そしてその中心を通るのが、旦那様と呼ばれるおっさんだった。

 旦那様はシャロンとは全く似つかなかった。身長は低く小太りで、髪は金髪で肌は白い。

「あ、新人のメイドをお連れしました」

 メイド長は俺の頭をぐっと抑えると無理やりお辞儀をさせた。

 痛てて‥そんなに強く押さえつけなくなってお辞儀ぐらいできるって。

「ほう、この子がなぁ。なかなかいいじゃないか」

 旦那様は舐めるようにこちらを暫く観察したあと、ニタニタと笑った。
 なんか嫌な感じだ。セクハラされている気分になる。

そして一言、

「君は今晩私の部屋に来るように」

 それだけ告げて階段を上っていった。

「今晩?なんで?」

 困惑する俺をメイド長は何故か申し訳無さそうに見つめた。




 確かシャロンには年の離れた妹と綺麗なお母さんがいたはずだ。この屋敷の入り口に家族の肖像画が飾ってあるから知っている。皆金髪なのに  シャロンだけ黒髪だったのが違和感で覚えていた。

 今日は妹ちゃんもお母さんもいないらしい。旦那様が一人で屋敷に帰ってきたのだ。シャロンもどこかに出かけているし…。


 その夜、俺は言われた通り旦那様の元に向かった。コンコンコンと部屋をノックすると、

「入れ」

と一言。

「旦那様お呼びでしょうか」

 扉を開けて俺はすべてを理解した。そして非常に胸糞悪くなった。

 旦那様はベッドの上にバスローブ姿で座っている。そして酒を飲みながら鼻息を荒くし俺を待っていたのだ。

 主人はボフボフと布団を叩いた。ここに来いと言っているのだ。




『えーっとこれは…メイド服だよな?』
『そうだ。この屋敷の給仕は基本女性が行うからな』
『なんで?』
『父の命令だ。まぁ、うちには年頃の妹もいるからな』
『はぁ』



 この屋敷に来たとき、シャロンに質問したことを思い出した。

 なるほど、旦那様は家族にバレないようにこうして屋敷に戻ってきてメイドに手を出していたのか。昼の値踏みするような視線も、メイド長の不安げな表情もこういうことだったのだ。

 さてこれからどうしようか。もしもここで断ったり騒いだりしたら職を失うのか。

 とりあえず大人しく言うことを聞き主人の横に座わると、耳を引っ張られた。

「ふんっ黒猫の獣人とはな…まぁ、顔はいいから妥協してやるが」

 旦那様は俺をベッドに押し倒し、上から見下ろしてきた。

「服を脱げ」
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