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プロローグ 近い未来の戦い
しおりを挟む「両者!前に!」
審判の掛け声に従って、今日の為に調整された訓練所の真ん中まで歩く。
歩き終わると俺の前には決戦の相手である彼女が立っている。
「よう、久しぶり。こうやって対等に話すのはいつぶりだ?」
長いようで短かった三週間。
俺は彼女と対等に話す為に僅かな時間でのし上がった。
「……そんな挨拶はどうでも良いよ」
いつもの演技がかった口調も無く、彼女は素の状態でそう答えた。
「正直、自分が間違ってるかもしれないって思い始めたし、
あなたの気持ちも前より分かるようになった」
「それは良かった」
「でもね、まだ踏ん切りがつかないの。
最悪な人生を送って、『何をしようと幸せになる』って決めた気持ちは
そこまで軽く無いから」
「……そうか」
「だから、今の『非道な悪役令嬢』である私を倒して、
私が間違ってるってことを証明して欲しい。
そうしてくれれば、私は私の誤りを認める事ができるから」
「お互い、本気で行こうか」
「……ええ」
審判の方に目線を送り、挨拶が終わった事を知らせる。
「ごほん、それでは……勝負開始ィ!」
そう言われた瞬間。
彼女の鉄扇が俺の側頭部目掛けて振りかざされ、俺は剣で防ぐ。
ガキィン!
と言う音と共に火花が散る。
前世では出来なかった、絶対に負けられない兄妹喧嘩が始まった。
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