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第五章 クラス対抗戦!
第33話 鬼ごっこ
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「く……お前、何者だ?」
「僕?僕はただのライト。農家の息子で転校生」
「そうか……自己紹介感謝する……!」
ライトは強い。大剣を軽々と振り回すマロンに張り合っている。
というか、マロンの方が押され気味だ……
「ライトォ!そのままその女を押さえとけよ!」
ラグロはそう叫んで、校庭の西から東に走り出す。
「ノーティス!私がこいつを抑えてる間にアイツを倒せ!」
「……!、分かった!」
主人公に会ったり、味方が全滅していたショックでボケっとしていた頭がマロンの一喝で再稼働する。俺は弾かれたように走り出してラグロを追う。
(味方が全滅してるのはどっちの陣営も同じ……つまりこっからはどっちが
大将を倒すかの戦いだ!)
「ハア……!ハア……!ノーティス!俺はお前らがライトに倒されるまで逃げれば勝てるんだ!お前は、ハア……!俺を倒せるかな……!」
ラグロが走りながらそう叫ぶ。
見た目に反してなかなかすばしっこいが、苦しそうだ。
「自分の体型見ればどっちが有利かくらい分かると思うけど!?」
俺も全力で駆ける。
だが、想像よりも距離は縮まらない。
(戦った後で踏み荒らされてるし、
武器とか人が転がってるせいでまともに走れにくい!)
ラグロはスピードこそ遅めだが、
人や武器の合間を縫ってチョコマカと逃げている。
一方俺は目の前の物を飛び越えるように大股で走っているので、スピードは出るが度々バランスを崩しそうになってしまい、距離が縮まりにくいのだ。
「ハア……!どうした!?ハア……!
ノーティス……!ハア……!その程度か!?」
「ハアハアうるせえな!黙ってろ!」
ラグロが煽ってきて、
思わず頭に血がのぼってしまい足を早める。
「いてッ!」
「はっはっー!ざまぁねぇぜ!」
足元を疎かにしたせいで俺はコケた。
ますます奴を調子づかせてしまったようだが、
痛みで少し冷静になった俺は辺りを見渡す。
(……いつつ、俺は何に足をとられたんだ?滑った感じがしたけど……)
そう思って足元を見る。
そこには炎の魔道書が落ちていた。
(そうだ!馬鹿正直に鬼ごっこで追いつく必要は無いじゃないか!)
俺はすぐさま魔道書を手に取り、炎の魔法を詠唱する。
「炎の魔力よ……」
「どうした!足音が聞こえねえなぁ!?諦めたか!?」
「形を成して、あの者を射抜け!」
ゴオオオ……!ボッ!
魔道書から魔法の炎が立ち上り、
それはサッカーボールくらいの大きさの球となってラグロ目掛けて突き進む。
バシイ
「うわあ!熱っ!?」
「よっしゃ!焼豚の完成だ!」
炎はラグロの身体を包み込むように燃えて、
彼は鎮火しようと地面に倒れて転がる。
俺は奴を取り押さえようと走る……!
だが。
「やらせないよ!」
「何!?」
後方三十メートルからライトの声が響く。
振り返ると奴は剣を構えながら俺に向かって走ってきていた。
……マロンが負けたのか?
「いや、俺がアイツを倒すのが先だ!」
しかし、俺とラグロの差は二十メートル程。
全力で走って素早く奴にトドメを刺せば間に合う……はず!
「うぉぉおおおおお!」
「おおおおお!」
「あちちち!」
俺、ライト、ラグロ。三人の叫びが響き渡る。
「よっしゃ!トドメだラグロ!」
グッ!
「ちっ!ノーティス!あつつ!」
先に俺がラグロの元に着いた。
俺は奴の腹を足で抑えて、頭頂部向かって剣を……
「やらせないってば!」
「!」
しかし、その時既に俺の真後ろにライトは立っていた。
彼も俺を狙って剣を構えているが、気づくのが遅すぎた……!
今更回避はできない!
「しまっ……!」
「僕たちの勝ちだよ!」
ヒュン!ガツ!
「ブフッ!?」
「えっ?」
そう、俺はライトの剣を喰らうと覚悟したその時だった。
何処からか、拳大程の大きさの石が飛んできてライトの顔面に当たる。
これにはさすがのライトも効いたようで、剣を手放して倒れた。
「……私を忘れてもらっちゃ困りますよ」
「おま、お前!カイ!?良く分からないけどありがとう!」
石が飛んできた先から声がして、振り向くとそこにはカイがこれでもかという程のドヤ顔で立っていた。
「私だってノーティスさんの仲間ですからね、
ただの新聞記者と思ってもらっちゃあ困りますよ」
「いや、お前はまだ新聞記者でも無いだろ」
「シャラップ!細かい事はどうでも良いんですよ!早くその商人にトドメを!」
「それもそうだな!」
俺は再びラグロに剣を振り下ろそうと構える。
「クソ!起きろライトォ!」
「……!痛た……今のはなかなか効いたよ」
「うええ!?完全に鼻の頭の急所に入ったのに立ち上がりましたよこの人!」
ラグロの一喝でライトが目覚めてしまう。
「クッ!お前が倒れれば終わるっての!」
バキィ!
「グアア……!くく、効かないねぇ……」
綺麗な太刀筋で頭頂部を狙ったが、ラグロは腕で防ぐ。
「一回でダメなら二回やれば良いだけだ!」
「二回目は僕が許さないよ!」
もう一度振り下ろそうと構えるが、すかさずライトが俺に向かって剣を……
キィン!
「……まだ決着は着いてないだろう?」
後ろからマロンの声がした。
確認しなくても分かる、彼女は再び俺を守ってくれたのだ。
「……なんだとぉ……しぶとい女が邪魔しやがって……!」
「しぶといのはお前もだよ!」
ガツ!
「グホォ……!ち、ちくしょう……」
今度こそ、俺の一撃はラグロの頭頂部を捉え、気を失わせた。
「決着!勝者赤組!」
制限時間はまだ余ってるが、
ラグロが気絶したので俺達の勝利を告げる実況が響いた。
「俺達の勝ちだ……!」
*
カイの投石技術はトーシャ村の馬小屋でノーティスが行ったのを彼女なりに真似した結果、身につきました。
可愛いですね。
「僕?僕はただのライト。農家の息子で転校生」
「そうか……自己紹介感謝する……!」
ライトは強い。大剣を軽々と振り回すマロンに張り合っている。
というか、マロンの方が押され気味だ……
「ライトォ!そのままその女を押さえとけよ!」
ラグロはそう叫んで、校庭の西から東に走り出す。
「ノーティス!私がこいつを抑えてる間にアイツを倒せ!」
「……!、分かった!」
主人公に会ったり、味方が全滅していたショックでボケっとしていた頭がマロンの一喝で再稼働する。俺は弾かれたように走り出してラグロを追う。
(味方が全滅してるのはどっちの陣営も同じ……つまりこっからはどっちが
大将を倒すかの戦いだ!)
「ハア……!ハア……!ノーティス!俺はお前らがライトに倒されるまで逃げれば勝てるんだ!お前は、ハア……!俺を倒せるかな……!」
ラグロが走りながらそう叫ぶ。
見た目に反してなかなかすばしっこいが、苦しそうだ。
「自分の体型見ればどっちが有利かくらい分かると思うけど!?」
俺も全力で駆ける。
だが、想像よりも距離は縮まらない。
(戦った後で踏み荒らされてるし、
武器とか人が転がってるせいでまともに走れにくい!)
ラグロはスピードこそ遅めだが、
人や武器の合間を縫ってチョコマカと逃げている。
一方俺は目の前の物を飛び越えるように大股で走っているので、スピードは出るが度々バランスを崩しそうになってしまい、距離が縮まりにくいのだ。
「ハア……!どうした!?ハア……!
ノーティス……!ハア……!その程度か!?」
「ハアハアうるせえな!黙ってろ!」
ラグロが煽ってきて、
思わず頭に血がのぼってしまい足を早める。
「いてッ!」
「はっはっー!ざまぁねぇぜ!」
足元を疎かにしたせいで俺はコケた。
ますます奴を調子づかせてしまったようだが、
痛みで少し冷静になった俺は辺りを見渡す。
(……いつつ、俺は何に足をとられたんだ?滑った感じがしたけど……)
そう思って足元を見る。
そこには炎の魔道書が落ちていた。
(そうだ!馬鹿正直に鬼ごっこで追いつく必要は無いじゃないか!)
俺はすぐさま魔道書を手に取り、炎の魔法を詠唱する。
「炎の魔力よ……」
「どうした!足音が聞こえねえなぁ!?諦めたか!?」
「形を成して、あの者を射抜け!」
ゴオオオ……!ボッ!
魔道書から魔法の炎が立ち上り、
それはサッカーボールくらいの大きさの球となってラグロ目掛けて突き進む。
バシイ
「うわあ!熱っ!?」
「よっしゃ!焼豚の完成だ!」
炎はラグロの身体を包み込むように燃えて、
彼は鎮火しようと地面に倒れて転がる。
俺は奴を取り押さえようと走る……!
だが。
「やらせないよ!」
「何!?」
後方三十メートルからライトの声が響く。
振り返ると奴は剣を構えながら俺に向かって走ってきていた。
……マロンが負けたのか?
「いや、俺がアイツを倒すのが先だ!」
しかし、俺とラグロの差は二十メートル程。
全力で走って素早く奴にトドメを刺せば間に合う……はず!
「うぉぉおおおおお!」
「おおおおお!」
「あちちち!」
俺、ライト、ラグロ。三人の叫びが響き渡る。
「よっしゃ!トドメだラグロ!」
グッ!
「ちっ!ノーティス!あつつ!」
先に俺がラグロの元に着いた。
俺は奴の腹を足で抑えて、頭頂部向かって剣を……
「やらせないってば!」
「!」
しかし、その時既に俺の真後ろにライトは立っていた。
彼も俺を狙って剣を構えているが、気づくのが遅すぎた……!
今更回避はできない!
「しまっ……!」
「僕たちの勝ちだよ!」
ヒュン!ガツ!
「ブフッ!?」
「えっ?」
そう、俺はライトの剣を喰らうと覚悟したその時だった。
何処からか、拳大程の大きさの石が飛んできてライトの顔面に当たる。
これにはさすがのライトも効いたようで、剣を手放して倒れた。
「……私を忘れてもらっちゃ困りますよ」
「おま、お前!カイ!?良く分からないけどありがとう!」
石が飛んできた先から声がして、振り向くとそこにはカイがこれでもかという程のドヤ顔で立っていた。
「私だってノーティスさんの仲間ですからね、
ただの新聞記者と思ってもらっちゃあ困りますよ」
「いや、お前はまだ新聞記者でも無いだろ」
「シャラップ!細かい事はどうでも良いんですよ!早くその商人にトドメを!」
「それもそうだな!」
俺は再びラグロに剣を振り下ろそうと構える。
「クソ!起きろライトォ!」
「……!痛た……今のはなかなか効いたよ」
「うええ!?完全に鼻の頭の急所に入ったのに立ち上がりましたよこの人!」
ラグロの一喝でライトが目覚めてしまう。
「クッ!お前が倒れれば終わるっての!」
バキィ!
「グアア……!くく、効かないねぇ……」
綺麗な太刀筋で頭頂部を狙ったが、ラグロは腕で防ぐ。
「一回でダメなら二回やれば良いだけだ!」
「二回目は僕が許さないよ!」
もう一度振り下ろそうと構えるが、すかさずライトが俺に向かって剣を……
キィン!
「……まだ決着は着いてないだろう?」
後ろからマロンの声がした。
確認しなくても分かる、彼女は再び俺を守ってくれたのだ。
「……なんだとぉ……しぶとい女が邪魔しやがって……!」
「しぶといのはお前もだよ!」
ガツ!
「グホォ……!ち、ちくしょう……」
今度こそ、俺の一撃はラグロの頭頂部を捉え、気を失わせた。
「決着!勝者赤組!」
制限時間はまだ余ってるが、
ラグロが気絶したので俺達の勝利を告げる実況が響いた。
「俺達の勝ちだ……!」
*
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