20 / 51
第20話 体育祭の出場種目を決めます
しおりを挟む
「――ふぁーあ……」
6月の梅雨入り前の天気は快晴で、もうすぐ梅雨が来るなんて嘘の様な空模様。
5限の始まり。
今日も今日とてアヤノの世話の仕事で早起きで、朝ご飯を食べる余裕が無かったので、昼に学食でラーメンとカツ丼という贅沢セットを頼んでしまい胃が活発に消化活動を始めており眠たい。
「大きな欠伸ですなぁ」
俺の欠伸に隣の先に座っている夏希がツッコミをいれてくれる。
「まぁなぁ。最近朝早いしきっちぃんだわ」
「あれですかい? 夜遅くまで相棒を弄りまわしてるんですかい? 朝までキャンキャンコースですかい? 涼太郎くんも体力お化けですなぁ」
「何かいやらしい言い方だな……。あー……。でも、うん。バイクを弄るのも覚えたいし、給料入ったら何か部品でも買いに行こうかな」
今までは特に弄ったりはせずに乗り回しているから、自分で弄って見るのも良いかも知れない。
「おお! その時はぜひあっしも!」
「――そうだな……。俺もカスタマイズはからっきしだし、夏希に聞くのもアリか?」
失敗談ばかり聞く気がするけど、教えてもらう事は出来るだろう。
絶対に触らせないけど。
「おお! それじゃあとうとう相棒と3P出来るんですかいな!」
「ちょ! 言い方!」
その言い方が井山の方まで聞こえたのか、こちらを見て来る。
いや、見て来るというか睨んで来ている。
「ではいつ本番ですかね?」
本番とか言うなや。井山が漫画の登場キャラなら血の涙を流しているぞ。ほら、今もめっちゃ血走った目で見てきてるし。
「やっぱりやめておこう」
「えー! なんでぇ!?」
「暗殺されそうだから。マジで」
「アサシンですかい? どこのどいつが?」
「お前にホの字の奴だよ」
そう言うとキョロキョロと辺りを見渡す。
「まさかロールス・ロイスみたいなあの人!?」
「誰だよロールス・ロイスみたいな奴って……」
「金持ちでイケメンで優しく包容力のある奴」
そう言われた後に井山を見て吹き出してしまう。
「あれだよ。アルトみたいな奴だよ」
「おお! それはそれで小回りが聞いて使い勝手が良い」
「あー。車なら何でも良いのねキミは……」
「弄りまわしても大丈夫そうだしね」
「練習台ってか?」
「まぁそんな感じ」
何か本当に井山の事を言っている気がしたので勝手に同情しておこう。
「――はーい! ちゅーもーく!」
教卓から聞こえる声は先生ではなく、クラスの人気者でまとめ役の風見 蓮の声であった。その隣にはクラスのアイドル水野 七瀬が立っている。
うはぁ……。2人並ぶとお似合いだわぁ……。
「今から『体育祭』の出場種目の代表を決めまーす!」
そんな風見の声に「うおおお」やら「えー」なんて声が教室内に響き渡る。
6月と言えば祝日のない月である。
最近までは6月、8月と祝日のない月であったが、8月が裏切ったね。山の日だってさ。
それに、8月と言えば学生は夏休み、社会人はお盆休みと長期休暇があるので、好かれている月だと言えよう。後、夏だしね。
しかし6月と言えば、ジメジメと梅雨の足音が近づいてからの梅雨本番。雨は降るわ、湿気はひどいわ、洗濯物は外干し出来ないわ、トドメの一撃が祝日なしってくりゃやる気も失せますわ。
だが、そんな6月も楽しいイベントがあれば印象が変わる。
体育祭。
地域によってまちまちだろうが、ウチの学校では6月に体育祭が行われる。3年生の受験なり就職活動なりを考慮しての事だろう。
俺は体育祭は好きだ。身体動かすのは好きだしね。
だけど、クラスの反応を見れば、好き嫌いは――半々くらいなのかな?
パッと後ろを見て見る。
「なに?」
美しい顔のお嬢様が表情1つ変えずに首を傾げてくる。
「いえ、何も……」
クラスが騒がしい中、ウチのお嬢様はやはりクールである。
それは運動神経が良い事である余裕か? はたまた、運動音痴でもう開き直っている顔か? それは分からない。
そういえばアヤノの運動神経ってどうなんだろう。
見た目は――出来そうな感じだよな。おっぱいも小さいから走る時に邪魔にならないから足が速そうである。
「今失礼な事を考えている?」
「いやいやいや、そんな事はありませんよ」
絶賛考え中であった。
「視線の先が胸」
「――あ……バレた? ――はっ!?」
つい口にするとアヤノはゴミを見るような目で俺を見て来る。
やばい、めっちゃ怖いんだけど……。
「――それじゃあ男女に分かれて決めるので、男子は廊下側。女子は窓際で決めてくださーい」
風見の指示でクラスの連中が立ち上がる。
アヤノも立ち上がり俺を見下ろす様に見て来る姿は圧があり怖かった。
「後で話がある」
そう言い残して窓際の方へ去って行った。
ヒィィ……。こえー。まじでしばかれるんじゃないの? めっちゃ怖かったよ。
で、でもさ! おっぱい見てただけだよ? アヤノのおっぱい見てただけだよ? アヤノの服の上からじゃ膨らみが分からないおっぱいを見てただけだよ。
「お前っておっぱい小さいから足速そうだなー」
何て言ってないよ? おっぱい見てただけだよ? ブラジャーいる? って位に小さなおっぱいを見てただけだよ?
普通おこ――るよな……。
いや、うん。普通は怒るわ。冷静になった。だってダメだもん。おっぱい見ながら話しちゃ。それはダメだよ。うん。それはダメだ。人の目を見て話をしなきゃ。人のおっぱいを見て話すのはダメだよ。
でもでも、でもだよ? 生乳見た時は微塵も怒らなかったよな? 生乳は良いの? そんな事はないだろ。だったらおっぱい見て話しても大丈夫だよ。だからそれで怒ってるんじゃないわ。
――え? ちょっと待って……。って事はアイツ俺の心の声が聞こえたって事なんじゃない? 絶対そうだよ。だってそうじゃないとあんなゴミ屑を見るような目で見てこねーもん。 え? それじゃあアイツってエスパーなの? アヤノってエスパーなんだ。アイツエスパーかよ。
「――涼太郎? 何をブツブツ言っているんだよ」
「――え?」
ふと名前を呼ばれて顔を上げると、同性の俺ですらイケメンだなー。っと思わせるルックスの風見 蓮が立っていた。
つか、風見 蓮って何だよ。名前もカッコよ過ぎか!
「涼太郎は何か出たい種目はある?」
イケボで尋ねられる。
あー夏希。いたわ。ここに。ロールス・ロイスみたいな男子が。これで金持ちならお前の理想だぞ。
「俺は――」
何でも良いって言おうとしたが、それをアヤノに言われて困っている自分がいるのを思い出し、自分が言われて嫌な事を名前勝ち超絶イケボイケメンたんに言うのは違うと思い、瞬時に台詞を変える。
「――どんな種目があるんだ?」
「種目は二人三脚、男女混合リレーと短距離、中距離走。借り物競走とか障害物競走とかかな。あ、後、男子全員参加の騎馬戦。それとクラス全員参加の種目があるからその2つは絶対参加ね。クラス全員参加の他に今言った中のどれかに最低1つは出ないといけない」
「絶対か……。クラス全員参加の種目は?」
「それはクラス対抗のリレーだよ」
騎馬戦とリレーは強制参加か……。男女混合リレーと被るからそれはないな。
「借り物競走に出たいな」
借り物競走って出た事ないから出てみたいな。
「借り物競走だな。それじゃあ――」
そう言いながら蓮はスマホを取り出して操作する。
「――このくじ引きアプリで決めるわ」
「借り物競走って人気なのか?」
「人気って訳じゃないけど、井山もそれが良いって言ってるからな」
「あー……」
まさか奴と被るとは……。
「個人的には俺、アイツに嫌われてるみたいだからさ……。涼太郎に出て欲しいんだけど、そこは平等にな」
「え? 蓮。何かしたん?」
「いや、名前で呼んだら『やめて下さい』って拒否られた」
「あ、そうなのね」
イケメンは自動的に敵と思っているのだろうか。
「井山ー!」
蓮は井山を呼んで俺の前に来させる。
「井山と涼太郎が被ったからクジで平等に決めるから」
そう言うと井山は俺の事を見る。
「よもやこんな形で君と決着をつける時が来るとはね。今までの恨みを晴らす時が来たよ。ふっ」
コイツは何を言っているのだろうか……。
井山の発言を聞いて蓮が耳元で囁いてくる。コイツ男のくせに良い匂いすんな。
「何したんだ?」
「ゲームのやり過ぎだろ」
「あー……。中二病ってやつか?」
「それそれ」
そんな会話をコソコソしていると井山が言ってくる。
「何をゴチャゴチャ言っているんだ? 南方くん。もしかして風見くんと仕組んでいるのではなかろうな!?」
「いや、このクジに仕組みを入れるほどかけてはないけど」
「ふっ。君は僕に負けるのを怖がっているんだね。はっはっはっ。正々堂々と負けるのが怖いんだな! アッハッハ。負け犬め!」
イラッとする発言。
「調子乗んなよ? しばき回すぞ! ごら」
「ひっ!」
だからすぐビビるならあおってくんなよ。
「ぼ、ぼぼぼくはき、君にだけはぜ、絶対に屈しない!」
「屈しろよ。面倒くせーな」
「この勝負! 勝ったらぼ、僕は海島さんに――」
「――私に何?」
「ひぇ!?」
何とも間抜けな声が出た井山の後ろから夏希が顔を出す。
「う、う、海島さん!? ど、どうしてこんな所に!?」
「ここが私のクラスで、ここが私の席だからかな。ペン取りに来ただけど。あ、井山くんは何出るか決まったの?」
「借り物競走に出たいと思って今からクジで決めるんだよ」
「そうなんだ。私も借り物競走になったから、一緒になったら頑張ろね」
そう言って女子の輪に戻って行った夏希。
その言葉を聞いた瞬間に井山の顔付きが変わった。
ナヨナヨしい顔立ちから漢らしい顔付きへと変わる。
覚醒の井山。処刑用BGMが聞こえてくる――気がした。
「負けられない戦いが今ここにある」
闘う者のテンションになった井山は蓮のクジアプリを使い「はあああああ!」と気合の入った言葉を出してスマホをタップする。
『ハズレ』
「んのおおおおおおおおお!」
うるせー……。
膝から崩れ落ちる井山。
目から生気を失い、まるでこの世の終わりみたいな感じになってる。
そんな井山に対して俺は肩をポンと叩いて言ってやる。
「もう、お前借り物競走出て良いよ」
その言葉に目に光が戻った井山は俺の手を握ってくる。
「ほ、ほんとかい!?」
「いや、お前程のテンションには追い付けないから良いよ」
「き、君って奴は……。君って奴は……。抱きしめて良いかい?」
「いや、まじでやめろや。やったらしばく」
「今ならしばかれても良い」
「手を離せ! 気色悪い!」
「おぅふ!」
手を思いっきり振り解く。
井山のテンションがこの上なく気持ち悪い。
「良いのか? 涼太郎」
蓮が気を使った様な口調で聞いてくる。
「あれを見て俺が出たいと言う気にはなれないからな。他で良いよ」
「そ、そうだな……。でも涼太郎すまないが希望の少ない種目になるけど、それで良いか?」
「まぁ他の人の希望の所に今更行くのも図々しいからな、それで良いよ」
「すまないな。ありがとう」
そういう訳で、俺の体育祭の種目は男女混合リレーとなった。
まぁクラス全体のリレーがあるから、リレー被りを避けるのは皆同じ考えか。
6月の梅雨入り前の天気は快晴で、もうすぐ梅雨が来るなんて嘘の様な空模様。
5限の始まり。
今日も今日とてアヤノの世話の仕事で早起きで、朝ご飯を食べる余裕が無かったので、昼に学食でラーメンとカツ丼という贅沢セットを頼んでしまい胃が活発に消化活動を始めており眠たい。
「大きな欠伸ですなぁ」
俺の欠伸に隣の先に座っている夏希がツッコミをいれてくれる。
「まぁなぁ。最近朝早いしきっちぃんだわ」
「あれですかい? 夜遅くまで相棒を弄りまわしてるんですかい? 朝までキャンキャンコースですかい? 涼太郎くんも体力お化けですなぁ」
「何かいやらしい言い方だな……。あー……。でも、うん。バイクを弄るのも覚えたいし、給料入ったら何か部品でも買いに行こうかな」
今までは特に弄ったりはせずに乗り回しているから、自分で弄って見るのも良いかも知れない。
「おお! その時はぜひあっしも!」
「――そうだな……。俺もカスタマイズはからっきしだし、夏希に聞くのもアリか?」
失敗談ばかり聞く気がするけど、教えてもらう事は出来るだろう。
絶対に触らせないけど。
「おお! それじゃあとうとう相棒と3P出来るんですかいな!」
「ちょ! 言い方!」
その言い方が井山の方まで聞こえたのか、こちらを見て来る。
いや、見て来るというか睨んで来ている。
「ではいつ本番ですかね?」
本番とか言うなや。井山が漫画の登場キャラなら血の涙を流しているぞ。ほら、今もめっちゃ血走った目で見てきてるし。
「やっぱりやめておこう」
「えー! なんでぇ!?」
「暗殺されそうだから。マジで」
「アサシンですかい? どこのどいつが?」
「お前にホの字の奴だよ」
そう言うとキョロキョロと辺りを見渡す。
「まさかロールス・ロイスみたいなあの人!?」
「誰だよロールス・ロイスみたいな奴って……」
「金持ちでイケメンで優しく包容力のある奴」
そう言われた後に井山を見て吹き出してしまう。
「あれだよ。アルトみたいな奴だよ」
「おお! それはそれで小回りが聞いて使い勝手が良い」
「あー。車なら何でも良いのねキミは……」
「弄りまわしても大丈夫そうだしね」
「練習台ってか?」
「まぁそんな感じ」
何か本当に井山の事を言っている気がしたので勝手に同情しておこう。
「――はーい! ちゅーもーく!」
教卓から聞こえる声は先生ではなく、クラスの人気者でまとめ役の風見 蓮の声であった。その隣にはクラスのアイドル水野 七瀬が立っている。
うはぁ……。2人並ぶとお似合いだわぁ……。
「今から『体育祭』の出場種目の代表を決めまーす!」
そんな風見の声に「うおおお」やら「えー」なんて声が教室内に響き渡る。
6月と言えば祝日のない月である。
最近までは6月、8月と祝日のない月であったが、8月が裏切ったね。山の日だってさ。
それに、8月と言えば学生は夏休み、社会人はお盆休みと長期休暇があるので、好かれている月だと言えよう。後、夏だしね。
しかし6月と言えば、ジメジメと梅雨の足音が近づいてからの梅雨本番。雨は降るわ、湿気はひどいわ、洗濯物は外干し出来ないわ、トドメの一撃が祝日なしってくりゃやる気も失せますわ。
だが、そんな6月も楽しいイベントがあれば印象が変わる。
体育祭。
地域によってまちまちだろうが、ウチの学校では6月に体育祭が行われる。3年生の受験なり就職活動なりを考慮しての事だろう。
俺は体育祭は好きだ。身体動かすのは好きだしね。
だけど、クラスの反応を見れば、好き嫌いは――半々くらいなのかな?
パッと後ろを見て見る。
「なに?」
美しい顔のお嬢様が表情1つ変えずに首を傾げてくる。
「いえ、何も……」
クラスが騒がしい中、ウチのお嬢様はやはりクールである。
それは運動神経が良い事である余裕か? はたまた、運動音痴でもう開き直っている顔か? それは分からない。
そういえばアヤノの運動神経ってどうなんだろう。
見た目は――出来そうな感じだよな。おっぱいも小さいから走る時に邪魔にならないから足が速そうである。
「今失礼な事を考えている?」
「いやいやいや、そんな事はありませんよ」
絶賛考え中であった。
「視線の先が胸」
「――あ……バレた? ――はっ!?」
つい口にするとアヤノはゴミを見るような目で俺を見て来る。
やばい、めっちゃ怖いんだけど……。
「――それじゃあ男女に分かれて決めるので、男子は廊下側。女子は窓際で決めてくださーい」
風見の指示でクラスの連中が立ち上がる。
アヤノも立ち上がり俺を見下ろす様に見て来る姿は圧があり怖かった。
「後で話がある」
そう言い残して窓際の方へ去って行った。
ヒィィ……。こえー。まじでしばかれるんじゃないの? めっちゃ怖かったよ。
で、でもさ! おっぱい見てただけだよ? アヤノのおっぱい見てただけだよ? アヤノの服の上からじゃ膨らみが分からないおっぱいを見てただけだよ。
「お前っておっぱい小さいから足速そうだなー」
何て言ってないよ? おっぱい見てただけだよ? ブラジャーいる? って位に小さなおっぱいを見てただけだよ?
普通おこ――るよな……。
いや、うん。普通は怒るわ。冷静になった。だってダメだもん。おっぱい見ながら話しちゃ。それはダメだよ。うん。それはダメだ。人の目を見て話をしなきゃ。人のおっぱいを見て話すのはダメだよ。
でもでも、でもだよ? 生乳見た時は微塵も怒らなかったよな? 生乳は良いの? そんな事はないだろ。だったらおっぱい見て話しても大丈夫だよ。だからそれで怒ってるんじゃないわ。
――え? ちょっと待って……。って事はアイツ俺の心の声が聞こえたって事なんじゃない? 絶対そうだよ。だってそうじゃないとあんなゴミ屑を見るような目で見てこねーもん。 え? それじゃあアイツってエスパーなの? アヤノってエスパーなんだ。アイツエスパーかよ。
「――涼太郎? 何をブツブツ言っているんだよ」
「――え?」
ふと名前を呼ばれて顔を上げると、同性の俺ですらイケメンだなー。っと思わせるルックスの風見 蓮が立っていた。
つか、風見 蓮って何だよ。名前もカッコよ過ぎか!
「涼太郎は何か出たい種目はある?」
イケボで尋ねられる。
あー夏希。いたわ。ここに。ロールス・ロイスみたいな男子が。これで金持ちならお前の理想だぞ。
「俺は――」
何でも良いって言おうとしたが、それをアヤノに言われて困っている自分がいるのを思い出し、自分が言われて嫌な事を名前勝ち超絶イケボイケメンたんに言うのは違うと思い、瞬時に台詞を変える。
「――どんな種目があるんだ?」
「種目は二人三脚、男女混合リレーと短距離、中距離走。借り物競走とか障害物競走とかかな。あ、後、男子全員参加の騎馬戦。それとクラス全員参加の種目があるからその2つは絶対参加ね。クラス全員参加の他に今言った中のどれかに最低1つは出ないといけない」
「絶対か……。クラス全員参加の種目は?」
「それはクラス対抗のリレーだよ」
騎馬戦とリレーは強制参加か……。男女混合リレーと被るからそれはないな。
「借り物競走に出たいな」
借り物競走って出た事ないから出てみたいな。
「借り物競走だな。それじゃあ――」
そう言いながら蓮はスマホを取り出して操作する。
「――このくじ引きアプリで決めるわ」
「借り物競走って人気なのか?」
「人気って訳じゃないけど、井山もそれが良いって言ってるからな」
「あー……」
まさか奴と被るとは……。
「個人的には俺、アイツに嫌われてるみたいだからさ……。涼太郎に出て欲しいんだけど、そこは平等にな」
「え? 蓮。何かしたん?」
「いや、名前で呼んだら『やめて下さい』って拒否られた」
「あ、そうなのね」
イケメンは自動的に敵と思っているのだろうか。
「井山ー!」
蓮は井山を呼んで俺の前に来させる。
「井山と涼太郎が被ったからクジで平等に決めるから」
そう言うと井山は俺の事を見る。
「よもやこんな形で君と決着をつける時が来るとはね。今までの恨みを晴らす時が来たよ。ふっ」
コイツは何を言っているのだろうか……。
井山の発言を聞いて蓮が耳元で囁いてくる。コイツ男のくせに良い匂いすんな。
「何したんだ?」
「ゲームのやり過ぎだろ」
「あー……。中二病ってやつか?」
「それそれ」
そんな会話をコソコソしていると井山が言ってくる。
「何をゴチャゴチャ言っているんだ? 南方くん。もしかして風見くんと仕組んでいるのではなかろうな!?」
「いや、このクジに仕組みを入れるほどかけてはないけど」
「ふっ。君は僕に負けるのを怖がっているんだね。はっはっはっ。正々堂々と負けるのが怖いんだな! アッハッハ。負け犬め!」
イラッとする発言。
「調子乗んなよ? しばき回すぞ! ごら」
「ひっ!」
だからすぐビビるならあおってくんなよ。
「ぼ、ぼぼぼくはき、君にだけはぜ、絶対に屈しない!」
「屈しろよ。面倒くせーな」
「この勝負! 勝ったらぼ、僕は海島さんに――」
「――私に何?」
「ひぇ!?」
何とも間抜けな声が出た井山の後ろから夏希が顔を出す。
「う、う、海島さん!? ど、どうしてこんな所に!?」
「ここが私のクラスで、ここが私の席だからかな。ペン取りに来ただけど。あ、井山くんは何出るか決まったの?」
「借り物競走に出たいと思って今からクジで決めるんだよ」
「そうなんだ。私も借り物競走になったから、一緒になったら頑張ろね」
そう言って女子の輪に戻って行った夏希。
その言葉を聞いた瞬間に井山の顔付きが変わった。
ナヨナヨしい顔立ちから漢らしい顔付きへと変わる。
覚醒の井山。処刑用BGMが聞こえてくる――気がした。
「負けられない戦いが今ここにある」
闘う者のテンションになった井山は蓮のクジアプリを使い「はあああああ!」と気合の入った言葉を出してスマホをタップする。
『ハズレ』
「んのおおおおおおおおお!」
うるせー……。
膝から崩れ落ちる井山。
目から生気を失い、まるでこの世の終わりみたいな感じになってる。
そんな井山に対して俺は肩をポンと叩いて言ってやる。
「もう、お前借り物競走出て良いよ」
その言葉に目に光が戻った井山は俺の手を握ってくる。
「ほ、ほんとかい!?」
「いや、お前程のテンションには追い付けないから良いよ」
「き、君って奴は……。君って奴は……。抱きしめて良いかい?」
「いや、まじでやめろや。やったらしばく」
「今ならしばかれても良い」
「手を離せ! 気色悪い!」
「おぅふ!」
手を思いっきり振り解く。
井山のテンションがこの上なく気持ち悪い。
「良いのか? 涼太郎」
蓮が気を使った様な口調で聞いてくる。
「あれを見て俺が出たいと言う気にはなれないからな。他で良いよ」
「そ、そうだな……。でも涼太郎すまないが希望の少ない種目になるけど、それで良いか?」
「まぁ他の人の希望の所に今更行くのも図々しいからな、それで良いよ」
「すまないな。ありがとう」
そういう訳で、俺の体育祭の種目は男女混合リレーとなった。
まぁクラス全体のリレーがあるから、リレー被りを避けるのは皆同じ考えか。
15
あなたにおすすめの小説
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件
暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!
サンスクミ〜学園のアイドルと偶然同じバイト先になったら俺を3度も振った美少女までついてきた〜
野谷 海
恋愛
「俺、やっぱり君が好きだ! 付き合って欲しい!」
「ごめんね青嶋くん……やっぱり青嶋くんとは付き合えない……」
この3度目の告白にも敗れ、青嶋将は大好きな小浦舞への想いを胸の内へとしまい込んで前に進む。
半年ほど経ち、彼らは何の因果か同じクラスになっていた。
別のクラスでも仲の良かった去年とは違い、距離が近くなったにも関わらず2人が会話をする事はない。
そんな折、将がアルバイトする焼鳥屋に入ってきた新人が同じ学校の同級生で、さらには舞の親友だった。
学校とアルバイト先を巻き込んでもつれる彼らの奇妙な三角関係ははたしてーー
⭐︎第3部より毎週月・木・土曜日の朝7時に最新話を投稿します。
⭐︎もしも気に入って頂けたら、ぜひブックマークやいいね、コメントなど頂けるととても励みになります。
※表紙絵、挿絵はAI作成です。
※この作品はフィクションであり、作中に登場する人物、団体等は全て架空です。
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる