28 / 51
第28話 どうやら今日は給料日みたいです
しおりを挟む
カレー皿というのは食べた後にすぐに洗わないと、面倒だから後で洗おうなんてすると汚れがこびりついて皿に残ってしまう。母さんに教えられ、もう既に癖になってしまった為、アヤノの食べ終えたカレー皿をすぐに洗う。
あの後、彼女は泣き止んで、綺麗な瞳を腫らしてカレーを食べてくれた。
ゆっくり食べてくれて良かったのに、言葉通り美味しかったのか、まるでカレーは飲み物だ! と言わんばかりにペロッと完食したのであった。
食べ終えるとアヤノはすぐに部屋に戻ってしまった。
涙の理由は何となく想像出来るが、結局それは俺の予想だ。真実ではない。なので気にはなったが、その理由を彼女の口から聞く事は出来なかった。
そりゃ普段無表情の女の子が同級生の前で号泣してしまったのだから少なからず恥じらいを感じた事だろう。
泣いた理由を彼女が話すまではこちらから詮索するなんて野暮な事はやめておく。
パッとカレー皿を洗い終え、拭きの作業に入った所でリビングの扉が開く。
「ただいまー」
帰ってきたのはここの家主様でアヤノの父親である波北 秀さんだ。
リビングの時計に目をやる。どうやら今日は早い帰宅の様である。
「おかえりなさい」
キッチンから彼の挨拶にカレー皿を拭きながら返す。
「お、涼太郎くん。いらっしゃい」
「お邪魔しております」
「ちょうど良か――」
アヤノのお父さんは何かを言おうとして中途半端に言葉を止めた。
「――今日はカレーかい?」
「はい。食べますか?」
尋ねると少し迷っている様子であった。
母さんから話を聞いていたので、彼にも思うところがあるのだと察し、黙って返答を待つ。
「――おっと……。すまない。変な間を置いてしまって。お腹も空いたし、先に食事を頂くよ」
「分かりました」
お父さんはソファーを見て質問を投げてくる。
「綾乃は?」
「もう部屋に戻りましたよ」
「そうか……。いや、特に用事はないのだがね。あはは。着替えてくるよ」
「分かりました。食事のご用意をしておきます」
「頼む」
アヤノのお父さんがリビングを出て自室へ向かう。
その間に宣言通りカレーの準備をする。
準備が終えたところで、部屋着に着替えたお父さんがダイニングテーブルのいつもの席に座る。
「どうぞ、お召し上がり下さい」
アヤノに出したみたいに少しボケようと思ったけど、スベッたら耐えられない空気になりそうなので普通に提供する。
すると、彼もまたカレーをジッと見つめた。
「いただきます」
カレーを見つめた後にスプーンを手にして1口頬張った。
噛み締める様に食べると俺を見る。
「これは……。恵くんが作ったのかい?」
「いえ、僕が作りました」
「君が……。そうか……。君が……作ったのか……」
そう言いながら天を仰ぐ。
その瞳はキラリと光って見えた。
「おっと……。すまないね。年柄にもなく……」
そう言いながら手で軽く涙を拭って再度こちらを見る。
「この料理はね、思い出の料理なんだよ」
アヤノのお父さんは無意識に頷く。
「思い出……」
「そう……。妻のね……。私の妻が初めて作ってくれた料理なんだ」
「キリノさんの……」
「おや……。恵くんから聞いていたのかい?」
「あ、すみません。失礼ながら少しだけ……。母さんがキリノさんに教えた料理だって」
「はは。謝る事じゃないさ。――そう。涼太郎くんの聞いた通り……。霧乃が恵くんから教わった初めての料理でね。初めて作ってくれた料理。そして最後に作ってくれた料理でもあるんだ」
お父さんはもう1口カレーを口に運ぶ。
「あれ以来カレーという料理を食べて無くてね。いや、別に避けてた訳じゃないんだ。妻がいなくなってから食べる機会が無くてね。数年振りだよ……」
お父さんはまた泣きそうになるのをグッと我慢して笑いかけてくれる。
「涼太郎くんには失礼な言い方なのかもしれないが……。妻のカレーと似ていて……。とても美味しいよ」
「いえ、そんな……。勿体ないお言葉ありがとうございます」
「――綾乃はこのカレーを食べたのかな?」
「はい。完食していただきました」
「そうかそうか……。だから部屋に……」
アヤノが俺のカレーを食べてどうなったのか、想像出来たらしく、お父さんは何も聞かずに黙々とカレーを食べたのであった。
アヤノのお父さんも俺のカレーを完食してくれて、食べえると「ふぅ」と一息吐いた。
「ありがとう。本当に美味しかったよ」
「そう言っていただけると本望です」
空いた皿を下げてキッチンに持って行っていく途中に声をかけられる。
「涼太郎くん。まだちょっとだけ時間良いかな?」
「はい。大丈夫ですよ」
「良かった。では、そこにかけて待っていてくれ」
そう言ってお父さんの正面の席を指定される。
「分かりました」
俺が返事をするとお父さんは席を立ちリビングを出て行った。
その間にパパッとカレー皿を洗い、指定された席に座る。
少し待っているとすぐに戻ってくる。その手には封筒を持っており、俺の目の前で立ち止まる。
「お疲れ様。今月分の給料です」
両手で渡そうとされたので「あ……」と俺は声を漏らして立ち上がる。
「ありがとうございます」
そう言って両手で受け取った。
「中身を確認してくれたまえ」
「はい」
言われた通りに封筒を開けて確認すると1万円が10枚入っていた。
「えっと……」
日給7000円に対して10万円というのはおかしな数字の為、首を捻って?マークを出しているとお父さんは言ってくる。
「日給7000円を14回。残りの2000円は細かいのが無くてね。まぁ中々の重労働をさせているからおまけさ」
なんというホワイトバイト。
しかし、こんな普通の高校生が10万円なんて大金を目の前に、しかもそれを持つなんてした事ないので手が震えてしまう。いつもは振り込みだしね。
それにコンビニバイトの2倍の給料である。これ持って帰るのめっちゃ緊張するな。落としたらどうしよう……。めっちゃ慎重に帰ろう。
「どうかな? アヤノの世話をするバイトは」
ふいにそんな質問が投げかけられる。
「えっと……。こんなに貰って本当に良いのかなー。って感じです」
あ……。違う……。
大金を貰ったばかりで少し動揺し、質問に対しての答えになっていなかった。
しかし、お父さんは大きく笑ってくれた。
「朝早く……。私よりも早く家を出て、彼女を起こす所からスタート。そして様々な仕事のノルマをアヤノから出されて、それをこなしていく。そう考えると当然の賃金だと私は思うがね。君がこんなに貰っても、と思うのは……。コンビニのバイトだったかな? それと比べると君にとってウチのバイトが働きやすい環境だと思ったなのかもしれないね」
「働く環境……。ですか」
「コンビニのアルバイトは上司がいて、世代の違うバイト仲間がいて、それでいて丁寧な態度を取らないといけないお客がいてといった中での様々なノルマがある仕事だと思う。しかし、このバイトは同級生の女の子を相手にする仕事。どちらも仕事としての苦労はあると思うが仕事の環境が大きく異なる。環境は仕事に大きく関わってくる。私の世界でもそうだ。人間関係、設備関係……。そういった環境で人間の気持ちは大きく変わるのさ。君の発言はウチのバイトの方がストレス負荷が少ない、所謂環境の良い仕事と言ってくれているものさ」
そう言ってお父さんはテーブルに肘をついて、手を組んで俺を見てくる。
「私は君に娘の世話を頼んで本当に良かったと思っている」
そう言うと少し俯いて話してくれる。
「妻がいなくなってから綾乃は塞ぎ気味でね。友人も積極的に作らず1人でいる事が多くて……。まだ母親がいなくなった事を受け入れられず、前に進む事が出来ていなくて……。このままだと1番楽しい時期を台無しにしてしまうと思ってね。君にバイトを頼んだ。このバイトの件も正直億劫な所があったんだよ……。親が金で友達を作らせている様な行動をしている。そんな事をすると娘は私を憎むのではないか……。でも、娘が暗い青春を送るよりは随分マシだと考えて……。幼馴染で信頼出来る隆次郎と恵くんの息子である君に頼んだ」
そして俺を見て軽く頬を緩ます。
「最近ね、明るくなったんだよ綾乃。会話も増えてね。良い傾向にあると思うんだ」
「そうなんですね……」
明るくなったのかどうかは正直分からないが、1番近い存在であるお父さんが言うのならそうなのだろう。
「だから私としてはこれからも涼太郎くんに娘の世話を任せたい。約1ヶ月働いてもらった区切りとして君の意見を聞きたいんだが……。勿論、断ってくれても構わない。どうだろう?」
その問いかけに瞬時に思い返す。
この1ヶ月――。
朝起きないアヤノ。それが本当に大変で、毎回起こすだけで骨が折れる。そしてその後のモーニングティー。
時間が無くても構わずに飲むスタイル。マイペースにも程がある。
そして、毎度毎度バイクで送れと言ってくるワガママぶり。
その為に敢えてモーニングティーを飲んでいるのか、はたまた歩くのかだるいだけなのか……。
最近で言えば、仕事を理由に足を速くしろなんてノルマを与えてくる。
俺は陸上の監督でもコーチでも選手ですらないのに教えてこいとの無茶振り。ホントまじで無茶振りだった。
そんな大変な事が大半だったが――。
「続けます……。いえ、続けさせてください」
常に無表情で何を考えているのか分からないけど、笑うと破壊力抜群の笑顔とか、儚い泣き顔とかを思い返して、もっと彼女の表情の変化を見届けたいと思い俺は首を縦に振った。
「ありがとう。では引き続き頼むよ」
「はい」
返事の後に「しかしだな!」とお父さんは強めに言ってくる。
「娘をやる訳じゃないからね。節度を守り、分別をわきまえて接してくれたまえ」
「は、はい……」
いきなりの父親モードに萎縮してしまい、弱々しい返事になってしまった。
それを見てお父さんは楽しそうに笑っている。
「――それから、これは個人的な願いなのだが……。また涼太郎くんのカレーを作ってはくれないか?」
その台詞に萎縮した心が暖和される。
「分かりました。また言って頂ければいつでもお作りいたします」
そう返すとお父さんは嬉しそうな表情を見してくれた。
あの後、彼女は泣き止んで、綺麗な瞳を腫らしてカレーを食べてくれた。
ゆっくり食べてくれて良かったのに、言葉通り美味しかったのか、まるでカレーは飲み物だ! と言わんばかりにペロッと完食したのであった。
食べ終えるとアヤノはすぐに部屋に戻ってしまった。
涙の理由は何となく想像出来るが、結局それは俺の予想だ。真実ではない。なので気にはなったが、その理由を彼女の口から聞く事は出来なかった。
そりゃ普段無表情の女の子が同級生の前で号泣してしまったのだから少なからず恥じらいを感じた事だろう。
泣いた理由を彼女が話すまではこちらから詮索するなんて野暮な事はやめておく。
パッとカレー皿を洗い終え、拭きの作業に入った所でリビングの扉が開く。
「ただいまー」
帰ってきたのはここの家主様でアヤノの父親である波北 秀さんだ。
リビングの時計に目をやる。どうやら今日は早い帰宅の様である。
「おかえりなさい」
キッチンから彼の挨拶にカレー皿を拭きながら返す。
「お、涼太郎くん。いらっしゃい」
「お邪魔しております」
「ちょうど良か――」
アヤノのお父さんは何かを言おうとして中途半端に言葉を止めた。
「――今日はカレーかい?」
「はい。食べますか?」
尋ねると少し迷っている様子であった。
母さんから話を聞いていたので、彼にも思うところがあるのだと察し、黙って返答を待つ。
「――おっと……。すまない。変な間を置いてしまって。お腹も空いたし、先に食事を頂くよ」
「分かりました」
お父さんはソファーを見て質問を投げてくる。
「綾乃は?」
「もう部屋に戻りましたよ」
「そうか……。いや、特に用事はないのだがね。あはは。着替えてくるよ」
「分かりました。食事のご用意をしておきます」
「頼む」
アヤノのお父さんがリビングを出て自室へ向かう。
その間に宣言通りカレーの準備をする。
準備が終えたところで、部屋着に着替えたお父さんがダイニングテーブルのいつもの席に座る。
「どうぞ、お召し上がり下さい」
アヤノに出したみたいに少しボケようと思ったけど、スベッたら耐えられない空気になりそうなので普通に提供する。
すると、彼もまたカレーをジッと見つめた。
「いただきます」
カレーを見つめた後にスプーンを手にして1口頬張った。
噛み締める様に食べると俺を見る。
「これは……。恵くんが作ったのかい?」
「いえ、僕が作りました」
「君が……。そうか……。君が……作ったのか……」
そう言いながら天を仰ぐ。
その瞳はキラリと光って見えた。
「おっと……。すまないね。年柄にもなく……」
そう言いながら手で軽く涙を拭って再度こちらを見る。
「この料理はね、思い出の料理なんだよ」
アヤノのお父さんは無意識に頷く。
「思い出……」
「そう……。妻のね……。私の妻が初めて作ってくれた料理なんだ」
「キリノさんの……」
「おや……。恵くんから聞いていたのかい?」
「あ、すみません。失礼ながら少しだけ……。母さんがキリノさんに教えた料理だって」
「はは。謝る事じゃないさ。――そう。涼太郎くんの聞いた通り……。霧乃が恵くんから教わった初めての料理でね。初めて作ってくれた料理。そして最後に作ってくれた料理でもあるんだ」
お父さんはもう1口カレーを口に運ぶ。
「あれ以来カレーという料理を食べて無くてね。いや、別に避けてた訳じゃないんだ。妻がいなくなってから食べる機会が無くてね。数年振りだよ……」
お父さんはまた泣きそうになるのをグッと我慢して笑いかけてくれる。
「涼太郎くんには失礼な言い方なのかもしれないが……。妻のカレーと似ていて……。とても美味しいよ」
「いえ、そんな……。勿体ないお言葉ありがとうございます」
「――綾乃はこのカレーを食べたのかな?」
「はい。完食していただきました」
「そうかそうか……。だから部屋に……」
アヤノが俺のカレーを食べてどうなったのか、想像出来たらしく、お父さんは何も聞かずに黙々とカレーを食べたのであった。
アヤノのお父さんも俺のカレーを完食してくれて、食べえると「ふぅ」と一息吐いた。
「ありがとう。本当に美味しかったよ」
「そう言っていただけると本望です」
空いた皿を下げてキッチンに持って行っていく途中に声をかけられる。
「涼太郎くん。まだちょっとだけ時間良いかな?」
「はい。大丈夫ですよ」
「良かった。では、そこにかけて待っていてくれ」
そう言ってお父さんの正面の席を指定される。
「分かりました」
俺が返事をするとお父さんは席を立ちリビングを出て行った。
その間にパパッとカレー皿を洗い、指定された席に座る。
少し待っているとすぐに戻ってくる。その手には封筒を持っており、俺の目の前で立ち止まる。
「お疲れ様。今月分の給料です」
両手で渡そうとされたので「あ……」と俺は声を漏らして立ち上がる。
「ありがとうございます」
そう言って両手で受け取った。
「中身を確認してくれたまえ」
「はい」
言われた通りに封筒を開けて確認すると1万円が10枚入っていた。
「えっと……」
日給7000円に対して10万円というのはおかしな数字の為、首を捻って?マークを出しているとお父さんは言ってくる。
「日給7000円を14回。残りの2000円は細かいのが無くてね。まぁ中々の重労働をさせているからおまけさ」
なんというホワイトバイト。
しかし、こんな普通の高校生が10万円なんて大金を目の前に、しかもそれを持つなんてした事ないので手が震えてしまう。いつもは振り込みだしね。
それにコンビニバイトの2倍の給料である。これ持って帰るのめっちゃ緊張するな。落としたらどうしよう……。めっちゃ慎重に帰ろう。
「どうかな? アヤノの世話をするバイトは」
ふいにそんな質問が投げかけられる。
「えっと……。こんなに貰って本当に良いのかなー。って感じです」
あ……。違う……。
大金を貰ったばかりで少し動揺し、質問に対しての答えになっていなかった。
しかし、お父さんは大きく笑ってくれた。
「朝早く……。私よりも早く家を出て、彼女を起こす所からスタート。そして様々な仕事のノルマをアヤノから出されて、それをこなしていく。そう考えると当然の賃金だと私は思うがね。君がこんなに貰っても、と思うのは……。コンビニのバイトだったかな? それと比べると君にとってウチのバイトが働きやすい環境だと思ったなのかもしれないね」
「働く環境……。ですか」
「コンビニのアルバイトは上司がいて、世代の違うバイト仲間がいて、それでいて丁寧な態度を取らないといけないお客がいてといった中での様々なノルマがある仕事だと思う。しかし、このバイトは同級生の女の子を相手にする仕事。どちらも仕事としての苦労はあると思うが仕事の環境が大きく異なる。環境は仕事に大きく関わってくる。私の世界でもそうだ。人間関係、設備関係……。そういった環境で人間の気持ちは大きく変わるのさ。君の発言はウチのバイトの方がストレス負荷が少ない、所謂環境の良い仕事と言ってくれているものさ」
そう言ってお父さんはテーブルに肘をついて、手を組んで俺を見てくる。
「私は君に娘の世話を頼んで本当に良かったと思っている」
そう言うと少し俯いて話してくれる。
「妻がいなくなってから綾乃は塞ぎ気味でね。友人も積極的に作らず1人でいる事が多くて……。まだ母親がいなくなった事を受け入れられず、前に進む事が出来ていなくて……。このままだと1番楽しい時期を台無しにしてしまうと思ってね。君にバイトを頼んだ。このバイトの件も正直億劫な所があったんだよ……。親が金で友達を作らせている様な行動をしている。そんな事をすると娘は私を憎むのではないか……。でも、娘が暗い青春を送るよりは随分マシだと考えて……。幼馴染で信頼出来る隆次郎と恵くんの息子である君に頼んだ」
そして俺を見て軽く頬を緩ます。
「最近ね、明るくなったんだよ綾乃。会話も増えてね。良い傾向にあると思うんだ」
「そうなんですね……」
明るくなったのかどうかは正直分からないが、1番近い存在であるお父さんが言うのならそうなのだろう。
「だから私としてはこれからも涼太郎くんに娘の世話を任せたい。約1ヶ月働いてもらった区切りとして君の意見を聞きたいんだが……。勿論、断ってくれても構わない。どうだろう?」
その問いかけに瞬時に思い返す。
この1ヶ月――。
朝起きないアヤノ。それが本当に大変で、毎回起こすだけで骨が折れる。そしてその後のモーニングティー。
時間が無くても構わずに飲むスタイル。マイペースにも程がある。
そして、毎度毎度バイクで送れと言ってくるワガママぶり。
その為に敢えてモーニングティーを飲んでいるのか、はたまた歩くのかだるいだけなのか……。
最近で言えば、仕事を理由に足を速くしろなんてノルマを与えてくる。
俺は陸上の監督でもコーチでも選手ですらないのに教えてこいとの無茶振り。ホントまじで無茶振りだった。
そんな大変な事が大半だったが――。
「続けます……。いえ、続けさせてください」
常に無表情で何を考えているのか分からないけど、笑うと破壊力抜群の笑顔とか、儚い泣き顔とかを思い返して、もっと彼女の表情の変化を見届けたいと思い俺は首を縦に振った。
「ありがとう。では引き続き頼むよ」
「はい」
返事の後に「しかしだな!」とお父さんは強めに言ってくる。
「娘をやる訳じゃないからね。節度を守り、分別をわきまえて接してくれたまえ」
「は、はい……」
いきなりの父親モードに萎縮してしまい、弱々しい返事になってしまった。
それを見てお父さんは楽しそうに笑っている。
「――それから、これは個人的な願いなのだが……。また涼太郎くんのカレーを作ってはくれないか?」
その台詞に萎縮した心が暖和される。
「分かりました。また言って頂ければいつでもお作りいたします」
そう返すとお父さんは嬉しそうな表情を見してくれた。
21
あなたにおすすめの小説
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件
暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!
サンスクミ〜学園のアイドルと偶然同じバイト先になったら俺を3度も振った美少女までついてきた〜
野谷 海
恋愛
「俺、やっぱり君が好きだ! 付き合って欲しい!」
「ごめんね青嶋くん……やっぱり青嶋くんとは付き合えない……」
この3度目の告白にも敗れ、青嶋将は大好きな小浦舞への想いを胸の内へとしまい込んで前に進む。
半年ほど経ち、彼らは何の因果か同じクラスになっていた。
別のクラスでも仲の良かった去年とは違い、距離が近くなったにも関わらず2人が会話をする事はない。
そんな折、将がアルバイトする焼鳥屋に入ってきた新人が同じ学校の同級生で、さらには舞の親友だった。
学校とアルバイト先を巻き込んでもつれる彼らの奇妙な三角関係ははたしてーー
⭐︎第3部より毎週月・木・土曜日の朝7時に最新話を投稿します。
⭐︎もしも気に入って頂けたら、ぜひブックマークやいいね、コメントなど頂けるととても励みになります。
※表紙絵、挿絵はAI作成です。
※この作品はフィクションであり、作中に登場する人物、団体等は全て架空です。
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる