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第55話 ラブレター?
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保健室でちょっとだけ休ませてもらい、体育の授業が終わったのと同時に教室へ戻って来る。
「京太くん。大丈夫ですか?」
「ああ。まぁ……」
俺が鼻血を出したのはバスケのボールではなく、優乃の二つのボールか……。いや、もうこの話はおしまいだ。
切り替えるように、机の中から次の授業の教科書を取り出そうとしたところだ。
パラ……。
「ん?」
俺の机の中から四つ折りの紙がパラっと落ちた。
「何か落ちましたよ」
本日日直の優乃は、日直日誌を書いていた手を止めて、俺が落とした四つ折りの紙を拾ってくれた。
「はい。どうぞ」
「ありがとう」
彼女から手紙を受け取って四つ折りの紙を見る。
裏表を何回か見てから疑問の念が出る。
「なんだ、これ」
「もしかして、ラブレターですか?」
「ラブレター?」
優乃の問いに微妙な声が出てしまう。
「今の時代にラブレターを机の中に入れるなんて、悪戯以外ありえなくないか」
「では見せてもらっても問題ありませんよね?」
「ああ。いいぜ。絶対違うから」
自信満々に優乃と一緒に四つ折りの紙を開いてみた。
そこには女の子特有の丸文字でこう書かれていた。
『枚方くんへ。いきなりのお手紙ごめんなさい。連絡の手段がないのでお手紙で伝えることをお許しください。大事な話があります。今日の放課後体育館裏に来てください』
「ラブレターでは?」
優乃がジト目で言ってくる。
「いやいや、誰かの悪戯だって。差出人の名前もないし」
「お友達のいない京太くんに誰が悪戯をするのですか?」
「おまっ! 言っちゃいけないこと言った!」
「真実を告げたまでです。ぷいっ」
頬を膨らませて優乃は顔を背ける。
「なに怒ってんだよ」
「怒ってませぇん」
ツーンとする態度は明らかに怒って見えるのだが。
「ふん。こんな超絶ウルトラスーパー美少女のわたしのブレザーを着て、匂いを嗅ぐ変態さんにラブレターを出す人なんているのですね。世の中不思議なこともあるもんだぁ」
「ブーメランって知ってる?」
「わたしは美少女だから良いんですぅ。許されるですぅ」
こいつ。自分の美貌をわかってやがる。強い……。
しかし。
これは本当にラブレターなのだろうか。
この時代にラブレターなんてあり得るのか?
冷静に考えろ。
連絡先を知らなければスマホで思いを伝えることはできない。
しかし、手紙ならば呼び出すことは可能。
それにここ最近、俺への噂が免罪だということも伝わっている。
その流れからのラブレターなら十二分にあり得る。
冷静に考えた結果、これはラブレターという結論に至るよね。
「ふふふ。うふふふふ」
「気持ち悪い笑い方をしないでください」
「お前に言われたかねぇよ。でぅふ」
あかん。優乃の笑い方が少しうつってしまった。
「そんな笑い方をしてるからわたし以外に喋る相手がいないのですよ」
ふんっと怒ったように頬杖つく優乃。
「おいおい忘れたか優乃。俺はさっき男子に囲まれて弄られたんだぞ」
ピースサインをすると、「はぁ」とジト目で見てくる。
「中学時代、誰よりも輝いていた陽キャうぇーい族も落ちたものですねぇ。男子にちょっとばかし弄られただけで……はんっ」
「んだよ。ほんじゃお前には俺以外に喋る相手がいるってのか?」
「侮らないでください変態さん。わたしの2つ名をお忘れですか?」
長い髪を手で払って優乃は席を立つ。日直日誌を持って、廊下側の席の女子達のグループへダイレクトアタックしにいった。
1言、2言喋ると、女子生徒はペコペコと頭を下げて日直日誌を受け取った。
やることをやり終えたのか、優乃はキレ良く回れ右をすると、ランウェイを歩くモデルよろしく、モデル歩きで戻ってくる。
「ど、どど、どうですか。高嶺の花のわたしに喋りかけてもらって女子生徒が平伏しましたよ」
「対抗意識のベクトルがちげーだろ。なんで、喋る相手がいるいない問題なのに、平伏すとか単語が出てくんだよ」
「負け惜しみです?」
「そもそも平伏してなかっただろうが。会話の内容は聞こえなかったけど、『日直日誌やっておいたので後はよろしくお願いしますね』、『あ、東堂さん、ごめんさい。ありがとう』って会話だったよな」
「ぎくっ」
口で擬音を言うタイプだからわかりやすいわぁ。
「そんなんで高校デビューなんてできるのかねぇ」
「う、うっさいです! うっさいです!! ばーか、ばーか!」
不機嫌が天井までいったのか、語彙力が幼児化してしまった。
「そ、それで。その待ち合わせ場所には行くのですか?」
そう聞いてくる優乃。
もしかして、これは嫉妬なのかな。
それだったら嬉しい気持ちが芽生える。
でも、俺という人間は幼いみたいだ。
もう少し、優乃に嫉妬して欲しいと思ってしまう。
「さぁ、どうかな」
ちょっとばかしからかうような言い方をすると、「むぅ」と怒った声を漏らす。
「勝手にすれば良いです。ふんっ」
そう言ってそっぽを向くと同時に、キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴った。
「京太くんのばぁか」
「京太くん。大丈夫ですか?」
「ああ。まぁ……」
俺が鼻血を出したのはバスケのボールではなく、優乃の二つのボールか……。いや、もうこの話はおしまいだ。
切り替えるように、机の中から次の授業の教科書を取り出そうとしたところだ。
パラ……。
「ん?」
俺の机の中から四つ折りの紙がパラっと落ちた。
「何か落ちましたよ」
本日日直の優乃は、日直日誌を書いていた手を止めて、俺が落とした四つ折りの紙を拾ってくれた。
「はい。どうぞ」
「ありがとう」
彼女から手紙を受け取って四つ折りの紙を見る。
裏表を何回か見てから疑問の念が出る。
「なんだ、これ」
「もしかして、ラブレターですか?」
「ラブレター?」
優乃の問いに微妙な声が出てしまう。
「今の時代にラブレターを机の中に入れるなんて、悪戯以外ありえなくないか」
「では見せてもらっても問題ありませんよね?」
「ああ。いいぜ。絶対違うから」
自信満々に優乃と一緒に四つ折りの紙を開いてみた。
そこには女の子特有の丸文字でこう書かれていた。
『枚方くんへ。いきなりのお手紙ごめんなさい。連絡の手段がないのでお手紙で伝えることをお許しください。大事な話があります。今日の放課後体育館裏に来てください』
「ラブレターでは?」
優乃がジト目で言ってくる。
「いやいや、誰かの悪戯だって。差出人の名前もないし」
「お友達のいない京太くんに誰が悪戯をするのですか?」
「おまっ! 言っちゃいけないこと言った!」
「真実を告げたまでです。ぷいっ」
頬を膨らませて優乃は顔を背ける。
「なに怒ってんだよ」
「怒ってませぇん」
ツーンとする態度は明らかに怒って見えるのだが。
「ふん。こんな超絶ウルトラスーパー美少女のわたしのブレザーを着て、匂いを嗅ぐ変態さんにラブレターを出す人なんているのですね。世の中不思議なこともあるもんだぁ」
「ブーメランって知ってる?」
「わたしは美少女だから良いんですぅ。許されるですぅ」
こいつ。自分の美貌をわかってやがる。強い……。
しかし。
これは本当にラブレターなのだろうか。
この時代にラブレターなんてあり得るのか?
冷静に考えろ。
連絡先を知らなければスマホで思いを伝えることはできない。
しかし、手紙ならば呼び出すことは可能。
それにここ最近、俺への噂が免罪だということも伝わっている。
その流れからのラブレターなら十二分にあり得る。
冷静に考えた結果、これはラブレターという結論に至るよね。
「ふふふ。うふふふふ」
「気持ち悪い笑い方をしないでください」
「お前に言われたかねぇよ。でぅふ」
あかん。優乃の笑い方が少しうつってしまった。
「そんな笑い方をしてるからわたし以外に喋る相手がいないのですよ」
ふんっと怒ったように頬杖つく優乃。
「おいおい忘れたか優乃。俺はさっき男子に囲まれて弄られたんだぞ」
ピースサインをすると、「はぁ」とジト目で見てくる。
「中学時代、誰よりも輝いていた陽キャうぇーい族も落ちたものですねぇ。男子にちょっとばかし弄られただけで……はんっ」
「んだよ。ほんじゃお前には俺以外に喋る相手がいるってのか?」
「侮らないでください変態さん。わたしの2つ名をお忘れですか?」
長い髪を手で払って優乃は席を立つ。日直日誌を持って、廊下側の席の女子達のグループへダイレクトアタックしにいった。
1言、2言喋ると、女子生徒はペコペコと頭を下げて日直日誌を受け取った。
やることをやり終えたのか、優乃はキレ良く回れ右をすると、ランウェイを歩くモデルよろしく、モデル歩きで戻ってくる。
「ど、どど、どうですか。高嶺の花のわたしに喋りかけてもらって女子生徒が平伏しましたよ」
「対抗意識のベクトルがちげーだろ。なんで、喋る相手がいるいない問題なのに、平伏すとか単語が出てくんだよ」
「負け惜しみです?」
「そもそも平伏してなかっただろうが。会話の内容は聞こえなかったけど、『日直日誌やっておいたので後はよろしくお願いしますね』、『あ、東堂さん、ごめんさい。ありがとう』って会話だったよな」
「ぎくっ」
口で擬音を言うタイプだからわかりやすいわぁ。
「そんなんで高校デビューなんてできるのかねぇ」
「う、うっさいです! うっさいです!! ばーか、ばーか!」
不機嫌が天井までいったのか、語彙力が幼児化してしまった。
「そ、それで。その待ち合わせ場所には行くのですか?」
そう聞いてくる優乃。
もしかして、これは嫉妬なのかな。
それだったら嬉しい気持ちが芽生える。
でも、俺という人間は幼いみたいだ。
もう少し、優乃に嫉妬して欲しいと思ってしまう。
「さぁ、どうかな」
ちょっとばかしからかうような言い方をすると、「むぅ」と怒った声を漏らす。
「勝手にすれば良いです。ふんっ」
そう言ってそっぽを向くと同時に、キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴った。
「京太くんのばぁか」
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