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LOVE2.TOMORI/惑わしてよ、Sick song
Song5.)-2
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「お疲れーーーーーっ!!」
壊れるんじゃないかってぐらい思いっきりドアを開けて駿ちゃん先輩が入って来た。
それとは反対に折原さんは部室から出て行こうと開いたドアの方へ向かった。
「あれ?藍ちゃん帰るの?」
「はい、今日は用事があるんで」
「そっかー、じゃあまたね!ばいばい~!」
「さようなら」
駿ちゃん先輩がヒラヒラ手を振るのに対してぺこりと頭を下げて折原さんは出て行った。
あぁ、しまった…
私もばいばいって言えばよかった。
でも、なんとなく声が出なかったから。
「奏はまだ?」
「あ、はい!来てない…と思います!」
あれ、でも部室の鍵は開いてたよね?
部室の鍵は部長の奏くんが開けるって…
「駿二、お疲れ」
「おっ、奏!遅くね?何してたの?」
「喉乾いたから飲み物買いに下の自販まで行ってた。でも1回来たよ、部室開いてたでしょ?」
抱えるようにペットボトルを持って来た奏くんが1本駿ちゃん先輩に渡した。そのまま今度は私の方へやって来た。
「灯璃もお疲れ様」
「あ、ありがとう」
はいっとペットボトルを渡された。キンキンに冷えたお茶だった。
「めっちゃ冷えてない?」
「うん、すごく」
「これ来賓側の玄関の自販機で買ったんだけど、あそこの自販機壊れてるから超冷えるの!」
うちの学校は私たちが普段出入りする玄関とは別のところに、来賓専用の玄関がある。
校舎塔も別だからそっちへ行くことはほとんどなくて、私も用がないので行ったことがない。
「知ってた?」
そんな子どもみたいに言われると、心臓を掴まれたみたいに目が離せない。
それだけで高まっちゃうんだもん。
「…ううん、知らなかった」
そしたら奏くんはまた笑って、今度は柔らかい表情で、…もう何も言わないの。
私の目を見つめるだけで。
「あ!ねぇねぇ、文化祭でやる楽曲のことなんだけどさ」
ホワイトボードを引いて来た駿ちゃん先輩の呼びかけに私も奏くんも顔を向けた。
「俺、奏が作った曲やりたい」
……。
…。
…えっ!?
奏くんも何も言わなければ、私もびっくししちゃって何も言えなかった。
だって、奏くんが自分の作った曲は学校ではやらないって…
「えーっ、2人して黙っちゃってさ!うわーーー、やっぱそうなんだ!?俺の知らないとこで俺の知らない活動してたんだ!?」
駿ちゃん先輩は声が大きいのもそうなんだけど、一刻の間も許さないタイプで息継ぎもしないでわーっと喋る。
私も奏くんも何も声を発さなかったけど、それだって数秒間だったのに。
「クラスの奴に聞いたんだよ!始業式ん時超よかったって、俺いないのにさ!」
口を尖らせて腕を組んだ。
肩幅に開いた足が凛々しく感じる、奏くんほどではないけど駿ちゃん先輩も背は高い方だと思うから。
余計私がちんちくりんに見えるんだけど…今はそんな話どーでもよくて。
「だから藍ちゃんに聞いて…」
ごそごそとズボンのポケットからスマホを取り出し、トントンッと叩いて画面を開いた。
ほら!と言わんばかりに私たちのその画面を見せた…
あっ!!!これその始業式のやつじゃん!!!
てゆーか…っ
「撮ってたんですか!?」
まさか記録が残ってるとは思わなかった。
「うん、藍ちゃんがね。一応活動を収めておくのも大事じゃん?」
折原さん…本当にちゃんとマネージャー業務してるんだ。
うわーーー恥ずかしいーーーーー!
自分の歌ってる姿客観的に見たの初めてだよ、こんな声してるんだうわーーーっ
「で、俺は驚いたわけよ。休んでしまったのは申し訳ないけど、元々この日はブルスカをやるって決めたてのに全然違う曲が演奏されてるじゃありませんか…!」
なんだかよくわからない口調で、ミュージカルみたいに話し始めた。数歩歩いてみたり、大袈裟に両手を広げて見たり、この間まだ奏くんは一言も話してない。
「気になった俺はすぐ藍ちゃんに問い詰めた、そしたら藍ちゃんはこう言ったんだ…“そんなのもう3週間も前から噂になってますよ”って」
私と奏くんに背中を向け、髪をかき上げた。
顔は見えないけど、たぶん…決めに決まってると思う。
「知らないのは俺だけだったんだ!」
ぐるんっと体を回転させこっちを向いた駿ちゃん先輩にビクッと肩が揺れた。すごい気合が入った目をしていた。
「あれは奏が作った曲だって、学校中噂になっていたんだーーーっ!!!」
ここは1番奥の1番上の階の教室だから、たぶんそこまでうるさくなかったとは…
いや、十分うるさかったかもしれない。
演劇部ぐらい感情こもってたから。
「駿二」
「何、なんだ、何だよ奏くん…!」
「うっとおしい」
「ぬぉーーーーーーっ!」
けろっと答える奏くんに、まだまだ熱演中の駿ちゃん先輩はその場に崩れ落ちるように膝を床に付けた。
本当にずっとテンションの高い人だなぁ…疲れないのかな、そんな全身全霊で生きてるみたいな。
てゆーか噂になってたんだ、奏くんの曲のこと。
相変わらずそーゆうのには疎いから、っていうかあんま人と話してないから気付かなかったけどそれって…
私のせいじゃない?
私がしなのちゃんに話したから、それが広まっちゃったんじゃないの…!?
あえて学校ではやらないってことは、奏くんが曲を作ってるのも隠しておきたいことだったのかもしれない。
それを何も考えずに言っちゃった…!
焦って奏くんの方を見たら、奏くんに笑って返された。
それはどーゆう意味だったんだろう…
「まぁいいよ!俺が知らないのはっ、俺が休んだからで代わりに灯璃ちゃんが出てくれたことは感謝しかないから」
やっと演劇モードを終えた駿ちゃん先輩が立ち上がり一呼吸置いた。
はぁっと息を吐きながら一瞬視線を下に落としたかと思えば、すぐにずいっと詰め寄るように私を見た。
「でもなんで灯璃ちゃんは歌えたの?」
「………え、えっとっ」
それは毎夜路上ライブする奏くんのもとを通い詰めたからで…、とは言えるわけない。
「だって誰に聞いてもあの曲知らないって言うんだよ!藍ちゃんだってあんな歌詞の歌知らないって言ってて、それなのになんで灯璃ちゃんが知ってるのが謎なんだけど!」
あの歌詞は私が書いたやつだから、奏くんだってあの場で知ったんだもん…
それを今答えるのは、ちょっと恥ずかしい。
だって今目の前で歌ってる動画見せられてるから!
わーーーっ、思ってる以上にダサかった!
いいと思いながら歌ってた自分ありえない!
ここで動揺を見せたら駿ちゃん先輩にバレてしまうと思って、引きつりそうになる顔に力を入れてなるべく平然を保ちながら隣を見た。
そしたらやっぱり奏くんは笑ってて。
でも今度は部室に来てからずっと1人バタバタしている駿ちゃん先輩を見ていたずらに笑ってた。
そのまま私の顔を見て、同じように笑った。
それってどーゆう意味なの?
どっちなの?
言っちゃいけないの?
内緒にしてることを楽しんでるの…?
なんて、都合いいように思っちゃうけど…
壊れるんじゃないかってぐらい思いっきりドアを開けて駿ちゃん先輩が入って来た。
それとは反対に折原さんは部室から出て行こうと開いたドアの方へ向かった。
「あれ?藍ちゃん帰るの?」
「はい、今日は用事があるんで」
「そっかー、じゃあまたね!ばいばい~!」
「さようなら」
駿ちゃん先輩がヒラヒラ手を振るのに対してぺこりと頭を下げて折原さんは出て行った。
あぁ、しまった…
私もばいばいって言えばよかった。
でも、なんとなく声が出なかったから。
「奏はまだ?」
「あ、はい!来てない…と思います!」
あれ、でも部室の鍵は開いてたよね?
部室の鍵は部長の奏くんが開けるって…
「駿二、お疲れ」
「おっ、奏!遅くね?何してたの?」
「喉乾いたから飲み物買いに下の自販まで行ってた。でも1回来たよ、部室開いてたでしょ?」
抱えるようにペットボトルを持って来た奏くんが1本駿ちゃん先輩に渡した。そのまま今度は私の方へやって来た。
「灯璃もお疲れ様」
「あ、ありがとう」
はいっとペットボトルを渡された。キンキンに冷えたお茶だった。
「めっちゃ冷えてない?」
「うん、すごく」
「これ来賓側の玄関の自販機で買ったんだけど、あそこの自販機壊れてるから超冷えるの!」
うちの学校は私たちが普段出入りする玄関とは別のところに、来賓専用の玄関がある。
校舎塔も別だからそっちへ行くことはほとんどなくて、私も用がないので行ったことがない。
「知ってた?」
そんな子どもみたいに言われると、心臓を掴まれたみたいに目が離せない。
それだけで高まっちゃうんだもん。
「…ううん、知らなかった」
そしたら奏くんはまた笑って、今度は柔らかい表情で、…もう何も言わないの。
私の目を見つめるだけで。
「あ!ねぇねぇ、文化祭でやる楽曲のことなんだけどさ」
ホワイトボードを引いて来た駿ちゃん先輩の呼びかけに私も奏くんも顔を向けた。
「俺、奏が作った曲やりたい」
……。
…。
…えっ!?
奏くんも何も言わなければ、私もびっくししちゃって何も言えなかった。
だって、奏くんが自分の作った曲は学校ではやらないって…
「えーっ、2人して黙っちゃってさ!うわーーー、やっぱそうなんだ!?俺の知らないとこで俺の知らない活動してたんだ!?」
駿ちゃん先輩は声が大きいのもそうなんだけど、一刻の間も許さないタイプで息継ぎもしないでわーっと喋る。
私も奏くんも何も声を発さなかったけど、それだって数秒間だったのに。
「クラスの奴に聞いたんだよ!始業式ん時超よかったって、俺いないのにさ!」
口を尖らせて腕を組んだ。
肩幅に開いた足が凛々しく感じる、奏くんほどではないけど駿ちゃん先輩も背は高い方だと思うから。
余計私がちんちくりんに見えるんだけど…今はそんな話どーでもよくて。
「だから藍ちゃんに聞いて…」
ごそごそとズボンのポケットからスマホを取り出し、トントンッと叩いて画面を開いた。
ほら!と言わんばかりに私たちのその画面を見せた…
あっ!!!これその始業式のやつじゃん!!!
てゆーか…っ
「撮ってたんですか!?」
まさか記録が残ってるとは思わなかった。
「うん、藍ちゃんがね。一応活動を収めておくのも大事じゃん?」
折原さん…本当にちゃんとマネージャー業務してるんだ。
うわーーー恥ずかしいーーーーー!
自分の歌ってる姿客観的に見たの初めてだよ、こんな声してるんだうわーーーっ
「で、俺は驚いたわけよ。休んでしまったのは申し訳ないけど、元々この日はブルスカをやるって決めたてのに全然違う曲が演奏されてるじゃありませんか…!」
なんだかよくわからない口調で、ミュージカルみたいに話し始めた。数歩歩いてみたり、大袈裟に両手を広げて見たり、この間まだ奏くんは一言も話してない。
「気になった俺はすぐ藍ちゃんに問い詰めた、そしたら藍ちゃんはこう言ったんだ…“そんなのもう3週間も前から噂になってますよ”って」
私と奏くんに背中を向け、髪をかき上げた。
顔は見えないけど、たぶん…決めに決まってると思う。
「知らないのは俺だけだったんだ!」
ぐるんっと体を回転させこっちを向いた駿ちゃん先輩にビクッと肩が揺れた。すごい気合が入った目をしていた。
「あれは奏が作った曲だって、学校中噂になっていたんだーーーっ!!!」
ここは1番奥の1番上の階の教室だから、たぶんそこまでうるさくなかったとは…
いや、十分うるさかったかもしれない。
演劇部ぐらい感情こもってたから。
「駿二」
「何、なんだ、何だよ奏くん…!」
「うっとおしい」
「ぬぉーーーーーーっ!」
けろっと答える奏くんに、まだまだ熱演中の駿ちゃん先輩はその場に崩れ落ちるように膝を床に付けた。
本当にずっとテンションの高い人だなぁ…疲れないのかな、そんな全身全霊で生きてるみたいな。
てゆーか噂になってたんだ、奏くんの曲のこと。
相変わらずそーゆうのには疎いから、っていうかあんま人と話してないから気付かなかったけどそれって…
私のせいじゃない?
私がしなのちゃんに話したから、それが広まっちゃったんじゃないの…!?
あえて学校ではやらないってことは、奏くんが曲を作ってるのも隠しておきたいことだったのかもしれない。
それを何も考えずに言っちゃった…!
焦って奏くんの方を見たら、奏くんに笑って返された。
それはどーゆう意味だったんだろう…
「まぁいいよ!俺が知らないのはっ、俺が休んだからで代わりに灯璃ちゃんが出てくれたことは感謝しかないから」
やっと演劇モードを終えた駿ちゃん先輩が立ち上がり一呼吸置いた。
はぁっと息を吐きながら一瞬視線を下に落としたかと思えば、すぐにずいっと詰め寄るように私を見た。
「でもなんで灯璃ちゃんは歌えたの?」
「………え、えっとっ」
それは毎夜路上ライブする奏くんのもとを通い詰めたからで…、とは言えるわけない。
「だって誰に聞いてもあの曲知らないって言うんだよ!藍ちゃんだってあんな歌詞の歌知らないって言ってて、それなのになんで灯璃ちゃんが知ってるのが謎なんだけど!」
あの歌詞は私が書いたやつだから、奏くんだってあの場で知ったんだもん…
それを今答えるのは、ちょっと恥ずかしい。
だって今目の前で歌ってる動画見せられてるから!
わーーーっ、思ってる以上にダサかった!
いいと思いながら歌ってた自分ありえない!
ここで動揺を見せたら駿ちゃん先輩にバレてしまうと思って、引きつりそうになる顔に力を入れてなるべく平然を保ちながら隣を見た。
そしたらやっぱり奏くんは笑ってて。
でも今度は部室に来てからずっと1人バタバタしている駿ちゃん先輩を見ていたずらに笑ってた。
そのまま私の顔を見て、同じように笑った。
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