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LOVE6.TOMORI/聴かせてよ、Love Song
Song2.)
しおりを挟む「久しぶりの路上ライブ緊張する…!」
あれから数日後、年末も近くなった頃ついに開催されることになった夏休み以来の駅前。
暑かった夏休みと比べて寒いし、口が動くかちょっとだけ不安…
よりも何よりも!
「規模全然違くない!?前回はアンプとかマイクなかったじゃん!?今回なんか本格的じゃない!?」
いつもは奏くんのギター1本のみだった。
てゆーか歌わない奏くんからしたらそれ以外のものはいらなくて、そもそも聞かせる気もないのから思えばアンプさえもなかった。
「だってせっかく灯璃から誘ってくれたんだもん、ちゃんとしたいじゃん」
「それはそーだけど…」
すでに後悔し始めたかもしれない…
こんな大掛かりになるとは思ってなかったんだもん。
だってこの様子に人がちらほら集まって来てるんだもん…!
「だって路上ライブするには許可が必要なんだよ」
「え、そうなの!?」
「そうだよ、灯璃知らなかったの?」
「全然知らなかった…です」
そーなんだ、勝手に歌っちゃダメなんだ…
みんなテキトーにやりたい時にやってるのかと思ってた。
「道路交通法とかいろいろあるからね、警察署に許可もらったりしなきゃいけないの」
準備をしながら奏くんが教えてくれた。
私は何もしてない、ということは今日までの準備全部奏くんがしてくれたんだ。
言い出すだけ言い出しといて私は…!
「はい、これ灯璃のマイク」
「あ、ありがとう!ごめんね、私何も知らなくてっ」
「俺楽しみにしてたから」
「え…?」
「灯璃の歌!楽しみだったから!」
渡されたマイクを握りしめる。
緊張で張り裂けそうだった胸が心地よいリズムに変わった。
この緊張、たぶん私は好きなんだ。
「奏―!灯璃ちゃーん!来たよ~~~~!!」
「駿ちゃん先輩!ら、らんらんも!」
「は、恥ずかしいからやめてくれない!?その呼び方!」
「でも私だけあだ名で呼ばれるのも…っ」
「可愛いからいいじゃない…、ともりんはっ」
折原さんが顔を赤くしたのが伝わって私まで赤くなっちゃった。
「なんじゃそれは!2人とも可愛いかよっ!!!」
誰より大きな声で駿ちゃん先輩が突っ込んだ。それもそれでなんだか恥ずかしい。
「駿二!来てくれてありがとう、もうすぐ始めるから」
「おぅ!てかこんなとこでやってんだな!?結構やばくない?俺お腹痛くなりそうだわ!」
「なんで駿二先輩が緊張してるんですか?」
「しない!?するよね、思ってるよりここ目立つよ!?」
前は全然気にならなかったんだけど、今日はスタンドマイクにアンプに自前のスポットライトまで用意されて演奏する前から注目を浴びてる。
今までどんだけ奏くんがひっそりやって来たのがわかるくらいに。
「藍も、ありがとう」
「…うん」
「聴いてってよね、俺の作った曲!」
「うん、楽しみっ」
ジロジロとこっちを見ている人がいて、何が始まるのか気になってる人もいる。そろそろ時間かな。
「じゃあ俺らあの辺で聞いてるわ!行こ、藍ちゃん!」
「はい。あ、しなのも後から来るって言ってたから!」
時間は7時半、私と奏くんのステージが始まる。
「灯璃、今日の曲なんだけど」
「大丈夫!ばっちり覚えて来たから!」
なんて言わなくても、飽きるほどに聴いてるんだけど。奏くんの作った曲は嫌になるほど聴いてる、嫌になったことなんかないけど。
「あ、これ新曲ね」
「え、新曲!?」
「うん、この日のために書き下ろした」
「とんでもないサプライズありがとう!!でもできたらもっと早めに言ってくれるかな!?私にも準備がね!?」
「灯璃なら大丈夫だよ」
「…っ」
そんな顔で言わないでよ。
そんな愛しい笑顔で見ないでよ。
だって奏くんに言われたらなんだってできる気がしちゃうよ?
「テキトーに歌詞並べて」
「無茶振り相変わらずだよね…」
まぁでも仕方ないか。
そんな奏くんが好きなんだから。
「じゃあ始めようか!」
「うん!」
ギターを持った奏くんの隣に並ぶ。
マイクを持ってすぅっと息を吸って深呼吸をして。
今から始まるんだ。
奏くんと目を合わせたら。
自分には何もないと思ってた。
友達さえ上手く作れなくていつも1人だった。
それでもいいって思いながら、いつも探してたんだ。
自分にもあるかもしれない何かを。
でも実際見付かったかよくわかんないんだけどね。
でも1つ言えるとするなら、何も持ってなかった私にできることがあるとするならば…
奏くんの音を誰より輝かすことができるのは私。
私ほんとはね、ものすごく歌が上手いわけじゃないよ。
上手く聞こえてるだけだよ。
奏くんの作った曲だからそう聴こえるの。
奏くんの曲だから…
これは誰にも譲らない、私のものだよ。
その自信だけはあるよ。
“あまりに俺の曲にピッタリな声してたから、俺のものかと思っちゃった”
あの日からずっと奏くんのものだから。
「灯璃、歌ってよ」
だから聴かせてよ、私だけのラブソングを。
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