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【私】 男の勝利
後編*
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「こ、こはどこ?」
「やあ、おはよう。愛しい私の婚約者」
「ッ!?」
真横から聞こえた 声に驚きそちらを向く
「あははっ、そんなに驚かなくていいのに…」
そう言ってこの男は私に手を伸ばす
バシッ
「触れないで! 貴方は何をしたかわかっているの! こんなことを……」
「わかっているさ。 でも、もうどうでもいいんだ。」
そう言った男は隣から起き上がって移動する
「……どうでもいいってどういうこと」
「貴女はまだわかっていないようだ」
「何のこと?」
「今、体に違和感はない?」
目の前の男は綺麗に笑う
恐ろしいほど穏やかに
何かを隠すために張り付けているいつもの笑顔じゃない
心からの笑顔で
その笑顔を見て私はゾッとした
「何もない……ッ!?」
何もないわよ
そう言いかけ、途中で気づいた
違和感
気付いてしまってからは、動悸が止まらない
「ど、どうして、貴方はそこにいるの」
私の問いかけ
彼は本来であればあり得ない場所にいる
正確に言えば彼がそこにいれば私は違和感を覚える場所
「ど、どうして貴方は私の足の上にいるの!?そして、なんで、私はそれを感じないのよ!? 足の感覚がないのはなぜなのよ!」
酷く取り乱しながら、この男に問いかける
布団をめくろうとしても男がいてめくれない
すると男は私の両頬を包みながら告げる
「落ち着いて。 何も考えなくて言いんだ。貴女は世間では死んだことになっている 」
「どういうことよ!」
「貴女は帰り道、事故に遭った。発見されたときには崖下に落ちたことで遺体はぐちゃぐちゃだったが、馬車の家紋や持ち物から貴女は死んだということになっている」
「…………」
「貴女が訳のわからないという顔をする理由もわかる。貴女は私の屋敷からあれ以来出ていないよ」
「じゃ、あ」
「ああ、私が仕組んだよ。本当は貴女とは結婚という形で結ばれたかったが、相手が相手だ。それに、貴女は私にまだ隠し事があるよね?」
「…………」
ショックも大きいが、最後に言われたこと。それのことがより心配になった
「私もこれは最後の手段だと思っていたが……」
そう言いながら彼は立ち上がり布団をめくった
それを見たとき喉がひきつって声がでなかった
正確には声にならない悲鳴をあげた
「貴女はとても美味しかった」
本来であればあるはずのものが……
足がないのだ
最初に出た言葉は……
「く、狂ってる……」
「あはははははははっ! 私を狂わしたのは貴女だというのに、何を今さら!」
あははと男は狂ったように笑っている
いや、狂っているのだ
そして笑い疲れた彼はボソっと呟いた
「貴女が狂って私の元まで堕ちてくれば良かったのに……」
私はもう疲れてしまった
この男について考えることも
今後について考えることも
だから……
「私は貴方のものにはならない……さよなら」
私は、舌を噛みちぎった
血で溺れる中
最後に見た男の顔は安堵したようなで悲しそうな顔だった……
それから数日後
カチャカチャ
1人の男が食事の準備をしている
準備が終わると男は食事を始めた
暗い部屋で1人、それはそれは美味しそうに食べている
食べているのはお肉
この世でたったひとつしかないお肉
男は愛しそうに最後の肉を口に運んだ
そして飲み込むと……
安堵、喜び、悲しみといった様々な感情を抑えるように含ませたように笑った
涙を流しながら
「これで私と貴女はひとつになった。
これで貴女は永遠に私のモノ……」
その後、男は結婚した
政略結婚ではなく、男が望んだ相手と……
男が選んだ女性は、かつての婚約者と同じ髪色だった
その女性は子供を産んだが、それと同時に亡くなってしまった
子供は、男の瞳の色と女性の髪色を引き継いだ男の子だった
その子が成人すると、男は表舞台から消えた
それから数年しないうちに、男は流行り病にかかった
死に際、男はその子に言ったそうだ
「彼女と同化した私の子であるお前は私達の子だ。愛しい我が子…………」
その後、屋敷の隠し部屋が発見された
その部屋には、かつての婚約者の絵がびっしりと飾られ、宝箱からは1人分の骨が出てきたという
男の子供は真実にたどり着いたが、見たもの全てを闇へと屠った
そのため、この話は他に誰も知らない……
END1 【これで貴女は永遠に私のモノ】
「やあ、おはよう。愛しい私の婚約者」
「ッ!?」
真横から聞こえた 声に驚きそちらを向く
「あははっ、そんなに驚かなくていいのに…」
そう言ってこの男は私に手を伸ばす
バシッ
「触れないで! 貴方は何をしたかわかっているの! こんなことを……」
「わかっているさ。 でも、もうどうでもいいんだ。」
そう言った男は隣から起き上がって移動する
「……どうでもいいってどういうこと」
「貴女はまだわかっていないようだ」
「何のこと?」
「今、体に違和感はない?」
目の前の男は綺麗に笑う
恐ろしいほど穏やかに
何かを隠すために張り付けているいつもの笑顔じゃない
心からの笑顔で
その笑顔を見て私はゾッとした
「何もない……ッ!?」
何もないわよ
そう言いかけ、途中で気づいた
違和感
気付いてしまってからは、動悸が止まらない
「ど、どうして、貴方はそこにいるの」
私の問いかけ
彼は本来であればあり得ない場所にいる
正確に言えば彼がそこにいれば私は違和感を覚える場所
「ど、どうして貴方は私の足の上にいるの!?そして、なんで、私はそれを感じないのよ!? 足の感覚がないのはなぜなのよ!」
酷く取り乱しながら、この男に問いかける
布団をめくろうとしても男がいてめくれない
すると男は私の両頬を包みながら告げる
「落ち着いて。 何も考えなくて言いんだ。貴女は世間では死んだことになっている 」
「どういうことよ!」
「貴女は帰り道、事故に遭った。発見されたときには崖下に落ちたことで遺体はぐちゃぐちゃだったが、馬車の家紋や持ち物から貴女は死んだということになっている」
「…………」
「貴女が訳のわからないという顔をする理由もわかる。貴女は私の屋敷からあれ以来出ていないよ」
「じゃ、あ」
「ああ、私が仕組んだよ。本当は貴女とは結婚という形で結ばれたかったが、相手が相手だ。それに、貴女は私にまだ隠し事があるよね?」
「…………」
ショックも大きいが、最後に言われたこと。それのことがより心配になった
「私もこれは最後の手段だと思っていたが……」
そう言いながら彼は立ち上がり布団をめくった
それを見たとき喉がひきつって声がでなかった
正確には声にならない悲鳴をあげた
「貴女はとても美味しかった」
本来であればあるはずのものが……
足がないのだ
最初に出た言葉は……
「く、狂ってる……」
「あはははははははっ! 私を狂わしたのは貴女だというのに、何を今さら!」
あははと男は狂ったように笑っている
いや、狂っているのだ
そして笑い疲れた彼はボソっと呟いた
「貴女が狂って私の元まで堕ちてくれば良かったのに……」
私はもう疲れてしまった
この男について考えることも
今後について考えることも
だから……
「私は貴方のものにはならない……さよなら」
私は、舌を噛みちぎった
血で溺れる中
最後に見た男の顔は安堵したようなで悲しそうな顔だった……
それから数日後
カチャカチャ
1人の男が食事の準備をしている
準備が終わると男は食事を始めた
暗い部屋で1人、それはそれは美味しそうに食べている
食べているのはお肉
この世でたったひとつしかないお肉
男は愛しそうに最後の肉を口に運んだ
そして飲み込むと……
安堵、喜び、悲しみといった様々な感情を抑えるように含ませたように笑った
涙を流しながら
「これで私と貴女はひとつになった。
これで貴女は永遠に私のモノ……」
その後、男は結婚した
政略結婚ではなく、男が望んだ相手と……
男が選んだ女性は、かつての婚約者と同じ髪色だった
その女性は子供を産んだが、それと同時に亡くなってしまった
子供は、男の瞳の色と女性の髪色を引き継いだ男の子だった
その子が成人すると、男は表舞台から消えた
それから数年しないうちに、男は流行り病にかかった
死に際、男はその子に言ったそうだ
「彼女と同化した私の子であるお前は私達の子だ。愛しい我が子…………」
その後、屋敷の隠し部屋が発見された
その部屋には、かつての婚約者の絵がびっしりと飾られ、宝箱からは1人分の骨が出てきたという
男の子供は真実にたどり着いたが、見たもの全てを闇へと屠った
そのため、この話は他に誰も知らない……
END1 【これで貴女は永遠に私のモノ】
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