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【私】女の勝利
後編*
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私たちはあのお茶会から三か月後に結婚した。
その三か月の間にはいろいろあった。彼女に求婚していた隣国の皇太子をおど…ごほん。交渉してそれをやめさせ、彼の望むものを与えた。そして、盛大に式を挙げた。正直この準備に時間がかかった。彼女の方から、結婚式は盛大にしたいと言われた時には、天にも昇る気持ちだった。
そして、今日はその結婚式当日
彼女は純白のドレスをまとって、普段私に見せないような笑顔を浮かべながら私の隣を歩く。ベールのせいで素顔が完全には見えないが、口元は笑っていた。だから私はベールを上げるまで、本当に彼女が私のモノになったのだと思っていた。しかし、誓いのキスをする時にベールを上げ彼女の目を見てそれは違うのだと悟った。
彼女の目は激情を抑え込んだ目をしており、私を敵だと言っている。口元は笑顔だというのに……
背筋に冷たいものを感じたが、彼女を形式的には手に入れることができた。とりあえず今はそれで満足だ。これから少しずつ私の元まで堕としていけば良い。堕とす方法などいくらでもある。
そして結婚式後……初夜だ。
私は、彼女と一つになれることに高揚していた。彼女の心はいまだに手に入っていなくとも、体だけは先に手に入れられる。そうすれば、彼女は私のモノだ。
だから見落としたのだろう。彼女の決死の覚悟を……
コンコンコン
扉をノックをし、返事を待って部屋に入る。
そこには、とても美しく煽情的な姿の彼女がいた。
「……お待ちしておりました」
彼女はそう言って私に笑いかける。口元は見えるがいまだにベールを被っており鼻から上は見えない。
「……ああ、本当に天使が降臨したのかと思ったよ。綺麗だよ……」
「そうですか……」
彼女のいるベッドまで近づき、彼女の頬に手を触れベールをめくろうとしたが、それは彼女の手によって止められてしまった。
「ベールをめくるのは少し待って頂けますか?」
そう言うと、彼女は私の手を引きベッドに引きずり込む。そして私の上に移動すると、口元に笑みを浮かべながら私に近づいてくる。覆いかぶさるように近づいてきて、あと少しで彼女からキスしてもらえるとドキドキしていると……首元にチクリとした痛みが走る。
ヤバイと思った時には、もう遅かった。
「うっ……な、にを……」
体がうまく動かず、呂律も回らない。どうやら即効性の痺れ薬のようだ。
「うふふふふ。その薬を探すのに手間取ったのよ。貴方はそこら辺の毒じゃ耐性を持っているでしょう? ちなみに、その毒は即効性の痺れ薬ではなく、劇薬よ。とびきりのね。貴方の今の様子を見ていると、毒殺を選ばなくて正解だったようね」
「何を、するき、な、んだい?」
「それはもちろん。……貴方を殺すのよ」
「私を、殺す? な、ぜ……」
「もう死ぬ貴方には関係ないでしょ」
口元の笑みは消え、冷たい声で私に言う
そして、彼女は枕の下に手を伸ばすとナイフを取り出した。そして、私にナイフを振り下ろす。
「グハッ」
「うふふ、ふふ。あは、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
彼女は狂ったように笑いながら私にナイフを突き刺す。
そんな彼女の姿を見て、彼女はすでに私と同じくらいの所まで堕ちていたのだと理解した。
そんな彼女の姿を見て、私も笑ってしまう。
と言っても、もう声にはならず、息がヒューヒューと抜ける音がするだけになってしまったが……
グサグサグサグサグサグサ
彼女は一心不乱に私を突き刺す。
ナイフを引き抜く度に私の返り血が彼女の純白のベールを紅く染めていく。
そんな様子を眺めていると、彼女は満足したのか一層深く私にナイフを突き立てるとナイフから手を離した。そして、ベールを脱いだ。彼女の目にはもう憎悪も怒りも悲しみも感じない。もう何の感情も感じない。
そんな彼女を見て、悟ってしまった。私に対してもう何の感情も無いことを……
私という存在に対して無関心になってしまったことがひどく残念に感じた。
しかし、そんな彼女に関心を持って欲しくてももう動くことも、言葉を発することもできない。
ああ、ひどく残念だ。もう意識は薄れかかっている。
もう死ぬのか、なんて思っていると彼女は私に視線を向ける。そして私に話しかける。
しかし、彼女の言葉をもうしっかりと聞き取ることはできず、私が聞こえたのは……
「貴方が奪ったのはものは・・・・・・」
翌日、主人が起きてこないことを不審に思った執事が部屋に行くと、ベットの上には何度も突き刺され殺されたと思われる主人と、その奥方である女性が椅子の上で喉を切り裂かれて死んでいた。
もちろん、屋敷は騒然となっていたが状況からみて男は女性に殺され、その後女性は自殺したのだとされた。男は残念そうな表情で死んでいたのに対し、女はほっとしたような顔で死んでいたそうだ。
この事件は男の家によってもみ消され、ふたりは新婚旅行に行く途中の馬車で死んだことになったそうだ……
その後、ある家が潰れたが真相は闇の中だ。
END2
【貴方が奪ったのものは……】
その三か月の間にはいろいろあった。彼女に求婚していた隣国の皇太子をおど…ごほん。交渉してそれをやめさせ、彼の望むものを与えた。そして、盛大に式を挙げた。正直この準備に時間がかかった。彼女の方から、結婚式は盛大にしたいと言われた時には、天にも昇る気持ちだった。
そして、今日はその結婚式当日
彼女は純白のドレスをまとって、普段私に見せないような笑顔を浮かべながら私の隣を歩く。ベールのせいで素顔が完全には見えないが、口元は笑っていた。だから私はベールを上げるまで、本当に彼女が私のモノになったのだと思っていた。しかし、誓いのキスをする時にベールを上げ彼女の目を見てそれは違うのだと悟った。
彼女の目は激情を抑え込んだ目をしており、私を敵だと言っている。口元は笑顔だというのに……
背筋に冷たいものを感じたが、彼女を形式的には手に入れることができた。とりあえず今はそれで満足だ。これから少しずつ私の元まで堕としていけば良い。堕とす方法などいくらでもある。
そして結婚式後……初夜だ。
私は、彼女と一つになれることに高揚していた。彼女の心はいまだに手に入っていなくとも、体だけは先に手に入れられる。そうすれば、彼女は私のモノだ。
だから見落としたのだろう。彼女の決死の覚悟を……
コンコンコン
扉をノックをし、返事を待って部屋に入る。
そこには、とても美しく煽情的な姿の彼女がいた。
「……お待ちしておりました」
彼女はそう言って私に笑いかける。口元は見えるがいまだにベールを被っており鼻から上は見えない。
「……ああ、本当に天使が降臨したのかと思ったよ。綺麗だよ……」
「そうですか……」
彼女のいるベッドまで近づき、彼女の頬に手を触れベールをめくろうとしたが、それは彼女の手によって止められてしまった。
「ベールをめくるのは少し待って頂けますか?」
そう言うと、彼女は私の手を引きベッドに引きずり込む。そして私の上に移動すると、口元に笑みを浮かべながら私に近づいてくる。覆いかぶさるように近づいてきて、あと少しで彼女からキスしてもらえるとドキドキしていると……首元にチクリとした痛みが走る。
ヤバイと思った時には、もう遅かった。
「うっ……な、にを……」
体がうまく動かず、呂律も回らない。どうやら即効性の痺れ薬のようだ。
「うふふふふ。その薬を探すのに手間取ったのよ。貴方はそこら辺の毒じゃ耐性を持っているでしょう? ちなみに、その毒は即効性の痺れ薬ではなく、劇薬よ。とびきりのね。貴方の今の様子を見ていると、毒殺を選ばなくて正解だったようね」
「何を、するき、な、んだい?」
「それはもちろん。……貴方を殺すのよ」
「私を、殺す? な、ぜ……」
「もう死ぬ貴方には関係ないでしょ」
口元の笑みは消え、冷たい声で私に言う
そして、彼女は枕の下に手を伸ばすとナイフを取り出した。そして、私にナイフを振り下ろす。
「グハッ」
「うふふ、ふふ。あは、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
彼女は狂ったように笑いながら私にナイフを突き刺す。
そんな彼女の姿を見て、彼女はすでに私と同じくらいの所まで堕ちていたのだと理解した。
そんな彼女の姿を見て、私も笑ってしまう。
と言っても、もう声にはならず、息がヒューヒューと抜ける音がするだけになってしまったが……
グサグサグサグサグサグサ
彼女は一心不乱に私を突き刺す。
ナイフを引き抜く度に私の返り血が彼女の純白のベールを紅く染めていく。
そんな様子を眺めていると、彼女は満足したのか一層深く私にナイフを突き立てるとナイフから手を離した。そして、ベールを脱いだ。彼女の目にはもう憎悪も怒りも悲しみも感じない。もう何の感情も感じない。
そんな彼女を見て、悟ってしまった。私に対してもう何の感情も無いことを……
私という存在に対して無関心になってしまったことがひどく残念に感じた。
しかし、そんな彼女に関心を持って欲しくてももう動くことも、言葉を発することもできない。
ああ、ひどく残念だ。もう意識は薄れかかっている。
もう死ぬのか、なんて思っていると彼女は私に視線を向ける。そして私に話しかける。
しかし、彼女の言葉をもうしっかりと聞き取ることはできず、私が聞こえたのは……
「貴方が奪ったのはものは・・・・・・」
翌日、主人が起きてこないことを不審に思った執事が部屋に行くと、ベットの上には何度も突き刺され殺されたと思われる主人と、その奥方である女性が椅子の上で喉を切り裂かれて死んでいた。
もちろん、屋敷は騒然となっていたが状況からみて男は女性に殺され、その後女性は自殺したのだとされた。男は残念そうな表情で死んでいたのに対し、女はほっとしたような顔で死んでいたそうだ。
この事件は男の家によってもみ消され、ふたりは新婚旅行に行く途中の馬車で死んだことになったそうだ……
その後、ある家が潰れたが真相は闇の中だ。
END2
【貴方が奪ったのものは……】
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