異世界転生 「転生したらスマホがスキルメニューだった件」

ももな

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1章 異世界転生

2節 目覚めの地

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2節 目覚めの地
「……な、なんだここ……?」

目を覚ました悠真は、周囲の光景を呆然と見渡した。彼が倒れていたのは草原ではなく、どう見てもゲームやアニメで見たことのあるダンジョンの入口だった。石造りの壁はひび割れ、地面には苔が広がっている。どこからともなく水滴の落ちる音が反響していた。

「いやいやいや、草原からダンジョンにワープするってどういうことだよ!?」

頭を抱える悠真。しかし、現状を受け入れないわけにはいかない。彼は震える足で立ち上がると、自分の体に何か異変がないか確かめた。

「おお、意外と無事だな……服もこのままか。」

自分の格好は現代のまま、Tシャツにジーンズという異世界感ゼロの装いだったが、手には謎のスマートフォンのようなものが握られていた。

「ん?なんだこれ?オレのスマホ……じゃないな。」

画面をタップすると、文字が浮かび上がった。

――『ステータス』――

「え?ステータス画面ってこと?RPG風味すぎるだろ……」

興味本位でさらに触れてみると、自分の情報が表示された。

名前:佐藤悠真
レベル:1
スキル:[鑑定][収納][言語理解]

「スキル……?しかも、なんかしょぼくない?鑑定って、ゲームのアイテム見るやつだろ?」

不安を覚えながらも、「これが頼りか……」とスキル一覧を見つめた。すると突然、近くの茂みがガサガサと音を立てた。

「えっ、ちょっと待て!早速モンスターとか出てくるやつ!?」

悠真は後ずさりしながら、音のする方をじっと見た。すると、現れたのは――スライムだった。

「スライム!?いや、確かに一番最初に出るヤツだけどさ……本当に出るとは思わないじゃん!」

だが、そのスライムは普通のスライムとは少し違った。体は紫色で、目がギラリと光り、不気味なオーラを漂わせている。

「なんか強そうなんですけど!?あ、あー!落ち着け、まずは鑑定スキルを使ってみよう!」

スマホの画面をスライムに向け、「鑑定」をタップ。画面に情報が表示された。

名称:ヴァイオレントスライム
レベル:5
特殊能力:酸の分泌、物理耐性

「レベル5って!しかも物理耐性ってどうやって倒せばいいんだよ!!」

悠真は頭を抱えた。だが、スライムはそんな彼の葛藤などお構いなしに跳び上がって襲いかかってきた。

「うわっ、マジで死ぬ!」

とっさに地面に転がりながら回避する。だが、このまま逃げ続けるだけではいずれ捕まるのは目に見えていた。

「くそっ……何か、武器になるものはないか?」

辺りを探すが、手元には何もない。だが、そのとき、スマホの「収納スキル」が反応した。

「収納スキル……って、使えるのか?よし、試してみるしかない!」

スマホの画面を操作し、「収納」を開くと、中から一本の木の棒が飛び出してきた。

「え、なんでこんなものが入ってんだよ!いや、でも今はこれで我慢するしかない!」

悠真は木の棒を握りしめ、スライムに立ち向かった。

「こうなったら、やるしかない!オレの人生初バトル、始まりだ!!」

スライムが再び跳び上がる。その動きを見極めた悠真は、思い切って木の棒を振り下ろした――。
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