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1章 異世界転生
3節 初めての出会い
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「うおおおおおっ!」
悠真は全力で木の棒を振り下ろした。だが――
「……あれ?全然効いてなくない?」
目の前のヴァイオレントスライムは、悠真の渾身の一撃を受けてもビクともしなかった。それどころか、攻撃を吸収するかのように棒の先がぐにゃりと沈む。
「こいつ、ほんとに物理耐性持ちじゃねぇか!ふざけんな!」
悠真が棒を引き抜くやいなや、スライムは再び跳び上がり、酸の液体を放ってきた。
「やばっ!服が溶けるやつだ!」
咄嗟に横に転がって酸を回避するが、酸が地面に落ちるとジューッと音を立てながら煙を上げる。悠真は冷や汗を垂らしながらスライムと距離を取った。
「このままじゃ、マジで終わる……何か別の手段を――そうだ、『鑑定』だ!」
悠真は再びスマホをスライムに向け、「鑑定」を発動した。すると、スライムの詳細情報がさらに更新された。
弱点:火属性攻撃、魔法攻撃
「火属性!?いや、俺そんな魔法使えないんだけど!」
悠真は自分のスキル欄を確認したが、[鑑定][収納][言語理解]の3つしかない。火も魔法もどこにも見当たらない。
「くっそ、積んだかこれ……」
半泣きになりながらも、悠真は諦めるわけにはいかなかった。せめて何か手がかりがないかとスマホの「収納スキル」を再度開いてみる。すると、スキルの説明がポップアップした。
[収納]:自分の意識で『役立つアイテム』を自動的に生成し、収納できるスキル。必要に応じて中身が変化する。
「えっ、そういう仕様!?だったら最初から言えよ!」
悠真は祈るような気持ちで「火属性の武器!」と念じながら「収納」スキルを発動した。すると、スマホの画面から光が飛び出し、彼の手元に現れたのは――
「これ、……ライター?」
片手に収まる小さな金属製のライター。普通の火をつける道具だ。
「いやいやいや、もっとこう、魔法の杖とか火炎放射器的なやつをくれよ!」
文句を言いたくなる気持ちは山々だったが、今はこのライターが唯一の武器だ。悠真は意を決してライターを点火し、木の棒の先に火をつけた。
「これで火属性になった……はずだよな?」
棒の先が炎をまとった瞬間、スライムがわずかに怯むような動きを見せた。
「よし、効いてる!このままいける!」
スライムが再び飛びかかってきた瞬間、悠真は火のついた棒を思い切り振り回した。火の熱にスライムの体がジュッと焼ける音が響き、紫の体がみるみる縮んでいく。
「これが弱点ってやつか!よし、トドメだ!」
最後の一撃を振り下ろすと、スライムは爆発するように飛び散り、消滅した。
「……倒したのか?」
悠真が息を整えながら辺りを見回すと、スライムがいた場所には小さな光る石が落ちていた。
「……これ、ドロップアイテム?」
スマホを向けて鑑定してみると、どうやら「魔力の核」という素材アイテムらしい。
「なるほど、こうやってアイテムを手に入れるのか。よし、とりあえずこれは拾っとくか。」
魔力の核を拾い、改めてダンジョンの入口を見上げる。悠真の中で、これから始まる異世界生活への緊張感がじわじわと湧き上がってきた。
「ふう……マジでヤバい世界に来ちまったけど、生きていくしかないよな。」
そう自分に言い聞かせながら、一歩一歩ダンジョンの奥へと足を進める悠真。この先にどんな冒険が待ち受けているのか――彼はまだ知る由もなかった。
悠真は全力で木の棒を振り下ろした。だが――
「……あれ?全然効いてなくない?」
目の前のヴァイオレントスライムは、悠真の渾身の一撃を受けてもビクともしなかった。それどころか、攻撃を吸収するかのように棒の先がぐにゃりと沈む。
「こいつ、ほんとに物理耐性持ちじゃねぇか!ふざけんな!」
悠真が棒を引き抜くやいなや、スライムは再び跳び上がり、酸の液体を放ってきた。
「やばっ!服が溶けるやつだ!」
咄嗟に横に転がって酸を回避するが、酸が地面に落ちるとジューッと音を立てながら煙を上げる。悠真は冷や汗を垂らしながらスライムと距離を取った。
「このままじゃ、マジで終わる……何か別の手段を――そうだ、『鑑定』だ!」
悠真は再びスマホをスライムに向け、「鑑定」を発動した。すると、スライムの詳細情報がさらに更新された。
弱点:火属性攻撃、魔法攻撃
「火属性!?いや、俺そんな魔法使えないんだけど!」
悠真は自分のスキル欄を確認したが、[鑑定][収納][言語理解]の3つしかない。火も魔法もどこにも見当たらない。
「くっそ、積んだかこれ……」
半泣きになりながらも、悠真は諦めるわけにはいかなかった。せめて何か手がかりがないかとスマホの「収納スキル」を再度開いてみる。すると、スキルの説明がポップアップした。
[収納]:自分の意識で『役立つアイテム』を自動的に生成し、収納できるスキル。必要に応じて中身が変化する。
「えっ、そういう仕様!?だったら最初から言えよ!」
悠真は祈るような気持ちで「火属性の武器!」と念じながら「収納」スキルを発動した。すると、スマホの画面から光が飛び出し、彼の手元に現れたのは――
「これ、……ライター?」
片手に収まる小さな金属製のライター。普通の火をつける道具だ。
「いやいやいや、もっとこう、魔法の杖とか火炎放射器的なやつをくれよ!」
文句を言いたくなる気持ちは山々だったが、今はこのライターが唯一の武器だ。悠真は意を決してライターを点火し、木の棒の先に火をつけた。
「これで火属性になった……はずだよな?」
棒の先が炎をまとった瞬間、スライムがわずかに怯むような動きを見せた。
「よし、効いてる!このままいける!」
スライムが再び飛びかかってきた瞬間、悠真は火のついた棒を思い切り振り回した。火の熱にスライムの体がジュッと焼ける音が響き、紫の体がみるみる縮んでいく。
「これが弱点ってやつか!よし、トドメだ!」
最後の一撃を振り下ろすと、スライムは爆発するように飛び散り、消滅した。
「……倒したのか?」
悠真が息を整えながら辺りを見回すと、スライムがいた場所には小さな光る石が落ちていた。
「……これ、ドロップアイテム?」
スマホを向けて鑑定してみると、どうやら「魔力の核」という素材アイテムらしい。
「なるほど、こうやってアイテムを手に入れるのか。よし、とりあえずこれは拾っとくか。」
魔力の核を拾い、改めてダンジョンの入口を見上げる。悠真の中で、これから始まる異世界生活への緊張感がじわじわと湧き上がってきた。
「ふう……マジでヤバい世界に来ちまったけど、生きていくしかないよな。」
そう自分に言い聞かせながら、一歩一歩ダンジョンの奥へと足を進める悠真。この先にどんな冒険が待ち受けているのか――彼はまだ知る由もなかった。
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