異世界転生 「転生したらスマホがスキルメニューだった件」

ももな

文字の大きさ
4 / 6
2章 異世界の真実

1節 王都への旅

しおりを挟む
「ふぅ……やっとダンジョンから抜け出せた。」

ダンジョンの出口から外へ出た悠真は、眩しい太陽の光を浴びながら深呼吸した。約数時間にわたる未知のダンジョン探索を終え、体中に疲労が溜まっているものの、生き延びた達成感で満たされていた。

「結局、あのスライムだけじゃなく、コウモリとか妙に硬い虫とかいろいろ出てきたけど、なんとか切り抜けられたな……。」

スマホを確認すると、「収納スキル」に収めた戦利品が表示されている。

戦利品一覧:
・魔力の核 ×3
・硬化した羽根 ×5
・謎のコイン ×2

「これ、何に使うんだろう……ま、王都とか町に行けばわかるか!」

悠真は目の前に広がる道を見渡した。どうやらここから街や村へと繋がっているらしい。彼は歩き出す前に、スマホを操作して周辺の地図がないか確認する。すると、驚いたことに画面に地図が表示された。

「これ、普通に便利すぎないか?ナビ機能まであるのかよ!」

地図によると、ここから徒歩で半日ほどの場所に「リュミナス」という中規模の町があるらしい。

「よし、とりあえずそこを目指そう。もしかしたら情報を集められるかもしれないし、飯も食えるだろう。」

悠真は意を決して道を進む。途中、辺りには美しい草原が広がり、そよ風が頬を撫でる。だが、異世界という環境が完全に安心できるわけもなく、悠真は木の棒を握りしめながら警戒を怠らない。

数時間後、森の中の道を進んでいた悠真は、再び異世界の洗礼を受けることとなった。

「おいおいおい、またモンスターかよ!」

目の前に現れたのは、巨大なイノシシ型の魔物。その体は筋肉の塊で、牙がギラリと光っている。

名称:グラントボア
レベル:8
特殊能力:突進、耐久力アップ

「レベル8!?しかも耐久力アップってタンク系モンスターじゃん!こんなん倒せるわけねぇ!」

悠真は戦うよりも逃げる方を優先し、全力で駆け出した。だが、グラントボアの巨体からは想像もつかないスピードで追いかけてくる。

「うわっ、足早い!ウソだろ、待ってくれ!」

悠真は必死に逃げながら、再びスマホの「収納スキル」を開いた。

「頼む、今度は本当に役立つ武器を出してくれ!」

念じながらスキルを発動すると、手元に現れたのは――

「弓矢……!?いやいや、オレ、弓なんて扱ったことないんだけど!」

だが、今は文句を言っている場合ではない。悠真は走りながら矢をつがえ、適当に後ろを振り返って引き絞った。

「ええい、当たれ!」

矢は一直線にグラントボアの眉間へと飛んでいき、見事に命中した。

「えっ、当たった!?しかも意外と効いてる……?」

グラントボアが痛みによろめく様子を見て、悠真は勢いづいた。さらに矢をつがえ、次々に放っていく。慣れない手つきながらも、どうにか矢を命中させ、ついにはグラントボアを仕留めることに成功した。

「はぁ、はぁ……これ、マジで生きた心地しなかったぞ……。」

悠真はその場にへたり込みながら、倒れたグラントボアを鑑定してみる。すると、肉や牙が素材として使えそうだと判明した。

「これ、売れば結構いい金になるんじゃないか?さすがに全部持ち歩けないけど、収納スキルに入れておけば――」

と、悠真が戦利品をまとめていると、背後から声が聞こえた。

「お、おい!今の君が倒したのか!?」

振り返ると、そこには剣を携えた一人の若い男が立っていた。どうやら冒険者らしい。

「えっ、あ、まあ、なんとか……。」

悠真がそう答えると、男は驚いた様子で彼に近づいてきた。

「すごいじゃないか!このグラントボアを一人で倒すなんて、普通の冒険者でも難しいぞ!」

「え、いや、あんまり慣れてないから……結構ギリギリだったけど。」

「初心者にしてはすごい腕前だな!俺はエリオって言うんだ。君も冒険者か?」

「いや、冒険者っていうか……まぁ、ちょっと訳アリでな。」

悠真は適当に話を濁しながらエリオと話をする。どうやら彼もリュミナスの町を目指しているらしい。

「よかったら一緒に行かないか?一人より二人の方が安全だろ?」

「……まあ、確かにその方が助かるかも。」

こうして悠真は、初めてこの異世界の住人――エリオと出会い、一緒にリュミナスの町を目指すことになったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...