逍遙の殺人鬼

こあら

文字の大きさ
47 / 333

47

しおりを挟む
ベッドとマットレス、枕等のセットを台車に乗せレジから帰還した臼田うすたさんがこちらに来る

「買って来たー」

「ありがとうございます」

「ジャンお願ーい」

台車を渡そうとするも「お前が積め」と車のキーを投げつける
「僕なのー?」と嫌そうにする臼田うすたさんに「早く行け」と遇らう
じゃあ私も、と彼に着いて行こうとする私の襟元を掴んで「あんたはこっち」と連れ去られてしまう
今この人、人攫いまがいの行動してます!

「早く歩け」

「なら、手離してください……」

そう言っても離してはもらえず、どこに行くかも分からないまま歩き進んだ









「………、どこに行くんですか…」

「黙って歩け」

結局着いた場所は、女性の匂いが漂う化粧品のお店だった
私、お化粧しないんだけど……

「っあ!林さん!!」

(林さん??)
美容部員さんが「いらっしゃいませ」とジャンさんに駆け寄って、彼のことを”林さん”と呼んだ
昨日は”山本”と呼ばれてなかった………?
そんなことを思っているとグイッと前に出され「これお願いします」と差し出された

「っえ!」

「かしこまりました。さ、どうぞ」

「え、あのっ、…??」

美容部員に促されるまま、ふっかふかの椅子に座らせると前髪を端によけられ、柔らかい声で「失礼します」と頬のパッチを剥がされる
あまり痛みを生じないように優しく剥がすと、コットンに何かを染み込ませ顔中を拭かれる

女性の手つきは慣れていて、次々と顔に何かを施してくる
ジャンさんは?と鏡で確認すると、後ろで脚を組みながら優雅に雑誌をペラペラとめくり、終わるのを待っている

(こんな時にお化粧って………)

「お客様、終わりましたよ」

美容部員さんの声で前にある鏡に写る自分の顔を見る
そこには見慣れた顔に、あるはずのものが消えていた

「…っ……」

「林さん終わりましたよ」

ジャンさんは美容部員さんにお礼を言うと、座る私の方に歩み寄って来た
鏡越しに彼と目が合う
鏡にはあまり変わらない、でも少しはっきりとした顔になった顔、頬の痣が綺麗に無くなった顔が写されていた

「林さんあんまり濃いの好きじゃないから、整える程度にしときましたよ」

「お金これで」

「はい、確かに頂戴いたしました。またどうぞ。」

ありがとうございますと美容部員さんにお礼を言うと、先にお店を出て、スマホをいじるジャンさんの所に行った

もしかしてさっきの人達の話、聞こえてたのかな……?
あの、ジャンさんと彼を呼ぶと、スマホから私に1度視線だけ向けすぐにスマホに戻る
誰かに連絡していたみたいで、文章を打っていた
すぐにそれを終わらせると、ポケットに軽く手を入れこちらを見直す

「ありがとう、ございます…」

「なにが」

「…この、ほっぺの…です」

「は?」

「だから痣、のことです」

「お礼なら言葉じゃなくて、身体でしてくんない?」

グイッと腰に腕をまわされ彼の方に引き寄せられる
一気に彼との距離が近くなり、ドキッと胸が高鳴った
”身体で”と言われても………と困っていると、「なにマジになってんの」と離される

「顔真っ赤」とあざ笑われ、何も言い返せずいる
そんな私を置いて歩き出すジャンさんに、着いていくように後を追った
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...