逍遙の殺人鬼

こあら

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赤面する顔は恥ずかしさから微熱を持ち、それを隠すのに必死だ
倒れた後部座席を背に、押し倒されたみたいな状態を継続している

ジャンさんの言った"嫉妬"が、その通り過ぎて何も言えない
でも認めたくなくて、ごめんなさいしか口から出せない
だけど口には出してないものの、行動がそれを物語っていて「へぇー」と彼を刺激する

「そんなに嫌なんだ、他の奴とキスするの」

「別に……誰とキスしようが、ジャンさんの自由です」

顔を覆う隙間から発した言葉は、虚言だらけでやるせない
少し後部座席が揺れる感覚がしたが、隠す手によって確認することはできなかった

"好きじゃない"なら、"仕事"と言うなら、どうしてあんなにも上手にすることができたんだろう
他の人には演技だと悟らせないためなのか?
そうだとしたら、それに欺かれた1人だ









いつの間にか肩にあった感触はなくなっていた
それに気づいて覆う手を少し離し、彼が離してくれたのか?と確認する

しかし離してくれたけれども、気づかぬうちに移動していたジャンさんは倒れ込んでいる私の方に来ては、捕まえるような体勢になっている
彼の手は肩ではなく顔の真横にあって、脚は恥ずかしさで強く閉じた私の脚をまたがるみたいに置いている
先程の揺れはこれが原因だったのか

「なに、してるんですか…?」

「"自由"なんだろ、誰とやろうが」

「それはっ、ジャンさんと他の人って意味で、その中に私は含まれてません」

「でも嫌なんだろ?笑いかけるのも、こんな風に触れるのも、キスするのも」

そう言いながら乱れた髪を整えるみたいに、頬を触ってくる
それが妙に優しいから意味が分からない
その誘惑に負けそうになるから、彼の手を離すように顔をまたそむけた
今日何度目の行動だろか?

耳元で「嫌なんだろ?」と囁く声は、今まで1度も私に向けたことのないような、甘く優しさがこもっていてドキッと心臓を鷲掴みしてくる
元々いい声なのは知っていたが、低すぎないその柔らかな声で言うからなおさらずる

認めたくはない思いと、彼の蠱惑こわくに従ってしまおうとしている、矛盾ほこたてがいる
優しく顔を引き戻すその手つきですら優しく、反抗する気を失せさせてくる
顔を少し傾けて近づいて来るそれを両手の掌で止めた

「なに」

「あの人がした唇とは…しなくないです……」

よくそんな恥ずかしいこと言えたもんだ
だってそれは、あの人とキスをしなければ彼とキスをしても良いと言っているようなものだ
やはり、この頭は時々使い物にならない

「なら浄化しろよ」と覆う手首を掴んで、後部座席に押しつける
"浄化"だなんて言い草、まるであの女の人が不純だというような言い方で、それを押し当ててくる

何故かそれを受け入れる私は、さっきまでの怒りをこのキスで許してしまう
触れ合う唇と唇の隙間から舌を入れては、私の舌を捕まえて絡めてくるその行為は、何度目の行為だっただろうか?
まだ慣れることはできていない

吐息とともに少し車が揺れる
時折やってくる下唇を甘噛みしてくる刺激にクラクラするし、止めどなくやってくるそれに、私の口の中はかき乱されて行き不本意に近い喘ぎも出てしまう
絡んでくる舌に応えようとしている私は、それこそ不純だ

いつの間にか押し付けられていた手首を掴む手は退けられていて、代わりにズボンのファスナー部分に手をかけている
ボタンを外すとファスナーの突起を掴んで下ろそうしてくる

「っじゃ、ジャンさん!?なにをっ」

「んあ?外から見えない」

「問題ない」と窓ガラスをコンコン鳴らす
そういう問題じゃない! 

「ここ車の中ですよ!?」

「車じゃなかったらいいのか」

そう言うとファスナーを確実に下ろす音が聞こえた
そういう意味でもない…
ダメですって、と彼を止めようとするが「じゃないんだ?」とニヤリと笑みを浮かべるジャンさんは、手を止めてはくれない

少し開かせるように脚の間に自らの長い脚を挟ませて、パンツの中に手を入れて来る
ビクッと身体が反応し、ダメですってば…と彼の腕を掴んだ

「はあ?」と少しキレ気味に声を上げるとパンツから手を退けてくれる
それに安堵あんどしていると、近づき耳元で「なんで俺がやめなきゃいけねぇの?」と言葉とは裏腹にまた優しく言ってくる
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