逍遙の殺人鬼

こあら

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先程踊った男性は高身長で髪の毛をワックスでまとめ、両手に白い手袋
それは臼田うすたさんもジャンさんも同じで、どっちだったかなんて正直分からない
優しいあの手つきは臼田うすたさんだと言っているが、私を見ていた瞳は…ジャンさんと告げていた
でも、ちゃんと見たわけではない
それに、もしジャンさんと踊ったとしたら……必然的に臼田うすたさんが令嬢を殺したことになる

臼田うすたさんが、人殺しをするとも思えない……)

てなると、やはりジャンさんが?……それはそれで嫌だ、と否定的な私がいた









私はそのモヤモヤを解決すべく、彼を探した
どっちでもいい、どちらか片方に会えばさっき踊ったのが誰だったのか、令嬢を殺したのはどっちなのか分かるはず
雑草に集合する人混みの中をかき分け、彼の姿を探す
それは思いの外早く見つけ出すことができ、あの……と近づけば背を向ける彼はこちらを向く

「…あんた、なんだそのドレス」

「……っじゃ、…レイモンドさんですか?」

「見りゃわかんだろ」

私のドレスのことを聞いたってことは…やっぱり、さっき踊ったのが臼田うすたさん?
じゃあ、令嬢を殺したのは……

震える声で、さっきどこに居たんですか?と「あんたに関係ないだろ」と顔を背けられる
やっぱり、あれはジャンさんだ
彼のジャケットを掴んで、どうしてですか…だなんて主語のない質問にジャンさんは答えてはくれなかった
そればかりか、私を無視して何処かへ行こうとしている

「ジャンさん待ってください、なぜ……」

「あれ?2人ともどうしたの?」

臼田うすたさん……」

臼田うすたさんがどこからか現れ、この微妙な空気を断ち切る
それと同時に大ホールに居る人々がざわめき出し、先ほどよりも会場がうるさくなる
行き交う人達の声には、「誰かが殺されたらしい」とあの令嬢のことを話していた

会場内に警備兵が入って来ては、出入り口を封鎖した
「全員動くな」と行手を阻むと、取り調べを開始した

どうしよう……このままだと、ジャンさんが捕まってしまう
心配する私を他所に、彼は平然としている
まるで心配することなど無いかのように
ジャンさん、私と居た事にしましょう……、と小声で言っているのに反応すらしてくれない

「ジャンさん……」

「おい!そこの女」

「っ!わ、私…ですか?」

「お前、先程どこに居た!」

鬼の形相でこちらに向かって質問する警備兵は、私に指をさして迷う事なく歩いてくる
なぜ私?こんな大勢いる中から、どうしてわざわざ奥にいる私を?……
ここに居ました、と警備兵に答えると「嘘よ!」と横いる声がした
その声の主は殺された令嬢の取り巻きで、令嬢を殺したのは私だと告げ口している

「ご令嬢に逆恨みして、殺したんだわ」

「そうよ、きっとそうよ!」

「私は、殺してません!」(何言ってんのよ、殺せるわけないじゃない)

この取り巻きさん方は次から次へと嘘を並べて、まるで私が本当に殺したかのようにでっち上げていく
よくもそんなに嘘が出てくるもんだ

「彼女は私と居たんです。」

「っ、あなたは…」

「私が彼女のドレスを台無しにしてしまってねー、代わりのドレスを渡していたんですよ。」
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