逍遙の殺人鬼

こあら

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夕餉ゆうげを食べ終えた私に、見回りルートを教えてくれるシスターシオリ
ランプを片手に一つ一つ丁寧に場所の名前や鍵の種類を手取り足取り指示してくれる

「鍵が多いから、かけ忘れには注意して下さい。それから、離れの倉庫には近寄ってはいけません。」

「倉庫に?シスターシオリ、なぜ倉庫に近寄ってはいけないのですか?」

「私も深くは知らないのですが、離れにある倉庫は色々と噂があるのです。」

「噂?」

教会と共に建てられた離れの倉庫は、夜な夜な幽霊が現れて何やら倉庫に出入りしているらしい
以前教会で下働きとして働いていた人の霊だそうで、倉庫の管理を怠り罰として殺された過去があり死んだ今でも夜になると倉庫に取り付いて、生前できなかった管理をしようとしているんだとか
8年前にあるシスターが夜の見回りで倉庫に行った時、その霊に祟られ、その後姿を消したと
きっと怨念の溜まった幽霊に、殺されたとか………









「それじゃ…今も、その倉庫に………」

「居るのかもしれませんね。当時駆け出しの見習いだった私は、その倉庫の存在すら知りませんでしたから。前々から、夜は出歩くことを禁じられていた為、それ以降被害は出ていないと聞きました。」

「っこ、怖い…ですね」

「私は興味があるのですが、それを知ってか見回り係から外されてしまいました。とても残念です。」

頬杖をついて「はぁ~~」とため息を溢すシスターシオリは、本当に残念がっている
この人オカルトとか好きそうだな…

私なんて、こうして誰かと一緒じゃないとこんな薄気味悪い教会を夜に出歩くことすら怖い
見回りなんて、正直したくない
建て付けなのか、ギィ………ッと恐怖を煽る音が聞こえる
手に持っているランプの灯りしか、足元を照らすことができないこの鬱蒼とした場所
背中に悪寒が走る

「だいたい覚えましたか?明日、明るい時にもう一度案内しますね。」

「…はい、是非そうして下さい。」(夜は怖すぎる……)

「ここがお部屋です。今日は疲れたでしょうから、ゆっくり休んで下さい。入浴は時間が決められていますので、部屋の机にそれぞれ決まり事をいくつか書き出しておきました。目を通すように、お願いします。」

「わざわざすいません。ありがとうございます。」

あんな話を聞いたせいか、自室が一層薄暗く孤独とかしている様に思える
木でできた机にベッド・クローゼット、壁には小さな鏡がかけられ質素な部屋に月明かりを少し広げてくれる
シスターシオリの言った通り、机にはメモ用紙がありそれを確認する

(入浴は22時までか…)

時刻を確認すれば、現在21時半
長風呂でない私には十分な時間だった

少し怖いが入浴場へと向かい、今日1日の汚れを洗い流しす
大浴場の中に、私だけと言う贅沢な空間だ
大きな湯船に入って、仕事の成果と言っていいだろうこの凝り固まった肩をほぐす
モクモクと透き通った熱雲の様に視界を隠すが、それが逆に温泉に浸かっているみたいで気分が良い

「この髪、洗っても元には戻らないんだ」

黒く染まった髪はいくら洗っても、元の不吉な髪色には戻らない
このままずっと黒いままでいて欲しい
私が異常とは思わせない様に、カムフラージュして欲しい

(ん?誰か来た。シスターシオリかな?)

湯船によって作られた天然の煙幕によって、シルエットしか見えない
私よりも身長が高いとなると、シスターエリかな?
ちょっと気まずいけど、裸の付き合いになれば少しは仲良くなれるかな?

湯船に入ればお湯が一気に溢れ出て、その波の勢いが肌に感じる
「ふぅ…」と吐き出すそれに、違和感を感じて見てみればそれはシスターエリではなかった

「ん?」

「っちょ、ギュウ君‼︎なんでここに!?」

「うわっ‼︎ちさこそなんでいるんだよ!?」

「”なんで”って、ここ女湯でしょ!?」

困惑する私に「はぁ?」と呆れた様に説明をしてくれた
男湯・女湯なんてものは無く、時間で入浴を分けていたらしい
22時から男性時間となり、男女の入浴時間を交換するシステムみたいだ

だとしても、まだ速いんじゃ?
まだ入って5分もかかってないのに…

そんな論争を脳内で巡らせているうちに、他の男性が来たのかギュウ君を呼ぶ声がした
まずい…非常にまずい……
こんなタオル一枚の姿なのに、見られたりしたら…
暑さのせいか、額の汗はどんどん出ていく
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