逍遙の殺人鬼

こあら

文字の大きさ
325 / 333

326

しおりを挟む
[妊娠した被験者に適度の恐怖を与えることで、胎児は危険を察知し、未完成な身体を守るために成分を生成することが分かった。また、その成分は成人した人に摂取すると一定期間の成長を止める効果を見せた。]

スマホを持つ手が、震えた
そんな恐ろしい文章が、あのパソコンにあったと思うと主催者は普通の人ではないと容易に分かる

まだ仮説の段階ですら、危険を察した胎児が作り出す成分で若返りやら成長を止める、不老不死へと繋がると記載されていて、他のデーターにはどのように進めるのかなどが載っていた

血の気が引いた
指先が冷たいのは、真冬に窓を開け出窓に座り込んでいたせいなのか、この凶器じみたデーターのせいなのか…曖昧だった









息が苦しくて……吸って吐いてが上手く出来なくて、手に力が入らなくなってスマホが落ちた
出窓から離れようとしたら、バランスを崩して床に叩き付けられたみたいに落ちた
立ち上がれなくて、脚に力が入らなくて、声が出なくて、視界がぼやけた

どんなホラー映画よりも気持ち悪くって、それが現実リアルだと更に強くなって、こんな状況で目にしてしまえば誰だって不快で正常にはいられない

実験台にされた妊婦さんの写真
ホルマリン漬けにされた、失敗作の胎児…
解剖され……繰り返される実験の様子が何十枚と記録されていた

「っだれ…かっ……っ」

必死な想いで、ようやく出た声も途切れ途切れで小さく誰にも届かない
どうしてこんな時に限って、私はひとりなんだろう
どうして今ギュウ君は隣に居ないのだろうか?
何で春さんの所に行って、春さんと一緒に確認しようとしなかったんだろう…

_____何で私は、コピーなんてしてしまったんだろう…………

やっとの想いで扉のハンドルを掴んだ
勢い良く飛び出た私は、外など確認せず出たせいでなにかに当たった
いや、ぶつかってしまった

「おっと!?」

「っ!!??」

聞き慣れた声だった
驚いた声で、ぶつかってきた私を両手で支えてくれた
「大丈夫かい?」と倒れかけた身体を起こし、心配してくれる

「潤さん…」

「レディは大砲みたいな人だね。急に飛び出てくるなんて、何かあったのかい?」

「…そのっ、」

「顔色も良くないね。ちょっと、私の部屋においで。」

はいとも、いいえとも答える前に、私は肩に置かれた潤さんの手によって半ば強制的に移動させられた
逆によかったのかもしれないと思った
この強引さが、一瞬でも私が見たモノを忘れさせてくれるなら…と

「紅茶で良いかな?」

「あ、はい。ありがとうございます」

紅茶は、甘かった
なんだか落ち着いた
私の部屋とは違って暖かく、暖炉が置いてあって薪がパキッと鳴る音や炎が燃え上がる音も動揺を沈めるものだった

暖かい暖炉に目が行って、手元に持った暖かい紅茶と甘い香りが緊張をほぐし、潤さんが話す声が遠く聴こえてくる
「落ち着いた?」と肩を触り心配する彼に、遅れて大丈夫ですと言った

その言葉に安心したのか、向かいの椅子に座り自分も紅茶を楽しみ始めた
疲れが溜まっていたのか、段々まぶたが重くなっていった
「それで、なにがあったの?」と言う潤さんの言葉を最後に、私は記憶を止めてしまった
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...