ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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第三十六話 「熱く、燃え上がれ、運動会!(後編)」

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みなさん、こんにちは。春間真莉亜です。ただいま、大変なことになっています。
なんと、二年生の女子の中で一番、足が速い、翔翼さんが昨日、交通事故にあい、病院に運ばれたのです!
一体、翼さんの代わりに、誰が走るのぉ~!?

「翼さんの意識は、戻ったんですか?」

「意識は今朝、戻った。」

「じゃあ、アンカーは誰が走るんですか?」

「私も気になります!」

「あたしも!」

「教えてください、先生!」

女の子達が次々と、先生達にうるさく質問してくる。

「うるさい!」

安田先生がどなると、女の子達はビクっとビビって、黙った。
恵はまたビビって、かたまってしまった。

「アンカーは自分達で決めろ。例え、足が遅い人、速い人でもいい。けれど、陸上部だからという言い訳はだめだ。今日の昼休みに第二図書室に集まって、アンカーを決めるように。」

安田先生はそう言って、被服室を出た。その後をつくように、尾希田先生も、教室を出た。
先生達が行った後、私達はしーんとなった。
すると、すくっと、女の子が立ち上がった。

「まぁまぁ。みんなそんなに静かにならんで、笑おうや。クレヨン、買ってくれよん!なんちって~。二ヒ二ヒ二ヒ。」

しかも大阪弁だし。てか、ゾ〇リのまね、しないでください。
この人、最近、私達のクラスに転入した女の子、川辺笑里奈さん。
笑里奈さんは大阪出身で、笑うことが大好きな女の子。
静かなところが大嫌いで、将来はお笑い芸人になるとか。
みつあみをしていて、髪の色は赤毛のアンみたいに赤い。
笑里奈さんの満面な笑顔、私は大好きなんだ。

「ゾ〇リがせいゾ〇リ!なんちってぇ。二ヒ二ヒ。」

まだおやじギャグ言ってる。てか、こんな時期に寒~いギャグなんて、聞きたくありません。

「笑里奈様!」

大きな声で、比奈多さんは立ちあがった。
それに気付いて、笑里奈さんは比奈多さんの方を振り向いた。

「くだらないギャグを言わないでくださる?今、何が起きてますの?翼様が交通事故にあわれたんですよ、交通事故に!笑里奈様って本当、空気が読めないKY関西人ですわね!」

「そうよ、そうよ!」

笑里奈さんはとても残念そうな顔で、すわった。
しばらくして、比奈多さんがゴホンとせきばらいしてから、みんなの方を見た。

「いいですか?翼様が事故にあわれたのは、とても残念ですが、わたくしは決めました。昼休みに翼様の代わりの人を決めるのではなく、今、決めるんです!」

えぇ~!?

「比奈多、燃えてるよぉ。」

「一年に勝つ気持ち、あきらめてないねぇ。」

「本当。比奈多はあきらめるのが嫌いだねぇ。」

恵と京花と冬香がひそひそしながら、話している。
パチパチ。

「比奈多様、かっこいいです!」

「よっ、さすが二年生の親分!」

「賛成、賛成!」

喜びの声が、被服室の中に響く。
比奈多さんは二カッと笑顔になった。

「ま、それほどでも・・・・・・。アリアリですわ。オーホッホッホッホ!」

比奈多さんの上機嫌になる声が、いつも高いです。

「さぁ。アンカーを決めましょう。誰か、アンカーに立候補する人。」

比奈多さんが質問すると、みんなは手を挙げなかった。
それを見て、比奈多さんは怒り始めた!

「なんでみな様、誰一人手を挙げないのですか!?」

「だって、アンカーには小春っていう生意気な後輩がいるって聞いたもん。」

「もう私達、翼さんがいないから、負けるよ。」

だんだん、みんなが弱音をはいてるよぉ。

「みな様!」

比奈多さんが大きな声をあげた。

「そんなに弱音をはくなんて、2年生らしくありませんわ!いつまでも、翼様に甘えてはいけませんわ!」

「あんたも甘えてたじゃん。」

その発言で、比奈多さんの顔が急に赤くなった。

「んもう!仕方がないですわ!わたくしが、アンカーになりますわよ!それに賛成の方は拍手!」

比奈多さんが言い終わると、みんなは拍手をしなかった。
だってみんな、黙ったままだもん。

「んもう!これだから女子は困りますのよ!」

怒りながら、比奈多さんはドアに向かって行く。

「春間さん・・・・・・。」

その声は・・・・・・。

「翼さん!?」

後ろを振り向くと、なんにもなかった。
確かに、翼さんの声が聞こえた。ひょっとして、翼さんは私をアンカーにしようと、思ってるの!?
私は考えた。
私、翼さんに恩返しをしたい!翼さんの代わりに走りたい!そして、翼さんのために走りたい!

「比奈多さん!」

声をかけると、比奈多さんはドアのところまでとまって、私の方を振り返った。

「なんでしょう、真莉亜様。」

「実は私、翼さんと一緒に、速く走れる練習をしていました!」

「え?」

「うっそー。」

みんなが騒ぎ始めた。

「練習にさそってくれた、翼さんに恩返ししたい!そして、翼さんになりきって、走りたい!私、アンカー立候補します!」

言い終わると、比奈多さんが私のところへ行って、フッと笑い出した。

「全く、真莉亜様っていいことばっかり言う、お方ですわ。わたくし達に内緒で翼様と練習してたなんて、ズルいですわ。」

がくっ。やっぱり言われました。
すると、比奈多さんが、私の肩をぎゅっとつかんだ。

「でも、内緒に練習してたなんて、すばらしいことですわ。みな様、それに賛成の方は拍手を!」

比奈多さんがくるっと、みんなの方を見た。
パチパチパチパチ。
あれ?拍手の音が大きいよ。てことは・・・・・・。

「賛成、賛成!」

「真莉亜、がんばってね!」

「よっ、さすが学級員!」

「こんなこと、起こらんようにな!バナナですべった、そんなバナナ~!なんちってぇ。二ヒ二ヒ。」

「笑里奈様のギャグは本当、おもしろいですわ。」

「ありが10匹でありがとう!なんちってぇ。二ヒ二ヒ。」

「アハハハハハ!」

最後はオヤジギャグで笑って、おしまいです。





今日は休みだから、翼さんのお見舞いに行こう。
えっと、私が昨日、帰りに買ったものは・・・・・・。リラ〇クマのぬいぐるみと、ス〇ーピーのストラップと、キ〇ィちゃんのえんぴつと・・・・・・あれ?あと一つ足りない。

「うわぁ!な、なんなんだ、この気持ち悪りぃのは!」

「これがこびとなんて、思えません!」

「白雪姫のこびとより違います。」

「本当。最近の女の子は、こんなの大好きよねぇ。」

あー!なあに、人が買ったのを見つめてるんですか!
私はこびとづかんの下じきを取り上げた。

「なんなんだよ。こーんな気持ち悪いキャラのグッズを買ってきやがって!」

気持ち悪くない!キモカワなんだよ、これは!

「キモカワって、なんだよ。」

キモカワとは、気持ち悪いけどかわいいという意味なんです。そのくらい、知ってください。

「誰に渡すんですか?」

マドレーヌちゃんがぬいぐるみとえんぴつとストラップと下じきを指さした。

「これ?これは翼さんに渡すんだよ。」

「翼・・・・・・様?」

あぁ。マドレーヌちゃんには、知らないか。

「翔翼さんっていう人がいて、その人は足が速いの。でも、昨日、交通事故にあってしまって・・・・・・。それで今日、プレゼントを持って、お見舞いに行こうと思って・・・・・・。」

「俺も行く。」

は?なんで?

「だって、もし真莉亜が危ない目にあったら、大変だろ?」

確かに。でも、私は防犯ブザーもをもって行きますから、いいです。
私が行こうとすると、ジュンブライトがとうせんぼをした。
な、なによ。

「お前と出会った時、言ったろ?俺がお前を守るって。チカンにあったら、キャー!あなた、助けてぇ!ってさけべ。」

そんなの、言いません。てか、早くどいてくれる?

「やだ。お前がついて来てって言うまで、通さん!」

な・・・・・・なんなの、このヴァンパイア。わがまま全開しておる。

「そんなに行きたいのなら、好きにして。」

すると一瞬、ジュンブライトがニヤリと笑い始めた。

「二ヒ二ヒ。OK、もらったぜぇ!さっすが、俺って運がいい男だぜ!」

そんなに、行きたかったの?

「あたり前だろ。」

出た。流行語ノミネート大賞予定の言葉。

「妃を守るのが、男の役目だからな。」

あんたの妃じゃありません。





私達4人は、翼さんが入院している、紅姫花病院についた。
それにしてもこの病院、大きいねぇ。
駐車場は大きいし、建物はまるで、高級マンションみたいだし、おまけに病院だっていうのに、隣にはカフェがあるし。
そして今は、病院の中にいます。
患者さん達が、うろうろしてるなぁ。
ところで、翼さんの病室はどこだろ。

「しらねぇ。」

「看護師さんに聞けばいいんですよ。」

あ、そっか。すっかり忘れてた。

「あそこにいます。」

ルクトさんが指さした方は、患者さんと仲良くおしゃべりをしている、看護師さん。

「じゃあね。」

「お大事に。」

患者さんのおばあさんは、手を振りながら、行ってしまった。
よし、今だ!

「あの・・・・・・。」

私が声をかけると、看護師さんは気が付いた。

「なんでしょうか。」

「翔翼さんの、お見舞いに来たんですけど・・・・・・。なかなか、わからなくって。教えてもらいますでしょうか?」

その時、看護師さんはにこっと笑った。

「いいですよ。じゃあ、ご案内しましょう。」

うわぁ。ありがとうございます!
てな訳で、早速翼さんの病室へ、GО~!
まずは、エレベーターに5階まで乗り、エレベーターを降りて、病室の階についた。
そして、看護師さんの後について歩いた。

「ここです。」

看護師さんが病室の前にとまると、私達もとまった。

「ありがとうございます。」

ルクトさんがおしぎをしながらお礼を言うと、看護師さんがまたにこっと笑った。

「いいえ、どういたしまして。困った時はお互い様ですから。では、翔さんとの楽しい時間を、送ってくださいね。」

看護師さんが言い終わると同時に、患者さんが外に出た。

「看護師さん、一緒にお茶しませんか?」

「あっ、はい。では、さようなら。」

看護師さんは笑顔で患者さんのところまで行って、患者さんと仲良くおしゃべりをしながら、行ってしまった。

『翔翼様』

間違いなく、翼さんの病室だ。
ドアは引き戸だし。早速、ノックしよう。
私がノックしようとした、その時。

「ギャハハハハ!」

うわぁ、ビビったぁ~!
って、なんで翼さんの笑い声が聞こえるんだ?

「そうなんしそうなんです。なんちってぇ。二ヒ二ヒ。」

あ。このオヤジギャグは、笑里奈さんだ。
もしかして、笑里奈さんもお見舞いに来てるの!?

「ゔぅ、寒い。」

ジュンブライト達がこごえている。
私も、なんだか寒くなってきちゃった。

「ギャハハハハ!」

「床屋さんはどこや?今から床屋さんに行くとこや。なんちってぇ。二ヒ二ヒ。」

「うゔ、もうわたくしはたえきれません!」

あらら。ルクトさんはカッチンコッチンの氷になっちゃった。

「俺も!」

「私も!」

「私も!」

次々と、みんなが氷になっていく。

「小学生がショウがくせー。なんちってぇ。二ヒ二ヒ。」

「ギャハハハハハ!」

もう、私もたえきれません!
私も、カッチンコッチンの氷になっちゃった。

「今日はどうもありがとう。」

「どういたしまして。早く元気になってくれや。」

「うん。」

ガラッ。
笑里奈さんがやって来た瞬間に、私達は元に戻った。

「あ、春間さんと黒月さん。もしかして、お見舞いに来てくれたのかい?」

はい。そうですけど。
すると、笑里奈さんは二カッと笑った。

「翼さん、最初は元気がなかったんやで。けど、あたいのオヤジギャグを聞いて、いっぱい笑ろうたら、元気になったんやで!そんじゃあ、また明日な。」

笑里奈さんは走りながら手を振って、行っちゃった。
さぁ、中に入ろう。
私は今度こそ、ノックをした。
トントン。

「はーい。」

翼さんの声が聞こえてくる。

「失礼します。」

私達が中に入ると、そこにはベットに寝込んでいる、翼さんがいた。

「春間さん!それに、円花ちゃん、ルクさん、黒月さんまで!」

うわぁ。すっごく喜んでるよ。

「うわぁ!あたし、来てくれるかと、思ったんだ!」

「あ、翼さん。これ、あげます。」

私は翼さんに、リラックマのぬいぐるみと、スヌーピーのストラップと、キティちゃんのえんぴつと、こびとづかんの下じきが入ったプレゼントぶくろを渡した。
翼さんはその後、急に顔が変わった。

「キャー、かっわいい♡これ、ずっと、欲しかったんだ・・・・・・あれ?」

どうしたんですか?

「これ、なにが入ってるの?」

翼さんがプレゼントぶくろを、じーっと、眺めている。

「開けてみてください。」

私が笑顔で言うと、翼さんは不思議そうにふくろを開けた。
すると急に、翼さんの顔が真っ青になった。
・・・・・・どうしたんですか?

「キャー!」

翼さんが悲鳴を上げたと同時に、ドアがガラッと開いた。

「どうなさったんですか!?」

あ、さっきの看護師さん。

「で、出た。」

「何がですか?」

看護師さんが不思議そうに、翼さんのところにかけよると、翼さんはおそるおそる、なにかをふるえながら、指さした。

「こ、こ、これ!」

え~!?こびとづかんの下じき!?
看護師さんはそれを見て、にこっと笑った。

「あら~、キモカワじゃありませんか。ほら、私も、もっていますし。」

笑顔で看護師さんがケータイについている、きもかわのこびとのストラップを見せると、翼さんは横になった。

「それ以上、見せないで!あたし、キモいキャラは大嫌いなの!」

え~!?

「こ、これは失礼しました!で、では何かあった時は、必ず声をおかけくださいねっ。」

看護師さんはあわてて、外に出ちゃった。
ごめんなさい。それに気付かず、つい買ってしまって・・・・・・。

「アハハハハ!」

急に翼さんが笑い出した。

「どうしたんだ?」

ジュンブライトが声をかけると、翼さんは笑うのをやめた。

「いや。別に気にしなくていいよ。ただ、春間さんがかわいいと思って・・・・・・。」

私がかわいい?

「そう。まるで、妹のように。」

そんなに言われると、私、うれしいなぁ。
それより、おくりもの、いっぱいだね。
あの化粧水は、誰から?

「月野さんと美島さんから。ふたりとも、どっちの化粧水がいいと、けんかして・・・・・・。結局、二つえらんじゃった!」

ですよねぇ。もしきららさんのえらんだら、比奈多さんが大激怒しますからねぇ。おや?この3つのダンボールは、なにが入ってるんだろ。
私が開けると、とんでもない光景があった!
なんと、チョコピナのふくろが、たくさんあったのだ!
これ、誰からのおくりものですか?

「あぁ。これ、水城さんから。」

あぁ。雪さんからねぇ。ひょっとして、雪さんのお父さんと、チョコピナをつくっている会社の社長さんが、仲良しとか!?

「違うよ。」

え?

「チョコピナは、水城さんの会社のお菓子だもん。」

え~!?そんなの、全然知らなかったぁ!

「あたしも。水城さんが大好きなチョコピナが、まさか水城さんちのお菓子だなんて、知らなかったよ・・・・・・。」

あれ?翼さんの目が、急に点になっちゃった。
どうしたんですか?

「かわいい~♡」

翼さんが目をハートにさせながら、声をあげた。
な、なにがですか?

「この犬のぬいぐるみ、かわいい~♡」

犬?あー!リリアさん、ヴァンパイアキャットのままだった!

「ちょ・・・・・・私は犬じゃないわ・・・・・・。」

「おしゃべりもできるなんて、かわいい~♡」

そう言いながら、翼さんはリリアさんをだっこして、ギュッとだきしめた。

「真莉亜、助げで~!!」

助ける方法が、ありません。

「あらら。持ち主さんの名前を言うなんて、珍しいねぇ♡」

「そ・・・・・・それは、ボタンを押すから、声が出るんだぜ!」

翼さんは一生懸命、ボタンを探しては、リリアさんの体のあちらこちらを見つめている。

「どこにもないよ~。」

「ラジコン付きのぬいぐるみですよ、ラジコン付きの!」

マドレーヌちゃんがリリアさんの方を指さすと、ドアがガラッと開いた。

「ばっかもーん!」

うわぁ!な、波平さん!?いや、車いすに乗っているおじいさんだ。

「お、おじいちゃん!?」

翼さんの顔が、急に元に戻った。

「ここは病院だっていうのに、「かわいい~♡」とか、「キャー!」っと、さけぶやつがおるか!」

うゔ、波平さんよりこわい・・・・・・。

「すみません。」

翼さんが謝ると同時に、リリアさんを私に渡した。

「あー。くるしかったわぁ。」

と、リリアさんがこっそり、ひそひそ声で言う。

「完三郎さん!」

ヘルパーさんがやって来た。

「もう、どこ行ってたんですか!?」

「孫の声がうるさくてのう。様子を見に来ただけじゃ。」

「お孫さん?あ、翼ちゃん!」

ヘルパーさんが翼さんのところまでかけよった。

「大丈夫だった?私、翼ちゃんが入院してたこと、すっかり忘れてたわぁ。」

「はい。大丈夫ですよ。」

「あら?この人達は?」

ヘルパーさんが、私達を不思議そうに見つめた。

「この人達はあたしの同級生の、春間真莉亜さんと、黒月潤くん。それと、潤くんのいとこの、円花ちゃんで、黒月くんのしつじ、ルクさんです。」

あ、どうも。

「ところで、なんで翼お姉様は、事故にあわれたんですか?」

マドレーヌちゃんが質問すると、翼さんの表情が、悲しい表情へと変わった。

「昨日、陸上の練習が終わって、あたしは道具とか片づけるとかなんだかんだで、帰りが遅くなっていたの。帰り道に横断歩道を渡っている時に、白いこねこがとおってね。かわいい~♡と、思ったけど、急に信号があかになって、こねこが車にひかれそうになって・・・・・・。あたしは急いで、こねこをかばったら、こんなになっちゃった。」

翼さんがズボンのすそを上げた。両足からすねまでには、包帯が巻かれている。

「全身マヒ。つまり、もう走れないだろうって、医者から言われた。」

え!?じゃあ、おじいさんと同じですか!?

「うん・・・・・・。おじいちゃんにはすっごく、怒られた。家族全員、同じ病気になった。わしの介護は誰がやる!って。あたし、みんなの役に立てなかった・・・・・・。事故にあってしまって、そして、全身マヒになってしまって・・・・・・。きっと、運動会は一年生が、優勝するんだろ・・・・・・。」

翼さんはその後、しくしく泣いた。

「翼さん!」

私が大きな声でさけぶと、翼さんは泣きやんだ。

「何?」

「私、弱音をはく翼さんなんか、大嫌いです!私が大好きな翼さんは、あきらめるのが大嫌いで、優しくて、かわいいものが大好きで、お姉さん的存在の翼さんが、私は大好きです!だから、私、翼さんの分まで走りますから、そんな簡単にあきらめないでくださいっ!」

「春間さん・・・・・・。」

翼さんの目にまた、涙があふれて、翼さんは私にぎゅっと、だきついてきた。

「ゔぅ・・・・・・うわーん!」

翼さんは大きな声で泣いている。

「あたし・・・・・・あたし、うれしいよ。こんなにいいことを言われて・・・・・・。あたしさ、昔っから泣き虫で、恥ずかしがり屋で、友達も全然いなかったんだ。でも、春間さんと出逢って、こう感じたんだ。春間さんは初めて最高にできた友達って。だから明日、あきらめずにがんばってね!」

はいっ。
私は笑顔でうなずいた。






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