ヴァンパイア♡ラブ

田口夏乃子

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第三十五話 「熱く、燃え上がれ、運動会!(前編)」

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翼さん、大丈夫なのかなぁ?あんなこと、言われて。
ちょっとそこらへんが、心配・・・・・・。

「ふーん。そんなこと、言われたのか・・・・・・。よし、わかった。先生が佐藤先生にそう伝えるから、安心しとけ。」

ん?廊下の向こうから、2組の担任、安田先生の声が聞こえるぞ。

「はい。ありがとうございます。」

翼さんの声も聞こえる。
私は声がした方に行った。
あ、職員室の前で、安田先生と翼さんが話してる。
もしかして翼さん、先生に伝えに来たのか!?えらいぞ、翼さん!
安田先生が職員室の中に入ろうとした時、1年4組の担任、佐藤先生が通りかかった。

「佐藤先生、実はうちの生徒が・・・・・・。」

佐藤先生が話にのりかかって、職員室に入ろうとしたその時。

「佐藤先生。今日、ご一緒に、お食事はどうですか?もちろん、僕の大好きな、秋葉原で!」

出た。私とジュンブライトの担任、尾希田先生。
尾希田先生はなんと、佐藤先生がとても大好き。
理由は、先生が大好きな、小嶋陽菜にそっくりだから。
でも佐藤先生は、そんな尾希田先生が大大大大大嫌い!
それと気付かず本人は佐藤先生にずっと、ナンパしています。
現在、尾希田先生は、片想い中です。

「あと、ご一緒にカラオケはどうです?新曲の『UZA』、一緒に歌いましょうよ!」

佐藤先生は、「あんた、UZAいよ。」っという気持ちをおさえて、苦笑いをしている。

「あのう。尾希田先生、今、話し中なんですけどぉ。」

「あ。ごめん。あ、翔。話のじゃまして、悪いなぁ。」

翼さんは目を点にして、呆然としています。

「じゃあ佐藤先生、素敵な夜で、あいましょう!」

安田先生と佐藤先生は無視して、話の続きをしながら、職員室に入った。
その姿を見た尾希田先生は、顔をブスっとした。

「ちぇ。また作戦、失敗かよ。今日も一人でAKB歌うの、さびしー。」

尾希田先生は廊下を一人で歩いて行っちゃった。
それ、あんたの作戦だったの?

「春間さん!」

あ、翼さんに気付かれてしまった!
翼さんは私のところまで走った。

「話、聞いてたの!?」

はい・・・・・・。たまたま、翼さんの声が聞こえて・・・・・・。

「あの子、春間さんにいたずらしたんでしょ?」

あ、小春さん?そうですけど・・・・・・。なんで、知ってるんですか?

「あたし、緑と紗代とは仲良しでさ、二人に聞いたんだ。」

緑さんと紗代さんとは、陸上仲間なんですね。

「あぁ。あたし、弱いものいじめする子、大大大大大の大っ嫌い!」

私もです!

「あ。今日は陸上の練習があるから。特訓、黒月さんとやって。」

えぇ!?私がジュンブラ・・・・・・じゃなかった、潤とするの~!?

「だって、春間さんと黒月さんは、いとこでしょ?」

そうですけど。なんで、知ってるんですか?
・ ・
「東内さんから聞いたよ~。将来、夫婦になれそうなカップル、第一位に輝いているって。」

私は急に、顔が赤くなった。

「翼さん、余計なことは言わないでくださいっ。潤と私はカップルではなく、いとこですぅ!」

「アハハハハ。ごめん、ごめん。これ、東内さんの冗談だから、気にしないで。」

恵め~、冗談なことを言いおってぇ~!

「とりあえず、本人に許可をもらったから。じゃあ、明日ねっ。バイバーイ!」

翼さんはにこっと笑いながら手を振って、走って行っちゃった。





放課後。運動場にはジュンブライトと私だけが、残っている。
なーんか二人っきりになると、ここら辺がドックンドックンするんだけどねぇ。どうしてなんだろ。

「こら!ボォーとしないで、早く走れ!」

あ、はい!
うわぁ。翼さんより厳しいよぉ。

「どうした!翼が成長してるって言っていたけど、全然、成長してないんじゃねぇか!人間って、ボケているやつがいっぱいいるなぁ。」

翼さんはボケてません、本当のことを言っていたんだよぉ!

「言い訳Мaybeなことを言うな!」

言い訳Мaybeって、AKBの曲の題名じゃん。

「お、だいぶ速くなったんじゃねぇか。あと一周だ!」

あと一周!これで全て終わります!

「すっげぇなぁ!まるで、風みたいじゃねぇか。」

うわぁ、ほめられたぁ!気分上々になって来ましたぁ!

「まあた、遅くなってんじゃねぇか!運動会まであと、3日だぞ、3日!もし一年が優勝したら、比奈多に文句言われっぞ!」

ひぇー!比奈多さんに文句、言われたくありましぇーん!

「さっきより速くなったんじゃねぇか。よし、終わりぃ。」

はぁはぁ。つかれたよぉ。

「はい、おつかれさんっ。」

ジュンブライトが私のほっぺに、冷たいお茶をあてた。

「お前にごほうびだ。」

うわぁ。ありがとう、ジュンブライト。
「どういたしまして。ありが10匹でありがとう!なんちって、二ヒ二ヒ二ヒ。」

寒いギャグはもう、あきました。

「運動会まであと3日!がんばろうぜ!」

もっちろん!
私とジュンブライトは、ハイタッチした。





今日も放課後、翼さんは練習なのかな?ちょっと聞いてみよう。
あ、恵がいた!恵に翼さんを呼ぶよう、たのんでみよっかなぁ。

「恵。」

私が呼ぶと、恵は振り向いて、にこっと笑った。

「どうしたの?真莉亜。」

「あのね、翼さんを呼んで欲しいけど・・・・・・。いる?

そのとたん、恵の笑顔が消えて、首を左右に振った。

「ううん。まだ、来てないの。たぶん、遅刻かな?」

恵がガラガラ状態翼さんの机を、見つめた。

「おじいさんがどっか、具合が悪いのかなぁ。」

「確かに。そうと思う。」

え?なんで恵が知ってるの?

「私のおじいちゃん、翼さんのおじいちゃんとは仲が良く、いつも翼さんの家におじゃまするんだ。」

へぇー。
ピンポンパンポーン。
あ、放送のチャイムが鳴っている。

「『えー。2年生の女子のみなさんに連絡します。2年生の女子のみなさんは今すぐ、被服室に集まってください。もう一度、繰り返します。2年生の女子のみなさんは今すぐ、被服室に集まってください。』」

その声は、安田先生の声だ。
ピンポンパンポーン。

「もしかして、昨日の一年生たちとの争いで、説教されるかも!」

恵があわあわと、あわてている。
まっさかぁ。それは比奈多さんが説教されるでしょ。私達には関係ない・・・・・・。
とつぜん、恵が私の肩を激しくゆらした。

「関係あるよ!きっと、なんで誰もけんかを止めなかったとか、なんで争ったのかぁ!」

もう、わかったから。肩をゆらすの、やめてくれる?

「あ、ごめん。」

恵は私の肩をゆらすのをやめた。

「でも、安田先生は男バスのコーチで、普段はおとなしいけど、男バスの練習に入ると、怒鳴ったり、悪いことをしたら、その相手のほっぺをビンタするんだよぉぉぉぉぉぉ!!」

恵がまた、私の肩を、今度は泣きながら、ゆらした。
もう、やめてぇ~。
そこへ、司ちゃんが通りかかって、私と恵の方を見た。
それと同時に、恵が私の肩をゆらすのをやめた。

「なにしてるの?早くしないと、安田先生に怒られるわ。」

言い終わると、司ちゃんが再び歩き始めた。

「・・・・・・行こう。」

恵が声をかけて、よろよろと歩き始めた。

「あ。まって、恵。」

私は一生懸命、恵を追いかけた。





被服室の中は、二年生の女子53名で、いっぱい。
周りを見ると、説教話をするのか心配してなく、平気で友達と話している子や、顔が真っ青な子とかたくさんいる。

その中で一人、私の隣にすわっているのが、恵。
さっきから、体をガタガタふるわせて、歯を食いしばっている。

「そんなに、安田先生がこわいの?」

私が聞くと、恵がつばをごくんと飲んでから、こっくりとうなずいた。

「う、うん。」

声までふるえている。

「私達きっと、お、お、親父にもぶたれてないのに、ビンタさ、さ、されるかもし、し、しれないんだよ!?」

初代ガンダムの有名な言葉、使っちゃったね。

「まぁまぁ。恵、落ち着いて・・・・・・。」

恵隣にいた京花が、あわてている恵を落ち着かせようとすると、恵が今度は、京花の肩をゆらした。

「落ち着いている場合じゃなーい!だって、もし怒られたら国語の成績、減点されてしまうんだよぉぉぉぉ!!」

ガラッ。
被服室のドアが開いて、安田先生、尾希田先生が入って来た。
その瞬間に恵は、京花の肩をゆらすのをやめた。
女子の話し声も突然消えた。

「あの!」

きららさんが手を挙げた。

「なんだ?美島。」

「もしかして、比奈多と一年生の小春さんのけんかを、なぜ私達が止めなかったのかを、怒ってるんですか?」

すると尾希田先生が首を振った。

「違う。月野、お前は悪くない。悪いのは桐崎の方だ。」

その言葉を聞いて、恵はほっとした。
よかったぁ。私もほっとしたよぉ。
ビンタされなくて、すんだよぉ。
さっきまでチャラチャラしていた尾希田先生の顔が急に、真剣になってるし。どうしたのかなぁ?

「今日はお前達に話したい事がある。安田先生、前へ。」

先生の隣にいた安田先生が悲しげな表情で前に出た。

「みなさん、今日は朝早くから集まってくれてありがとう。ここへお前達を呼んだ理由は・・・・・・。」

それから、安田先生は深呼吸をした。

「僕の生徒、翔翼が昨日、交通事故にあって、病院に運ばれた。

えぇ!?

「あの、翼さんが!?」

「そんなぁ・・・・・・。運動会、どうなるんだろ。」

急に女の子達が騒ぎ始めた。
比奈多さんとなぎささんと雪さんは呆然としている。
そんな。あの翼さんが、事故にあったんだなんて・・・・・・。

「『すっごいよ、春間さん!あたし、感動しちゃった!』」

「『ありがとう!あたし、リラックマのふで箱がないと、勉強できないんだよ!』」

「『春間さん、さっすが!練習の成果、発揮できたね!』」

私の頭の中から、翼さんの声が響いてくる。
一体、アンカーは誰が走るのぉ~!?

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